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エリザベスは眼を覚ますと大きな声で泣き出し、コンウォール夫妻の名を呼んだ。
その時エリザベスの手に、白く柔らかい手が覆った。
「エリザベス様。」
コンウォール夫人の手だった、そして声だった。
エリザベスは両手を突き出し抱擁をねだった。コンウォール夫人は、エリザベスをしっかり抱きしめ
「私も主人も大丈夫です。ありがとうございます。エリザベス様。」
エリザベスは泣いたため掠れた声で、そしてすこし震えながら
「…ふたりとも…死ぬ覚悟だったのでしょう。私の前に立って、ジェラルドから私を守る為に、体を張って…なのに…治癒魔法を使うなって…言うんだもの…嫌よ。もう…両親を失うのを見るのは嫌です!」
コンウォール男爵は、部屋の前でエリザベスの声を聞いた。言葉が出なかった。部屋に入るつもりが、動けなかった。
ー私達夫婦を、親のように思って下さることは嬉しい。だが私はエリザベス様を守る為なら、また命を投げ出すだろう。
コンウォールは、扉を見つめていたがとうとう部屋に入ることが出来ず…踵を返した。
ジェラルドと言う男は、レジスタンス活動家と言っているが、本当は協力すればサザーランドの重鎮として迎えるという美味しい餌に釣られている小物だ。だが、あのバクルー王から、逃げてきたところを見ると、どうや ら悪運だけは、大物並みにあるらしい。
サーザーランド国の将軍は、嘲笑いながら目の前の男をそう評した。
「それでエリザベス王女は本物か?」
「間違いないです。治癒魔法を使い、かまいたちのようなつむじ風をおこしたり、すごい魔法でしたが…でも体調が悪かったのか倒れて…。」
「倒れたのか?」
「はい、真っ青な顔で倒れてしまったんですよ、でもおかげで命拾いしました。」
「体調が…悪いのか…」
「だから今なら王女を攫えますよ。それにあの王女は、コンウォール夫妻に懐いているから、あの夫妻を人質にとれば、言うことを聞かせることは簡単にできます。」
サザーランド国の将軍はこの男を信用はしていないが、この案は使えると思った。魔法を使って王国に結界を張り、数百年他国を寄せ付けなかったマールバラ王国、それがエリザベス王女の叔母パメラによって崩れた。あの時は魔法を持っていても、恨み、妬みは我々と同じかと笑ったが…まさかバクルー国が、裏で糸を引いているとは思っていなかった。あの時はやられたと臍を噛んだが、もうこれ以上、バクルー国の思い通りにさせられん。いずれ、バクルー国はこの大陸を手中に治め、海を隔てた我が国サザーランド国にも手を伸ばしてくるだろう。
それに…エリザベス王女の魔法は欲しい。ジェラルドの言う通りなら、やはり今だろう。今しかない。
「ジェラルド、おまえが逃走に使ったルートを使い、まず少人数潜り込ませ内部を撹乱し、本隊を突入させる。ジェラルド、案内せぇ!!」」
「はい!」
深く寝静まり返った王宮で、腹部に触れながら囁くエリザベスの声が響いた。
「やっぱり、あなたはここにいるのね。」
―胎盤が母親の血液から赤ちゃんの成長に必要な酸素と栄養を吸収するように、この子は私から魔力を取り込んでいるんだろう。だから…あの時魔力が枯渇して…倒れたんだ。
確かに治癒魔法は膨大な魔力を使うが…2回ほどの治癒魔法で魔力が枯渇なんてあり得ない。
魔力の枯渇は確かに…マズい。
ペンダントに入れたマールバラ王家が代々繋げてきた《王華》も手元にない。
これからの事をかんがえると、良い状況とは言えないだろう。
でも…エリザベスはまたそっとおなかに触れ
ーあなたがいる。
そして…。
枕元で私を見るコンウォール夫人に…今はこれだけで満足。
命さえあれば、次の機会を窺える。状況は押され気味だが、まだ負けたわけじゃない。
どう出るバクルー王。そしてジェラルドは逃げたと聞いた、サザーランド国が出てくるかもしれない。
アーク、今どの辺り?魔法が枯渇しているから探ることさえ出来ない…。
《王華》をもちろん待っている、でもそれ以上にあなたに会いたい。
そう思っていたら、また眠りに攫われてしまった。
コンウォール夫人は、小さな寝息を立て始めたエリザベスの額に掛かる髪を横に流しながら
ーこの方は、いつまでも子供ような純真な心と、勇しい君主の強さと、恋する女の艶やかさをお持ちだ…ぁ…それと…優しい母親の顔も…。
どの顔にも皆が心引かれ、この方を敬い、そして欲しがる。きっと魔法をお持ちでなかったとしても同じだろう。
コンウォール夫人は、エリザベスの額に手を翳し、熱が高いことに眉を顰めた。
冷やして方がいいと思い、部屋の扉に手を掛けた…ところが扉のノブに力を入れる前に外から引っ張られ、扉の外に飛び出したような状態になり、バランスを崩す寸前…大きく太い腕に抱きとめられた。
「飛んで火にいる夏の虫?自分から進んで災いの中に飛び込んでくるとは…」とその腕は言った。
コンウォール夫人は、顔を上げその顔を見た。
「あ、あなたは…?」
その男は、その場に合わない笑顔で
「私はサザーランドで将軍を拝命しておる、フリール。お初にお目にかかる、コンウォール男爵夫人。」
コンウォール夫人は…言葉を無くした、なんてこと…サザーランドまでが参戦してくるとは…恐かった、だが…負けられないとコンウォール夫人は、フリールを睨み、その腕から逃れようと体を捻りながら
「ここはエリザベス様のお部屋、無礼でしょう…どうぞお引取りを」
フリールは、腕の中のコンウォール夫人を囲う手を緩めたが…それは後ろの部下へ引き渡すためだった。
「悪いが、あなたとエリザベス王女は、サザーランドに来て頂く。」
コンウォール夫人は、叫び声を挙げるまもなく、猿轡をされ抱えあげられた。
フリールは、ゆっくりエリザベスのベットに近づき…
「ほぉ~。どれだけお疲れなんだ、眠っている。」と笑い、エリザベスに手を伸ばした。だが、その手は小さく白い手に弾かれた。
「触らないで」静かな声だったが、フリールは息を飲んだ。
「自分で起き上がれます。」そう言って、エリザベスは体を起こした。その時、扉近くで拘束されている、コンウォール夫人が眼に入ったのだろう、エリザベスはフリールを睨み
「コンウォール夫人にもしものことがあったら、ここを火の海にするわ。」
フリールは、頷くことしかできなかった、それほどエリザベスの迫力に飲まれていた。エリザベスはふらつく体を叱咤しながら、部屋の扉まできて…後ろを振り返った。そこには今まで寝ていたベットしかないのだが、エリザベスには…こちらに向かっているアークが見えた気がした。
ーアーク、あなたにもう会えないのだろうか…。
ゆっくりと踵を返し、扉へと向かったエリザベスだったが、その背に(エリザベス)と呼ぶアークの声が…した。
エリザベスはハッとして、もう一度振り返ったが、寝室の扉がゆっくりと、アークフリードとエリザベスを引き離すようにガタンという重い音をたてて閉まっていった。
その時エリザベスの手に、白く柔らかい手が覆った。
「エリザベス様。」
コンウォール夫人の手だった、そして声だった。
エリザベスは両手を突き出し抱擁をねだった。コンウォール夫人は、エリザベスをしっかり抱きしめ
「私も主人も大丈夫です。ありがとうございます。エリザベス様。」
エリザベスは泣いたため掠れた声で、そしてすこし震えながら
「…ふたりとも…死ぬ覚悟だったのでしょう。私の前に立って、ジェラルドから私を守る為に、体を張って…なのに…治癒魔法を使うなって…言うんだもの…嫌よ。もう…両親を失うのを見るのは嫌です!」
コンウォール男爵は、部屋の前でエリザベスの声を聞いた。言葉が出なかった。部屋に入るつもりが、動けなかった。
ー私達夫婦を、親のように思って下さることは嬉しい。だが私はエリザベス様を守る為なら、また命を投げ出すだろう。
コンウォールは、扉を見つめていたがとうとう部屋に入ることが出来ず…踵を返した。
ジェラルドと言う男は、レジスタンス活動家と言っているが、本当は協力すればサザーランドの重鎮として迎えるという美味しい餌に釣られている小物だ。だが、あのバクルー王から、逃げてきたところを見ると、どうや ら悪運だけは、大物並みにあるらしい。
サーザーランド国の将軍は、嘲笑いながら目の前の男をそう評した。
「それでエリザベス王女は本物か?」
「間違いないです。治癒魔法を使い、かまいたちのようなつむじ風をおこしたり、すごい魔法でしたが…でも体調が悪かったのか倒れて…。」
「倒れたのか?」
「はい、真っ青な顔で倒れてしまったんですよ、でもおかげで命拾いしました。」
「体調が…悪いのか…」
「だから今なら王女を攫えますよ。それにあの王女は、コンウォール夫妻に懐いているから、あの夫妻を人質にとれば、言うことを聞かせることは簡単にできます。」
サザーランド国の将軍はこの男を信用はしていないが、この案は使えると思った。魔法を使って王国に結界を張り、数百年他国を寄せ付けなかったマールバラ王国、それがエリザベス王女の叔母パメラによって崩れた。あの時は魔法を持っていても、恨み、妬みは我々と同じかと笑ったが…まさかバクルー国が、裏で糸を引いているとは思っていなかった。あの時はやられたと臍を噛んだが、もうこれ以上、バクルー国の思い通りにさせられん。いずれ、バクルー国はこの大陸を手中に治め、海を隔てた我が国サザーランド国にも手を伸ばしてくるだろう。
それに…エリザベス王女の魔法は欲しい。ジェラルドの言う通りなら、やはり今だろう。今しかない。
「ジェラルド、おまえが逃走に使ったルートを使い、まず少人数潜り込ませ内部を撹乱し、本隊を突入させる。ジェラルド、案内せぇ!!」」
「はい!」
深く寝静まり返った王宮で、腹部に触れながら囁くエリザベスの声が響いた。
「やっぱり、あなたはここにいるのね。」
―胎盤が母親の血液から赤ちゃんの成長に必要な酸素と栄養を吸収するように、この子は私から魔力を取り込んでいるんだろう。だから…あの時魔力が枯渇して…倒れたんだ。
確かに治癒魔法は膨大な魔力を使うが…2回ほどの治癒魔法で魔力が枯渇なんてあり得ない。
魔力の枯渇は確かに…マズい。
ペンダントに入れたマールバラ王家が代々繋げてきた《王華》も手元にない。
これからの事をかんがえると、良い状況とは言えないだろう。
でも…エリザベスはまたそっとおなかに触れ
ーあなたがいる。
そして…。
枕元で私を見るコンウォール夫人に…今はこれだけで満足。
命さえあれば、次の機会を窺える。状況は押され気味だが、まだ負けたわけじゃない。
どう出るバクルー王。そしてジェラルドは逃げたと聞いた、サザーランド国が出てくるかもしれない。
アーク、今どの辺り?魔法が枯渇しているから探ることさえ出来ない…。
《王華》をもちろん待っている、でもそれ以上にあなたに会いたい。
そう思っていたら、また眠りに攫われてしまった。
コンウォール夫人は、小さな寝息を立て始めたエリザベスの額に掛かる髪を横に流しながら
ーこの方は、いつまでも子供ような純真な心と、勇しい君主の強さと、恋する女の艶やかさをお持ちだ…ぁ…それと…優しい母親の顔も…。
どの顔にも皆が心引かれ、この方を敬い、そして欲しがる。きっと魔法をお持ちでなかったとしても同じだろう。
コンウォール夫人は、エリザベスの額に手を翳し、熱が高いことに眉を顰めた。
冷やして方がいいと思い、部屋の扉に手を掛けた…ところが扉のノブに力を入れる前に外から引っ張られ、扉の外に飛び出したような状態になり、バランスを崩す寸前…大きく太い腕に抱きとめられた。
「飛んで火にいる夏の虫?自分から進んで災いの中に飛び込んでくるとは…」とその腕は言った。
コンウォール夫人は、顔を上げその顔を見た。
「あ、あなたは…?」
その男は、その場に合わない笑顔で
「私はサザーランドで将軍を拝命しておる、フリール。お初にお目にかかる、コンウォール男爵夫人。」
コンウォール夫人は…言葉を無くした、なんてこと…サザーランドまでが参戦してくるとは…恐かった、だが…負けられないとコンウォール夫人は、フリールを睨み、その腕から逃れようと体を捻りながら
「ここはエリザベス様のお部屋、無礼でしょう…どうぞお引取りを」
フリールは、腕の中のコンウォール夫人を囲う手を緩めたが…それは後ろの部下へ引き渡すためだった。
「悪いが、あなたとエリザベス王女は、サザーランドに来て頂く。」
コンウォール夫人は、叫び声を挙げるまもなく、猿轡をされ抱えあげられた。
フリールは、ゆっくりエリザベスのベットに近づき…
「ほぉ~。どれだけお疲れなんだ、眠っている。」と笑い、エリザベスに手を伸ばした。だが、その手は小さく白い手に弾かれた。
「触らないで」静かな声だったが、フリールは息を飲んだ。
「自分で起き上がれます。」そう言って、エリザベスは体を起こした。その時、扉近くで拘束されている、コンウォール夫人が眼に入ったのだろう、エリザベスはフリールを睨み
「コンウォール夫人にもしものことがあったら、ここを火の海にするわ。」
フリールは、頷くことしかできなかった、それほどエリザベスの迫力に飲まれていた。エリザベスはふらつく体を叱咤しながら、部屋の扉まできて…後ろを振り返った。そこには今まで寝ていたベットしかないのだが、エリザベスには…こちらに向かっているアークが見えた気がした。
ーアーク、あなたにもう会えないのだろうか…。
ゆっくりと踵を返し、扉へと向かったエリザベスだったが、その背に(エリザベス)と呼ぶアークの声が…した。
エリザベスはハッとして、もう一度振り返ったが、寝室の扉がゆっくりと、アークフリードとエリザベスを引き離すようにガタンという重い音をたてて閉まっていった。
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