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1章、王太子は悪です
1、パン屋の娘が亡くなりました
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「パン屋の娘が亡くなった?」
雨が降りそそぐ、春の夕暮れ時の出来事である。
カラクリ魔法仕掛けの王国マギア・ウィンブルムの王都で、魔法学校の生徒を集めたパーティが開かれた。
魔法学校2年生、『魔女家』と呼ばれる伯爵家の令嬢マリンベリーは、第二王子パーニスからのメッセージカードを読んで、目を見開いた。彼はエスコートの約束をしてくれていたのだが。
『パン屋の娘が亡くなったので、パーティに行けなくなった』
と書いてあったのである。
そのメッセージを見た瞬間、頭に閃くものがあった――前世だ。
「えええぇぇ~~っ?」
「お嬢様!?」
マリンベリーは――いや、『私』は、稲妻に全身が打たれたように衝撃を受けて、仰向けに勢いよく倒れ込んだ。
あまりに勢いがよくて、支えようとしたメイドのアンナが一緒になって倒れ込むほどだった。
「いかがなさいましたか、お嬢様っ? きゃんっ、やだ、お嬢様の高貴なお体をメイドごときが抱きしめてしまって。申し訳ありませんお嬢様!」
「この世界、前世でプレイした乙女ゲームの世界だ……?」
「アンナは悪いメイドです。アンナは悪いメイドです! ハァハァ」
ゲームタイトルは『カラクリ大樹の追憶と闇王子』。
中世から近世の西洋をベースにした独特なファンタジー世界観で、オトメフレンズという有名メーカーの人気作品だ。
このメーカーの特徴は、3つ。
壮大なストーリー。意外と闇が深い。ちびキャラが可愛い。
好きなイラストレーターは夏花ウタ様だ。
アートブックも持ってた。見てるだけで「キュン! 可愛い!」ってなって、心が明るくなったり癒されたりするのパワーがすごいと思ってた。乙女ゲームはキュンの元だ。
「待って。今日が乙女ゲームのオープニングの日だけど、ヒロインちゃんが死んじゃったら、この後どうなるの?」
パン屋の娘って、乙女ゲームのヒロインちゃんだよ!
オープニングで聖女認定されるはずだったヒロインちゃんが不在だと、色々なキャラが不幸になった末に魔王に世界が滅ぼされちゃうバッドエンドになるのでは?
ちなみにマリンベリーは、ほとんどのルートで死ぬ。
例外は、悪役令嬢との友情が成立する【全員を幸せにする大団円ハーレムルート】だ。
「ヒロインちゃん! 死んでないでマリンベリーと友達になって!?」
「マリンベリーお嬢様!? 鼻血が出ていらっしゃいます!」
執事や護衛騎士が大慌てで駆け寄ってくる。メイドのアンナは、数人がかりで『私』から引っぺがされていた。
『私』はハッと現実に意識を戻し、ぴょこんと起き上がった。
ぽたぽたと鼻血が垂れてドレスが汚れている。もうパーティどころじゃない。
「ありがとう。今ちょっと現実と前世の区別がわからなくなってたけど、名前を呼んでもらったらマリンベリーは私、って思えたわ」
「だ、大丈夫ですか……」
「平気よ。倒れてなんかいられるもんですか」
『私』は鼻血をぐいっと拭き、「いつもごめんなさい。私、態度が悪かったわね」と謝った。
驚かせてしまってるけど、感謝と謝罪は思いついたタイミングで言っておかないと――突然死んじゃったら、言えないままになっちゃうもの。
第二王子パーニス殿下からのメッセージカードを見ながら、『私』は思考整理した。
「マリンベリーは聖女になる条件を満たしてないキャラだし……」
聖女の条件は「全属性の魔法を全て使えて『善良で国のことを想っている』と守護大樹に認められる」こと。
マリンベリーは火属性と風属性が使える魔女で、プライドが高くてワガママなお嬢様だった。
守護大樹というのは国を見守ってくれてる神秘的な大樹なんだけど、私のことを聖女とは認めてくれないだろう。
「あっ。パーニス殿下なら聖女になれるかも?」
パーニス殿下は「無能」とか「不誠実で怠惰なダメ王子」とか「兄王子に良いところを全部吸われて生まれてきた出涸らし」とか言われている残念な人だ。
しかし、実は全属性の魔法が使える天才で、善良な人物。
「闇魔法が使えるため魔王の生まれ変わりではないかと疑われていて、不遇」「無能なふりをしているだけで、実は有能。人知れず秘密組織を率いて魔物と戦っているせいで昼間に寝ていたり約束を破ったりして印象を悪くしている」「自分の評判が悪くても民が守れれば本望」という萌え&燃え設定の持ち主だ。
……自分と世界を救うための道筋が見えた。
「私、パーニス殿下に会いにいきます。聖女になって乙女ゲームを攻略してもらうために!」
鼻血を垂らしながら宣言すると、使用人たちは「お嬢様がおかしくなってしまわれた!」と大騒ぎして私を寝室に押し込んだ。
しかも、外側から魔法で扉を封印されて外出禁止にされちゃった。
家庭内軟禁だ。出してー。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
私には前世の日本人の記憶とマリンベリーの記憶が同居している。
「我ながら挙動不審すぎたかも。普段はもっと悪役令嬢っぽいキャラだもんね。使用人にあれもしてこれもしてってワガママ言ったり、高笑いしたり……うわぁ、私、嫌われまくってるよ絶対。養子なのに……」
ただいま、2人分の記憶と自我をひとつにする作業の真っ最中だ。
まず、現在の私、マリンベリー・ウォテア・ウィッチドールは、16歳の伯爵令嬢だ。
孤児だったが、魔法の才能を見出され、6歳の時にウィッチドール家に引き取られた。
ウィッチドール家は魔法の名門で、女性が権力を握る家。そのため、『魔女家』と呼ばれている。好きなお菓子はサワーグミ。
それに対して、前世の私は日本人、名前は利上 真凛。
乙女ゲーム歴や趣味をハッシュタグ「#乙女ゲーム自己紹介カード」に書いてSNSで趣味友と楽しんでた学生だ。お父さんがゲーム会社務めで、その影響でゲームが好きだった。
プチ炎上と学校でのいじめられ経験あり。恋愛経験は告白前に諦めた経験が2回、交際経験なし! 動物好き! 好きなお菓子はサワーグミ。
「両方が自分だと思える。お菓子の好みも同じだし、生まれ変わっても私は私ってことかな? いや、生まれ変わったのがゲームのキャラなんだよね。不思議」
鏡を見る自分は、ミントブルーの色をした長い髪とマジョリカ・オレンジの瞳のとんでもない美少女になっていた。
睫毛が長い。目鼻立ちが絶妙のバランスで、可愛い。化粧映えしそう。肌も綺麗。
「……さすが悪役令嬢、美形だなぁ。自分を美形って言うとナルシストみたいだけど……」
小説家になろうで流行していた異世界恋愛みたいだ。
私は小説家になろうを通学中によく読んでいた。
「電車通学つらい、もう降りたい」って時に、更新されていた長編小説が気を紛らわせてくれた。「明日はまた学校か、いやだな~」って夜に、「でも明日になったら続きが更新されるから楽しみだな」って楽しみな気持ちをもらっていた。
ありがとう、小説家になろう。おかげで私は現実と戦える。
「よーし、破滅回避! まず、パーニス殿下には聖女ヒロインになってもらいます」
ノートを広げて羽ペンで情報を整理し方針を書いていると、「俺がなんだって」と声がかけられる。
振り返ると、魔法で封じられていた扉が開いていて、パーニス殿下がいた。
後ろには、慌てまくっている使用人たちがいる。
「……パーニス殿下! そのお姿は?」
白銀の髪に山葡萄のような紫の瞳をしたパーニス殿下は、フルネームがパーニス・ウィンズ・アルワース殿下、18歳。
幼馴染であり、私と婚約の話も出ている美男子だ。
パーティのエスコートをドタキャンした男でもある。
ところで、殿下の外套に血痕としか思えない汚れがあるのだけど?
雨が降りそそぐ、春の夕暮れ時の出来事である。
カラクリ魔法仕掛けの王国マギア・ウィンブルムの王都で、魔法学校の生徒を集めたパーティが開かれた。
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「えええぇぇ~~っ?」
「お嬢様!?」
マリンベリーは――いや、『私』は、稲妻に全身が打たれたように衝撃を受けて、仰向けに勢いよく倒れ込んだ。
あまりに勢いがよくて、支えようとしたメイドのアンナが一緒になって倒れ込むほどだった。
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「この世界、前世でプレイした乙女ゲームの世界だ……?」
「アンナは悪いメイドです。アンナは悪いメイドです! ハァハァ」
ゲームタイトルは『カラクリ大樹の追憶と闇王子』。
中世から近世の西洋をベースにした独特なファンタジー世界観で、オトメフレンズという有名メーカーの人気作品だ。
このメーカーの特徴は、3つ。
壮大なストーリー。意外と闇が深い。ちびキャラが可愛い。
好きなイラストレーターは夏花ウタ様だ。
アートブックも持ってた。見てるだけで「キュン! 可愛い!」ってなって、心が明るくなったり癒されたりするのパワーがすごいと思ってた。乙女ゲームはキュンの元だ。
「待って。今日が乙女ゲームのオープニングの日だけど、ヒロインちゃんが死んじゃったら、この後どうなるの?」
パン屋の娘って、乙女ゲームのヒロインちゃんだよ!
オープニングで聖女認定されるはずだったヒロインちゃんが不在だと、色々なキャラが不幸になった末に魔王に世界が滅ぼされちゃうバッドエンドになるのでは?
ちなみにマリンベリーは、ほとんどのルートで死ぬ。
例外は、悪役令嬢との友情が成立する【全員を幸せにする大団円ハーレムルート】だ。
「ヒロインちゃん! 死んでないでマリンベリーと友達になって!?」
「マリンベリーお嬢様!? 鼻血が出ていらっしゃいます!」
執事や護衛騎士が大慌てで駆け寄ってくる。メイドのアンナは、数人がかりで『私』から引っぺがされていた。
『私』はハッと現実に意識を戻し、ぴょこんと起き上がった。
ぽたぽたと鼻血が垂れてドレスが汚れている。もうパーティどころじゃない。
「ありがとう。今ちょっと現実と前世の区別がわからなくなってたけど、名前を呼んでもらったらマリンベリーは私、って思えたわ」
「だ、大丈夫ですか……」
「平気よ。倒れてなんかいられるもんですか」
『私』は鼻血をぐいっと拭き、「いつもごめんなさい。私、態度が悪かったわね」と謝った。
驚かせてしまってるけど、感謝と謝罪は思いついたタイミングで言っておかないと――突然死んじゃったら、言えないままになっちゃうもの。
第二王子パーニス殿下からのメッセージカードを見ながら、『私』は思考整理した。
「マリンベリーは聖女になる条件を満たしてないキャラだし……」
聖女の条件は「全属性の魔法を全て使えて『善良で国のことを想っている』と守護大樹に認められる」こと。
マリンベリーは火属性と風属性が使える魔女で、プライドが高くてワガママなお嬢様だった。
守護大樹というのは国を見守ってくれてる神秘的な大樹なんだけど、私のことを聖女とは認めてくれないだろう。
「あっ。パーニス殿下なら聖女になれるかも?」
パーニス殿下は「無能」とか「不誠実で怠惰なダメ王子」とか「兄王子に良いところを全部吸われて生まれてきた出涸らし」とか言われている残念な人だ。
しかし、実は全属性の魔法が使える天才で、善良な人物。
「闇魔法が使えるため魔王の生まれ変わりではないかと疑われていて、不遇」「無能なふりをしているだけで、実は有能。人知れず秘密組織を率いて魔物と戦っているせいで昼間に寝ていたり約束を破ったりして印象を悪くしている」「自分の評判が悪くても民が守れれば本望」という萌え&燃え設定の持ち主だ。
……自分と世界を救うための道筋が見えた。
「私、パーニス殿下に会いにいきます。聖女になって乙女ゲームを攻略してもらうために!」
鼻血を垂らしながら宣言すると、使用人たちは「お嬢様がおかしくなってしまわれた!」と大騒ぎして私を寝室に押し込んだ。
しかも、外側から魔法で扉を封印されて外出禁止にされちゃった。
家庭内軟禁だ。出してー。
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私には前世の日本人の記憶とマリンベリーの記憶が同居している。
「我ながら挙動不審すぎたかも。普段はもっと悪役令嬢っぽいキャラだもんね。使用人にあれもしてこれもしてってワガママ言ったり、高笑いしたり……うわぁ、私、嫌われまくってるよ絶対。養子なのに……」
ただいま、2人分の記憶と自我をひとつにする作業の真っ最中だ。
まず、現在の私、マリンベリー・ウォテア・ウィッチドールは、16歳の伯爵令嬢だ。
孤児だったが、魔法の才能を見出され、6歳の時にウィッチドール家に引き取られた。
ウィッチドール家は魔法の名門で、女性が権力を握る家。そのため、『魔女家』と呼ばれている。好きなお菓子はサワーグミ。
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