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87畑が順調
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お茶の試飲をした数日後、別に立てた畝へ移植されたお茶草を確認したが、植え痛みも無く順調に育っている。
形状こそ茶とは似つかないお茶は、栽培には持って来いの性質を持っていて、最初こそ地面を這うように飼育していたが節から根が伸びて、そこからさらに大きくなるに連れて立ち上がって一帯を占領するように株を増やすようだ。這性のミントみたいなヤツだな。
この草は畑や草原地帯では見なかった事から、不要雑草の突然変異か森などから種が飛んできたのだろう。
香草より生育が良いので半年もあれば立派な茶畑が出来そうだ。この世界の住人には新しく俺には懐かしいお茶は、ウチの良い新商品の予感がする。
前回飲んだお茶にしてもフレッシュハーブティーのような煎れ方にも拘らず。その味は前世の煎茶の物だったので、ちゃんとした物は当然無理だが手揉み茶のようにしたお茶ならば、その味がどうなるのか試してみたい。
「渋みの後に追いかけるような甘みのあるお茶・・・う~ん懐かしい」
「エド~気持ち悪い笑い方になってるぞ」
「義兄さん。カワイイ弟の顔が気持ち悪いとはヒドイじゃないか」
「香草が足りなくなって来て見れば、畑を見ながらニタニタしている奴が居たんだ。それを気持ちが悪いと言っても、おかしくは無いだろ?」
そんなにニタニタしていたのだろうか、気を引き締めねばいかんな。と言う事でキリっとした表情を作るとウェインに笑われた。「ははは悪かった悪かったはははは」まじめな顔を笑われるとは解せん。
「良いよもう。そんな事より香草が足りないんだろ」
「あぁ。エドも手が空いてるなら頼むよ」
「空いてるから大丈夫だよ」
雨季手前からはじめた軟膏用の栽培香草は、圃場管理がされた畑で育てているため邪魔される事もないからすくすく成長して、まだ春先だと言うのに2人で抱きかかえられるくらいの大株に成長していた。
芯を止め脇を伸ばしていった結果とてつもない株へと成長したのだ。
草原の雑草として生えている時は一本で育ちきるか、採取されたものは根元から刈り取られてしまうので、これほど大きく育つ事は無い。畑で栽培すると言った俺でさえ予想していたモノではなかった。
前世で育てていたモロヘイヤを思い浮かべてしまう大株になってくれたのは嬉しい誤算ではあるのだが、軟膏を作り始めた頃ならいざ知らず、現状の顧客数を草原での採取では労力が無駄に掛かるだけになってしまうと、栽培を始めて正解だった。
手で折れるところからポキポキ折って収穫するのだが、取っても取っても小さくなる感じはまったくしない。毎日のように取っているにも拘らずこの成長なのだから、元良い香りがする雑草の”生命力”恐るべきと言うところだろう。
「これならもう東の草原で採って来なくても良いな」
「エド知らなかったのか?春になってからは草原にはほとんど行って無いぞ?お前の魔石を光らせにモーガンがたまに行ってるだけだ」
知らなかった。これでは余計魔力の修行が遠のいてしまうではないか。どうしようエリザさんに怒られるかも。
なら代行を頼むなって?時間が取れないんだよ。
ウェインと供に香草を抱えて戻って作業を開始した俺に「なぁ、ろうそくって言うのは売らないのか?」とリードが尋ねてきた。
う~ん返答に困る質問だ。
需要がそこまであるのだろうか?獣脂ほどではないが草の実油を使う灯明は煤が出る。ロウソクは出ない。
その違いだけでタダのものにお金を払ってくれるのかが、今一つ読みきれないのでロウソクの販売に踏み出せていない。
「ちょっと後でみんなで話してみようか」
「今やってるのが終われば大丈夫じゃないか?」
軍用民生用の在庫分を作れば今日の作業は終わりなので、就業後ミーティングを行う事にしたのだ。
「え~、リード君からロウソクの販売について聞かれたので、みんなの意見を聞きたいと思います」
「エド、その”ろうそく”ってのは何だ?」
「軟膏の前にエドが作った灯明みたいなやつだよ」
「リード、説明がざっくりすぎる。それじゃ伝わらないよ」
「ウェイン兄ちゃんは分かってるのかよ?」
「あぁ~はいはい。ロウソクって言うのは家の中で使う灯明の代わりになるモノで、違いは煤が出ない事とニオイが無い事かな?」
そう言ってみんなにロウソクをいくつか見せた。一般的な明かり用ロウソクとは違い、どちらかと言うと鍋用の固形燃料と言った方が正しい形をしているので、売りに出すなら有名メーカーの紺色箱みたいにした方が良いのかな?
置いたロウソクに「火」と、魔法で着火するとユラユラと燃え上がる。
「灯明より明るいんだな」
「臭いも無いのね」
「物としたら軟膏とまったく一緒だからね。元々これを作ろうとして出来たのが軟膏だったくらいだから」
「こっちはものすごく硬いけどね」
そう言いながら・・・・・はロウソクをコンコンっと突く。
硬さだけなら蝋石並みではないだろうか、比べて見る事が出来ないがそんな感じがする。落とすと欠けたりするから柔軟性は無いんだろうな。
「軟膏作る時に捨てに行ってもらってる、あの灰色の水に入っているモノが無くなると、三日でこんな感じになるんだ。放置していた脂身なんかは3日過ぎても硬くならないから、あれがやわらかさの元なんだろう。塗ったら赤くなる原因でもある訳なんだけど」
たまに聞く粗悪品は、アレが除去しきれていないのだろう。
形状こそ茶とは似つかないお茶は、栽培には持って来いの性質を持っていて、最初こそ地面を這うように飼育していたが節から根が伸びて、そこからさらに大きくなるに連れて立ち上がって一帯を占領するように株を増やすようだ。這性のミントみたいなヤツだな。
この草は畑や草原地帯では見なかった事から、不要雑草の突然変異か森などから種が飛んできたのだろう。
香草より生育が良いので半年もあれば立派な茶畑が出来そうだ。この世界の住人には新しく俺には懐かしいお茶は、ウチの良い新商品の予感がする。
前回飲んだお茶にしてもフレッシュハーブティーのような煎れ方にも拘らず。その味は前世の煎茶の物だったので、ちゃんとした物は当然無理だが手揉み茶のようにしたお茶ならば、その味がどうなるのか試してみたい。
「渋みの後に追いかけるような甘みのあるお茶・・・う~ん懐かしい」
「エド~気持ち悪い笑い方になってるぞ」
「義兄さん。カワイイ弟の顔が気持ち悪いとはヒドイじゃないか」
「香草が足りなくなって来て見れば、畑を見ながらニタニタしている奴が居たんだ。それを気持ちが悪いと言っても、おかしくは無いだろ?」
そんなにニタニタしていたのだろうか、気を引き締めねばいかんな。と言う事でキリっとした表情を作るとウェインに笑われた。「ははは悪かった悪かったはははは」まじめな顔を笑われるとは解せん。
「良いよもう。そんな事より香草が足りないんだろ」
「あぁ。エドも手が空いてるなら頼むよ」
「空いてるから大丈夫だよ」
雨季手前からはじめた軟膏用の栽培香草は、圃場管理がされた畑で育てているため邪魔される事もないからすくすく成長して、まだ春先だと言うのに2人で抱きかかえられるくらいの大株に成長していた。
芯を止め脇を伸ばしていった結果とてつもない株へと成長したのだ。
草原の雑草として生えている時は一本で育ちきるか、採取されたものは根元から刈り取られてしまうので、これほど大きく育つ事は無い。畑で栽培すると言った俺でさえ予想していたモノではなかった。
前世で育てていたモロヘイヤを思い浮かべてしまう大株になってくれたのは嬉しい誤算ではあるのだが、軟膏を作り始めた頃ならいざ知らず、現状の顧客数を草原での採取では労力が無駄に掛かるだけになってしまうと、栽培を始めて正解だった。
手で折れるところからポキポキ折って収穫するのだが、取っても取っても小さくなる感じはまったくしない。毎日のように取っているにも拘らずこの成長なのだから、元良い香りがする雑草の”生命力”恐るべきと言うところだろう。
「これならもう東の草原で採って来なくても良いな」
「エド知らなかったのか?春になってからは草原にはほとんど行って無いぞ?お前の魔石を光らせにモーガンがたまに行ってるだけだ」
知らなかった。これでは余計魔力の修行が遠のいてしまうではないか。どうしようエリザさんに怒られるかも。
なら代行を頼むなって?時間が取れないんだよ。
ウェインと供に香草を抱えて戻って作業を開始した俺に「なぁ、ろうそくって言うのは売らないのか?」とリードが尋ねてきた。
う~ん返答に困る質問だ。
需要がそこまであるのだろうか?獣脂ほどではないが草の実油を使う灯明は煤が出る。ロウソクは出ない。
その違いだけでタダのものにお金を払ってくれるのかが、今一つ読みきれないのでロウソクの販売に踏み出せていない。
「ちょっと後でみんなで話してみようか」
「今やってるのが終われば大丈夫じゃないか?」
軍用民生用の在庫分を作れば今日の作業は終わりなので、就業後ミーティングを行う事にしたのだ。
「え~、リード君からロウソクの販売について聞かれたので、みんなの意見を聞きたいと思います」
「エド、その”ろうそく”ってのは何だ?」
「軟膏の前にエドが作った灯明みたいなやつだよ」
「リード、説明がざっくりすぎる。それじゃ伝わらないよ」
「ウェイン兄ちゃんは分かってるのかよ?」
「あぁ~はいはい。ロウソクって言うのは家の中で使う灯明の代わりになるモノで、違いは煤が出ない事とニオイが無い事かな?」
そう言ってみんなにロウソクをいくつか見せた。一般的な明かり用ロウソクとは違い、どちらかと言うと鍋用の固形燃料と言った方が正しい形をしているので、売りに出すなら有名メーカーの紺色箱みたいにした方が良いのかな?
置いたロウソクに「火」と、魔法で着火するとユラユラと燃え上がる。
「灯明より明るいんだな」
「臭いも無いのね」
「物としたら軟膏とまったく一緒だからね。元々これを作ろうとして出来たのが軟膏だったくらいだから」
「こっちはものすごく硬いけどね」
そう言いながら・・・・・はロウソクをコンコンっと突く。
硬さだけなら蝋石並みではないだろうか、比べて見る事が出来ないがそんな感じがする。落とすと欠けたりするから柔軟性は無いんだろうな。
「軟膏作る時に捨てに行ってもらってる、あの灰色の水に入っているモノが無くなると、三日でこんな感じになるんだ。放置していた脂身なんかは3日過ぎても硬くならないから、あれがやわらかさの元なんだろう。塗ったら赤くなる原因でもある訳なんだけど」
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