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2、協奏のキャストライト
95、歓迎交流会2~黒のポーンはナイトに昇格なさい
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(シュネー、落ち着くのよ。これ、ぜったい落ち着いて進めたら勝てるわ……落ち着いて、慎重に……)
『なにをどうやっても負ける』という時よりも『頑張ったら勝てそう』という時の方がプレッシャーは大きい。
フィロシュネーはドキドキしながら黒のポーンを進めた。
「いい子ね、謙虚堅実をモットーに進んでね」
ポーンは、健気にちょこんとひとコマ進む。ポーンは、歩兵だ。駒としての価値が低くて、地味だ。フィロシュネーには、それがどうもサイラスに見えるのだった。
対戦する二人にドリンクが配られる。
メアリーのドリンクを見て、フィロシュネーは首をかしげた。
ダーウッドがティーカップにいれて飲んでいた魔力回復薬の色や匂いとよく似ていると思ったのだ。
(いちご味の……)
甘い飲み物だ。フィロシュネーは違和感を覚えた。
「進行係さぁん。わたくし、スーン嬢のドリンクについて質問したいの。このドリンクって、魔力回復薬じゃないかしら? どうしてチェスの対戦中に魔力回復薬が必要になるのかしら?」
「!! た、ただのジュースです……アッ」
急いで飲み干そうとしたメアリーは、進行係のカーリズおじさまにグラスを取り上げられて涙目になった。
「これは確かに魔力回復薬ですね。うーん、ドーピングとは言えませんが……飲む必要ないですよね。普通のドリンクと取り替えましょ」
ドリンクが普通のジュースに変えられる。運んでくるのがミランダなので、フィロシュネーは驚いた。
「商会長が見守っておられます。一緒に観戦なさっているのはアルメイダ侯爵夫妻です」
ミランダが視線で促すので見てみると、満面の笑みで「パパは見てますよ!」と手を振るハルシオンがいる。仮面を外して涙を拭っている。
「我が子の晴れ舞台っ……クッ……パパな気持ちが止まらない……はぁ、はぁ……」
「ミランダ。カントループはなぜアルメイダ侯爵夫妻といるのかしら。あの……なんか、泣いていらっしゃるわ」
「アルメイダ侯爵夫妻は当商会のお客様なのです」
いつの間にかカントループ商会がアルメイダ侯爵とコネクションを作っている――?
「商人さん、ハンカチをどうぞ」
「あー、すびまぜん、ずびっ」
「というかあなた、空国の王兄殿下では?」
――正体バレてるけど大丈夫?
(ま、まあ、カントループ商会はほっときましょう。今は目の前の勝負に集中しなきゃ)
フィロシュネーはチェスに頭を切り替えた。
「わたくしのルークは王を守るように。キャスリングを命じます」
必殺技みたいに移動命令を出すと、ルークとキングが入れ替わるように移動する。ルークがキングを守る城塞のようで、頼もしい。
メアリーの白い駒たちは攻撃的だ。どんどん斬り込んできて、数を減らしつつ「最後に勝てばいいんだ!」って雰囲気でいる。
(わたくしの黒の陣地に斬り込むことばかり考えているのね? よくってよ)
おかげでポーンが着実に進んでいるじゃない。
メアリーはどうも集中力がない。視野が狭くなっているのだ。フィロシュネーはポーンを敵陣の最奥に到達させた。
「プロモーション。わたくしの黒のポーンはナイトに昇格なさい」
地道に戦績を重ねた歴戦の歩兵は、成り上がって別の駒になれるのだ。クイーンになることが多いが、フィロシュネーはナイトを選択した。
(当然ね。だってこのポーンは、わたくしの黒の英雄だもの!)
本物の黒の英雄は、紅国の騎士になってしまったけれど。
「わたくしの黒のナイト、飛びなさい!」
地面を這っていた歩兵が騎士になり、翼を得て飛ぶ。にらむのは、敵のキングだ。
「――チェックですの」
(手を打たないと詰みますわよ)
フィロシュネーが宣言すると、観戦者が湧いた。
「おお……っ!」
一方、メアリーは。
「うっ……!」
もはや対戦どころではない、という顔色で、うめき声をあげている。
「スーン嬢? ご体調がすぐれないのですか?」
カーリズおじさまが見かねた様子で声をかける。
「ぜえ、ぜえ、……も、もう……」
「ふむ。もう呪術が解けてしまうんでしょうか? 呪術師さん?」
カーリズおじさまの問いかけにフィロシュネーは目を丸くした。
「く、クイーン、どれでもいい。取れる駒を取っ、て……魔力を……っ」
疲労困憊でチェスどころではない、といった蒼白い顔色になって、メアリーはふらふらっと体を傾けた。
「えっ」
「おや、スーン嬢」
カーリズおじさまが体を支えて、医師を呼ぶ。ついでみたいな顔で警備兵を呼んでいるのが物々しい。
「気絶しています」
白目をむいた顔は、ちょっと怖い。
「まあ。いったいどうしたの?」
(次、わたくしの手番で終わりですけれど……? あ、あらぁ?)
驚きつつ、フィロシュネーはチェス盤を見た。白のクイーンは仕事をしたけれど、黒の成り上がりナイトからキングを守ってはいない。詰みだ。フィロシュネーが勝てるのだ。
「せっかくですから、最後の一手、……よろしいかしら?」
だって、頑張ったのですもの。ラストまで決着したいじゃない?
カーリズおじさまを見ると「いいですよ!」と許可してくれた。
「……チェックメイトです!」
フィロシュネーが宣言すると、待ってましたとばかりに黒のナイトが飛翔する。白のキングが討ち取られると、拍手が湧いた。
(よくわからないけど、勝負はわたくしの勝ちね!)
フィロシュネーがにっこりしながら黒のナイトを撫で撫でしていると、メアリーに変化が起きた。
なんと、令嬢だった姿がゆらっと輪郭を揺らして、男性の外見に変わっていく!
「なっ!?」
「スーン嬢が男になったぞ!?」
会場中がざわっとして、目をこすったり隣にいる人と確認しあったりしている。
「あ~、これは私を石にした呪術師ではないですね。はずれ」
カーリズおじさまが残念そうに言うので、フィロシュネーはドキリとした。
「呪術師だ! こいつが呪術師だ、確保~~!!」
インロップ伯爵は張り切って指揮をとり、気絶して無抵抗のメアリーはすぐに捕縛された。
「俺は男にキスしてたのか!?」
メアリーの取り巻きだった男たちが大騒ぎしている。
「キスだって? お前、抜け駆けしてキスを……?」
(よくわからないけど、自滅よね? わたくし、ズルはしてませんっ。わたくしの大切なお友達を傷つけたクリストファー公子は、このあとしっかり正義を執行して差し上げますからね。セリーナとの婚約は、破棄ですっ!)
心に誓いながら進行役のカーリズおじさまを見ると、白い歯を見せてニカッと笑ってくれる。あなたは悪くありませんよ~って言ってくれているみたいな笑顔だ。
(さっきの様子だと、紅国側はきっとチェス盤に呪術師を引っかけるような仕掛けをしていたのだわ。ダーウッドに勝負させなくてよかった。危ない、危ない!)
「アクシンデントもありましたが、勝敗はつきました! フィロシュネー殿下の勝利であることを、この私カレル・ルシアン・カーリズ公爵が宣言いたします!」
カーリズおじさまの高貴な名乗りを聞き、フィロシュネーは全力で青国の格を上げにいった。
「みなさま、拍手とご声援をありがとうございます。青国では国民のたしなみとして知的な遊戯が好まれておりますの」
打ち合わせなしで意を汲んで左右を固める学友たちが「青国といえばチェスなのですわ!」「わが家でも朝食しながらチェスをするくらいチェスが愛されているのです」と嘘を述べている。
フィロシュネーは優雅に微笑んだ。
「うふふ、お兄様はもっとお強いの。わたくしなど、足元にもおよばないのですわ」
兄アーサーを自分より格上だと誉めて、フィロシュネーは「わたくし、よい妹ではなくて?」と気持ちよくなった。そして、大切なひとことを付け足すのも忘れない!
「ところでスーン嬢にはいったい何が起きたのかしら。心配です……」
……わたくしは何も知らないのです。嘘は言っていないもの!
『なにをどうやっても負ける』という時よりも『頑張ったら勝てそう』という時の方がプレッシャーは大きい。
フィロシュネーはドキドキしながら黒のポーンを進めた。
「いい子ね、謙虚堅実をモットーに進んでね」
ポーンは、健気にちょこんとひとコマ進む。ポーンは、歩兵だ。駒としての価値が低くて、地味だ。フィロシュネーには、それがどうもサイラスに見えるのだった。
対戦する二人にドリンクが配られる。
メアリーのドリンクを見て、フィロシュネーは首をかしげた。
ダーウッドがティーカップにいれて飲んでいた魔力回復薬の色や匂いとよく似ていると思ったのだ。
(いちご味の……)
甘い飲み物だ。フィロシュネーは違和感を覚えた。
「進行係さぁん。わたくし、スーン嬢のドリンクについて質問したいの。このドリンクって、魔力回復薬じゃないかしら? どうしてチェスの対戦中に魔力回復薬が必要になるのかしら?」
「!! た、ただのジュースです……アッ」
急いで飲み干そうとしたメアリーは、進行係のカーリズおじさまにグラスを取り上げられて涙目になった。
「これは確かに魔力回復薬ですね。うーん、ドーピングとは言えませんが……飲む必要ないですよね。普通のドリンクと取り替えましょ」
ドリンクが普通のジュースに変えられる。運んでくるのがミランダなので、フィロシュネーは驚いた。
「商会長が見守っておられます。一緒に観戦なさっているのはアルメイダ侯爵夫妻です」
ミランダが視線で促すので見てみると、満面の笑みで「パパは見てますよ!」と手を振るハルシオンがいる。仮面を外して涙を拭っている。
「我が子の晴れ舞台っ……クッ……パパな気持ちが止まらない……はぁ、はぁ……」
「ミランダ。カントループはなぜアルメイダ侯爵夫妻といるのかしら。あの……なんか、泣いていらっしゃるわ」
「アルメイダ侯爵夫妻は当商会のお客様なのです」
いつの間にかカントループ商会がアルメイダ侯爵とコネクションを作っている――?
「商人さん、ハンカチをどうぞ」
「あー、すびまぜん、ずびっ」
「というかあなた、空国の王兄殿下では?」
――正体バレてるけど大丈夫?
(ま、まあ、カントループ商会はほっときましょう。今は目の前の勝負に集中しなきゃ)
フィロシュネーはチェスに頭を切り替えた。
「わたくしのルークは王を守るように。キャスリングを命じます」
必殺技みたいに移動命令を出すと、ルークとキングが入れ替わるように移動する。ルークがキングを守る城塞のようで、頼もしい。
メアリーの白い駒たちは攻撃的だ。どんどん斬り込んできて、数を減らしつつ「最後に勝てばいいんだ!」って雰囲気でいる。
(わたくしの黒の陣地に斬り込むことばかり考えているのね? よくってよ)
おかげでポーンが着実に進んでいるじゃない。
メアリーはどうも集中力がない。視野が狭くなっているのだ。フィロシュネーはポーンを敵陣の最奥に到達させた。
「プロモーション。わたくしの黒のポーンはナイトに昇格なさい」
地道に戦績を重ねた歴戦の歩兵は、成り上がって別の駒になれるのだ。クイーンになることが多いが、フィロシュネーはナイトを選択した。
(当然ね。だってこのポーンは、わたくしの黒の英雄だもの!)
本物の黒の英雄は、紅国の騎士になってしまったけれど。
「わたくしの黒のナイト、飛びなさい!」
地面を這っていた歩兵が騎士になり、翼を得て飛ぶ。にらむのは、敵のキングだ。
「――チェックですの」
(手を打たないと詰みますわよ)
フィロシュネーが宣言すると、観戦者が湧いた。
「おお……っ!」
一方、メアリーは。
「うっ……!」
もはや対戦どころではない、という顔色で、うめき声をあげている。
「スーン嬢? ご体調がすぐれないのですか?」
カーリズおじさまが見かねた様子で声をかける。
「ぜえ、ぜえ、……も、もう……」
「ふむ。もう呪術が解けてしまうんでしょうか? 呪術師さん?」
カーリズおじさまの問いかけにフィロシュネーは目を丸くした。
「く、クイーン、どれでもいい。取れる駒を取っ、て……魔力を……っ」
疲労困憊でチェスどころではない、といった蒼白い顔色になって、メアリーはふらふらっと体を傾けた。
「えっ」
「おや、スーン嬢」
カーリズおじさまが体を支えて、医師を呼ぶ。ついでみたいな顔で警備兵を呼んでいるのが物々しい。
「気絶しています」
白目をむいた顔は、ちょっと怖い。
「まあ。いったいどうしたの?」
(次、わたくしの手番で終わりですけれど……? あ、あらぁ?)
驚きつつ、フィロシュネーはチェス盤を見た。白のクイーンは仕事をしたけれど、黒の成り上がりナイトからキングを守ってはいない。詰みだ。フィロシュネーが勝てるのだ。
「せっかくですから、最後の一手、……よろしいかしら?」
だって、頑張ったのですもの。ラストまで決着したいじゃない?
カーリズおじさまを見ると「いいですよ!」と許可してくれた。
「……チェックメイトです!」
フィロシュネーが宣言すると、待ってましたとばかりに黒のナイトが飛翔する。白のキングが討ち取られると、拍手が湧いた。
(よくわからないけど、勝負はわたくしの勝ちね!)
フィロシュネーがにっこりしながら黒のナイトを撫で撫でしていると、メアリーに変化が起きた。
なんと、令嬢だった姿がゆらっと輪郭を揺らして、男性の外見に変わっていく!
「なっ!?」
「スーン嬢が男になったぞ!?」
会場中がざわっとして、目をこすったり隣にいる人と確認しあったりしている。
「あ~、これは私を石にした呪術師ではないですね。はずれ」
カーリズおじさまが残念そうに言うので、フィロシュネーはドキリとした。
「呪術師だ! こいつが呪術師だ、確保~~!!」
インロップ伯爵は張り切って指揮をとり、気絶して無抵抗のメアリーはすぐに捕縛された。
「俺は男にキスしてたのか!?」
メアリーの取り巻きだった男たちが大騒ぎしている。
「キスだって? お前、抜け駆けしてキスを……?」
(よくわからないけど、自滅よね? わたくし、ズルはしてませんっ。わたくしの大切なお友達を傷つけたクリストファー公子は、このあとしっかり正義を執行して差し上げますからね。セリーナとの婚約は、破棄ですっ!)
心に誓いながら進行役のカーリズおじさまを見ると、白い歯を見せてニカッと笑ってくれる。あなたは悪くありませんよ~って言ってくれているみたいな笑顔だ。
(さっきの様子だと、紅国側はきっとチェス盤に呪術師を引っかけるような仕掛けをしていたのだわ。ダーウッドに勝負させなくてよかった。危ない、危ない!)
「アクシンデントもありましたが、勝敗はつきました! フィロシュネー殿下の勝利であることを、この私カレル・ルシアン・カーリズ公爵が宣言いたします!」
カーリズおじさまの高貴な名乗りを聞き、フィロシュネーは全力で青国の格を上げにいった。
「みなさま、拍手とご声援をありがとうございます。青国では国民のたしなみとして知的な遊戯が好まれておりますの」
打ち合わせなしで意を汲んで左右を固める学友たちが「青国といえばチェスなのですわ!」「わが家でも朝食しながらチェスをするくらいチェスが愛されているのです」と嘘を述べている。
フィロシュネーは優雅に微笑んだ。
「うふふ、お兄様はもっとお強いの。わたくしなど、足元にもおよばないのですわ」
兄アーサーを自分より格上だと誉めて、フィロシュネーは「わたくし、よい妹ではなくて?」と気持ちよくなった。そして、大切なひとことを付け足すのも忘れない!
「ところでスーン嬢にはいったい何が起きたのかしら。心配です……」
……わたくしは何も知らないのです。嘘は言っていないもの!
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