異世界生活物語

花屋の息子

文字の大きさ
上 下
5 / 121

05異世界遊戯、キラキラとした石

しおりを挟む
 姉で実験した後の雨季の晴れ間、友人の家を回り新しい遊びを考えた事を伝えた。雲の流れも穏やかな日なので集会所の広場に他の子を誘ってきて貰うように頼んで俺も他を回った。
 家の周辺の子は・・・結局全員集まりましたとさ。

「うぉふぉん。えー本日は新作発表会にお集まり頂きありがとうございます。開発者のエドワードと申します、え~」
「「早く教えろよ」」
「「エド何言ってるかわかんない」」

 カギんちょ共がガヤガヤしてしまった。前置き話しは仕様だろ。学校でもあれば校長の長話に耐性付くんだろうけど、無いものだから余計にがやつく。

「ちったー、前置きくらいさせろ。今日やるのは、・・・・いっせーのーせだ」
「「なんだそれ~」」
「説明するから待て、少し待て。やり方は二人で親指上にして拳を合わせる。いっせーのーでって言ったら数を言いながら親指を立てる。言った数と親指の本数が同じなら片方の拳を下げて、両手が下がれば勝ち。残った数より上を言ったら反則。ルールはこれだけ簡単だろ」

 みんなの顔を見ると理解できていなさそうなので、取り合えず近くに居たリアム君4歳に俺の相手をしてもらう事にした。

「最初はよゆっくり説明しながらやっていくからな」
「エド、早く早く」
 
 おう、早速説明を端折って聞いてやがったな。拳を横にして付き出しているのを見ると、ため息混じりに一から直しながらになる事を覚悟してしまった。

「そうじゃない、親指が上になるように、そう、じゃあ行くぞ拳をこうやって合わせて、俺がいっせーのーで2って言うから、「で」、って言ったと同時に親指を二本上げてくれ」
「わかった」
「じゃ行くぞ、いっせーのーで2」
 
 俺は一本だけ上げる。リアムはと言えばきちんと言われたタイミングで親指を上げてくれたのにホッとした。これで上げないとかじゃもう目も当てられないからな。

「これをターンって言う事にしよう。で、次はリアムのターンだよ。今度はさっき俺がやったみたいに、いっせーのーでの後に無しから4までの数を言ってくれ」
「いくぞ~いっせーのーで4」

俺の指は2本リアムも2本上げたのでリアムの勝ちだ。

「このターンはリアムの勝ちだから、片方下ろして」
「よっしゃ、勝った~」

 わ~いわ~いとはしゃぐリアムの姿を見て、外周に集まった子供たちもウズウズやりたそうに見ている。

「リアムまだ終わってないぞ、次は俺のターンだ片手出してくれ」

リアムに片手を出させて今度は反則をしよう。反則負けも教えないといけないからな。

「次は反則するからな」
「なんだよそれ、ズルか?」
「違う違う、言っただろ説明しながらやるって。だから反則の説明もしないと遊べないだろ。今リアムが上げられるのは1本で俺は2本だ。二人足しても3にしかならないからこれで4って言うとそれが反則になるんだ。良いか、やってみるぞ、いっせーのーで4」
「これはどうなるんだ?」
「反則した時は相手が片手を下ろす。今回はリアムが片手だから、これで両手が下ろせるからリアムが勝ちだ。みんなも隣の人とやってみてくれ」

 俺のゴーサインとともに、二人一組になって「いっせーのーせ」を始めた。
 最初こそ探り探りだったが、一時間もやっているとだんだん慣れてきて無しのフェイントを掛けてくる者も出始めた。こうなれば後はもう勝手に楽しんでもらえれるだろう。
 そして「いっせーのせ」は一月もしない間にこの町の子供たちに大流行した。まあ二人居れば遊べるし、ルールも簡単なのだから娯楽が少ないこの世界では新しい娯楽が伝われば一気に広がる。
 一つ想定外だったのは賭博性が無いと思っていたが予想に反して対戦者同士での賭けが行われ始めた事だった。と言っても金銭が掛けられるのでは無く、子供の間では「キラキラ石」と呼ばれる、東の草原に沢山落ちている小石がチップになっていたのだ。
 中でも隣の家に住むリードは結構強くて、腰につけた巾着状の袋にはキラキラ石がジャラジャラと入っていた。何度か俺にも勝負を挑んできたが6:4で何とか勝ち越してはいる。ただ来月には逆転されるかもしれないな。
 リードはキラキラ石を大量に持ち歩いて、その強さを自慢している。俺には結構負けているくせに。
 姉経由で年上にも広がり、町全体に新たな遊びが広がった。
 さてこのキラキラ石、東の草原に行けば採取可能なのだが、草原にはいくら小型と言っても魔物が出る為、大人と山菜摘みに行く時にしか拾ってこれない。それでも野菜感覚で採取には行くのだから、そんなには間を置かずに採って来れるのだが、中には山菜そっちのけでキラキラ石拾いをして怒られるヤツも居るとか居ないとか。
 しかし極めつけは、大人連中が酒の席でいっせーのーせをやっている話を聞いた事だろう。泥酔するまで飲む事はないが、一勝で一杯おごれとかをやっているらしい。何やってんだか?それでもまあ、少しくらいの娯楽は許容範囲だろう。大した賭博にはならないと思うから放って措くとしよう破産する訳じゃないし・・・しないよね?。
 ちなみに、おれはリードよりも大量のキラキラ石を持ち歩き絶対王者として君臨している。年季が違うんだよ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。 「さようなら、私が産まれた国。  私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」 リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる── ◇婚約破棄の“後”の話です。 ◇転生チート。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。 ◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^ ◇なので感想欄閉じます(笑)

自重知らずの転生貴族は、現在知識チートでどんどん商品を開発していきます!!

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
無限の時空間の中、いきなり意識が覚醒した。 女神の話によれば、異世界に転生できるという。 ディルメス侯爵家の次男、シオン・ディルメスに転生してから九年が経ったある日、邸の執務室へ行くと、対立国の情報が飛び込んできた。 父であるディルメス侯爵は敵軍を迎撃するため、国境にあるロンメル砦へと出発していく。 その間に執務長が領地の資金繰りに困っていたため、シオンは女神様から授かったスキル『創造魔法陣』を用いて、骨から作った『ボーン食器』を発明する。 食器は大ヒットとなり、侯爵領全域へと広がっていった。 そして噂は王国内の貴族達から王宮にまで届き、シオンは父と一緒に王城へ向かうことに……『ボーン食器』は、シオンの予想を遥かに超えて、大事へと発展していくのだった……

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

黒聖女の成り上がり~髪が黒いだけで国から追放されたので、隣の国で聖女やります~【完結】

小平ニコ
ファンタジー
大学生の黒木真理矢は、ある日突然、聖女として異世界に召喚されてしまう。だが、異世界人たちは真理矢を見て、開口一番「なんだあの黒い髪は」と言い、嫌悪の眼差しを向けてきた。 この国では、黒い髪の人間は忌まわしき存在として嫌われており、真理矢は、婚約者となるはずであった王太子からも徹底的に罵倒され、国を追い出されてしまう。 (勝手に召喚して、髪が黒いから出てけって、ふざけるんじゃないわよ――) 怒りを胸に秘め、真理矢は隣国に向かった。どうやら隣国では、黒髪の人間でも比較的まともな扱いを受けられるそうだからだ。 (元の世界には戻れないみたいだし、こうなったら聖女の力を使って、隣の国で成り上がってやるわ) 真理矢はそう決心し、見慣れぬ世界で生きていく覚悟を固めたのだった。

聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。

向原 行人
ファンタジー
土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。 とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。 こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。 土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど! 一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?

向原 行人
ファンタジー
第三王子が趣味で行っている冒険のパーティに所属するマッパー兼食事係の私、アニエスは突然パーティを追放されてしまった。 というのも、新しい食事係の少女をスカウトしたそうで、水魔法しか使えない私とは違い、複数の魔法が使えるのだとか。 私も、好きでもない王子から勝手に婚約者呼ばわりされていたし、追放されたのはありがたいかも。 だけど私が唯一使える水魔法が、実は「飲むと数時間の間、能力を倍増する」効果が得られる神水だったらしく、その効果を失った王子のパーティは、一気に転落していく。 戻ってきて欲しいって言われても、既にモフモフ妖狐や、新しい仲間たちと幸せな日々を過ごしてますから。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...