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2章、第二王子は魔王ではありません
54、『アンナだと言う』or『気づかないふりをする』
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三日も寝ていたので、体が弱っている感じがする。
寝台から起き上がって歩こうとすると、くたりと膝が崩れそうになった。
「危なっかしくて目が離せないな」
パーニス殿下は倒れかけた私を支えて座らせてくれた。
そして、私の頭に手を添えて反対側のこめかみにキスをした。
その瞬間に、なんとなく魂にキスをしていたマギライトお兄様が思い出される。
懐かしいような切ないような気分だ。
「食事の後で家まで送ろう。魔女家当主のキルケも心配しているし……ずっと2人でいると俺がお前を襲ってしまいそうだからな」
「襲っ……」
タイミング悪くドアを開けて食事を運んできた仮面の女騎士が「きゃー! お邪魔しちゃいましたねー!」と興奮している。赤い髪の女騎士……どう見てもアンナだ……。
私の脳内に一瞬だけ迷いが生まれる。
『アンナだと言う』or『気づかないふりをする』みたいな。
少し迷ってから、私はアンナに声をかけてみた。
「アンナも【フクロウ】のメンバーだったのね」
「お嬢様! 私の正体に気付いてくださったんですね……! 愛を感じました!」
声をかけてみると、間違いなくアンナ本人だった。
気付いてほしかったんだ……?
前から思ってたけど、アンナってちょっと掴みどころがなくて変なメイドだよね。
家に戻った私は、アンナやキルケ様から自分が寝ている間に起きた出来事を聞いた。
「驚いたことに、パーニス殿下は建国の英雄王アークライト様の生まれ変わりなのだとか」
「ええっ?」
――初耳の情報にびっくりしつつ、日常が戻ってくる。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
六果の六枝……6月6日。
「魔王討伐を祝って乾杯! 皆で守護大樹アルワースに感謝しよう。そして、二人の王子の生誕の日も祝おう……」
千の勇者がアルワースから賜った枝を燃やし、空に煙がたなびいた。
魔女家と賢者家の魔法使いたちが守護大樹を解体していく。
根は錬金術で自然の土に変え、地上に出ている樹木の部位は建築材や畑の肥やしに。
守護大樹アルワース直々に「こうしてほしい」と願ったので、どこからも文句は出なかった。
魔王討伐祝いと二人の王子の誕生日祝いという二大慶事のおかげで、「守護大樹様が失われて悲しい」というムードよりも「守護大樹様はいなくなるが、めでたい」というムードが強い。
黒薔薇邸ががれきの山と化した外務大臣ヴァラン伯爵は、外交大使として隣国に令息と一緒に向かう意向を表明した。
大使は他国への外交使節団の中では最高位だが、大臣より下なのは明らかだ。彼は降格するのである。
「屋敷も破壊され、踏んだり蹴ったりではないか」という視線にさらされながらも、ヴァラン伯爵は朗々と唱えた。
「これを機に息子と過ごす時間を増やし、自分自身も人間として成長できればと考えております」
彼の息子は、魔王を匿ったという噂がある。
さらに言うなら、英雄王子の称号を手に入れた第二王子パーニスの婚約者に堂々とアプローチして、街中でデートまでしたのだ。父であるヴァラン伯爵は令息を止めるどころか、その罪をもみ消してやると言った。
デートの様子や親バカ発言の数々については、証言がたくさん寄せられている……。
「我が家が更地になるくらい、本望でございます。人命に被害が及ばなかったのが喜ばしい。魔王による国土破壊や、それ以前からの災害で困窮している難民もいますしね。貴族とは国家のため、民のために我が身を犠牲にすることを厭わないからこそ、『貴い者、敬われる者』と呼ばれるのです」
ヴァラン伯爵は立派なことを言い、頭を下げた。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
「ということがあって、僕はしばらく隣国のアクア・セレスティアに行くんだ。我が家が新しく建て直し完了となるころには、帰国できるんじゃないかと思うんだけど」
――翌日の夜。
魔法学校の『ランチ会』メンバーで貸し切りにしたカフェ・コンチェルトで、イアンディールは隣国への留学の予定を告げた。
以前、約束した誕生日会だ。
店員が誕生日を祝う合唱を披露してくれるので、皆も歌声をあわせてお祝いをした。
「ハッピーバースデー!」
公式のパーティと違い、身内な雰囲気だ。みんながプレゼントを渡していく。 私は兄弟お揃いのカフスを贈り、喜んでもらった。
「我が家の新商品ですの!」
アルティナが実家の商品であるクラッカーを鳴らし、エリナはカフェ・コンチェルトのご馳走に負けじと全員の好物のパンをテーブルに並べる。
どちらも商魂たくましいが、カフェ・コンチェルト側も「2人の王子殿下の誕生日祝いをした店」として店を宣伝する気満々だ。
カフェ・コンチェルトの名物バースデーケーキは、魔法のクリームで彩られたペタルケーキ。見た目がお花みたいで、可愛い。
クッキーサンドはキャラメルクリームが甘々。
白い貝と赤いトマトを緑葉野菜と一緒にリース形に飾ったおしゃれなサラダも、美味しい!
黒狼姿のセバスチャンと、セバスチャンの尻尾にくるまって丸くなっている耳長猫のルビィもご馳走をお皿に分けてもらった。
「わん、わんっ」
「きゅう~♪」
はちきれそうなほど全力で尻尾を振って喜んでいる姿に、店員さんが「可愛い」とニコニコしている。
クロヴィスは目隠しを外してちょっとしんみりした顔付きになっている。
口にはしないけど、親しかったイアンディールがいなくなるので寂しいのだろう。
「兄上、最近の俺のお気に入りを教えましょう」
「ほう?」
「手をこうやって……」
イージス殿下とパーニス殿下がハイタッチを交わしている。
仲の良い兄弟って感じだ。
私たちが和やかに過ごしていると、店員が声をかけてきた。
「夜空に流星群が見られるようです」
珍しい。揃って外に出ると、夜空にいくつもの流れ星が綺麗な光の筋を描いていた。
「わあ~~っ、綺麗……! あっ、お願い事をしたら叶うかな? 来年もみんなでこんな感じで集まれますように、とか……」
私がいそいそとお願いごとをすると、他の皆もそれぞれ何かを祈り出した。
「そのお願い、とてもいいね。同じことを願うよ」
と、イアンディールが。
「では、私も」
と、クロヴィスが。
「お金お金。とにかくお金がほしいですわ~!」
と、アルティナが。
「パン屋が潰れませんように」
トブレット・ベーカリーの経営が心配になることを、エリナが。
「わふ、わふ」
「きゅいっ」
セバスチャンとルビィも仲良く夜空を見上げて、祈っている様子。
「あれ?」
そんな中、イージス殿下が不思議そうに呟くのが聞こえた。
「私が、アーク……? ん? でも、パーニスが自分で言って……?」
イアンディールが「いかがなさいましたか」と問いかけると、イージス殿下は「なんでもありません」と首を横に振った。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
星が流れていくのを見ているうちに、パーニスは過去の記憶を思い出した。
「食べ物や服を支援してあげようとは、さすが王族はお優しいよな。だが、忠告してやるぜ。『てめえらで仲良く分け合え』と言って支援しても、もらった奴らは自分が利益を独占しようと争い始める。他人と分け合うより他人の持ってるのを奪おうとする。絶対だ」
星が流れる。
過去、友人と一緒にこんな夜空を見たことがあった。
マギライトはその生い立ちゆえに「王侯貴族の施しに虫唾が走る」と感じる感性の持ち主で、才能があり、かつ「お優しい」友人アークライトに、よくムカムカしていたのだった。
「余裕がなく、奪われ続け、困窮した人々。彼らは、奪うことに抵抗がない。助けてくれた相手に恩を感じない。下手をすると『憐れまれた』と腹を立てたり、『愚かなカモだ』と全てを奪おうとしたり、贅沢になっていって『不満だ、物足りない』と攻撃してくるぞ」
友人は、優しい綺麗ごとを言うのだと思った。可哀想とか。貴族の義務とか――あのヴァラン伯爵のように。
だが。
「限度を超えた惨めさは犯罪を誘発し、社会全体を不安定にする。だからこそ、社会を構成する個人の抱える惨めさが一定値を超えないようにコントロールする。それが福祉という考え方です。それは、かわいそうな人を救ってあげるためのお情けではありません。社会を不安定にする要因を取り除くために、最低限の安定した環境を整備する……そんな安全策なのです」
アークライトは星を背負うようにしてそんなことを言ったので、マギライトは彼ともっと話してみたくなったのだった。
世界を飲みこむ海水は、最初は自然現象としてゆっくり増加していた。
途中から急速に増えたのは、人間の魔法使いのせいだ。
「緊急事態だから、瀬戸際だから。そんな理由でアルワースを許すと、あいつはどこまでもやべえことをするぞ。強化劇薬だってあいつが作ったんだ。人間を人間と呼べなくなる生き物にする実験もしてる。人間を使って実験してる。俺たちは本当に、生存するためなら何をやってもいいのか?」
答えの出ない問題があった。
繊細で、正解が誰にも言えないような、種族の生存と倫理観を天秤にかけた問いだった。
「母親が死にかけている子がいるとして、アルワースは母子を助ける。母子から見ると、彼は善人だ。でも、アルワースは母子を助けるために誰かの息子を殺す。彼の親から見ると、アルワースは悪人だ。さらに、私が死にかけた時、必要であればアルワースは自身が助けた母子も殺すだろう……」
ところで俺のドリンクグラスにアルティナが媚薬を盛っているのだが、何を考えているのだろう……。帰りの馬車で送り狼になれとでも言うのだろうか?
寝台から起き上がって歩こうとすると、くたりと膝が崩れそうになった。
「危なっかしくて目が離せないな」
パーニス殿下は倒れかけた私を支えて座らせてくれた。
そして、私の頭に手を添えて反対側のこめかみにキスをした。
その瞬間に、なんとなく魂にキスをしていたマギライトお兄様が思い出される。
懐かしいような切ないような気分だ。
「食事の後で家まで送ろう。魔女家当主のキルケも心配しているし……ずっと2人でいると俺がお前を襲ってしまいそうだからな」
「襲っ……」
タイミング悪くドアを開けて食事を運んできた仮面の女騎士が「きゃー! お邪魔しちゃいましたねー!」と興奮している。赤い髪の女騎士……どう見てもアンナだ……。
私の脳内に一瞬だけ迷いが生まれる。
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少し迷ってから、私はアンナに声をかけてみた。
「アンナも【フクロウ】のメンバーだったのね」
「お嬢様! 私の正体に気付いてくださったんですね……! 愛を感じました!」
声をかけてみると、間違いなくアンナ本人だった。
気付いてほしかったんだ……?
前から思ってたけど、アンナってちょっと掴みどころがなくて変なメイドだよね。
家に戻った私は、アンナやキルケ様から自分が寝ている間に起きた出来事を聞いた。
「驚いたことに、パーニス殿下は建国の英雄王アークライト様の生まれ変わりなのだとか」
「ええっ?」
――初耳の情報にびっくりしつつ、日常が戻ってくる。
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「魔王討伐を祝って乾杯! 皆で守護大樹アルワースに感謝しよう。そして、二人の王子の生誕の日も祝おう……」
千の勇者がアルワースから賜った枝を燃やし、空に煙がたなびいた。
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根は錬金術で自然の土に変え、地上に出ている樹木の部位は建築材や畑の肥やしに。
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大使は他国への外交使節団の中では最高位だが、大臣より下なのは明らかだ。彼は降格するのである。
「屋敷も破壊され、踏んだり蹴ったりではないか」という視線にさらされながらも、ヴァラン伯爵は朗々と唱えた。
「これを機に息子と過ごす時間を増やし、自分自身も人間として成長できればと考えております」
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さらに言うなら、英雄王子の称号を手に入れた第二王子パーニスの婚約者に堂々とアプローチして、街中でデートまでしたのだ。父であるヴァラン伯爵は令息を止めるどころか、その罪をもみ消してやると言った。
デートの様子や親バカ発言の数々については、証言がたくさん寄せられている……。
「我が家が更地になるくらい、本望でございます。人命に被害が及ばなかったのが喜ばしい。魔王による国土破壊や、それ以前からの災害で困窮している難民もいますしね。貴族とは国家のため、民のために我が身を犠牲にすることを厭わないからこそ、『貴い者、敬われる者』と呼ばれるのです」
ヴァラン伯爵は立派なことを言い、頭を下げた。
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――翌日の夜。
魔法学校の『ランチ会』メンバーで貸し切りにしたカフェ・コンチェルトで、イアンディールは隣国への留学の予定を告げた。
以前、約束した誕生日会だ。
店員が誕生日を祝う合唱を披露してくれるので、皆も歌声をあわせてお祝いをした。
「ハッピーバースデー!」
公式のパーティと違い、身内な雰囲気だ。みんながプレゼントを渡していく。 私は兄弟お揃いのカフスを贈り、喜んでもらった。
「我が家の新商品ですの!」
アルティナが実家の商品であるクラッカーを鳴らし、エリナはカフェ・コンチェルトのご馳走に負けじと全員の好物のパンをテーブルに並べる。
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カフェ・コンチェルトの名物バースデーケーキは、魔法のクリームで彩られたペタルケーキ。見た目がお花みたいで、可愛い。
クッキーサンドはキャラメルクリームが甘々。
白い貝と赤いトマトを緑葉野菜と一緒にリース形に飾ったおしゃれなサラダも、美味しい!
黒狼姿のセバスチャンと、セバスチャンの尻尾にくるまって丸くなっている耳長猫のルビィもご馳走をお皿に分けてもらった。
「わん、わんっ」
「きゅう~♪」
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クロヴィスは目隠しを外してちょっとしんみりした顔付きになっている。
口にはしないけど、親しかったイアンディールがいなくなるので寂しいのだろう。
「兄上、最近の俺のお気に入りを教えましょう」
「ほう?」
「手をこうやって……」
イージス殿下とパーニス殿下がハイタッチを交わしている。
仲の良い兄弟って感じだ。
私たちが和やかに過ごしていると、店員が声をかけてきた。
「夜空に流星群が見られるようです」
珍しい。揃って外に出ると、夜空にいくつもの流れ星が綺麗な光の筋を描いていた。
「わあ~~っ、綺麗……! あっ、お願い事をしたら叶うかな? 来年もみんなでこんな感じで集まれますように、とか……」
私がいそいそとお願いごとをすると、他の皆もそれぞれ何かを祈り出した。
「そのお願い、とてもいいね。同じことを願うよ」
と、イアンディールが。
「では、私も」
と、クロヴィスが。
「お金お金。とにかくお金がほしいですわ~!」
と、アルティナが。
「パン屋が潰れませんように」
トブレット・ベーカリーの経営が心配になることを、エリナが。
「わふ、わふ」
「きゅいっ」
セバスチャンとルビィも仲良く夜空を見上げて、祈っている様子。
「あれ?」
そんな中、イージス殿下が不思議そうに呟くのが聞こえた。
「私が、アーク……? ん? でも、パーニスが自分で言って……?」
イアンディールが「いかがなさいましたか」と問いかけると、イージス殿下は「なんでもありません」と首を横に振った。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
星が流れていくのを見ているうちに、パーニスは過去の記憶を思い出した。
「食べ物や服を支援してあげようとは、さすが王族はお優しいよな。だが、忠告してやるぜ。『てめえらで仲良く分け合え』と言って支援しても、もらった奴らは自分が利益を独占しようと争い始める。他人と分け合うより他人の持ってるのを奪おうとする。絶対だ」
星が流れる。
過去、友人と一緒にこんな夜空を見たことがあった。
マギライトはその生い立ちゆえに「王侯貴族の施しに虫唾が走る」と感じる感性の持ち主で、才能があり、かつ「お優しい」友人アークライトに、よくムカムカしていたのだった。
「余裕がなく、奪われ続け、困窮した人々。彼らは、奪うことに抵抗がない。助けてくれた相手に恩を感じない。下手をすると『憐れまれた』と腹を立てたり、『愚かなカモだ』と全てを奪おうとしたり、贅沢になっていって『不満だ、物足りない』と攻撃してくるぞ」
友人は、優しい綺麗ごとを言うのだと思った。可哀想とか。貴族の義務とか――あのヴァラン伯爵のように。
だが。
「限度を超えた惨めさは犯罪を誘発し、社会全体を不安定にする。だからこそ、社会を構成する個人の抱える惨めさが一定値を超えないようにコントロールする。それが福祉という考え方です。それは、かわいそうな人を救ってあげるためのお情けではありません。社会を不安定にする要因を取り除くために、最低限の安定した環境を整備する……そんな安全策なのです」
アークライトは星を背負うようにしてそんなことを言ったので、マギライトは彼ともっと話してみたくなったのだった。
世界を飲みこむ海水は、最初は自然現象としてゆっくり増加していた。
途中から急速に増えたのは、人間の魔法使いのせいだ。
「緊急事態だから、瀬戸際だから。そんな理由でアルワースを許すと、あいつはどこまでもやべえことをするぞ。強化劇薬だってあいつが作ったんだ。人間を人間と呼べなくなる生き物にする実験もしてる。人間を使って実験してる。俺たちは本当に、生存するためなら何をやってもいいのか?」
答えの出ない問題があった。
繊細で、正解が誰にも言えないような、種族の生存と倫理観を天秤にかけた問いだった。
「母親が死にかけている子がいるとして、アルワースは母子を助ける。母子から見ると、彼は善人だ。でも、アルワースは母子を助けるために誰かの息子を殺す。彼の親から見ると、アルワースは悪人だ。さらに、私が死にかけた時、必要であればアルワースは自身が助けた母子も殺すだろう……」
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