夜想兎

恋し彼の山――。

ひとつの詩吟がはじまりだった。

自分を守るためには嘘をつくしかないのか。
いつしか本物がわからなくなった。
世界はきれいに映っている。
私たちを助けられるのは、もう病魔だけになった。
それだけが殺せるからだ。
自分の中にまで入ってきそうになるその景色を。

――ブッ壊してやるよ。

その男は言った。

いつからか、

悪魔を殺せるのは、

私という悪魔だけになってしまった。


※長編になります。
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