120 / 384
2、協奏のキャストライト
117、あにまるネクロシスと、妻に遊ばれて可哀想な侯爵さん
しおりを挟む
霧の薄い朝。
紅都は噂で持ちきりだった。
「青国の騎士団がエルフの奴隷を助けたんだって」
「俺は紅国の騎士団が青国の令嬢を救い出したと聞いたぞ」
「追放された元伯爵公子が……」
事件に巻き込まれた青国の令嬢と王妹は、救出されて無事に過ごしているらしい。
それはよかった……と、噂を語る紅国の民は締めくくる。
「退屈な明日に、愉しみを……」
ちゃぷり、と湯音する。
《輝きのネクロシス》の幹部亜人に呼ばれた狼獣人シェイドの耳が捉えるのは、仲間カサンドラとダーウッドの会話だった。
「年若い令嬢や姫君を心配する声が多いようですよ。いつのまにか紅都の民は青国贔屓になっているのですねぇ」
「それは、そうでしょう。姫殿下は魅力的な方ですからな」
アルメイダ侯爵邸の優美な庭園の奥、侯爵夫人の趣味で設けられた露天温泉の岩風呂――そこに、悪の一味と呼ぶには愛嬌のありすぎるメンバーが揃っている。
透明度の低い黒温泉のふちで毛づくろいするのは、純白の長い毛をした気位の高そうな猫。
……に変身したカサンドラ。
黒温泉に置き物のように静かに浸かっているのは、カピバラと呼ばれる動物。
……によく似た姿のフェリシエン。
フェリシエンの頭を足場にしているのが、青い小鳥姿のダーウッド……。
こいつらは無駄に移ろいの術を使って、マウントをとっているんだ。
術を使えないシェイドは、劣等感を刺激されながらカサンドラの隣に座って愚痴をこぼした。
「フェリシエンが邪魔をしたんだ」
言いつけてやる。
そんな幼稚とも言える感情がむき出しの声に、猫のカサンドラがヒゲを揺らした。
喉がごろごろ鳴っている。機嫌がいい。
「聞いてくださいな。夫の隠れた趣味を知ったの。彼ったらコソコソとディオラマを造って自己満足に浸っていますのよ」
「カサンドラ、今その話、関係なくない?」
「ディオラマというのは、模型のことですわよ。あの夫が背中を丸めて小さなサイズの自然や都市の模型を愛でている姿と言ったら! 可愛かったからネコパンチで模型をぐしゃぐしゃにしたら、怒って首根っこをつかまれてしまいました、くすくす」
会話のキャッチボールができてない。あと、侯爵かわいそう。
「頭がおかしい」
「それは、褒め言葉ですな」
ダーウッドが小鳥の頭をかしげている。
「夫婦仲がよろしいようでなにより。子供は作らないのですかな」
「夫は私を嫌っていますからねえ。でも、無理やり作って困らせるのも楽しそうですわね」
「隠し子騒動に発展させるのも一興ですぞ」
「楽しそうじゃない」
話がどんどん流されていく。あと、侯爵かわいそう。
思うに、幹部亜人たちは人間性が崩壊している。シェイドはため息をついて座る姿勢を変えた。足が痛い。死霊に絡まれた部分がジンジン、ズキズキするのだ。
風の吹く方向に白い湯けむりをふわふわ漂わせる湯面が太陽の光を反射し、まるで鏡のように輝いている。
それに負けないくらいキラキラとした猫の瞳は、とても楽しそうだった。
「でもね、シェイドの話も聞いていましてよ」
あ、聞いてたの? シェイドは尻尾を振った。
庭園の花びらが風に遊ばれて舞い踊り、湯舟に降りてぷかりと浮かぶ。
カサンドラは猫のしなやかな体で伸びをした。
「私の夫は紅国が女王の権力を削ぎたいらしいの。それに、青国や空国との友好政策にも反対しているのです……あなたたちは夫の邪魔をしましたわね」
険悪な声だ。夫の邪魔をしたから、という理由が実にシンプルでわかりやすい。
ぴりぴりした敵意を注がれたカピバラのフェリシエンは、の~んびりと口を開いた。脱力系の見た目に反して、発せられる声は陰鬱だ。聞いているだけでジメジメとした気分になる。
「カサンドラ、何が不満なのかね。吾輩は貴様の研究を手伝ったではないか」
フェリシエンは、カサンドラが打ち込んでいる研究のため、エルフの森からアルダーマールの種を盗んだのだ。
しかも「ドワーフに罪をなすりつけたら面白いのではないかね」と言ってドワーフの姿までして。
「それについては助かりましたわ。そのあとダーウッドが変なことをしていたけれど」
猫のカサンドラはそう言って、カピバラの頭の上へとピョコリと跳び乗った。
「生真面目なエルフや仕事熱心な女王の騎士を釣るのはなかなか楽しかったですな。カサンドラのご主人は彼がお嫌いでしょう? 私は彼を振り回してやったのです、ご主人の役に立ったではありませんか。褒めてくれてもいいのですぞ」
カピバラの頭の上で猫に詰め寄られながら、小鳥のダーウッドが翼を広げる。
「フェリシエンが石に変えたのはよしとして。ダーウッドがそれを解呪したのはなぜ……? 言い訳してごらんなさいな」
「は? そこにいるシェイドが吠えていたのでしょう、元に戻せと? フェリシエンが『吾輩は疲れているからお前がやっておけ』と言うから、代わりに戻して差し上げたのです。私は仲間思いでしょう?」
問われたダーウッドはバッサバッサと翼を荒ぶらせ、猫を足場から追い出そうとする。
「それを言い訳とはなんです、褒められるべき行為なのですが? 不快でございますな!」
怒っている。怒っている。
「ちょっと、押さないで」
「貴様ら、吾輩の頭の上で喧嘩するな」
足場になっているカピバラがモゾモゾと動く。頭の上の小鳥と猫がぐらぐら揺れる。
「フェリシエン! 動かないで……」
つるりと足を滑らせた猫は、バシャッと湯舟に落下した。
「にゃん!」
猫っぽい悲鳴だ。姿が変わると内面も引っ張られると聞くが、そのせいだろうか。
「おやおや猫さん。入浴マナーがなっていませんな!」
「ダーウッド!」
小鳥のダーウッドが意地悪に言うのをにらみつけて、猫のカサンドラは麗しき侯爵夫人へと姿を変えた。
「とにかく、青国の評判が良くなっては夫が困りますの。手っ取り早く評判を下げられるのだから、ダーウッドには協力していただきたいところね」
「おお、カサンドラ。私は誰より協力的ですから、安心して研究に励むとよろしいですぞ。がんばれ、がんばれ」
「研究はあなたも頑張ってほしいのよね」
「これ以上なく頑張っておりますが?」
結局、フェリシエンは許されたのか。
不満を抱くシェイドの視線を受けて、カピバラのフェリシエンはのっそのっそと温泉のはしっこに寄った。
「商会関連でのブラックタロン家の関与した痕跡は消せたし、吾輩は空国に帰る。当主の仕事もしなければならぬし、吾輩は暇ではないのだ。あとは暇人だけで遊べ」
そう言って温泉から上がるのかと思いきや、そのまま落ち着いている。
入浴文化のない空国育ちのフェリシエンは、意外と温泉が気に入ったらしい。
「私は夫と過ごす貴重な時間を減らして活動していますの。暇なわけではありません」
「私も別に暇人ではございませんぞ」
二人分の文句が飛ぶ中、ただの人間の気配が近づいてくるのでシェイドはサッと物陰に身を隠した。ダーウッドもパタパタと飛んでシェイドの尻尾の上に来て、もふんっと埋もれる。
これはいざという時、盾にされる――シェイドは察した。
残っているのはカピバラと、デイドレス姿で湯水をしたたらせるカサンドラ。
そんな奇妙な現場にやってきたのは、シモン・アルメイダ侯爵だった。
「旦那様! 旦那様、お待ちください。奥様はただいま……」
「男を引き込んでみだらな享楽に耽っているのだろう。フン、あの女狐の好みの男を見てやろうではないか――……、っ!?」
侯爵のアイスブルーの眼が現実を疑うように大きく見開かれる。
シェイドにはその驚愕する気持ちがとてもわかった。男を引き込んだと聞いてやってきてみたらカピバラと服を着たまま温泉で戯れてるのだ。
「あら、あ、な、た」
カサンドラが艶めかしく流し目を送っている。カピバラと一緒なので変な女にしか見えないが。
「私の客が気になったのですか。このカピバラ様はこう見えてなかなかのテクニシャンなのです。見物なさいますか、混ざりますか?」
「なっ……!? そ、そのようなケダモノと――」
「呪術の腕のお話ですわよ、なにを想像なさったのです? あ、な、た?」
くすくすと笑うカサンドラは楽しそうだった。
顔をそらし、怒りを噛み殺すようにして背を向けて去っていく侯爵を見て、やっぱりシェイドは思うのだった。
――侯爵、かわいそう。
……と。
紅都は噂で持ちきりだった。
「青国の騎士団がエルフの奴隷を助けたんだって」
「俺は紅国の騎士団が青国の令嬢を救い出したと聞いたぞ」
「追放された元伯爵公子が……」
事件に巻き込まれた青国の令嬢と王妹は、救出されて無事に過ごしているらしい。
それはよかった……と、噂を語る紅国の民は締めくくる。
「退屈な明日に、愉しみを……」
ちゃぷり、と湯音する。
《輝きのネクロシス》の幹部亜人に呼ばれた狼獣人シェイドの耳が捉えるのは、仲間カサンドラとダーウッドの会話だった。
「年若い令嬢や姫君を心配する声が多いようですよ。いつのまにか紅都の民は青国贔屓になっているのですねぇ」
「それは、そうでしょう。姫殿下は魅力的な方ですからな」
アルメイダ侯爵邸の優美な庭園の奥、侯爵夫人の趣味で設けられた露天温泉の岩風呂――そこに、悪の一味と呼ぶには愛嬌のありすぎるメンバーが揃っている。
透明度の低い黒温泉のふちで毛づくろいするのは、純白の長い毛をした気位の高そうな猫。
……に変身したカサンドラ。
黒温泉に置き物のように静かに浸かっているのは、カピバラと呼ばれる動物。
……によく似た姿のフェリシエン。
フェリシエンの頭を足場にしているのが、青い小鳥姿のダーウッド……。
こいつらは無駄に移ろいの術を使って、マウントをとっているんだ。
術を使えないシェイドは、劣等感を刺激されながらカサンドラの隣に座って愚痴をこぼした。
「フェリシエンが邪魔をしたんだ」
言いつけてやる。
そんな幼稚とも言える感情がむき出しの声に、猫のカサンドラがヒゲを揺らした。
喉がごろごろ鳴っている。機嫌がいい。
「聞いてくださいな。夫の隠れた趣味を知ったの。彼ったらコソコソとディオラマを造って自己満足に浸っていますのよ」
「カサンドラ、今その話、関係なくない?」
「ディオラマというのは、模型のことですわよ。あの夫が背中を丸めて小さなサイズの自然や都市の模型を愛でている姿と言ったら! 可愛かったからネコパンチで模型をぐしゃぐしゃにしたら、怒って首根っこをつかまれてしまいました、くすくす」
会話のキャッチボールができてない。あと、侯爵かわいそう。
「頭がおかしい」
「それは、褒め言葉ですな」
ダーウッドが小鳥の頭をかしげている。
「夫婦仲がよろしいようでなにより。子供は作らないのですかな」
「夫は私を嫌っていますからねえ。でも、無理やり作って困らせるのも楽しそうですわね」
「隠し子騒動に発展させるのも一興ですぞ」
「楽しそうじゃない」
話がどんどん流されていく。あと、侯爵かわいそう。
思うに、幹部亜人たちは人間性が崩壊している。シェイドはため息をついて座る姿勢を変えた。足が痛い。死霊に絡まれた部分がジンジン、ズキズキするのだ。
風の吹く方向に白い湯けむりをふわふわ漂わせる湯面が太陽の光を反射し、まるで鏡のように輝いている。
それに負けないくらいキラキラとした猫の瞳は、とても楽しそうだった。
「でもね、シェイドの話も聞いていましてよ」
あ、聞いてたの? シェイドは尻尾を振った。
庭園の花びらが風に遊ばれて舞い踊り、湯舟に降りてぷかりと浮かぶ。
カサンドラは猫のしなやかな体で伸びをした。
「私の夫は紅国が女王の権力を削ぎたいらしいの。それに、青国や空国との友好政策にも反対しているのです……あなたたちは夫の邪魔をしましたわね」
険悪な声だ。夫の邪魔をしたから、という理由が実にシンプルでわかりやすい。
ぴりぴりした敵意を注がれたカピバラのフェリシエンは、の~んびりと口を開いた。脱力系の見た目に反して、発せられる声は陰鬱だ。聞いているだけでジメジメとした気分になる。
「カサンドラ、何が不満なのかね。吾輩は貴様の研究を手伝ったではないか」
フェリシエンは、カサンドラが打ち込んでいる研究のため、エルフの森からアルダーマールの種を盗んだのだ。
しかも「ドワーフに罪をなすりつけたら面白いのではないかね」と言ってドワーフの姿までして。
「それについては助かりましたわ。そのあとダーウッドが変なことをしていたけれど」
猫のカサンドラはそう言って、カピバラの頭の上へとピョコリと跳び乗った。
「生真面目なエルフや仕事熱心な女王の騎士を釣るのはなかなか楽しかったですな。カサンドラのご主人は彼がお嫌いでしょう? 私は彼を振り回してやったのです、ご主人の役に立ったではありませんか。褒めてくれてもいいのですぞ」
カピバラの頭の上で猫に詰め寄られながら、小鳥のダーウッドが翼を広げる。
「フェリシエンが石に変えたのはよしとして。ダーウッドがそれを解呪したのはなぜ……? 言い訳してごらんなさいな」
「は? そこにいるシェイドが吠えていたのでしょう、元に戻せと? フェリシエンが『吾輩は疲れているからお前がやっておけ』と言うから、代わりに戻して差し上げたのです。私は仲間思いでしょう?」
問われたダーウッドはバッサバッサと翼を荒ぶらせ、猫を足場から追い出そうとする。
「それを言い訳とはなんです、褒められるべき行為なのですが? 不快でございますな!」
怒っている。怒っている。
「ちょっと、押さないで」
「貴様ら、吾輩の頭の上で喧嘩するな」
足場になっているカピバラがモゾモゾと動く。頭の上の小鳥と猫がぐらぐら揺れる。
「フェリシエン! 動かないで……」
つるりと足を滑らせた猫は、バシャッと湯舟に落下した。
「にゃん!」
猫っぽい悲鳴だ。姿が変わると内面も引っ張られると聞くが、そのせいだろうか。
「おやおや猫さん。入浴マナーがなっていませんな!」
「ダーウッド!」
小鳥のダーウッドが意地悪に言うのをにらみつけて、猫のカサンドラは麗しき侯爵夫人へと姿を変えた。
「とにかく、青国の評判が良くなっては夫が困りますの。手っ取り早く評判を下げられるのだから、ダーウッドには協力していただきたいところね」
「おお、カサンドラ。私は誰より協力的ですから、安心して研究に励むとよろしいですぞ。がんばれ、がんばれ」
「研究はあなたも頑張ってほしいのよね」
「これ以上なく頑張っておりますが?」
結局、フェリシエンは許されたのか。
不満を抱くシェイドの視線を受けて、カピバラのフェリシエンはのっそのっそと温泉のはしっこに寄った。
「商会関連でのブラックタロン家の関与した痕跡は消せたし、吾輩は空国に帰る。当主の仕事もしなければならぬし、吾輩は暇ではないのだ。あとは暇人だけで遊べ」
そう言って温泉から上がるのかと思いきや、そのまま落ち着いている。
入浴文化のない空国育ちのフェリシエンは、意外と温泉が気に入ったらしい。
「私は夫と過ごす貴重な時間を減らして活動していますの。暇なわけではありません」
「私も別に暇人ではございませんぞ」
二人分の文句が飛ぶ中、ただの人間の気配が近づいてくるのでシェイドはサッと物陰に身を隠した。ダーウッドもパタパタと飛んでシェイドの尻尾の上に来て、もふんっと埋もれる。
これはいざという時、盾にされる――シェイドは察した。
残っているのはカピバラと、デイドレス姿で湯水をしたたらせるカサンドラ。
そんな奇妙な現場にやってきたのは、シモン・アルメイダ侯爵だった。
「旦那様! 旦那様、お待ちください。奥様はただいま……」
「男を引き込んでみだらな享楽に耽っているのだろう。フン、あの女狐の好みの男を見てやろうではないか――……、っ!?」
侯爵のアイスブルーの眼が現実を疑うように大きく見開かれる。
シェイドにはその驚愕する気持ちがとてもわかった。男を引き込んだと聞いてやってきてみたらカピバラと服を着たまま温泉で戯れてるのだ。
「あら、あ、な、た」
カサンドラが艶めかしく流し目を送っている。カピバラと一緒なので変な女にしか見えないが。
「私の客が気になったのですか。このカピバラ様はこう見えてなかなかのテクニシャンなのです。見物なさいますか、混ざりますか?」
「なっ……!? そ、そのようなケダモノと――」
「呪術の腕のお話ですわよ、なにを想像なさったのです? あ、な、た?」
くすくすと笑うカサンドラは楽しそうだった。
顔をそらし、怒りを噛み殺すようにして背を向けて去っていく侯爵を見て、やっぱりシェイドは思うのだった。
――侯爵、かわいそう。
……と。
0
お気に入りに追加
280
あなたにおすすめの小説
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?
ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」
「はあ……なるほどね」
伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。
彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。
アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。
ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。
ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
【完結】薔薇の花をあなたに贈ります
彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。
目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。
ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。
たが、それに違和感を抱くようになる。
ロベルト殿下視点がおもになります。
前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!!
11話完結です。
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
七年間の婚約は今日で終わりを迎えます
hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる