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1章 葉月と樹
樹・・・?!
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ハイヒールに履きなれないのだろうか…
慎重に、階段を降る葉月ちゃんの姿を見ながら、大丈夫だろうかと思った自分にクスッと笑った。
まるで保護者だなぁ俺は…。
俺の視線に気が付いたのだろうか、葉月ちゃんは立ち止まり、笑みを浮かべると、またゆっくりと足を運び出した。
あれじゃ、いつ下りてこれるのやら…。
でも、目が離せない。今日が最後かもしれないから…
「なぁ…樹。」
理香さんの声に、俺は名残惜しかったが、ゆっくりと理香さんへと視線を移した。
「あたしが恋人役で、悪かったなぁ。7歳も上だし…ほんと悪いなぁ。」
いつもと違って、しおらしい理香さんに、俺はなんだか可笑しくて
「光栄ですよ。理香さん。」
「よく、言うぜ。」と理香さんは苦笑し…葉月ちゃんへと眼をやり
「葉月なら、お前のところの魑魅魍魎に、きっと真正面からぶちあたって行くだろうなぁ。だから、あいつにお前の恋人役をやらせたくなかったんだ。誰でも心から話せばわかってくれると思ってんだよ。あいつだって、崖っぷちを歩いていたくせに…辛酸を何度も舐めたくせに…人を信じてんだよ。あいつバカだから…」
バカと言う言葉が、俺には【優しい】と言っているように聞こえたから、俺はなにも言わずに頷いた。そう言って、2階から降りてくる葉月ちゃんを見る理香さん、あなたも充分…そう充分…
理香さんは俺を黙ってしばらく見ていたが…クスッと笑うと
「樹、一応恋人をやるんだから、これからは敬語はなし、そして理香さんじゃない、理香と呼べよ。」
「わぁ…かなりハードルが高いです。呼び捨ては…」
「そうか?!う~ん…そう言えば、あたしを【理香】と呼び捨てにする奴って、今までにいなかったなぁ。なんでだろう?」
「それって、女友達もですか?」
「あぁ、そうだ。大概…理香様だなぁ…」
あぁ…なんだか理香さんの人間関係が見えてきたような気がする。
引きつりそうな顔に理香さんが…
「なんだよ。その面は…」
ドスの効いた声に、取り合えず口元に笑みを浮かべようとしたら、理香さんが…俺を見て、いや俺の後ろを見て
「大吾、樹が妙な顔であたしを見るんだぜ。」
ほぉ~助かったと、ジョセフィーヌさんへと振り返った。
「えっ…?!どうして…東条 司がここに?」
「おい、そりゃ…大吾が東条 司だからじゃないか。」
「えっ!!!」
東条 司…4年前に文壇にデビューした途端、一躍ベストセラー作家。
3年前には芥川賞を受賞した。
純文学も…ミステリーも…恋愛物も…幅広く書く事で、一部では節操がないと年を食った文壇の重鎮が言っているが、若い世代には絶大な人気を誇っている。
アメリカにいても、東条司の名は知れ渡っていた。
それは、作品はもちろんだが…その容姿も人を惹きつけているからだ。
190cmの大きな体と、その背中に流れる長い黒髪を一本に結んだその姿と、口数の少くないその姿はミステリアスだと、マスコミに持てはやされていたが…だが芥川賞と受賞したのを最後に、東条 司は一切その姿を見せなくなっていた。
「おまえ…東条 司が、大吾とは知らなかったのか?」
そういうと…理香さんは笑ったが…「なんだ、そうかよ…」と言って
「樹の親父と、あたしらの親は大学の同級生だったからか、知っているかと思ったんだが…。」
「えっ?!」
昨夜…養父が言っていたのは…このことか?!
ぽかんとしている俺に、理香さんはニヤリと笑うと
「お前の親父は狸だからなぁ。きっと、クスクスと裏で笑っていたぜ。」
…そんな人だったか?…父さんは…
理香さんは可笑しそうに
「経営者って、大なり小なりそんなもんだろう。」
と言ったが、だんだんとその顔は厳しくなり、
「だがおまえのとこの婆さんは…強烈だ。しいて言えば、年を経て妖力を増した狐…九尾の狐だ。あらゆる人を不幸にしても、権力にしがみつく、まさしく化け物だなぁ。」
理香さんの言葉に、俺は手のひらをぎゅっと握りしめた…あの人は、そうかもしれない。
「あたしらの親も、樹の久住家ほどないが…それなりに知名度があるんだぜ。華道家の松下 麗子…毎年、もう死ぬから旅行に連れて行けと騒ぐ母親だが…華道の世界では、まぁそれなりの人物だ。そして、大吾の父親は衆議院議員、野々村 真吾。どうだ…九尾の狐に牙を向けるのには…まずまずだろう。だから…任せろ。婆さんがお前を経済界から、追い出させるような事はさせない。おまえはただ、あのドロドロした久住本家から抜け出ることだけを考えろ。その一歩が桐谷 由梨奈だ。ちゃんと整理してこい。」
「理香さん…本当は俺…由梨奈に会うのが恐いんです。いや…俺の気持ちがどう動くのかわからなくて…俺自身が恐いんです。」
「ケジメをつけなかった恋は、心の中で美化するものさ。なぁ樹、ビビルな。お前がお前をビビッてどうすんだよ。お前は大丈夫だ。あたしから見たら、お前はすでに10年前の恋を終わらせているぞ。」
「えっ?!」
理香さんは、天を仰ぎ舌打ちし、何か呟くと…大きく息を吐き
「とにかく、戦いに挑む前に、大将がシケた面すんなよ。久住の婆さんの鼻をあかそうぜ。お前が桐谷家より大物の娘を娶って…久住家を乗っ取るのでは、日々心配していた婆さんが、先日、葉月を見て、勝手にお前の恋人だと思い、コンビニでバイトをする平凡な娘だと安心して、これまた勝手に、お前に靡く重役たちを抑えることができると、ルンルンしている。そんなおいしい状況だ。だからやろうぜ…そして一気に落とそうぜ。一応、華道界では名の知れた松下 麗子の娘が恋人で、おまけに友人に、3年間人前に出てこなかった東条 司を引き連れてのご帰還だ。婆さんの顔が引きつるところが見れるぞ。」
「えっ…と、り、りかちゃん…」
と、か細い声が…あぁ!!!そうだった!
「ジョ、ジョセフィーヌさん!!」
「樹、今日はその名前で呼ぶな。今日は東条 司だ。そして!」
と言って、理香さんはジョセフィーヌさんを指さし
「大吾、今日は一言もしゃべんなよ。東条 司バージョンの寡黙な男をやれ。」
「私…」と言ってジョセフィーヌさんは俯いた。
「すみません、ジョセフィーヌさん。俺のせいで、嫌なことをさせて」
「いいんだよ。樹。だいたいあの女装は、人見知りなうえに、あがり症の大吾が、ああやって女装したり、女言葉をしゃべることで野々村大吾という人間から、逃げていたんだ。もう…腹括れよ、大吾。そろそろ…本当のおまえに戻ったらどうだ。」
「理香ちゃん…でも私…ジョセフィーヌでいるときのほうが、本音で話せて、本当に幸せなんだもの。」
「大吾…おまえなぁ…」とムッとした声をあげた理香さんだったが、突然、眼を見開き「おい…」とひとこと言うと、今度は大きな声で叫んだ。
「おい、葉月!!おい、おーい!!大丈夫か?」
そこには…ジョセフィーヌを見て、口をあんぐりさせた葉月ちゃんが、階段の下で座り込んでいた。
慎重に、階段を降る葉月ちゃんの姿を見ながら、大丈夫だろうかと思った自分にクスッと笑った。
まるで保護者だなぁ俺は…。
俺の視線に気が付いたのだろうか、葉月ちゃんは立ち止まり、笑みを浮かべると、またゆっくりと足を運び出した。
あれじゃ、いつ下りてこれるのやら…。
でも、目が離せない。今日が最後かもしれないから…
「なぁ…樹。」
理香さんの声に、俺は名残惜しかったが、ゆっくりと理香さんへと視線を移した。
「あたしが恋人役で、悪かったなぁ。7歳も上だし…ほんと悪いなぁ。」
いつもと違って、しおらしい理香さんに、俺はなんだか可笑しくて
「光栄ですよ。理香さん。」
「よく、言うぜ。」と理香さんは苦笑し…葉月ちゃんへと眼をやり
「葉月なら、お前のところの魑魅魍魎に、きっと真正面からぶちあたって行くだろうなぁ。だから、あいつにお前の恋人役をやらせたくなかったんだ。誰でも心から話せばわかってくれると思ってんだよ。あいつだって、崖っぷちを歩いていたくせに…辛酸を何度も舐めたくせに…人を信じてんだよ。あいつバカだから…」
バカと言う言葉が、俺には【優しい】と言っているように聞こえたから、俺はなにも言わずに頷いた。そう言って、2階から降りてくる葉月ちゃんを見る理香さん、あなたも充分…そう充分…
理香さんは俺を黙ってしばらく見ていたが…クスッと笑うと
「樹、一応恋人をやるんだから、これからは敬語はなし、そして理香さんじゃない、理香と呼べよ。」
「わぁ…かなりハードルが高いです。呼び捨ては…」
「そうか?!う~ん…そう言えば、あたしを【理香】と呼び捨てにする奴って、今までにいなかったなぁ。なんでだろう?」
「それって、女友達もですか?」
「あぁ、そうだ。大概…理香様だなぁ…」
あぁ…なんだか理香さんの人間関係が見えてきたような気がする。
引きつりそうな顔に理香さんが…
「なんだよ。その面は…」
ドスの効いた声に、取り合えず口元に笑みを浮かべようとしたら、理香さんが…俺を見て、いや俺の後ろを見て
「大吾、樹が妙な顔であたしを見るんだぜ。」
ほぉ~助かったと、ジョセフィーヌさんへと振り返った。
「えっ…?!どうして…東条 司がここに?」
「おい、そりゃ…大吾が東条 司だからじゃないか。」
「えっ!!!」
東条 司…4年前に文壇にデビューした途端、一躍ベストセラー作家。
3年前には芥川賞を受賞した。
純文学も…ミステリーも…恋愛物も…幅広く書く事で、一部では節操がないと年を食った文壇の重鎮が言っているが、若い世代には絶大な人気を誇っている。
アメリカにいても、東条司の名は知れ渡っていた。
それは、作品はもちろんだが…その容姿も人を惹きつけているからだ。
190cmの大きな体と、その背中に流れる長い黒髪を一本に結んだその姿と、口数の少くないその姿はミステリアスだと、マスコミに持てはやされていたが…だが芥川賞と受賞したのを最後に、東条 司は一切その姿を見せなくなっていた。
「おまえ…東条 司が、大吾とは知らなかったのか?」
そういうと…理香さんは笑ったが…「なんだ、そうかよ…」と言って
「樹の親父と、あたしらの親は大学の同級生だったからか、知っているかと思ったんだが…。」
「えっ?!」
昨夜…養父が言っていたのは…このことか?!
ぽかんとしている俺に、理香さんはニヤリと笑うと
「お前の親父は狸だからなぁ。きっと、クスクスと裏で笑っていたぜ。」
…そんな人だったか?…父さんは…
理香さんは可笑しそうに
「経営者って、大なり小なりそんなもんだろう。」
と言ったが、だんだんとその顔は厳しくなり、
「だがおまえのとこの婆さんは…強烈だ。しいて言えば、年を経て妖力を増した狐…九尾の狐だ。あらゆる人を不幸にしても、権力にしがみつく、まさしく化け物だなぁ。」
理香さんの言葉に、俺は手のひらをぎゅっと握りしめた…あの人は、そうかもしれない。
「あたしらの親も、樹の久住家ほどないが…それなりに知名度があるんだぜ。華道家の松下 麗子…毎年、もう死ぬから旅行に連れて行けと騒ぐ母親だが…華道の世界では、まぁそれなりの人物だ。そして、大吾の父親は衆議院議員、野々村 真吾。どうだ…九尾の狐に牙を向けるのには…まずまずだろう。だから…任せろ。婆さんがお前を経済界から、追い出させるような事はさせない。おまえはただ、あのドロドロした久住本家から抜け出ることだけを考えろ。その一歩が桐谷 由梨奈だ。ちゃんと整理してこい。」
「理香さん…本当は俺…由梨奈に会うのが恐いんです。いや…俺の気持ちがどう動くのかわからなくて…俺自身が恐いんです。」
「ケジメをつけなかった恋は、心の中で美化するものさ。なぁ樹、ビビルな。お前がお前をビビッてどうすんだよ。お前は大丈夫だ。あたしから見たら、お前はすでに10年前の恋を終わらせているぞ。」
「えっ?!」
理香さんは、天を仰ぎ舌打ちし、何か呟くと…大きく息を吐き
「とにかく、戦いに挑む前に、大将がシケた面すんなよ。久住の婆さんの鼻をあかそうぜ。お前が桐谷家より大物の娘を娶って…久住家を乗っ取るのでは、日々心配していた婆さんが、先日、葉月を見て、勝手にお前の恋人だと思い、コンビニでバイトをする平凡な娘だと安心して、これまた勝手に、お前に靡く重役たちを抑えることができると、ルンルンしている。そんなおいしい状況だ。だからやろうぜ…そして一気に落とそうぜ。一応、華道界では名の知れた松下 麗子の娘が恋人で、おまけに友人に、3年間人前に出てこなかった東条 司を引き連れてのご帰還だ。婆さんの顔が引きつるところが見れるぞ。」
「えっ…と、り、りかちゃん…」
と、か細い声が…あぁ!!!そうだった!
「ジョ、ジョセフィーヌさん!!」
「樹、今日はその名前で呼ぶな。今日は東条 司だ。そして!」
と言って、理香さんはジョセフィーヌさんを指さし
「大吾、今日は一言もしゃべんなよ。東条 司バージョンの寡黙な男をやれ。」
「私…」と言ってジョセフィーヌさんは俯いた。
「すみません、ジョセフィーヌさん。俺のせいで、嫌なことをさせて」
「いいんだよ。樹。だいたいあの女装は、人見知りなうえに、あがり症の大吾が、ああやって女装したり、女言葉をしゃべることで野々村大吾という人間から、逃げていたんだ。もう…腹括れよ、大吾。そろそろ…本当のおまえに戻ったらどうだ。」
「理香ちゃん…でも私…ジョセフィーヌでいるときのほうが、本音で話せて、本当に幸せなんだもの。」
「大吾…おまえなぁ…」とムッとした声をあげた理香さんだったが、突然、眼を見開き「おい…」とひとこと言うと、今度は大きな声で叫んだ。
「おい、葉月!!おい、おーい!!大丈夫か?」
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