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結婚までの7日間 Lucian & Rosalie
3日目③
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「あはは…こりゃぁいいや!」
アストンは大きな声で笑うと
「ガキや、孫を連れたじぃさんと、何をしようと言うんだ?まさかこいつらと一緒に、侯爵と次期国王を狙うつもりなのか?!笑わせるな。とばっちりを食って、こちらの命が危うくなるのはごめんだ!俺ひとりにやらせろ!」
アストンの怒鳴る声を黙って聞いていたナダルは、アストンをジッと見ると、つぶやくように
「アストン…おまえらしくないな。」
「…どういう意味だ。」
「おまえは、そんなに熱い男じゃなかった…と俺は思っていたんだが…どうした?」
ナダルの問いかけに、答える事ができないのだろう、アストンは唇を噛んだ。その様子をナダルは目を細めて、また何か言おうとした時…。
「そこの若い奴が、侯爵と次期国王に相当コテンパンにやられたという噂は、本当だったようだな。歳を取ると嫌なことはすぐ忘れるが、若い奴らは執念深いからな。大方、借りをかえしたいんだろうよ。まぁ、よくある話だ。俺もそうだったしな。」
庇った?!
お父様も…アストンが私達と知り合いだという事を、隠そうとしていらっしゃる。
アストンもそうだ。
私や、お父様、ミランダ姫だって、知っているはずなのに…まるで庇うように言わない。
それってまさか…私達の仲間?
それなら、ルシアン殿下はご存知のはず…私はどうしたら良いのだろうか?
私は問うように、扉に凭れるルシアン殿下に、目を向けたが、仮面の下にある表情は、全くわからない。
一体…何を考えておいでなんだろう。
【昨夜、初めて俺に抱かれ事も…。いつまでたっても、俺を殿下と呼び、主君と家臣という関係を崩さない事も…。そんな事という一括りの物の中に当てはまるのか?!】
【おまえのひとつひとつの言動に、時折たまらなくイラつくんだ。そしてイラつく自分に…より腹が立つ。】
私の何が…
ルシアン殿下にこんな事を言わせてしまったのだろう。
先ほど言われた言葉がグルグルと、頭の中を回る。
ルシアン殿下も、ナダル達同様に、王家という血に振り回され、母親を殺されて…その事が、ナダル達の人生と、自分の人生が重なって見え、いつものルシアン殿下らしくないのだろうか?
…ぁ…それだけじゃないかも…。
ルシアン殿下へと視線を向けると、赤い瞳も私を見ている。
不満なんですか?
いつまでたっても、婚約者というより…騎士である私に、不満がおありなんですか?
ルシアン殿下の妃でもあり、ルシアン殿下の騎士でもありたいと願うのは、難しい事なのだろうか?
この町に、染み付いた呪いのような空気に当てられ、乱れているルシアン殿下の心を抱きしめたいと思う妃の気持ちと…。
ルシアン殿下の命を狙う輩から、剣を持って戦いたいと思う騎士の気持ちと…。
両立できないのなら…。
私はルシアン殿下に相応しい存在ではないという事なんだろうか。
相応しく…ない。
私では、ルシアン殿下の心は、命は守れない?
落ち着け。
心が揺れると、判断が鈍る。そして剣裁きもだ。
いざという時、判断を誤り、ルシアン殿下に何かあれば…
私は生きて行けない。
落ち着け。今は…この状況を把握しろ。
ドキドキと慌ただしくなる心臓の音が、聞こえた。
落ち着けと、また心の中で叫ぶ私を嘲笑うかのように…大きな声が私へと向けられた。
「このガキは、王家の犬だ!」
そう言って、人をかき分け入ってきた男は左手で私を指差し、ニヤニヤとした顔で私を見ながら
「俺に城へ行け、行けば助けてやるっていったんだ。」
包帯に巻かれた右手を、左手でさすりながら
「おかげで右手は腐らなかった、ありがとよ。」
笑った男の口元から、黄色い歯が見えた。
アストンは大きな声で笑うと
「ガキや、孫を連れたじぃさんと、何をしようと言うんだ?まさかこいつらと一緒に、侯爵と次期国王を狙うつもりなのか?!笑わせるな。とばっちりを食って、こちらの命が危うくなるのはごめんだ!俺ひとりにやらせろ!」
アストンの怒鳴る声を黙って聞いていたナダルは、アストンをジッと見ると、つぶやくように
「アストン…おまえらしくないな。」
「…どういう意味だ。」
「おまえは、そんなに熱い男じゃなかった…と俺は思っていたんだが…どうした?」
ナダルの問いかけに、答える事ができないのだろう、アストンは唇を噛んだ。その様子をナダルは目を細めて、また何か言おうとした時…。
「そこの若い奴が、侯爵と次期国王に相当コテンパンにやられたという噂は、本当だったようだな。歳を取ると嫌なことはすぐ忘れるが、若い奴らは執念深いからな。大方、借りをかえしたいんだろうよ。まぁ、よくある話だ。俺もそうだったしな。」
庇った?!
お父様も…アストンが私達と知り合いだという事を、隠そうとしていらっしゃる。
アストンもそうだ。
私や、お父様、ミランダ姫だって、知っているはずなのに…まるで庇うように言わない。
それってまさか…私達の仲間?
それなら、ルシアン殿下はご存知のはず…私はどうしたら良いのだろうか?
私は問うように、扉に凭れるルシアン殿下に、目を向けたが、仮面の下にある表情は、全くわからない。
一体…何を考えておいでなんだろう。
【昨夜、初めて俺に抱かれ事も…。いつまでたっても、俺を殿下と呼び、主君と家臣という関係を崩さない事も…。そんな事という一括りの物の中に当てはまるのか?!】
【おまえのひとつひとつの言動に、時折たまらなくイラつくんだ。そしてイラつく自分に…より腹が立つ。】
私の何が…
ルシアン殿下にこんな事を言わせてしまったのだろう。
先ほど言われた言葉がグルグルと、頭の中を回る。
ルシアン殿下も、ナダル達同様に、王家という血に振り回され、母親を殺されて…その事が、ナダル達の人生と、自分の人生が重なって見え、いつものルシアン殿下らしくないのだろうか?
…ぁ…それだけじゃないかも…。
ルシアン殿下へと視線を向けると、赤い瞳も私を見ている。
不満なんですか?
いつまでたっても、婚約者というより…騎士である私に、不満がおありなんですか?
ルシアン殿下の妃でもあり、ルシアン殿下の騎士でもありたいと願うのは、難しい事なのだろうか?
この町に、染み付いた呪いのような空気に当てられ、乱れているルシアン殿下の心を抱きしめたいと思う妃の気持ちと…。
ルシアン殿下の命を狙う輩から、剣を持って戦いたいと思う騎士の気持ちと…。
両立できないのなら…。
私はルシアン殿下に相応しい存在ではないという事なんだろうか。
相応しく…ない。
私では、ルシアン殿下の心は、命は守れない?
落ち着け。
心が揺れると、判断が鈍る。そして剣裁きもだ。
いざという時、判断を誤り、ルシアン殿下に何かあれば…
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落ち着け。今は…この状況を把握しろ。
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落ち着けと、また心の中で叫ぶ私を嘲笑うかのように…大きな声が私へと向けられた。
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「俺に城へ行け、行けば助けてやるっていったんだ。」
包帯に巻かれた右手を、左手でさすりながら
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