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3章、メイドは死にました
60、俺が好感度を上げるはずのアンパンで兄が好感度を上げていく
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精霊交信の授業は、ミディー先生の専門だ。
場所は魔法植物園で、丸いテーブルと椅子が人数分揃えられていて、四角いバターを載せたワッフルケーキとハーブティーが用意されている。
私が座る席の両隣にはパーニス殿下とイージス殿下が座っていて、足元にはなぜか黒狼姿のセバスチャンがいる。さらに、向かい合わせの席にエリナがいて、授業というよりお茶会の雰囲気だ。
「マリンベリー、スコーンにメープルシロップをどうぞ」
「ブルーベリージャムがおすすめだが?」
イージス殿下とパーニス殿下が2人揃ってお勧めしてくるので、私はスコーンの半分にメープルシロップを右半分にブルーベリージャムを乗せた。甘々だ。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
精霊交信の授業に出席した第二王子パーニスは、兄が気になって仕方なかった。
「マリンベリーさん、メイドさんの件は残念でしたね」
兄、イージスが気遣いたっぷりの声をマリンベリーにかけている。その言葉は俺が言うつもりだったのに。真似したように思われるかもしれないが、今から言うか。言わないよりずっといいだろ。
「アンナは俺も配下に探させたのだが、見つからなくて残念だ」
【フクロウ】のメンバーであり、マリンベリーのメイドをしていたアンナが行方不明になり、生存が絶望的だと言われている。
話題にすると暗い雰囲気になるが、話題にせずに明るく笑い合うのも非情だろう。まず言うべきことを言ってから、話題を変えるのだ。儀式のようなものだと思えばわかりやすい。
こんなことが水没期にもよくあったな。あの時期は、とにかく人の命が儚かった。
「お二人ともありがとうございます。私、アンナのことをあまり知らなかったなって今になってから考えたりしています」
アンナの思い出を語ったら喜ぶだろうか?
いなくなった人のことを語らい、思い出を共有して偲ぶ。
それは水没期から「生きている者と死者双方にとっての慰めであり、けじめをつける儀式みたいなもの」と言われていた。
水没期の悪友アルワースはそんな儀式について「無駄な行為だ」と言っていた。
それに対して、もう一人の友人アークライトは「そんなことない、大事なことだよ」と優しく諭していたものだった。
マギライトは……「そんなことをしても死んだ奴は喜ぶ心ももうないし、生きてる奴も明日には死ぬかもしれねえだろ、アルワースが正しいっつーの」と思ったものだった。
しかし、今は水没期ではない。パーニスは、水没期の魔法使いではなく、現代の王国の王子だ。
「マリンベリー。アンナのことは俺も実は詳しく知らないんだ。だが、ああ見えて教養があり、知識が豊富で、剣の腕もよかった。あとは……魔法も使えたな……思えばおもしれー奴で、有能な女だった」
赤毛のメイドアンナは、明るくて微妙に無礼で、しかし悪い気分はしない人物だった気がする。
愛嬌があって面白い奴だった。
マリンベリーとの相性もよかったようだ。
単なる世話係ではなく、人間として親しくするから、失ったときに悲しくなる――それはマギライトが盗賊から魔女家の養子となり友人や家族との関係を作ってからわかった感覚だった。
マリンベリーは優しいので、その心中はどれほど悲しんでいることだろう。
彼女が悲しんでいるのに、その悲しみを晴らすことがてきないのが悔しい。
せめて気持ちを切り替えて前向きに明日に迎えるよう、努めよう。
「トブレット・ベーカリーのアンパンだ。そこにいるエリナに頼んで持ってきてもらって、先生にも持ち込みの許可をもらった。食べてくれ」
「ありがとうございます、パーニス殿下」
マリンベリーはアンパンが好きなんだ。
小さな口で上品にパンをつまんでいるのも可愛いし、気を緩めてパクッと大きな口を開けてかぶりつくところも可愛い。
「パーニス? 兄さんもアンパンが好きなのですが……兄さんの分は?」
「ご自分で買ってください兄上」
むしろ兄はなぜ俺と婚約者の茶席に混ざってくるのか。邪魔なんだが。
「イージス殿下。半分こしますか?」
おい、マリンベリー。兄と半分こなんてやめてくれ。
「弟が拗ねるのでやめておきましょう。お気持ちだけいただきますね、マリンベリーさん」
兄はそう言って、愛しそうにマリンベリーを見つめ、柔らかく微笑む。
「君が美味しそうに食べているのを見ているだけで、私の心も満たされてしまいます」
周囲の席から「きゃー!」と黄色い声が上がる。
お、おかしい。
俺が好感度を上げるはずのアンパンで兄が好感度を上げていく……⁉︎
俺だって「俺の婚約者がアンパン食べているの可愛い」と思っていたというのに。
「えーっと、殿下たち。聖女様。ミディー先生、授業を始めるけどいい? 三角関係も青春だなって思うし大事な時間だと思うんだけど、授業も大切だと先生は思うんだ……いいかな……『先生空気読めねえな、邪魔しやがって』みたいに思わないでくれるかな……? 以上……?」
ミディー先生が介入して、授業が始まった。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
私、マリンベリーの両隣で二人の王子が見えない火花を散らしている。さっきまでアンナの話でしんみりしてたのに、なぜ。
ともあれ、授業は始まった。ミディー先生が精霊や魔獣について教えてくれる。
「この世界には、たくさんの精霊や魔獣がいる。邪悪な魔法で生み出された魔物と違い、彼らは自然発祥の生き物として、この世界に我々と共に生きているんだよ」
この世界は、空気中や水中、植物や大地など、いろんなところに魔力があって、精霊という存在がいる。
精霊は普段は目に見えないけど、魔法使いが魔力をあげて依頼すると姿を見せてくれたり会話してくれたり、お願いごとを聞いてくれたりするんだ。
精霊に魔力をあげて頼み事を聞いてもらう魔法を、精霊交信術とか精霊交信魔法と呼ぶ。
この魔法を専門に扱う魔法使いは、精霊術師とか精霊交信士とか呼ばれる――人気の職業だ。
ミディー先生が見せてくれるのは、下級から中級の精霊や魔獣だ。
「わぁー!」
「本物だ!」
翅が綺麗な小妖精や、うさぎや獅子の姿をした魔獣たちは、可愛い精霊もいれば、ちょっと怖い精霊もいる。
色彩も豊かで、属性がわかりやすい。赤いトカゲは火属性のサラマンダー、水色の光を纏う水の塊は水属性のウンディーネ。ふわふわ空中で踊ってるのは、風属性のシルフだ。
そんな精霊たちに囲まれて、生徒たちは歓声をあげた。
「あっ、目が合いましたよ。可愛い!」
正面の席に座ったエリナが小妖精を見て「可愛い」を連発している。
思わず「エリナの方が可愛いわよ」と言いたくなるピュアな可愛らしさだ。自分が年上だと意識して、お姉さんな気分になる。
そういえば水没期のマリンにも妹がいたなぁ。
妹ウォテアはマギライトお兄様と私が死没した後、当主となって優秀な魔法使いの家の先祖として名を残している。キルケ様のご先祖様だ。
「精霊とお話しするときは、魔力を言葉に乗せて、彼らの好む話し方を心がけよう、以上」
……おっと、授業に集中しなきゃ。
「下級精霊や魔獣と話すときは、小さな子どもとお話するみたいに。中級精霊や魔獣の場合は、フレンドリーな子にはフレンドリーに、オラオラしてる子にはオラオラ返しで」
相手に合わせてコミュニケーションを取るのは、乙女ゲームの基本だ。というか、リアルの人間関係でもそうだよね。
……と考えると乙女ゲームって対人コミュニケーションが学べる有益なゲームといえるんじゃないだろうか。
ゲーム内で扱ってた問題も、社会問題とか哲学的な問題があったりして。
正しさってなんだろうとか人間ってなんだろうとか、この悪人は許されちゃダメなんだろうか、とか。
煩悶とした乙女たちがSNSで自分が感じたことを吐き出し、互いの感性に触れ合って共感したり反発したりしていたものだ。
「迷ったら先生に聞いてね。相談なしで無茶をして事故るよりは、うるさいくらいに相談してくれた方がいいんだよ。ミディー先生はいつも膝を抱えて頼られるのを待ってるよ……では、お話ししてみよう。以上~!」
ミディー先生が膝を抱えて見せたところで、実習開始だ。
ゲームだったら、どの精霊と話すかでルート分岐しちゃうやつだよね。
『火属性のサラマンダー』or『水属性のウンディーネ』or『風属性のシルフ』……どの精霊とお話しようかな?
場所は魔法植物園で、丸いテーブルと椅子が人数分揃えられていて、四角いバターを載せたワッフルケーキとハーブティーが用意されている。
私が座る席の両隣にはパーニス殿下とイージス殿下が座っていて、足元にはなぜか黒狼姿のセバスチャンがいる。さらに、向かい合わせの席にエリナがいて、授業というよりお茶会の雰囲気だ。
「マリンベリー、スコーンにメープルシロップをどうぞ」
「ブルーベリージャムがおすすめだが?」
イージス殿下とパーニス殿下が2人揃ってお勧めしてくるので、私はスコーンの半分にメープルシロップを右半分にブルーベリージャムを乗せた。甘々だ。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
精霊交信の授業に出席した第二王子パーニスは、兄が気になって仕方なかった。
「マリンベリーさん、メイドさんの件は残念でしたね」
兄、イージスが気遣いたっぷりの声をマリンベリーにかけている。その言葉は俺が言うつもりだったのに。真似したように思われるかもしれないが、今から言うか。言わないよりずっといいだろ。
「アンナは俺も配下に探させたのだが、見つからなくて残念だ」
【フクロウ】のメンバーであり、マリンベリーのメイドをしていたアンナが行方不明になり、生存が絶望的だと言われている。
話題にすると暗い雰囲気になるが、話題にせずに明るく笑い合うのも非情だろう。まず言うべきことを言ってから、話題を変えるのだ。儀式のようなものだと思えばわかりやすい。
こんなことが水没期にもよくあったな。あの時期は、とにかく人の命が儚かった。
「お二人ともありがとうございます。私、アンナのことをあまり知らなかったなって今になってから考えたりしています」
アンナの思い出を語ったら喜ぶだろうか?
いなくなった人のことを語らい、思い出を共有して偲ぶ。
それは水没期から「生きている者と死者双方にとっての慰めであり、けじめをつける儀式みたいなもの」と言われていた。
水没期の悪友アルワースはそんな儀式について「無駄な行為だ」と言っていた。
それに対して、もう一人の友人アークライトは「そんなことない、大事なことだよ」と優しく諭していたものだった。
マギライトは……「そんなことをしても死んだ奴は喜ぶ心ももうないし、生きてる奴も明日には死ぬかもしれねえだろ、アルワースが正しいっつーの」と思ったものだった。
しかし、今は水没期ではない。パーニスは、水没期の魔法使いではなく、現代の王国の王子だ。
「マリンベリー。アンナのことは俺も実は詳しく知らないんだ。だが、ああ見えて教養があり、知識が豊富で、剣の腕もよかった。あとは……魔法も使えたな……思えばおもしれー奴で、有能な女だった」
赤毛のメイドアンナは、明るくて微妙に無礼で、しかし悪い気分はしない人物だった気がする。
愛嬌があって面白い奴だった。
マリンベリーとの相性もよかったようだ。
単なる世話係ではなく、人間として親しくするから、失ったときに悲しくなる――それはマギライトが盗賊から魔女家の養子となり友人や家族との関係を作ってからわかった感覚だった。
マリンベリーは優しいので、その心中はどれほど悲しんでいることだろう。
彼女が悲しんでいるのに、その悲しみを晴らすことがてきないのが悔しい。
せめて気持ちを切り替えて前向きに明日に迎えるよう、努めよう。
「トブレット・ベーカリーのアンパンだ。そこにいるエリナに頼んで持ってきてもらって、先生にも持ち込みの許可をもらった。食べてくれ」
「ありがとうございます、パーニス殿下」
マリンベリーはアンパンが好きなんだ。
小さな口で上品にパンをつまんでいるのも可愛いし、気を緩めてパクッと大きな口を開けてかぶりつくところも可愛い。
「パーニス? 兄さんもアンパンが好きなのですが……兄さんの分は?」
「ご自分で買ってください兄上」
むしろ兄はなぜ俺と婚約者の茶席に混ざってくるのか。邪魔なんだが。
「イージス殿下。半分こしますか?」
おい、マリンベリー。兄と半分こなんてやめてくれ。
「弟が拗ねるのでやめておきましょう。お気持ちだけいただきますね、マリンベリーさん」
兄はそう言って、愛しそうにマリンベリーを見つめ、柔らかく微笑む。
「君が美味しそうに食べているのを見ているだけで、私の心も満たされてしまいます」
周囲の席から「きゃー!」と黄色い声が上がる。
お、おかしい。
俺が好感度を上げるはずのアンパンで兄が好感度を上げていく……⁉︎
俺だって「俺の婚約者がアンパン食べているの可愛い」と思っていたというのに。
「えーっと、殿下たち。聖女様。ミディー先生、授業を始めるけどいい? 三角関係も青春だなって思うし大事な時間だと思うんだけど、授業も大切だと先生は思うんだ……いいかな……『先生空気読めねえな、邪魔しやがって』みたいに思わないでくれるかな……? 以上……?」
ミディー先生が介入して、授業が始まった。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
私、マリンベリーの両隣で二人の王子が見えない火花を散らしている。さっきまでアンナの話でしんみりしてたのに、なぜ。
ともあれ、授業は始まった。ミディー先生が精霊や魔獣について教えてくれる。
「この世界には、たくさんの精霊や魔獣がいる。邪悪な魔法で生み出された魔物と違い、彼らは自然発祥の生き物として、この世界に我々と共に生きているんだよ」
この世界は、空気中や水中、植物や大地など、いろんなところに魔力があって、精霊という存在がいる。
精霊は普段は目に見えないけど、魔法使いが魔力をあげて依頼すると姿を見せてくれたり会話してくれたり、お願いごとを聞いてくれたりするんだ。
精霊に魔力をあげて頼み事を聞いてもらう魔法を、精霊交信術とか精霊交信魔法と呼ぶ。
この魔法を専門に扱う魔法使いは、精霊術師とか精霊交信士とか呼ばれる――人気の職業だ。
ミディー先生が見せてくれるのは、下級から中級の精霊や魔獣だ。
「わぁー!」
「本物だ!」
翅が綺麗な小妖精や、うさぎや獅子の姿をした魔獣たちは、可愛い精霊もいれば、ちょっと怖い精霊もいる。
色彩も豊かで、属性がわかりやすい。赤いトカゲは火属性のサラマンダー、水色の光を纏う水の塊は水属性のウンディーネ。ふわふわ空中で踊ってるのは、風属性のシルフだ。
そんな精霊たちに囲まれて、生徒たちは歓声をあげた。
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そういえば水没期のマリンにも妹がいたなぁ。
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「精霊とお話しするときは、魔力を言葉に乗せて、彼らの好む話し方を心がけよう、以上」
……おっと、授業に集中しなきゃ。
「下級精霊や魔獣と話すときは、小さな子どもとお話するみたいに。中級精霊や魔獣の場合は、フレンドリーな子にはフレンドリーに、オラオラしてる子にはオラオラ返しで」
相手に合わせてコミュニケーションを取るのは、乙女ゲームの基本だ。というか、リアルの人間関係でもそうだよね。
……と考えると乙女ゲームって対人コミュニケーションが学べる有益なゲームといえるんじゃないだろうか。
ゲーム内で扱ってた問題も、社会問題とか哲学的な問題があったりして。
正しさってなんだろうとか人間ってなんだろうとか、この悪人は許されちゃダメなんだろうか、とか。
煩悶とした乙女たちがSNSで自分が感じたことを吐き出し、互いの感性に触れ合って共感したり反発したりしていたものだ。
「迷ったら先生に聞いてね。相談なしで無茶をして事故るよりは、うるさいくらいに相談してくれた方がいいんだよ。ミディー先生はいつも膝を抱えて頼られるのを待ってるよ……では、お話ししてみよう。以上~!」
ミディー先生が膝を抱えて見せたところで、実習開始だ。
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