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2章
54、清明節、未の刻、暗殺命令
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未の刻(14時)。
咸白宮、延禧宮の侍女団と、上級妃二人による音楽と舞いの奉納の時間だ。
演舞台に楽器演奏隊が並び、紺紺は侍女として曲笛を構えた。
「あの侍女、先ほど主上の命令で芸を披露していたな」
「ああ、主上のお気に入りだ」
視線と囁きが集まっているが、演奏と演舞が始まると、観衆は侍女のことを忘れて演舞に夢中になった。
上級妃二人は、爛漫の花々の刺繍を凝らした襦裙と髪型がお揃いだ。
彰鈴妃は水晶の枝に大粒の碧玉のつぼみをつけた簪で髪を飾り、薄い青色の帔帛を腕に纏っている。
桃瑚妃の結い髪を飾るのは、水晶の枝に蛋白石の花が咲く花釵だ。雪色の帔帛をひらひらさせている。
場内を騒がせていた人の声が静まり、代わりに音の波が満ちていく。
――♪
雨だれのような琴の音。
ちいさな石が転がるような打音。
微風のような笛の音。
川の清流のような、なだらかな二胡の音。
リズムの滴が寄り添って、大河のような音楽に育っていく。
ぽろん、ぽろんと琴の弦が鳴り、頬を撫でて過ぎていく風のように笛が響く。
朗々と、切々と奏でるのは、愛国の情と郷愁を誘う伝統曲だ。
高音がのびのびと響いて、木漏れ日に照らされた葉が舞い落ちるように、きらきらと音階が降下する。
それを二胡が受け止め、葉が水面に流れていくように穏やかな長音に繋げていく。
自然。
天気の巡り。
人の関わりや一生の巡り。
月に、海に、大地に焦がれ、自然に囲まれ、生きてきた――そんな祖先の歴史が音の粒の集合体に表現されていく。
悠久の自然と、有限の人の時間の流れ。
そんな情緒を感じさせる演奏だ。
会場中の視線を集めながら踊るのは、名前も知られることなく後宮で旬の花の時期を生きる侍女たちと、この国で最も高貴な上級妃、二人。
屈託のない笑みを見せる桃瑚妃の黒瞳が、光を映して生き生きと煌めく。彼女の持ち合わせている華やかな空気は、舞台によく合っていた。
帔帛や袖をひらひらと靡かせて舞う彰鈴妃は、清純だ。
しなやかな柳のようで、美しくも哀しく、儚い女性の運命を思わせるかと思えば、弾むような力強い足運びと腕裁きで明るくしたたかな強さを見せたりもする。
さて、そんな舞台で紺紺は曲笛を吹いている。
そして、次の高音が外しやすい音で、かつ見せ場みたいに曲笛の旋律が目立つ部分だったりする。
練習の時は何度か音割れや音外しをしてしまっていたので、緊張する。紺紺は曲笛を構えて唇を舐めた。そこに、猫の声が聞こえる。
「にゃあ」
「……っ?」
足元を見ると、白猫がいた。
「……!」
先見の公子――霞幽だ。
白虎の珠がなくても、白猫に変身できるのか。
そういえば、一度目の人生の話をしてくれた時に言っていた気がする?
『仙人なら尊敬されるが、魔性の妖魔と言われれば最悪火刑に遭うかもしれない。
家宝の白虎の珠をうまく使い、いざとなった時に「これは家宝を使ったのです」と自己弁護できるようにしよう』……霞幽はそんな考えで嘘をついて生きてきた人なのだ。
それにしても、猫って不思議。
くりくりとした瞳で見上げられて「にゃあ」と鳴かれると、なんだかそれだけで緊張がほどけてしまったよう。
「……ふぅっ」
紺紺はすぅっと息を吸って、難しい音を思い切って奏でた。
――♪
音は、美しく鳴り響いた。
綺麗に高く澄んだ音が出せた瞬間は、心まで天に昇ってしまいそうなほど気持ちよかった。
ちなみに霞幽の琴は、妹から「絶対に演奏しないでください、お兄様!」と拒絶されたらしい。
彰鈴妃曰く、「お兄様の楽器は信じられないほど下手で、大舞台で披露なんてさせたら白家の先祖が泣いてしまう」のだとか……。
演奏と舞いが終わると、舞台に花吹雪が降ってくる。
演出用に手配された花吹雪は、華やかだった。
拍手の中でみんなで一緒に礼をする。
みんな「成功してよかった!」という笑顔だ。よかった。
華やかな二人の妃が目尻に紅を引いた艶やかなかんばせで満開の花のように微笑むと、諸侯百官がひときわ大きな拍手を送る。
素晴らしい舞台だった、我が国は立派である――そんな愛国心のようなものがみんなの目に溢れるのが見えた。
凛とした気高き二輪の花、二人の上級妃は、しっかりと式典の舞台を彩った。
紺紺はその舞台を引き立て、彩る一員となれた自分に誇りを感じた。
「お疲れ様! うまくいってよかったわ」
「成功してよかった……!」
舞台から降りて互いに互いを労う侍女団の輪の中で、紺紺は白猫を探したが、白猫はもう演舞台から去っていた。
* * *
演舞台の後。
「安心したら、疲労が出たみたいです。少しだけ休憩して参ります」
「見事な笛の音でしたわ。ゆっくり休んでね……わたくしを守ってくれて、ありがとう。せっかく作った陶器が壊れてしまって、残念だけど……」
彰鈴妃は優しかった。
物陰で侍女服の上に術師の大衣を羽織り、紺紺は狐のお面をかぶって指定された場所へと移動した。
呼び出された場所は、貴賓席の裏側に広がる庭園。
その中の、大きな人工池にかけられた赤い太鼓橋の上だ。
橋の向こう側に橙色の屋根の四阿があって、自然の緑と人工の赤や橙が華やかな空間をつくりだしている。
池はかなり深く造られている。数代前の皇帝が造ったのだが、「この池に朕を守ってくれる龍が眠っていることにしよう。龍は大きいので、池は深く大きく造らねばならない」といったらしい。
池のほとりには黄色や白の花が揺れていて、見ごたえのある空間だ。
そこに、水鏡老師と沐沐がいた。
「ちゃんとひとりで来て偉いのう、傾城」
水鏡老師は優しいおじいちゃんの顔で言って、要求した。
「三人の宮女を無事に返してほしければ、先見の公子を暗殺せよ」
咸白宮、延禧宮の侍女団と、上級妃二人による音楽と舞いの奉納の時間だ。
演舞台に楽器演奏隊が並び、紺紺は侍女として曲笛を構えた。
「あの侍女、先ほど主上の命令で芸を披露していたな」
「ああ、主上のお気に入りだ」
視線と囁きが集まっているが、演奏と演舞が始まると、観衆は侍女のことを忘れて演舞に夢中になった。
上級妃二人は、爛漫の花々の刺繍を凝らした襦裙と髪型がお揃いだ。
彰鈴妃は水晶の枝に大粒の碧玉のつぼみをつけた簪で髪を飾り、薄い青色の帔帛を腕に纏っている。
桃瑚妃の結い髪を飾るのは、水晶の枝に蛋白石の花が咲く花釵だ。雪色の帔帛をひらひらさせている。
場内を騒がせていた人の声が静まり、代わりに音の波が満ちていく。
――♪
雨だれのような琴の音。
ちいさな石が転がるような打音。
微風のような笛の音。
川の清流のような、なだらかな二胡の音。
リズムの滴が寄り添って、大河のような音楽に育っていく。
ぽろん、ぽろんと琴の弦が鳴り、頬を撫でて過ぎていく風のように笛が響く。
朗々と、切々と奏でるのは、愛国の情と郷愁を誘う伝統曲だ。
高音がのびのびと響いて、木漏れ日に照らされた葉が舞い落ちるように、きらきらと音階が降下する。
それを二胡が受け止め、葉が水面に流れていくように穏やかな長音に繋げていく。
自然。
天気の巡り。
人の関わりや一生の巡り。
月に、海に、大地に焦がれ、自然に囲まれ、生きてきた――そんな祖先の歴史が音の粒の集合体に表現されていく。
悠久の自然と、有限の人の時間の流れ。
そんな情緒を感じさせる演奏だ。
会場中の視線を集めながら踊るのは、名前も知られることなく後宮で旬の花の時期を生きる侍女たちと、この国で最も高貴な上級妃、二人。
屈託のない笑みを見せる桃瑚妃の黒瞳が、光を映して生き生きと煌めく。彼女の持ち合わせている華やかな空気は、舞台によく合っていた。
帔帛や袖をひらひらと靡かせて舞う彰鈴妃は、清純だ。
しなやかな柳のようで、美しくも哀しく、儚い女性の運命を思わせるかと思えば、弾むような力強い足運びと腕裁きで明るくしたたかな強さを見せたりもする。
さて、そんな舞台で紺紺は曲笛を吹いている。
そして、次の高音が外しやすい音で、かつ見せ場みたいに曲笛の旋律が目立つ部分だったりする。
練習の時は何度か音割れや音外しをしてしまっていたので、緊張する。紺紺は曲笛を構えて唇を舐めた。そこに、猫の声が聞こえる。
「にゃあ」
「……っ?」
足元を見ると、白猫がいた。
「……!」
先見の公子――霞幽だ。
白虎の珠がなくても、白猫に変身できるのか。
そういえば、一度目の人生の話をしてくれた時に言っていた気がする?
『仙人なら尊敬されるが、魔性の妖魔と言われれば最悪火刑に遭うかもしれない。
家宝の白虎の珠をうまく使い、いざとなった時に「これは家宝を使ったのです」と自己弁護できるようにしよう』……霞幽はそんな考えで嘘をついて生きてきた人なのだ。
それにしても、猫って不思議。
くりくりとした瞳で見上げられて「にゃあ」と鳴かれると、なんだかそれだけで緊張がほどけてしまったよう。
「……ふぅっ」
紺紺はすぅっと息を吸って、難しい音を思い切って奏でた。
――♪
音は、美しく鳴り響いた。
綺麗に高く澄んだ音が出せた瞬間は、心まで天に昇ってしまいそうなほど気持ちよかった。
ちなみに霞幽の琴は、妹から「絶対に演奏しないでください、お兄様!」と拒絶されたらしい。
彰鈴妃曰く、「お兄様の楽器は信じられないほど下手で、大舞台で披露なんてさせたら白家の先祖が泣いてしまう」のだとか……。
演奏と舞いが終わると、舞台に花吹雪が降ってくる。
演出用に手配された花吹雪は、華やかだった。
拍手の中でみんなで一緒に礼をする。
みんな「成功してよかった!」という笑顔だ。よかった。
華やかな二人の妃が目尻に紅を引いた艶やかなかんばせで満開の花のように微笑むと、諸侯百官がひときわ大きな拍手を送る。
素晴らしい舞台だった、我が国は立派である――そんな愛国心のようなものがみんなの目に溢れるのが見えた。
凛とした気高き二輪の花、二人の上級妃は、しっかりと式典の舞台を彩った。
紺紺はその舞台を引き立て、彩る一員となれた自分に誇りを感じた。
「お疲れ様! うまくいってよかったわ」
「成功してよかった……!」
舞台から降りて互いに互いを労う侍女団の輪の中で、紺紺は白猫を探したが、白猫はもう演舞台から去っていた。
* * *
演舞台の後。
「安心したら、疲労が出たみたいです。少しだけ休憩して参ります」
「見事な笛の音でしたわ。ゆっくり休んでね……わたくしを守ってくれて、ありがとう。せっかく作った陶器が壊れてしまって、残念だけど……」
彰鈴妃は優しかった。
物陰で侍女服の上に術師の大衣を羽織り、紺紺は狐のお面をかぶって指定された場所へと移動した。
呼び出された場所は、貴賓席の裏側に広がる庭園。
その中の、大きな人工池にかけられた赤い太鼓橋の上だ。
橋の向こう側に橙色の屋根の四阿があって、自然の緑と人工の赤や橙が華やかな空間をつくりだしている。
池はかなり深く造られている。数代前の皇帝が造ったのだが、「この池に朕を守ってくれる龍が眠っていることにしよう。龍は大きいので、池は深く大きく造らねばならない」といったらしい。
池のほとりには黄色や白の花が揺れていて、見ごたえのある空間だ。
そこに、水鏡老師と沐沐がいた。
「ちゃんとひとりで来て偉いのう、傾城」
水鏡老師は優しいおじいちゃんの顔で言って、要求した。
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