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【閑話】暗躍する者は…。
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悪魔との契約で得た力で、ローラン王はアデリーナの眼を使って、ロザリー達の様子を見ていたが、突然眼の前が真っ白となり……すべてを知った。
「アデリーナは…大嫌いな神の下へ逝ったか…。」
そう言ってクスリと笑い
「良かったではないか、悪魔の下へ行くより、一応慈悲深い神のほうが、アデリーナは救われるだろう。だが、アデリーナのことだ、天で神に会ったら、叫んでいるかもしれんな。
《なぜ?現世でもあのふたりは…一緒なの!まるで結ばれるように、一緒の時代に、そして身近に、生まれるようになっているの!》…と。
なぁ、アデリーナ。
一度結びついた魂は、引き合うものだと私は思いしらされたが、おまえはそうは思わなかったか?
多くの者が前世など覚えてはいない、だが、魂は覚えていると思わなかったか?
愛する者の身近にいたいと、魂はそれだけを思って、次の世に生まれ変わって行くようだと私は思ったのだが…。
前世で成就した恋なら、ただ愛する人の側にいるだけでも、魂は満足なのだろうが、ルシアンとロザリーのように…お互い愛しあっていても、戦争や、アデリーナ、おまえのような横恋慕で、前世では結ばれなかったら、その悲恋を…魂は忘れられなくて、この恋を成就しようとするのだろう。
フッ…どうやら、私とお前が悪魔と契約しても追いかけたの恋は…1000年経とうが、成就することがないということだ。さすが悪魔だな。一杯食わされたな。」
ワインをグィと飲み干し、またクスクスと笑い
「ならば…ロザリーと言う女の清廉な気が強くなったのは…」と言うと、グラスにワインをなみなみと継ぎ足した。
「あれも…魂か…。愛する者の側でその人を守りたいと言う気持ちが、あのような力になったということだろうな。…愛…ということか…参った。まぁ、心の色が…綺麗だから出来たことなのだろう。あのミランダ姫が懐くわけだ。」
そう言いながら、立ちあがった拍子に、ワイングラスを床に落としたローラン王は、粉々に割れたワイングラスを見つめていたが、屈んで欠片を手に取ると、ギュッと握り締め、真っ赤な赤ワインのような血が、ポタンと一滴落ちて行くのを見て、ようやくそのワイングラスの欠片を床に落とした。
「アデリーナ、おまえはついていたなぁ。ロザリーがいたから、悪魔との契約を破棄できたではないか、だが…もう…ロザリーにはそんな力は残ってないだろう。ならば私は、このまま彷徨い歩く化け物のままで、あと1000年生きねばならん。長い時間をひとりか…」
滴り落ち行く血を見つめながら…
「…まぁ…良いか、」
『また、諦めたように言われる。いい加減になさいませ。』
耳元でそんな声が聞こえた。
…まぁ…良いか…と私が言うと、おまえは頬を膨らませて、そう言っていたな。
好きだった。
妹だと知らずに愛した女性は、いつも明るく前向きで…そこが堪らなく好きだった。
「そうだな、スミラ。」
あの頃のように、そう答えると
『そんな時は、木の上から周りの景色を見るんです、広い大地と空を見ていると、悩んでいる事がちっちゃい事だと気が付きます。鳥になった気分で下にいる輩を見れば、すっきりです!』
…と、またそう聞こえてきた。
「だが…木の上に登っても、鳥のような気分になれるほど、もうそんな心の清らかさが、私にはなくなったのだ。」
スミラにまた会いたくて…。
今度はただの男と女という形で会いたいという思いに、心が一杯になった時だった。
スミラにそっくりなアデリーナが誘う悪魔との契約は、甘美なワインのように思えた。
だが、どうしてだろう。
同じ顔なのに…スミラと同じ顔なのに。
だんだんと私には、スミラとは思えなくなり、それ以来、逆に魂が同じなら、生まれ変わった者がスミラだと思えるのか…と考えるようになっていた。
だから…
『姿は変わっても…魂は同じなんだから…だからあなたはロイよ。なにを言っているの?』
そうルシアンに叫ぶアデリーナの言葉に俺は嘲笑った…そうだ、見えたのだ。
愚かしさがよく見えて、可笑しくて堪らない。
私の恋も……そう見えていたのか?
フッ…そう見えていたのだろうな。
「愛する者の身近にいたいと、魂はそれだけを思って、次の世に生まれ変わって行くのなら…」
見つめていた手のひらは、いつの間にか血は止まり…いや傷さえもなかった。
ローラン王は大きな声で笑うと…
「まぁ…良いか…。
さて、あの様子だと、ルシアンがここに来るまでは、相当な時間が掛かるだろうな。その前にミランダ姫に会いに行こう。あの不思議な力で、今の私がどう見えるのか…教えてもらおうか。」
「アデリーナは…大嫌いな神の下へ逝ったか…。」
そう言ってクスリと笑い
「良かったではないか、悪魔の下へ行くより、一応慈悲深い神のほうが、アデリーナは救われるだろう。だが、アデリーナのことだ、天で神に会ったら、叫んでいるかもしれんな。
《なぜ?現世でもあのふたりは…一緒なの!まるで結ばれるように、一緒の時代に、そして身近に、生まれるようになっているの!》…と。
なぁ、アデリーナ。
一度結びついた魂は、引き合うものだと私は思いしらされたが、おまえはそうは思わなかったか?
多くの者が前世など覚えてはいない、だが、魂は覚えていると思わなかったか?
愛する者の身近にいたいと、魂はそれだけを思って、次の世に生まれ変わって行くようだと私は思ったのだが…。
前世で成就した恋なら、ただ愛する人の側にいるだけでも、魂は満足なのだろうが、ルシアンとロザリーのように…お互い愛しあっていても、戦争や、アデリーナ、おまえのような横恋慕で、前世では結ばれなかったら、その悲恋を…魂は忘れられなくて、この恋を成就しようとするのだろう。
フッ…どうやら、私とお前が悪魔と契約しても追いかけたの恋は…1000年経とうが、成就することがないということだ。さすが悪魔だな。一杯食わされたな。」
ワインをグィと飲み干し、またクスクスと笑い
「ならば…ロザリーと言う女の清廉な気が強くなったのは…」と言うと、グラスにワインをなみなみと継ぎ足した。
「あれも…魂か…。愛する者の側でその人を守りたいと言う気持ちが、あのような力になったということだろうな。…愛…ということか…参った。まぁ、心の色が…綺麗だから出来たことなのだろう。あのミランダ姫が懐くわけだ。」
そう言いながら、立ちあがった拍子に、ワイングラスを床に落としたローラン王は、粉々に割れたワイングラスを見つめていたが、屈んで欠片を手に取ると、ギュッと握り締め、真っ赤な赤ワインのような血が、ポタンと一滴落ちて行くのを見て、ようやくそのワイングラスの欠片を床に落とした。
「アデリーナ、おまえはついていたなぁ。ロザリーがいたから、悪魔との契約を破棄できたではないか、だが…もう…ロザリーにはそんな力は残ってないだろう。ならば私は、このまま彷徨い歩く化け物のままで、あと1000年生きねばならん。長い時間をひとりか…」
滴り落ち行く血を見つめながら…
「…まぁ…良いか、」
『また、諦めたように言われる。いい加減になさいませ。』
耳元でそんな声が聞こえた。
…まぁ…良いか…と私が言うと、おまえは頬を膨らませて、そう言っていたな。
好きだった。
妹だと知らずに愛した女性は、いつも明るく前向きで…そこが堪らなく好きだった。
「そうだな、スミラ。」
あの頃のように、そう答えると
『そんな時は、木の上から周りの景色を見るんです、広い大地と空を見ていると、悩んでいる事がちっちゃい事だと気が付きます。鳥になった気分で下にいる輩を見れば、すっきりです!』
…と、またそう聞こえてきた。
「だが…木の上に登っても、鳥のような気分になれるほど、もうそんな心の清らかさが、私にはなくなったのだ。」
スミラにまた会いたくて…。
今度はただの男と女という形で会いたいという思いに、心が一杯になった時だった。
スミラにそっくりなアデリーナが誘う悪魔との契約は、甘美なワインのように思えた。
だが、どうしてだろう。
同じ顔なのに…スミラと同じ顔なのに。
だんだんと私には、スミラとは思えなくなり、それ以来、逆に魂が同じなら、生まれ変わった者がスミラだと思えるのか…と考えるようになっていた。
だから…
『姿は変わっても…魂は同じなんだから…だからあなたはロイよ。なにを言っているの?』
そうルシアンに叫ぶアデリーナの言葉に俺は嘲笑った…そうだ、見えたのだ。
愚かしさがよく見えて、可笑しくて堪らない。
私の恋も……そう見えていたのか?
フッ…そう見えていたのだろうな。
「愛する者の身近にいたいと、魂はそれだけを思って、次の世に生まれ変わって行くのなら…」
見つめていた手のひらは、いつの間にか血は止まり…いや傷さえもなかった。
ローラン王は大きな声で笑うと…
「まぁ…良いか…。
さて、あの様子だと、ルシアンがここに来るまでは、相当な時間が掛かるだろうな。その前にミランダ姫に会いに行こう。あの不思議な力で、今の私がどう見えるのか…教えてもらおうか。」
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