105 / 121
105 朝礼
しおりを挟む
翌朝の朝礼に昨日の事を含めて、これからの予定を皆に話す事にした。いきなり5人の弟子が出来たのだから説明しない訳にもいかないよね。
「昨日家を見た戦士団の中から5人が、僕の所で修行したいって話があったので受ける事にしました」
「「はぁ~?」」
「そう言う事なのでモーガン達は先輩として、ウェインは上司として頑張って下さい」
「エ~ド~。そう言う事は俺たちに相談してからにして欲しいんだけどな」
「とは言っても昼前だけだから。大丈夫大丈夫」
「昼前だけ?」
「そっ。昼前はこっちの手伝いをして貰って、昼過ぎは家造りを教えるって事にしたんだ」
「それにしても家の秘密を教えても良かったの?」
メイリーンが心配するのも無理は無い。利益性と危険性は従来のモノと違うのだから、余人が間違った事をすればどのような事が起きるか、その被害予測はだれにでも出来る事だろう。
「俺もそう思うな。結構良い稼ぎどころか軟膏やロウソク作るよりも儲けられそうだったのにさ」
ヘンリーがそう言うのも無理は無い。大手メーカーであればいざしらず、家内工業で作っている軟膏やロウソクよりも家の方が高価である事はどの世界でも変わらない。
しかしそれが現金であればの話であって、この世界での住宅建築に措ける常識は少しばかり意味を異とするのだから。
「まぁね。でもカイバク払いで家を建てるんだよ。ウチでそんな事をしたら倉庫をいくつ建てなきゃならないのさ。何年も気持ち悪くなるほど食べても腐らせちゃう方が多くなるよ」
「あっ」
「そう言う事。それに手伝いや食事を出して貰ったら、貰える分はさらに減るじゃない?そのくらいなら練習に家を建ててそれを教える報酬に貰った方がまだマシって事だよ」
現物納品で無ければいろいろとやりようがあると言うものだが、現金しかダメとか金属のみ受付などと言ったら、立てられる人は皆無と言っても良いほどになり、俺の評判は駄々下がりだろう。
こればかりは貨幣経済の浸透性が、今だ小額決済にしか及んでいない事の弊害と言えるだろうが、虫から金属を獲てる時点で収量が限られるので誰を責められるものでもない。
「そうなのか?」
「一~二軒建てる度にカイバク倉庫建てるって考えてれば解るよ。そんなに食べないだろ?余った分は他に売るって言っても限界があるし、今度は肉や野菜で来て見なよ。目も当てられなくなる」
「でも金でも払ってくれるかもしれないだろ?」
「それは無い。領主様のところに行った時だって、金は出せないって言われたくらいなんだ。もし貰えたとしても本当にちょっとだよ。それじゃ何の意味も無いからね」
「あれ?でも前にエドが儲かるって言ってなかった?」
「それはカイバクで貰うってのを知らなかったから。知ってたらそんな事言わなかったよ」
戦士団に援軍して貰う以外では、棟上やら屋根の吹き替えは基本的に近所が助けて家をいじるもんだから、日当代わりのカイバクを払って貰うのが当たり前。
余程他家より改修スピードが速ければ貰える量が増えるなどがあるかもしれないが、そうでなければ「そろそろ誰々のウチを直す頃」って言うのが家主の間で話し合われて相互扶助の中で改修が行われる。
そして戦士団の援軍を入れるような時でも、その支払いはカイバクで行われて団員の食糧確保となってしまうのだから、もはやお手上げである。
「要するに、お金が家みたいな物の支払いに使われるように成らない限りは、お金って意味では儲けにはならないって事だね」
「そう言う事。食べる分や税として納める分を稼ぐってだけならそれでも良いけど、そうじゃなければ畑やっても一緒だからね」
「どっちにしても香草は育てなきゃいけないんでしょ?なら畑を止める選択は無いわよね」
「畑全部止められる訳じゃないからな。それにカイバクの畑を全部香草にしたら今度は香草が余るし、茶畑に替えるには茶草が足りないし」
「今まで通りが一番って事だね」
何とも残念な結果ではあるが、残念なままにしなければ良いだけで、新しい弟子たちをしっかり指導して立派な実験住宅ⅡやⅢを建ててもらうとしよう。
Ⅱは間取りを変えただけで基本的には同じ物で行く予定だが、Ⅲはまだどう作るかは未定だが、いっその事中途半端にはなるかもしれないが、瓦やレンガを建材に使ってみるなどしても面白いかもしれない。
とは言っても焼成に使うだけの廃材が出ればだけど。乾燥軟化法の一番のメリットは廃棄物の少なさでもあるので、もしⅢを瓦やレンガにするならばⅡの内から焼成燃料用に廃棄分をまとめて置かなければならなかったりする。
「それじゃあ、いろいろと変わる事もあるとは思うけどよろしく頼むな」
「ドンと俺たちに任せとけ」
「ヘンリーは先輩風吹かせて根性叩き直されないと良いけどな」
「はははっ」と笑い声がこぼれたが、ヘンリーだけは納得できない顔をしていた。さて今日も一日頑張っていきまっしょい(笑)
「昨日家を見た戦士団の中から5人が、僕の所で修行したいって話があったので受ける事にしました」
「「はぁ~?」」
「そう言う事なのでモーガン達は先輩として、ウェインは上司として頑張って下さい」
「エ~ド~。そう言う事は俺たちに相談してからにして欲しいんだけどな」
「とは言っても昼前だけだから。大丈夫大丈夫」
「昼前だけ?」
「そっ。昼前はこっちの手伝いをして貰って、昼過ぎは家造りを教えるって事にしたんだ」
「それにしても家の秘密を教えても良かったの?」
メイリーンが心配するのも無理は無い。利益性と危険性は従来のモノと違うのだから、余人が間違った事をすればどのような事が起きるか、その被害予測はだれにでも出来る事だろう。
「俺もそう思うな。結構良い稼ぎどころか軟膏やロウソク作るよりも儲けられそうだったのにさ」
ヘンリーがそう言うのも無理は無い。大手メーカーであればいざしらず、家内工業で作っている軟膏やロウソクよりも家の方が高価である事はどの世界でも変わらない。
しかしそれが現金であればの話であって、この世界での住宅建築に措ける常識は少しばかり意味を異とするのだから。
「まぁね。でもカイバク払いで家を建てるんだよ。ウチでそんな事をしたら倉庫をいくつ建てなきゃならないのさ。何年も気持ち悪くなるほど食べても腐らせちゃう方が多くなるよ」
「あっ」
「そう言う事。それに手伝いや食事を出して貰ったら、貰える分はさらに減るじゃない?そのくらいなら練習に家を建ててそれを教える報酬に貰った方がまだマシって事だよ」
現物納品で無ければいろいろとやりようがあると言うものだが、現金しかダメとか金属のみ受付などと言ったら、立てられる人は皆無と言っても良いほどになり、俺の評判は駄々下がりだろう。
こればかりは貨幣経済の浸透性が、今だ小額決済にしか及んでいない事の弊害と言えるだろうが、虫から金属を獲てる時点で収量が限られるので誰を責められるものでもない。
「そうなのか?」
「一~二軒建てる度にカイバク倉庫建てるって考えてれば解るよ。そんなに食べないだろ?余った分は他に売るって言っても限界があるし、今度は肉や野菜で来て見なよ。目も当てられなくなる」
「でも金でも払ってくれるかもしれないだろ?」
「それは無い。領主様のところに行った時だって、金は出せないって言われたくらいなんだ。もし貰えたとしても本当にちょっとだよ。それじゃ何の意味も無いからね」
「あれ?でも前にエドが儲かるって言ってなかった?」
「それはカイバクで貰うってのを知らなかったから。知ってたらそんな事言わなかったよ」
戦士団に援軍して貰う以外では、棟上やら屋根の吹き替えは基本的に近所が助けて家をいじるもんだから、日当代わりのカイバクを払って貰うのが当たり前。
余程他家より改修スピードが速ければ貰える量が増えるなどがあるかもしれないが、そうでなければ「そろそろ誰々のウチを直す頃」って言うのが家主の間で話し合われて相互扶助の中で改修が行われる。
そして戦士団の援軍を入れるような時でも、その支払いはカイバクで行われて団員の食糧確保となってしまうのだから、もはやお手上げである。
「要するに、お金が家みたいな物の支払いに使われるように成らない限りは、お金って意味では儲けにはならないって事だね」
「そう言う事。食べる分や税として納める分を稼ぐってだけならそれでも良いけど、そうじゃなければ畑やっても一緒だからね」
「どっちにしても香草は育てなきゃいけないんでしょ?なら畑を止める選択は無いわよね」
「畑全部止められる訳じゃないからな。それにカイバクの畑を全部香草にしたら今度は香草が余るし、茶畑に替えるには茶草が足りないし」
「今まで通りが一番って事だね」
何とも残念な結果ではあるが、残念なままにしなければ良いだけで、新しい弟子たちをしっかり指導して立派な実験住宅ⅡやⅢを建ててもらうとしよう。
Ⅱは間取りを変えただけで基本的には同じ物で行く予定だが、Ⅲはまだどう作るかは未定だが、いっその事中途半端にはなるかもしれないが、瓦やレンガを建材に使ってみるなどしても面白いかもしれない。
とは言っても焼成に使うだけの廃材が出ればだけど。乾燥軟化法の一番のメリットは廃棄物の少なさでもあるので、もしⅢを瓦やレンガにするならばⅡの内から焼成燃料用に廃棄分をまとめて置かなければならなかったりする。
「それじゃあ、いろいろと変わる事もあるとは思うけどよろしく頼むな」
「ドンと俺たちに任せとけ」
「ヘンリーは先輩風吹かせて根性叩き直されないと良いけどな」
「はははっ」と笑い声がこぼれたが、ヘンリーだけは納得できない顔をしていた。さて今日も一日頑張っていきまっしょい(笑)
12
お気に入りに追加
1,419
あなたにおすすめの小説
異世界で「出会い掲示板」はじめました。
佐々木さざめき
ファンタジー
ある日突然、ファンタジーな世界に転移してしまった!
噂のチートも何もない!
だから俺は出来る事をはじめたんだ。
それが、出会い掲示板!
俺は普通に運営してるだけなのに、ポイントシステムの導入や、郵便システムなんかで、どうやら革命を起こしてるらしい。
あんたも異世界で出会いを見つけてみないか?
なに。近くの酒場に行って探してみればいい。
出会い掲示板【ファインド・ラブ】
それが異世界出会い掲示板の名前さ!
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。
運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。
憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。
異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。
出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-
はまち
恋愛
出勤したら代替わりをした親方に解雇と言われた宝石加工職人のミカエラは独り立ちを選んだ。
次こそ自分のペースで好きなことをしてお金を稼ぐ。
労働には正当な報酬を休暇を!!!低賃金では二度と働かない!!!
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ
トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!?
自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。
果たして雅は独りで生きていけるのか!?
実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる