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2章、第二王子は魔王ではありません
49、『お兄様』の概念
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魔法使いマギライトは、奴隷の出自だ。
まだ世界に陸地があった頃、盗賊団で生まれた。
母親は攫われた奴隷で、盗賊団の団員複数がかりで強姦されて孕み、彼を産んで死んだ。
そのため、彼は生まれながらの奴隷であった。
大人たちは理不尽で、暴力をすぐに振るった。
俺が同じぐらい体がでかければ負けないのに。俺が飯をいっぱい食っていて力があれば、やり返してやるのに。
使い走り、雑用で人里に行けば、汚さや貧相な見た目を蔑まれた。
同じ年ごろの子どもたちは友達と群れていて、親に保護されている存在だと知った。
世の中は生まれた環境によって生活待遇や将来の身分がほぼ決まっていて、自分は間違いなく不遇な生まれだと知った。
生まれは選べない。
生まれてしまったからには、諦めるしかない。
ひっくり返してやりたいのに、できない無力さ、理不尽さ、屈辱。
そんな現実が、悔しいと思った。
――しかし。
「あなた、すごい魔法の才能があるのね」
「……は?」
ある時、盗賊団に攫われかけた貴族のお嬢様が母親の境遇とどうしようもなく重なって、マギライトは助けてしまった。
お嬢様に手を出そうとしていたのが前々からマギライトをこき使っていた男で、怪我をしていて勝てそうだったのも大きい。これまで積もりに積もった鬱憤が爆発し、復讐がてらお嬢様を助けたのだ。
すると、お嬢様は「マリン・ウィッチドール」と名乗り、彼に魔法の才能があると言った。
そして、「うちに来ない?」と誘いかけてきたのだった。
半信半疑でお嬢様を貴族の屋敷まで送ってみれば、お嬢様は父親や母親に大袈裟なほどマギライトの才能を褒めちぎった。
「魔法を試しに使って見ろ」と言われて使ってみせた結果、彼は養子になった。
――夢のような話だ。
ウィッチドール家に引き取られた時、マギライトは「見返してやろう」と思ったものだ。
血統がよく、恵まれた環境で育った貴族たちを。
「生まれが全てだ。運が悪く生まれついたからには、人生に希望なんてない」と彼に絶望させた世界を。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
「マギライトお兄様の髪は綺麗な色をしていますよね」
マリン・ウィッチドールは、綺麗な令嬢だ。
何にも染まらないというような純白の髪に、ミルクのような白い肌。
瞳は淡い紫色。血統も由緒正しく、マギライトとは真逆。
生まれながらの貴き者。大切に育てられ、敬られる者だ。
もう一人の妹ウォテアはあまり寄ってこないが、マリンはよく寄ってくる。
「髪など、そちらの方がよほど綺麗だろうに」
容姿の美しさを褒められ慣れているだろうに、褒めてやると素直に嬉しそうな顔をする。純真だ。
魔法の腕を競ったときには悔しそうな顔をしてくれるのが、可愛い。
「我が家は後継ぎの男子がいなかったので、お兄様が来てくださって安心です。あと、個人的に『お兄様』に憧れていて……」
「それはどういう憧れなんだ?」
年齢差は2歳だ。
俺はどちらかと言えば異性として見ているが。
家族という感覚がよくわからんが。
そう首をかしげると、マリンは一生懸命に『お兄様』の概念を語った。
いわく。
お兄様は、格好良い。
絶対に味方だ。優しい。頼りになる。
年長者らしさがある。引っ張ってくれる。
何かを教えてくれたり、守ってくれたりする。
お友だちに羨ましがられたりする――お友だちに自慢できる。
「なんだそれは。恋人とは違うのか? 理想の恋人像みたいに聞こえるが」
「恋人とはちょっと違うんですよ」
「へえ」
よくわからん。
しかし、奴隷上がりの馬の骨を「自慢する」……?
俺はこの令嬢にとって自慢できる存在なのか?
「……悪い気はしない」
口元が緩みそうになって、顔を逸らした。
兄というのは、格好良くないといけないらしいから。
格好悪い顔は見せられねえだろ?
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
当代きっての天才といえば、天才剣士とか勇者とか呼ばれるアークライト王子とウィスダムツリー家の魔法使いアルワースだ。
そこに「並ぶかもしれない」と噂されるようになったのが、ウィッチドール家のマギライトである。
「はぁっ、…………はぁっ」
天才ぶりを見せると妹が「私のお兄様、格好良い!」と喜ぶ。
だから、マギライトは天才を演じた。
同年代に天才のお手本が2人もいる。
マギライトは嫉妬と対抗心の炎を心の奥に燃やしつつ、彼らの真似をした。
アークライトは身体能力がずば抜けていて、「お前本当に人間か?」と聞きたくなる男だ。
目がいい。豆粒ほどの大きさにしか見えない遠方の人が持っている紙の文字を読める。噂によるとその視力を活かして取り巻きに台本を用意させ、演説の際に読み上げているのだとか。
怪力。建物ほどの大きさがあるドラゴンの尾を素手でぷちっと千切る。30人乗った船を持ち上げて真上に投げ、危なげなくキャッチする。いろいろおかしい。
魔力量が多く、全属性を有している。
俊敏だ。まるで瞬間移動のように長距離をひゅんひゅんと高速移動する。
一方、アルワースは頭のネジが飛んでいた。
生命や世界の神秘を探求することを好み、罪人の人体を切り開いて中を観察したり、別々の動物を継ぎ接ぎしてキメラを作る。
富豪商人や貴族の家に使い魔を潜ませ、使い魔経由で知ったゴシップをネタに富豪をゆすって研究費用にあてる。
アークライトが寝ている間に無断で採取した精液を自分の精液と混ぜて錬金術で超人を作ろうとする。マギライトが「何やってんだ」とドン引きしていると「3人分混ぜて作ったらどんな子になるだろう、ちょっと精液採らせてくれない?」と迫ってきた。
「はっはっは、子が欲しいのですか? まず性転換してくるといいでしょうね。抱いてあげますよ。アルワース」
「性転換にも興味があるが、わしの技術力があれば精液だけでも成果物は造れると考えているのだ」
「はっはっは、よーし、研究所を燃やしましょう」
そんな2人とつるむのは骨が折れたが、特にアークライトの真似をするとマリンは「格好良い」と思うようだった。余裕があり、たくましく、強い。指導者然とした雰囲気か。
しかし、アークライトは爽やかで明るく、生まれながらの王族という陽のオーラがあり、ハッキリ言ってマギライトとは全然タイプが違う……まだアルワースの真似をする方が向いている気もするのだが。
「お兄様。剣の腕も優れておいでなのですね。先ほど5人を相手取って余裕で勝利なさっているのを見て、びっくりしました」
「……あれくらい、大したことはないさ。……はっはっは……」
無理して真似ているのがバレるとダサいので、必死だ。マリンよ、どうか俺がぎりぎりで勝利して今にも倒れそうな脚を気合でふんばっていることには気づかないでくれ。
アークライトはマントをゆったり、ばさりと捌くのだったな。優雅にやるんだ。
「では、失礼――――俺は忙しいので」
マントを翻すと、「はい!」と返事が聞こえる。どんな顔で俺を見ているのか気になって仕方ないが、我慢しよう。
アークライトは、こんなとき振り返らない。
あと、疲労が限界で、振り返ったら倒れてしまいそうだ……。
見えないところまで行って倒れよう。
…………ぱたり。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
そして、世界が水没した。
大小さまざまな国、自然の山や森、動植物、全てを海水が飲みこみ、大地はすべて海底と化した。
魔法使いの力は、人々の生存に大きな貢献をした。
「なんとか生き残ろう。知恵を寄せ合い、助け合おう」
船をつなげて生存戦略を練っている人々の輪の中で、アルワースが俺を呼び出した。
そして。
「アークライトが死んだ」
アルワースは、とんでもないことを告げたのだった。
まだ世界に陸地があった頃、盗賊団で生まれた。
母親は攫われた奴隷で、盗賊団の団員複数がかりで強姦されて孕み、彼を産んで死んだ。
そのため、彼は生まれながらの奴隷であった。
大人たちは理不尽で、暴力をすぐに振るった。
俺が同じぐらい体がでかければ負けないのに。俺が飯をいっぱい食っていて力があれば、やり返してやるのに。
使い走り、雑用で人里に行けば、汚さや貧相な見た目を蔑まれた。
同じ年ごろの子どもたちは友達と群れていて、親に保護されている存在だと知った。
世の中は生まれた環境によって生活待遇や将来の身分がほぼ決まっていて、自分は間違いなく不遇な生まれだと知った。
生まれは選べない。
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ひっくり返してやりたいのに、できない無力さ、理不尽さ、屈辱。
そんな現実が、悔しいと思った。
――しかし。
「あなた、すごい魔法の才能があるのね」
「……は?」
ある時、盗賊団に攫われかけた貴族のお嬢様が母親の境遇とどうしようもなく重なって、マギライトは助けてしまった。
お嬢様に手を出そうとしていたのが前々からマギライトをこき使っていた男で、怪我をしていて勝てそうだったのも大きい。これまで積もりに積もった鬱憤が爆発し、復讐がてらお嬢様を助けたのだ。
すると、お嬢様は「マリン・ウィッチドール」と名乗り、彼に魔法の才能があると言った。
そして、「うちに来ない?」と誘いかけてきたのだった。
半信半疑でお嬢様を貴族の屋敷まで送ってみれば、お嬢様は父親や母親に大袈裟なほどマギライトの才能を褒めちぎった。
「魔法を試しに使って見ろ」と言われて使ってみせた結果、彼は養子になった。
――夢のような話だ。
ウィッチドール家に引き取られた時、マギライトは「見返してやろう」と思ったものだ。
血統がよく、恵まれた環境で育った貴族たちを。
「生まれが全てだ。運が悪く生まれついたからには、人生に希望なんてない」と彼に絶望させた世界を。
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「マギライトお兄様の髪は綺麗な色をしていますよね」
マリン・ウィッチドールは、綺麗な令嬢だ。
何にも染まらないというような純白の髪に、ミルクのような白い肌。
瞳は淡い紫色。血統も由緒正しく、マギライトとは真逆。
生まれながらの貴き者。大切に育てられ、敬られる者だ。
もう一人の妹ウォテアはあまり寄ってこないが、マリンはよく寄ってくる。
「髪など、そちらの方がよほど綺麗だろうに」
容姿の美しさを褒められ慣れているだろうに、褒めてやると素直に嬉しそうな顔をする。純真だ。
魔法の腕を競ったときには悔しそうな顔をしてくれるのが、可愛い。
「我が家は後継ぎの男子がいなかったので、お兄様が来てくださって安心です。あと、個人的に『お兄様』に憧れていて……」
「それはどういう憧れなんだ?」
年齢差は2歳だ。
俺はどちらかと言えば異性として見ているが。
家族という感覚がよくわからんが。
そう首をかしげると、マリンは一生懸命に『お兄様』の概念を語った。
いわく。
お兄様は、格好良い。
絶対に味方だ。優しい。頼りになる。
年長者らしさがある。引っ張ってくれる。
何かを教えてくれたり、守ってくれたりする。
お友だちに羨ましがられたりする――お友だちに自慢できる。
「なんだそれは。恋人とは違うのか? 理想の恋人像みたいに聞こえるが」
「恋人とはちょっと違うんですよ」
「へえ」
よくわからん。
しかし、奴隷上がりの馬の骨を「自慢する」……?
俺はこの令嬢にとって自慢できる存在なのか?
「……悪い気はしない」
口元が緩みそうになって、顔を逸らした。
兄というのは、格好良くないといけないらしいから。
格好悪い顔は見せられねえだろ?
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
当代きっての天才といえば、天才剣士とか勇者とか呼ばれるアークライト王子とウィスダムツリー家の魔法使いアルワースだ。
そこに「並ぶかもしれない」と噂されるようになったのが、ウィッチドール家のマギライトである。
「はぁっ、…………はぁっ」
天才ぶりを見せると妹が「私のお兄様、格好良い!」と喜ぶ。
だから、マギライトは天才を演じた。
同年代に天才のお手本が2人もいる。
マギライトは嫉妬と対抗心の炎を心の奥に燃やしつつ、彼らの真似をした。
アークライトは身体能力がずば抜けていて、「お前本当に人間か?」と聞きたくなる男だ。
目がいい。豆粒ほどの大きさにしか見えない遠方の人が持っている紙の文字を読める。噂によるとその視力を活かして取り巻きに台本を用意させ、演説の際に読み上げているのだとか。
怪力。建物ほどの大きさがあるドラゴンの尾を素手でぷちっと千切る。30人乗った船を持ち上げて真上に投げ、危なげなくキャッチする。いろいろおかしい。
魔力量が多く、全属性を有している。
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一方、アルワースは頭のネジが飛んでいた。
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富豪商人や貴族の家に使い魔を潜ませ、使い魔経由で知ったゴシップをネタに富豪をゆすって研究費用にあてる。
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「はっはっは、子が欲しいのですか? まず性転換してくるといいでしょうね。抱いてあげますよ。アルワース」
「性転換にも興味があるが、わしの技術力があれば精液だけでも成果物は造れると考えているのだ」
「はっはっは、よーし、研究所を燃やしましょう」
そんな2人とつるむのは骨が折れたが、特にアークライトの真似をするとマリンは「格好良い」と思うようだった。余裕があり、たくましく、強い。指導者然とした雰囲気か。
しかし、アークライトは爽やかで明るく、生まれながらの王族という陽のオーラがあり、ハッキリ言ってマギライトとは全然タイプが違う……まだアルワースの真似をする方が向いている気もするのだが。
「お兄様。剣の腕も優れておいでなのですね。先ほど5人を相手取って余裕で勝利なさっているのを見て、びっくりしました」
「……あれくらい、大したことはないさ。……はっはっは……」
無理して真似ているのがバレるとダサいので、必死だ。マリンよ、どうか俺がぎりぎりで勝利して今にも倒れそうな脚を気合でふんばっていることには気づかないでくれ。
アークライトはマントをゆったり、ばさりと捌くのだったな。優雅にやるんだ。
「では、失礼――――俺は忙しいので」
マントを翻すと、「はい!」と返事が聞こえる。どんな顔で俺を見ているのか気になって仕方ないが、我慢しよう。
アークライトは、こんなとき振り返らない。
あと、疲労が限界で、振り返ったら倒れてしまいそうだ……。
見えないところまで行って倒れよう。
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大小さまざまな国、自然の山や森、動植物、全てを海水が飲みこみ、大地はすべて海底と化した。
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「なんとか生き残ろう。知恵を寄せ合い、助け合おう」
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