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幕間のお話3
217、逃げた自然派と悩める正義派、エリュタニア様
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ベッドに寝転がったダイロスは、目を閉じて深呼吸をした。
正義派の船人たちが言うには、彼らが手に入れた石はこの魔力豊富な星から無尽蔵に魔力を吸い出すことができて、使いようによっては世界を造り替えるようなとんでもない芸当も成し遂げられてしまうのだという。
星の主のよう。神のよう。
神といえばオルーサだと思っていたものだが、オルーサよりも遥かにすごい――ダイロスはそう思った。
食堂で会った船人たちの表情や、声が思い出される。つい先ほどの出来事だ。それはもう、鮮明に思い出せる。
「我々はその石を獲得し、この世界の主となったのだ」
アエロカエルスは頭痛を堪えるような顔で言い、ソルスティスはきらきらとした笑顔で頷いた。
「そのとき、我々には九つの部族があって、九人の首魁がいた。九人は不老症となり、子孫たちが生きていけるようにと協力して世界を改造したり、見守ろうと決めた。また、子孫たちからは距離を取って生活することを定めて、星舟に居住場所を移した」
この船に移住したのは、ソルスティス、アエロカエルス、ヴィニュエス、ルエトリー、ルート、トール、ナチュラ、アム・ラァレ、コルテの九人――紅国の『多神教の神々』だ。
彼らは最初のうちはよくよく話し合い、慎重に石を使い、自分たち異星人の種をこの世界で存続させるため、世界に干渉していたらしい。
けれど――これはダイロスにも覚えがある感覚だが、不老症の『神々』の中に、心をすり減らして死を選ぶ者が出るようになったのだという。
ひとりが死ぬと、堰を切られたように命を終わらせる者が続いた。現在までに死を選んだ神は、アム・ラァレ、ヴィニュエス、コルテ。
地上でオルーサが浄化に努めていた時代、彼の国がまだひとつであった時代の出来事である。
残った六人のうち、トールとアエロカエルスが懸念を示した。
曰く――『我々は、このままではいけない』。
自分たちは、永遠の存在ではいられない。
今は死ぬつもりがない者も、そのうちいつか死を選ぶときが来るであろう。
人数は減っていき、最終的に全員が死ぬだろう。
これまで、船人は世界に干渉するかしないか、どのように干渉するかを全員で慎重に検討し、話し合い、責任を分かち合ってきた。
人数が減ると、よりひとりひとりの責任は重くなる。判断を誤るリスクも高くなるだろう。
彼らが思い出したのは、船人がこの世界に初めて降り立ったときにいた原住民だ。
異常なほど魔力の高い生き残りの不老症の原住民は、孤独の中で正気を失っていた。
もし、船人がそのような状態に陥ったら?
精神が不安定になり、判断力が衰えた者は、とんでもない暴君となり、世界を滅ぼしてしまう可能性もあるのでは?
『接するメンバーに変化がないのがいけないのではないかな? 地上と交流してみては?』
『地上から客を招いて、我々が減った分だけ補充するなどいかがかしらん』
『人柄や素質を見ながら教育をして、新参に後を継がせるというのもいいと思う』
そんな意見をもとに客人が船に来るようになったのだが、客人はみんな、元いた世界に戻りたがった。
永遠を望んだり、神の一員として世界を管理したいと思う気持ちは、なかなか湧かないようだった。
そんな中、船人は派閥争いを起こした。
『我々は、所詮は人間に過ぎないということだ。神になれないのだ。そんな我々には、この石は過ぎた力だ』
『石が残っていては、安心して死ぬこともできない。この石は世の中から消すべきでは?』
賛同する声が続き――しかし、反対する声も、あった。
『もしも自分たちが死んだあとに誰かが石を使い、世界が我らの望まぬ状態になったり滅びたとしても、それは自然なことであり、なるべくしてなった運命といえるのでは?』
これは、ナチュラが主張したらしい。すると、ルートが手をあげてナチュラに賛同した。
『この石のことを、星から人類への贈り物と解釈してはどう? あは、変な顔をしているね、みんな。考えてもごらん。人は生まれながらに公平ではない。しかし、どれほど恵まれない境遇で絶望している者でも、この石を拾ったものは起死回生の権利を得るのだ。世界を憎んでいたら、世界に復讐だってできるんだぜ。面白いではないか? これをなくしたら、まったく救いのないつまらな~い世界しか残らないよ、やだやだ』
二人は『自然派』を名乗り、石の破壊に反対し続けて――ついには、手に手を取り合って石を持って逃げてしまった。
残った船人たちは、『正義派』として「自然派、許せん」「どうしようか」と悩ましく話し合っているらしい。
(わしなどは百五十年で心が疲れて「他者がなにをどうしようが勝手にせい」とどうでもよくなってしもうたものじゃが、船人たちは元気なのじゃのう)
ルーツをたどれば、異なる星から来た人類なのだ。
そういう理由もあるのだろうか。自分とは、別種の生き物なのだろうか。
そんなことをぼんやりと考えながら、ダイロスは眠った。
そして、翌朝、まだ早い時間帯に部屋の扉がノックされて目が覚めた。
「はい」
ローブのフードで顔を隠して扉を開けると、部屋の外には客人の青年がいた。
白銀の髪に、色彩が複雑に変化する王族の瞳を持った、白皙の美青年だ。
「エリュタニア殿、じゃな」
「おはようございます。ダイロス殿。アリューシャ王の時代から来たというあなたに、お伺いしたいことと頼みたいことがあってお邪魔しました。知り合って早々の不躾な訪問を許していただきたいのですが」
美青年エリュタニアは、礼儀正しい。
失礼のないように、偉そうに思われないように、とダイロスに気を使っている気配を感じる。
しかし――ダイロスは、この青年は自分に敬われるべき立場なのだと思った。
匂い立つような、気品。
自分よりも身分が上、というのを肌で感じさせるような、高貴さ。
尊重し、丁寧に扱わないといけない、と思わせるような、オーラのようなものがあるのだ。
ああ、この青年は王族だ――ダイロスは、確信した。
ダイロスは、ずっと預言者として生きてきたのだ。
王族がどういう生き物なのかは、地上の誰より知っていると自負していた。
もといた世界では他者と比較されることがないほど圧倒的に身分が高く、誰に対しても立派な振る舞いをして、指導者として人気や忠誠心を集めるように教育されていたに違いない。
「エリュタニア様。あなた様のご訪問を歓迎いたしますぞ」
殿下か。あるいは陛下か。どちらか判断しかねるが、「様」という敬称をつけて敬語で接するべき相手なのだろう。
そう判断したダイロスが頭を下げると、エリュタニアはほっとしたようだった。
意外と、小心なのか。
ダイロスは青年の性質をその一瞬で鋭く読んだ。
王族とて、人間。ひとりひとり、性格というものがあるのだ。
正義派の船人たちが言うには、彼らが手に入れた石はこの魔力豊富な星から無尽蔵に魔力を吸い出すことができて、使いようによっては世界を造り替えるようなとんでもない芸当も成し遂げられてしまうのだという。
星の主のよう。神のよう。
神といえばオルーサだと思っていたものだが、オルーサよりも遥かにすごい――ダイロスはそう思った。
食堂で会った船人たちの表情や、声が思い出される。つい先ほどの出来事だ。それはもう、鮮明に思い出せる。
「我々はその石を獲得し、この世界の主となったのだ」
アエロカエルスは頭痛を堪えるような顔で言い、ソルスティスはきらきらとした笑顔で頷いた。
「そのとき、我々には九つの部族があって、九人の首魁がいた。九人は不老症となり、子孫たちが生きていけるようにと協力して世界を改造したり、見守ろうと決めた。また、子孫たちからは距離を取って生活することを定めて、星舟に居住場所を移した」
この船に移住したのは、ソルスティス、アエロカエルス、ヴィニュエス、ルエトリー、ルート、トール、ナチュラ、アム・ラァレ、コルテの九人――紅国の『多神教の神々』だ。
彼らは最初のうちはよくよく話し合い、慎重に石を使い、自分たち異星人の種をこの世界で存続させるため、世界に干渉していたらしい。
けれど――これはダイロスにも覚えがある感覚だが、不老症の『神々』の中に、心をすり減らして死を選ぶ者が出るようになったのだという。
ひとりが死ぬと、堰を切られたように命を終わらせる者が続いた。現在までに死を選んだ神は、アム・ラァレ、ヴィニュエス、コルテ。
地上でオルーサが浄化に努めていた時代、彼の国がまだひとつであった時代の出来事である。
残った六人のうち、トールとアエロカエルスが懸念を示した。
曰く――『我々は、このままではいけない』。
自分たちは、永遠の存在ではいられない。
今は死ぬつもりがない者も、そのうちいつか死を選ぶときが来るであろう。
人数は減っていき、最終的に全員が死ぬだろう。
これまで、船人は世界に干渉するかしないか、どのように干渉するかを全員で慎重に検討し、話し合い、責任を分かち合ってきた。
人数が減ると、よりひとりひとりの責任は重くなる。判断を誤るリスクも高くなるだろう。
彼らが思い出したのは、船人がこの世界に初めて降り立ったときにいた原住民だ。
異常なほど魔力の高い生き残りの不老症の原住民は、孤独の中で正気を失っていた。
もし、船人がそのような状態に陥ったら?
精神が不安定になり、判断力が衰えた者は、とんでもない暴君となり、世界を滅ぼしてしまう可能性もあるのでは?
『接するメンバーに変化がないのがいけないのではないかな? 地上と交流してみては?』
『地上から客を招いて、我々が減った分だけ補充するなどいかがかしらん』
『人柄や素質を見ながら教育をして、新参に後を継がせるというのもいいと思う』
そんな意見をもとに客人が船に来るようになったのだが、客人はみんな、元いた世界に戻りたがった。
永遠を望んだり、神の一員として世界を管理したいと思う気持ちは、なかなか湧かないようだった。
そんな中、船人は派閥争いを起こした。
『我々は、所詮は人間に過ぎないということだ。神になれないのだ。そんな我々には、この石は過ぎた力だ』
『石が残っていては、安心して死ぬこともできない。この石は世の中から消すべきでは?』
賛同する声が続き――しかし、反対する声も、あった。
『もしも自分たちが死んだあとに誰かが石を使い、世界が我らの望まぬ状態になったり滅びたとしても、それは自然なことであり、なるべくしてなった運命といえるのでは?』
これは、ナチュラが主張したらしい。すると、ルートが手をあげてナチュラに賛同した。
『この石のことを、星から人類への贈り物と解釈してはどう? あは、変な顔をしているね、みんな。考えてもごらん。人は生まれながらに公平ではない。しかし、どれほど恵まれない境遇で絶望している者でも、この石を拾ったものは起死回生の権利を得るのだ。世界を憎んでいたら、世界に復讐だってできるんだぜ。面白いではないか? これをなくしたら、まったく救いのないつまらな~い世界しか残らないよ、やだやだ』
二人は『自然派』を名乗り、石の破壊に反対し続けて――ついには、手に手を取り合って石を持って逃げてしまった。
残った船人たちは、『正義派』として「自然派、許せん」「どうしようか」と悩ましく話し合っているらしい。
(わしなどは百五十年で心が疲れて「他者がなにをどうしようが勝手にせい」とどうでもよくなってしもうたものじゃが、船人たちは元気なのじゃのう)
ルーツをたどれば、異なる星から来た人類なのだ。
そういう理由もあるのだろうか。自分とは、別種の生き物なのだろうか。
そんなことをぼんやりと考えながら、ダイロスは眠った。
そして、翌朝、まだ早い時間帯に部屋の扉がノックされて目が覚めた。
「はい」
ローブのフードで顔を隠して扉を開けると、部屋の外には客人の青年がいた。
白銀の髪に、色彩が複雑に変化する王族の瞳を持った、白皙の美青年だ。
「エリュタニア殿、じゃな」
「おはようございます。ダイロス殿。アリューシャ王の時代から来たというあなたに、お伺いしたいことと頼みたいことがあってお邪魔しました。知り合って早々の不躾な訪問を許していただきたいのですが」
美青年エリュタニアは、礼儀正しい。
失礼のないように、偉そうに思われないように、とダイロスに気を使っている気配を感じる。
しかし――ダイロスは、この青年は自分に敬われるべき立場なのだと思った。
匂い立つような、気品。
自分よりも身分が上、というのを肌で感じさせるような、高貴さ。
尊重し、丁寧に扱わないといけない、と思わせるような、オーラのようなものがあるのだ。
ああ、この青年は王族だ――ダイロスは、確信した。
ダイロスは、ずっと預言者として生きてきたのだ。
王族がどういう生き物なのかは、地上の誰より知っていると自負していた。
もといた世界では他者と比較されることがないほど圧倒的に身分が高く、誰に対しても立派な振る舞いをして、指導者として人気や忠誠心を集めるように教育されていたに違いない。
「エリュタニア様。あなた様のご訪問を歓迎いたしますぞ」
殿下か。あるいは陛下か。どちらか判断しかねるが、「様」という敬称をつけて敬語で接するべき相手なのだろう。
そう判断したダイロスが頭を下げると、エリュタニアはほっとしたようだった。
意外と、小心なのか。
ダイロスは青年の性質をその一瞬で鋭く読んだ。
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