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結婚までの7日間 Lucian & Rosalie
3日目 ②
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階段を下りる足が重かった。
でもそれは、アストンがいるということよりも、階段の下で私を見つめる赤い瞳が、足を重く感じさせていた。
「おう!やってきたか。」
ナダルの声に私は顔を上げると、アストンが目を見開き、あっ…という顔をしたが、私から視線をずらし
「…ガキもいるのか?」とナダルを嘲笑うと
「俺が強い奴とやりたいと言ったら、最強剣士トーナメント戦なんかに出ている奴より、もっとスゲー奴とやれると言われてきたんだ。まさかこいつが…か?ふざけんな。俺はガキの遊び相手の為に、ここに来たんじゃねぇ!」
アストン…?
私が誰だかわかっているはずなのに…なぜ、知らないふりをする?
「こいつは可愛らしい顔をしたガキだが…すごいぜ。最強剣士トーナメント戦なんか出た野郎より遙かに強い。」
「フ~ン。だがガキとは、俺はやりたくないな。切り殺したら後味も悪い。あぁ、なんだよ!スゲー奴と言うから、あのウィンスレット侯爵か、次期ローラン国王のルシアン様だと思ったぜ。」
「あはは…。それはもう少し待て。まもなく準備ができる、そうしたら、おまえにも一肌脱いでもらうつもりだ。」
「マジか…?嘘だろう…。俺をここまで引っ張ってきた奴が言っていた、最強剣士トーナメント戦なんかよりスゲー奴ってのは…本当にそのふたりなのか?だが…あのふたりは侯爵と次期国王だ。」
「なにを驚いているんだ?そのえら~いご身分の方おふたりと、一度は手合わせをしたんだろう?」
アストンは口元を歪め
「なぜ…知っている?」
ナダルはクスクスと笑いながら
「先代のローラン王に雇われたおまえの事を、知っている奴が仲間にいるんだ。そいつが、おまえを最強剣士トーナメント戦の受付にいるところを見てな。」
そこで一旦、話すのを止めてニヤリと笑うと
「ブラチフォード国から、命からがら逃げだしてきたんだろう。 」
アストンの舌打ちが聞こえ、その視線が私へと動いた。
それに気づいたのか、ナダルは大きな声で笑い
「バカにしたガキの前で、尻尾を巻いて逃げ出してきた事を、言われるのは悔しかったか?だが、スゲーじゃんか、おまえは殺されなかった。今までの奴はみんな…あの世とやらに送られたが、おまえはたいしてケガもせずにこの国に戻ってきた。その腕が欲しい。」
「それはあのふたりを殺すということか…?」
「あぁ、リベンジしないか?」
ルシアン殿下がアストンに負けるとは思えないが、数カ月前より、剣の速さも、体の切れも、数段上になっている今のアストンと戦えば、ルシアン殿下とて無傷ではいられない。いや…大きな怪我を負うかもしれない。
そんなことはさせない。
「いいのか?ナダル。」
「なんだ?」
「最強剣士トーナメント戦の賞金の3倍も私に払うのに…しょぼい仕事をやらせては…損ではないのか?」
「確かに…だが、このアストンも良い腕をしているからな。どちらにしようかなぁ…。」
そう言って、私とナダルを交互に見ると、ニヤニヤと笑ったが…わざとらしく思い出したように
「おっ!そうだった。もうひとりいたんだ。最強剣士トーナメント戦の優勝者が…」
えっ?最強剣士トーナメント戦の優勝者…。
「じぃさん!来いよ。」
じぃさん?
ナダルの声と同時に、隣の部屋から現れた男は…
ジュストコール(上着)、ジレ(ベスト)、白いシャツを着て、ボンタン(ブカッとしたズボン)、ブーツを履き、左手に黒の指無しグローブに髑髏の大きな指輪、腰に橙色のサッシュベルト(飾り帯)を巻き、その上から黒皮のベルト。
剣は、上着の上から焦茶色の皮の剣帯で吊り上げ、頭には緑のバンダナを巻き、その上にツバ広の羽根付き帽子。
おまけに蛇の形のネックレス、右手に獅子の頭の紋様の指輪というアクセサリーまで身に着け、左手には…少女を抱きかかえた男が出てきた。
…嘘。
男の左腕に抱きかかえられた少女は、私と目が合うとニンマリ笑って、山賊のような恰好の男に
「じぃちゃん、お腹すいた~。」
…じぃちゃん…?!
「ミ・ミ・ミ…」
「うん、でもミミ、我慢する。」
…マジですか?
その恰好は…今、臭い芝居を得意げに披露し、ニンマリ笑っておいでの方の例のご趣味ですか?
……なんでここに…お父様。ミランダ姫。
私は思い切り、頭を抱えた。
でもそれは、アストンがいるということよりも、階段の下で私を見つめる赤い瞳が、足を重く感じさせていた。
「おう!やってきたか。」
ナダルの声に私は顔を上げると、アストンが目を見開き、あっ…という顔をしたが、私から視線をずらし
「…ガキもいるのか?」とナダルを嘲笑うと
「俺が強い奴とやりたいと言ったら、最強剣士トーナメント戦なんかに出ている奴より、もっとスゲー奴とやれると言われてきたんだ。まさかこいつが…か?ふざけんな。俺はガキの遊び相手の為に、ここに来たんじゃねぇ!」
アストン…?
私が誰だかわかっているはずなのに…なぜ、知らないふりをする?
「こいつは可愛らしい顔をしたガキだが…すごいぜ。最強剣士トーナメント戦なんか出た野郎より遙かに強い。」
「フ~ン。だがガキとは、俺はやりたくないな。切り殺したら後味も悪い。あぁ、なんだよ!スゲー奴と言うから、あのウィンスレット侯爵か、次期ローラン国王のルシアン様だと思ったぜ。」
「あはは…。それはもう少し待て。まもなく準備ができる、そうしたら、おまえにも一肌脱いでもらうつもりだ。」
「マジか…?嘘だろう…。俺をここまで引っ張ってきた奴が言っていた、最強剣士トーナメント戦なんかよりスゲー奴ってのは…本当にそのふたりなのか?だが…あのふたりは侯爵と次期国王だ。」
「なにを驚いているんだ?そのえら~いご身分の方おふたりと、一度は手合わせをしたんだろう?」
アストンは口元を歪め
「なぜ…知っている?」
ナダルはクスクスと笑いながら
「先代のローラン王に雇われたおまえの事を、知っている奴が仲間にいるんだ。そいつが、おまえを最強剣士トーナメント戦の受付にいるところを見てな。」
そこで一旦、話すのを止めてニヤリと笑うと
「ブラチフォード国から、命からがら逃げだしてきたんだろう。 」
アストンの舌打ちが聞こえ、その視線が私へと動いた。
それに気づいたのか、ナダルは大きな声で笑い
「バカにしたガキの前で、尻尾を巻いて逃げ出してきた事を、言われるのは悔しかったか?だが、スゲーじゃんか、おまえは殺されなかった。今までの奴はみんな…あの世とやらに送られたが、おまえはたいしてケガもせずにこの国に戻ってきた。その腕が欲しい。」
「それはあのふたりを殺すということか…?」
「あぁ、リベンジしないか?」
ルシアン殿下がアストンに負けるとは思えないが、数カ月前より、剣の速さも、体の切れも、数段上になっている今のアストンと戦えば、ルシアン殿下とて無傷ではいられない。いや…大きな怪我を負うかもしれない。
そんなことはさせない。
「いいのか?ナダル。」
「なんだ?」
「最強剣士トーナメント戦の賞金の3倍も私に払うのに…しょぼい仕事をやらせては…損ではないのか?」
「確かに…だが、このアストンも良い腕をしているからな。どちらにしようかなぁ…。」
そう言って、私とナダルを交互に見ると、ニヤニヤと笑ったが…わざとらしく思い出したように
「おっ!そうだった。もうひとりいたんだ。最強剣士トーナメント戦の優勝者が…」
えっ?最強剣士トーナメント戦の優勝者…。
「じぃさん!来いよ。」
じぃさん?
ナダルの声と同時に、隣の部屋から現れた男は…
ジュストコール(上着)、ジレ(ベスト)、白いシャツを着て、ボンタン(ブカッとしたズボン)、ブーツを履き、左手に黒の指無しグローブに髑髏の大きな指輪、腰に橙色のサッシュベルト(飾り帯)を巻き、その上から黒皮のベルト。
剣は、上着の上から焦茶色の皮の剣帯で吊り上げ、頭には緑のバンダナを巻き、その上にツバ広の羽根付き帽子。
おまけに蛇の形のネックレス、右手に獅子の頭の紋様の指輪というアクセサリーまで身に着け、左手には…少女を抱きかかえた男が出てきた。
…嘘。
男の左腕に抱きかかえられた少女は、私と目が合うとニンマリ笑って、山賊のような恰好の男に
「じぃちゃん、お腹すいた~。」
…じぃちゃん…?!
「ミ・ミ・ミ…」
「うん、でもミミ、我慢する。」
…マジですか?
その恰好は…今、臭い芝居を得意げに披露し、ニンマリ笑っておいでの方の例のご趣味ですか?
……なんでここに…お父様。ミランダ姫。
私は思い切り、頭を抱えた。
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