王子様と過ごした90日間。

秋野 林檎 

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結婚までの7日間 Lucian & Rosalie

7日目㊵

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だが、ヒューゴはルシアンの大きな背中を見つめ動かなかった。

「何をしているヒューゴ!」


―まったくうるさい男だ。簡単にルシアンを殺しては意味がないんだよ。あぁ、この男がローラン王になったらローラン国は滅びるな。まぁ…俺がさせない、次の王は俺だからな。あとでゆっくりバウマンは料理するか。
まずはこっちからだ。

ヒューゴはチラリとバウマンを見て、もう一度ルシアンへと視線をうつし

―確かにバウマンよりはルシアンの方がまだマシだな。それだけは言える。だがまだだ。まだ俺にはおまえの愛とやらを見たい。欲望にまみれた王家の血を引く者の中にも、たったひとりの女を愛する者がいるのだと、俺を納得させろ。フッ…そんな奴がいるとは思えないが、気にはなる。ロザリーを斬ることを選ばなかったルシアンの中にあったもの、そしてこの女…ロザリーが、自ら暗示を解くことができたのは、女の中に何かがあったのだ、暗示を解く何かが…俺はそこにあったのがなんなのか知りたい。

ルシアン見せろ。おまえがどれほど、この女を愛しているのか見せろ。


ヒューゴは口元に笑みを浮かべ
「バウマン公爵様。ルシアンを簡単に殺したくないんです。(早く殺してくれ)とルシアンが願うほどの拷問をしてからではダメでしょうか?」

バウマンはキョトンとした顔で、ヒューゴを見たが、そのうちその顔は怒りで真っ赤になり
「なに悠長なことを!早くルシアンを始末しろ!」

「お願いでございます。私の兄はブラチフォード国に殺されたようなものですから、いたぶってから殺したいのです。どうかお願いします。」

バウマンは苦虫を嚙み潰したような顔でヒューゴを見た。ヒューゴは笑みを浮かべ
「あぁそうだ。その間、このロザリーでお楽しみ頂いたら、どうでしょうか?かなりの剣の腕前の女ですが、今なら意識もないですし、あなた様の意のままにお楽しみ出来るかと…。」

「な、何を…言っている?!やめろ…やめろ!ロザリーに近づくな!」

ルシアンはヒューゴに掴みかかったが、大柄なヒューゴにケガをした左腕を掴まれ、ルシアンは膝をついた。

その様子を見たバウマンはニヤリと笑い
「それはいいな。」

「公爵様はロザリーが気になっておいででしたから、お喜び頂けると思っておりました。それにこのルシアンの前でロザリーをお楽しみ頂くというのも一考ではないかと。」

バウマンは好色な笑みを浮かべ、気を失ったミランダを抱えると、ゆっくりルシアン達がいる祭壇の方に向かって歩き出した。

「ロザリーに指一本でも触れたらおまえたちを八つ裂きにする!!」

「…おまえこそ、一歩でもバウマン公爵様に近づけば殺す。」

ヒューゴはそう言うと、バウマンの従順な臣下だというように、深く頭を下げたが、その俯いた顔に浮かんでいたのは嫌悪だった。


―虫唾が走るが…見たい。
さぁルシアン、見せてもらおうか?おまえの愛とやらは、己の命と比べて重さは重いのか?

俺に教えろ。





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