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お前は俺様のモノ
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俺ですオレオレ、ノーコンです。何時もの掴みが必要な気がしたので使いました。今しがた、バケモンが身体ぶっ刺されて飛んでいったところです。時間軸の違うどこかで何となくディスられる気もするけど、そんなの関係ないもん。……おやぁ? 喪女さんが静かだ。
(うっせ! 話しかけんなアホンダラ!)
わぁお。ご機嫌斜め。バケモノがどっか飛んでって俺はご機嫌なのに。ま、冗談は置いといて、喪女さんに余裕が無いのも仕方ない。何故なら……
「どうしたどうしたぁ!」
「うっ、くっ!」
助けに入ったはずのグレイスが、ヴェサリオに一方的に押されているからだ。
(なんで! なんでぇ!?)
ヴェサリオの能力忘れてねぇ?
(……無効化!?)
「はぁっは! てめえもアレか! 魔法で強くなってる口かぁ!? なら俺様とは相性が悪ぃよなぁ!」
「くっ……そ!」
「あ゛あ゛~楽しいなぁ! 魔法が無けりゃ何もできねぇ野郎共を甚振るってのはよぉ!?」
「うあっ! ……くぅ、随分と」
「あ゛あ゛?」
「随分と魔法使いにコンプレックスがあるようだね?」
「当たり前だぁ! 魔法使える奴は、俺様を含めた使えねえ奴等の努力を平気で跨いで行きやがる! 使えねえ奴等はどんだけ努力しても、魔法使える奴等を超えることができねえ! ……でもよぉ、俺様が魔法を使えない理由は簡単だったんだ。俺様自身が! 魔法を! 打ち消してやがんだからよぉ!」
「……なるほどね」
「でもよぉ、それが分かった時の周りの反応は糞だったぜ。俺様が近くにいるせいで魔法が使えなかった。自分達の無駄に費やした時間をどうしてくれる、ってな。知るかボケェ! 俺様が近くに居ない間もろくすっぽ使えてねえなら最初から才能が無えんだよ! その間何してやがった!? 何もしてねえだろうがよ! 時間を奪われた? 寝言は努力してから言え!」
「……君が不機嫌な理由はそういう事か」
「あ゛あ゛ん!?」
「魔法を使えてあぐらをかく者も、魔法が使えないからと努力しない者も、君は大嫌いなのだね」
「もう一つ! 嫌いなのが居るぜぇ?」
「へぇ、それは何だい?」
「俺の事を知ったような口ぶりで語るクソのこったよぉ!!」
「……はっ、虎の尾を踏んだかな?」
「言ってろキザ女。死ね」
ガッキイン!
「 !? 」
「いやぁ、どうも魔法無しに慣れるのに時間が掛かったよ。あんなにも魔力の無さを嘆いていたというのに、例え僅かであったとしても頼りっきりだった事に気付かされたよ。礼を言う」
「あ゛あ゛?」
「私はね、侯爵家の生まれにしては魔力に非常に乏しかったのだよ。幸いながらうちは武門の家柄だったため、魔法に不自由していても問題は無かった」
「はっ! そりゃあようござんした」
「ああ良かったよ。私の気がそんな言葉で済んでいたならね!」
「あ゛あ゛?」
「君も知っているだろう? 魔法に長けた者の身体能力強化の恐ろしさを。私は武に置いて、兄弟達に手も足も出なかった」
「……で?」
「私の僅かばかりしか無い魔力をどうにか生かせないかと、何時も試行錯誤していたよ。あの時までは」
喪女さん! 盛り上がってまいりましたよ!
(うっせえよ、黙って聞いてろよ)
「侯爵家だからね。茶会やら夜会やら主催することも多かったのさ。しかし私は着飾る事にまるで興味がなくてね。頭にあったのは常に魔法をどう扱えば力にできるか、だったよ。その日も適当に抜け出して、ひたすら魔法の練習をしていたよ。そこで同じように抜けだしていたサイモンと出会ったんだ」
「………………」
あの俺様さん、黙って聞いてるねぇ?
(お前も黙ってろよ?)
「彼は私の魔法を見るなり『それじゃ駄目だ、無駄が多過ぎる』って言ったんだ。酷いと思わないかい? 魔力も少ないから一つ違う事を試すのにも相当苦労を強いられるのに、あろうことか途中とは言え努力の結晶に対して『無駄が多い』だよ?」
「………………」
「私は言った。自分は魔力が少ないから色々試せる機会は少ないんだと。そしたら彼ね『無駄と分かるかどうかは見れば分かる。試す試さないの問題じゃない』って言うんだ。思わずカッとなって、じゃあこんな少ない魔力でどうやれば無駄が無いんだい? って問い詰めたら『お前も魔力も一つだろう。分けてどうする』ってね。そこで初めて私は少ない魔力しか無い自分が、強化魔法を全身にかけている事に気付いたんだ。少ないんだから全身にかける必要は無い、って言うか無理があったんだよね。欲しい所に必要なだけ足せば良いんだと、彼に気付かされたんだ。……まぁ後で聞いたら、彼が言ったのは術式構築の事であって部分強化を勧めたわけじゃなかったらしいけどね」
「………………」
「まぁそんな訳で、私のほんの少しの強化魔法は、そもそもが私自身の鍛錬の上で成り立つものだったって話だよ。長話を悪かったね」
「……ああ? ああ、話し云々はどうでも良い。どうせ聞いてねえ」
「ええぇ……?」
ええぇ? (ええぇ?)
「聞き覚えのある名前が出てきたから思い出そうとしてただけだ。サイモンっつったか? 確かアルディモのクソナル野郎の獲物だったなぁ」
クソナルってなんぞ?
(クソ・ナルシストかしらね)
「……そうなんだね」
「はっ! 何だ!? お前の良い奴か!? 残念だったな! てめえはここで俺がぶっ殺す。そうでなくてもサイモンってガキは俺がぶっ殺す」
「……? その口ぶりだと、はなから君の仲間は勝てないと思ってるってことかい?」
「思ってんじゃねえ。事実だ。うちのクソバケモンがそう言ったならそうなんだよ」
「へぇ……。ま、どっちにしても君はここで止めるよ」
「はっはあ! やれるもんなら、なっ!」
言い終える前にヴェサリオが無数の槍の刺突を繰り出してくる! 当社比3倍!
(あわわあわわどどど、どうしよう!?)
聞いてみなけりゃ何も分からない。ならば聞こうか喪女さんに……何ができるんですかぁ!?
(どっかのプロレスラーみたいな聞き方しないで!? でも、なんもできない! ちくしょー!)
とまぁ、こっちは寸劇かましてるけど、グレイス様は余裕の表情で槍先を躱し続けてるぞ。
(え? マジで?)
「……ちっ、さっきの残念女といいちょこまかと」
「サラッと私をディスってんじゃねえ!」
「うるせえ! 残念クソ女!」
「あー! クソまで足したー! 悪口自己中男ー!」
「てめえも大概だろうが! ……おっと」
ヴェサリオと喪女さんの口喧嘩の隙をつき、グレイスが音も無く近付き斬りかかる。それをあっさり躱す辺り、ヴェサリオ強過ぎね?
(まぁ! なんて憎たらしい!)
どこぞの継母みたいになってるぞ。
「君は強いな。アーチボルドが君と戦えば、正直勝てるビジョンが浮かばないね」
「あ゛あ゛あ゛!? 俺様もその雑魚と殺り合いたかったがよぉ!? うちのクソバケモンが優先順位があるってよぉ! しょうがねえからそこの残念クソアホ女をぶっ殺しに来たって訳よぉ! そいつ殺したら後のことは好きにして良いらしいからなぁ!」
「また追加しやがった! この悪口クソ脳筋バカ単細胞アホ自己中男!」
「だあぁぁあっ!! お前の口のが数倍たち悪いじゃねえか!? っとぉ、それ無駄だからやめとけ」
「……みたいだね。どうもその迎撃体勢は、長年の鍛錬で染み付かせた癖みたいなもののようだ。むしろ余計な情報を意識しない分、洗練されてるように見受けられる」
「っほおーぉ! それに気付くたぁ良い目ぇしてやがる。武門の家柄だとか言ってたか? ……サイモンとか言うガキには勿体ねぇな。よし、予定変更だ。てめえを俺様の女として連れ帰る!」
「はぁ!?」
グレイス様は俺のもんだ!
(てめえのでもねえよ!)
「そこの残念生物は引っ込んでな!」
「生物!?」
(ノーコン、吹きやがったら折檻追加!)
ぶふっ……って待てやこらぁ!? 予知能力者ですか!?
「ふっ、大丈夫だフローラ嬢。例の帰還『兵器』とやらでは敵国の将を連れ帰れない、だろ?」
「ところがなぁ! 『げぇむ』とやらでは敵国の将を籠絡するのが目的の一つだったってんで、連れ帰るのを可能にした『兵器』がちゃあんとあるんだよ!」
「んなっ!?」
「ただ条件がそこそこ面倒でなぁ……、とりあえず死なねえ程度にボコってやんよぉ! とりあえず挨拶代わりだ! おらおらぁっっ!!」
槍の刺突が数倍になって俺のグレイス様に襲いかかる!
(てめえんじゃねえ! て、それどこじゃねえ! ああ! グレイス様!)
「くっ、まだ、本気じゃなかった、と……」
「はっは、まだ凌ぐかぁ! ますます気に入ったぁ! ぜってえ俺様のガキを産ませてやんぜ!」
「このセクハラ破廉恥だいまぎゃあっっ!?」
ヴェサリオが槍をぶん回し、器用に石突の部分で石を喪女さん目掛けて打ち出した! それを不思議な踊りで回避する喪女さん! 何かの呪術ですか!?
(し、死ぬかと思った……っ!)
「だぁってろ! 無駄生物!」
「無駄!?」
「俺様はよぉ、女にあんま興味無かったんだが……」
「サブリナを差し上げます!」
「黙ってろっつってんだろ! 精神汚染物体!」
「おせっ!?」
ゲラゲラ。
(ぬあー! ムカつくー!)
「お前は別だ。お前と俺のガキならきっと人類最強になれる。ふひっ! 楽しみだなぁ!」
「……あんたさぁ、メアラ先生に勝てるの?」
「………………」
「………………」
「なんでお前喋ってやがんだ? 存在するだけで害悪なのによぉ」
「どんだけ!? ってか勝てないのね! やーい! ざーこ!」
「………………」
カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ
「ぎゃぎゅぎぇぎょっ、ちょま、うっぎゃ、へぶっ!?」
「フローラ!?」
「ゴミ掃除完了ってな」
「殺す気かぁ!?」
「殺す気だって言ってんだろうがぁ! つか、まだ生きてやがったかぁ! 存外しぶてえなてめえ!」
ゲラゲラ!
(折檻追加!)
(うっせ! 話しかけんなアホンダラ!)
わぁお。ご機嫌斜め。バケモノがどっか飛んでって俺はご機嫌なのに。ま、冗談は置いといて、喪女さんに余裕が無いのも仕方ない。何故なら……
「どうしたどうしたぁ!」
「うっ、くっ!」
助けに入ったはずのグレイスが、ヴェサリオに一方的に押されているからだ。
(なんで! なんでぇ!?)
ヴェサリオの能力忘れてねぇ?
(……無効化!?)
「はぁっは! てめえもアレか! 魔法で強くなってる口かぁ!? なら俺様とは相性が悪ぃよなぁ!」
「くっ……そ!」
「あ゛あ゛~楽しいなぁ! 魔法が無けりゃ何もできねぇ野郎共を甚振るってのはよぉ!?」
「うあっ! ……くぅ、随分と」
「あ゛あ゛?」
「随分と魔法使いにコンプレックスがあるようだね?」
「当たり前だぁ! 魔法使える奴は、俺様を含めた使えねえ奴等の努力を平気で跨いで行きやがる! 使えねえ奴等はどんだけ努力しても、魔法使える奴等を超えることができねえ! ……でもよぉ、俺様が魔法を使えない理由は簡単だったんだ。俺様自身が! 魔法を! 打ち消してやがんだからよぉ!」
「……なるほどね」
「でもよぉ、それが分かった時の周りの反応は糞だったぜ。俺様が近くにいるせいで魔法が使えなかった。自分達の無駄に費やした時間をどうしてくれる、ってな。知るかボケェ! 俺様が近くに居ない間もろくすっぽ使えてねえなら最初から才能が無えんだよ! その間何してやがった!? 何もしてねえだろうがよ! 時間を奪われた? 寝言は努力してから言え!」
「……君が不機嫌な理由はそういう事か」
「あ゛あ゛ん!?」
「魔法を使えてあぐらをかく者も、魔法が使えないからと努力しない者も、君は大嫌いなのだね」
「もう一つ! 嫌いなのが居るぜぇ?」
「へぇ、それは何だい?」
「俺の事を知ったような口ぶりで語るクソのこったよぉ!!」
「……はっ、虎の尾を踏んだかな?」
「言ってろキザ女。死ね」
ガッキイン!
「 !? 」
「いやぁ、どうも魔法無しに慣れるのに時間が掛かったよ。あんなにも魔力の無さを嘆いていたというのに、例え僅かであったとしても頼りっきりだった事に気付かされたよ。礼を言う」
「あ゛あ゛?」
「私はね、侯爵家の生まれにしては魔力に非常に乏しかったのだよ。幸いながらうちは武門の家柄だったため、魔法に不自由していても問題は無かった」
「はっ! そりゃあようござんした」
「ああ良かったよ。私の気がそんな言葉で済んでいたならね!」
「あ゛あ゛?」
「君も知っているだろう? 魔法に長けた者の身体能力強化の恐ろしさを。私は武に置いて、兄弟達に手も足も出なかった」
「……で?」
「私の僅かばかりしか無い魔力をどうにか生かせないかと、何時も試行錯誤していたよ。あの時までは」
喪女さん! 盛り上がってまいりましたよ!
(うっせえよ、黙って聞いてろよ)
「侯爵家だからね。茶会やら夜会やら主催することも多かったのさ。しかし私は着飾る事にまるで興味がなくてね。頭にあったのは常に魔法をどう扱えば力にできるか、だったよ。その日も適当に抜け出して、ひたすら魔法の練習をしていたよ。そこで同じように抜けだしていたサイモンと出会ったんだ」
「………………」
あの俺様さん、黙って聞いてるねぇ?
(お前も黙ってろよ?)
「彼は私の魔法を見るなり『それじゃ駄目だ、無駄が多過ぎる』って言ったんだ。酷いと思わないかい? 魔力も少ないから一つ違う事を試すのにも相当苦労を強いられるのに、あろうことか途中とは言え努力の結晶に対して『無駄が多い』だよ?」
「………………」
「私は言った。自分は魔力が少ないから色々試せる機会は少ないんだと。そしたら彼ね『無駄と分かるかどうかは見れば分かる。試す試さないの問題じゃない』って言うんだ。思わずカッとなって、じゃあこんな少ない魔力でどうやれば無駄が無いんだい? って問い詰めたら『お前も魔力も一つだろう。分けてどうする』ってね。そこで初めて私は少ない魔力しか無い自分が、強化魔法を全身にかけている事に気付いたんだ。少ないんだから全身にかける必要は無い、って言うか無理があったんだよね。欲しい所に必要なだけ足せば良いんだと、彼に気付かされたんだ。……まぁ後で聞いたら、彼が言ったのは術式構築の事であって部分強化を勧めたわけじゃなかったらしいけどね」
「………………」
「まぁそんな訳で、私のほんの少しの強化魔法は、そもそもが私自身の鍛錬の上で成り立つものだったって話だよ。長話を悪かったね」
「……ああ? ああ、話し云々はどうでも良い。どうせ聞いてねえ」
「ええぇ……?」
ええぇ? (ええぇ?)
「聞き覚えのある名前が出てきたから思い出そうとしてただけだ。サイモンっつったか? 確かアルディモのクソナル野郎の獲物だったなぁ」
クソナルってなんぞ?
(クソ・ナルシストかしらね)
「……そうなんだね」
「はっ! 何だ!? お前の良い奴か!? 残念だったな! てめえはここで俺がぶっ殺す。そうでなくてもサイモンってガキは俺がぶっ殺す」
「……? その口ぶりだと、はなから君の仲間は勝てないと思ってるってことかい?」
「思ってんじゃねえ。事実だ。うちのクソバケモンがそう言ったならそうなんだよ」
「へぇ……。ま、どっちにしても君はここで止めるよ」
「はっはあ! やれるもんなら、なっ!」
言い終える前にヴェサリオが無数の槍の刺突を繰り出してくる! 当社比3倍!
(あわわあわわどどど、どうしよう!?)
聞いてみなけりゃ何も分からない。ならば聞こうか喪女さんに……何ができるんですかぁ!?
(どっかのプロレスラーみたいな聞き方しないで!? でも、なんもできない! ちくしょー!)
とまぁ、こっちは寸劇かましてるけど、グレイス様は余裕の表情で槍先を躱し続けてるぞ。
(え? マジで?)
「……ちっ、さっきの残念女といいちょこまかと」
「サラッと私をディスってんじゃねえ!」
「うるせえ! 残念クソ女!」
「あー! クソまで足したー! 悪口自己中男ー!」
「てめえも大概だろうが! ……おっと」
ヴェサリオと喪女さんの口喧嘩の隙をつき、グレイスが音も無く近付き斬りかかる。それをあっさり躱す辺り、ヴェサリオ強過ぎね?
(まぁ! なんて憎たらしい!)
どこぞの継母みたいになってるぞ。
「君は強いな。アーチボルドが君と戦えば、正直勝てるビジョンが浮かばないね」
「あ゛あ゛あ゛!? 俺様もその雑魚と殺り合いたかったがよぉ!? うちのクソバケモンが優先順位があるってよぉ! しょうがねえからそこの残念クソアホ女をぶっ殺しに来たって訳よぉ! そいつ殺したら後のことは好きにして良いらしいからなぁ!」
「また追加しやがった! この悪口クソ脳筋バカ単細胞アホ自己中男!」
「だあぁぁあっ!! お前の口のが数倍たち悪いじゃねえか!? っとぉ、それ無駄だからやめとけ」
「……みたいだね。どうもその迎撃体勢は、長年の鍛錬で染み付かせた癖みたいなもののようだ。むしろ余計な情報を意識しない分、洗練されてるように見受けられる」
「っほおーぉ! それに気付くたぁ良い目ぇしてやがる。武門の家柄だとか言ってたか? ……サイモンとか言うガキには勿体ねぇな。よし、予定変更だ。てめえを俺様の女として連れ帰る!」
「はぁ!?」
グレイス様は俺のもんだ!
(てめえのでもねえよ!)
「そこの残念生物は引っ込んでな!」
「生物!?」
(ノーコン、吹きやがったら折檻追加!)
ぶふっ……って待てやこらぁ!? 予知能力者ですか!?
「ふっ、大丈夫だフローラ嬢。例の帰還『兵器』とやらでは敵国の将を連れ帰れない、だろ?」
「ところがなぁ! 『げぇむ』とやらでは敵国の将を籠絡するのが目的の一つだったってんで、連れ帰るのを可能にした『兵器』がちゃあんとあるんだよ!」
「んなっ!?」
「ただ条件がそこそこ面倒でなぁ……、とりあえず死なねえ程度にボコってやんよぉ! とりあえず挨拶代わりだ! おらおらぁっっ!!」
槍の刺突が数倍になって俺のグレイス様に襲いかかる!
(てめえんじゃねえ! て、それどこじゃねえ! ああ! グレイス様!)
「くっ、まだ、本気じゃなかった、と……」
「はっは、まだ凌ぐかぁ! ますます気に入ったぁ! ぜってえ俺様のガキを産ませてやんぜ!」
「このセクハラ破廉恥だいまぎゃあっっ!?」
ヴェサリオが槍をぶん回し、器用に石突の部分で石を喪女さん目掛けて打ち出した! それを不思議な踊りで回避する喪女さん! 何かの呪術ですか!?
(し、死ぬかと思った……っ!)
「だぁってろ! 無駄生物!」
「無駄!?」
「俺様はよぉ、女にあんま興味無かったんだが……」
「サブリナを差し上げます!」
「黙ってろっつってんだろ! 精神汚染物体!」
「おせっ!?」
ゲラゲラ。
(ぬあー! ムカつくー!)
「お前は別だ。お前と俺のガキならきっと人類最強になれる。ふひっ! 楽しみだなぁ!」
「……あんたさぁ、メアラ先生に勝てるの?」
「………………」
「………………」
「なんでお前喋ってやがんだ? 存在するだけで害悪なのによぉ」
「どんだけ!? ってか勝てないのね! やーい! ざーこ!」
「………………」
カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ
「ぎゃぎゅぎぇぎょっ、ちょま、うっぎゃ、へぶっ!?」
「フローラ!?」
「ゴミ掃除完了ってな」
「殺す気かぁ!?」
「殺す気だって言ってんだろうがぁ! つか、まだ生きてやがったかぁ! 存外しぶてえなてめえ!」
ゲラゲラ!
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