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結婚までの7日間 Lucian & Rosalie
7日目⑲
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「危険を冒してでも、ロザリーを呼び出したのは、なかなか暗示にがかからなかったから、心配で試した…ってところかしら、でもその結果…」
そう口にし、ミランダはルシアンに抱かれるロザリーから、そっと視線を外した。
何度も暗示をかけられた為、記憶があいまいになり、相当体にも負担がきている。あれでは、スイッチになる言葉が、例え今、わかったとしても、暗示を解くことは難しい。もし無理にやれば、ロザリーの心が…壊れるかもしれない。
ミランダは下を向き、「しっかりしろ。」と口にし、自身を鼓舞すると思考を巡らせた。
どのような暗示をかけたのか、知るためには、まずどこでヒューゴは暗示を覚えたのかを知る事。
だけど、まったく見当がつかないわ。
暗示は一朝一夕にできるものではない。先生に教えを請いながら、日々努力を積み重ね…いやそれでもなかなかできるものではない。私やお爺様のような力があるものでも、かなり難しい。
どこかからこの秘技の情報は漏れ、誰がヒューゴに教えたのか…。
王になる者しか伝授されないという、ブラチフォード王家の教えがあるから、お爺様やお父様に信用されていた叔父様さえ、暗示を習う事はできなかった。
だから暗示を使える者はお爺様とお父様、王家に使えるマクドナルド医師親子、そして私の5人の限られた者しかできない秘技だと、私もつい最近までそう思っていた。
でもそれは違っていた。
悪魔に魅入られた私の曾祖母の皇太后、祖母の王妃は…叔父様を殺す為に、暗示を私に掛けた事実があったからだ。
王になる者しか伝授されないという、ブラチフォード王家の教えが守られていたら、皇太后、王妃は暗示が使えるはずはないのに、おふたりは使えた。そして私を暗示に掛けるほどの腕を持っていらした。
それは…どういうことなんだろう。
暗示のことを知っている者は王家の血を引く者と、王家に使える医師の家系の者まで入れるとかなりいる。
ヒューゴに暗示を教授した者は一体誰?
それは私の曾祖母の皇太后、祖母の王妃に暗示を教授した者と同一人物?
もしそうなら、今回はバウマン公爵の反乱だけでは片付けられない。
ブラチフォード王家への恨み、それとも叔父様への恨みがあるのかもしれない。
そこまで、考えてミランダは暗い笑みを浮かべた。
「イロに溺れた王や、悪魔に魂を売った王がいたローラン王家に呆れていたけど…。わがブラチフォードも変わらないくらいの醜態が今回でてくるかも…。」
ミランダはそっとルシアンとロザリーへ視線をむけ
「王とは…民を幸せへと導く者、その為に得た力は己の為に使うべからず。幼い頃から王家で生まれた者はそう教えられ、心に刻み込まれる。でも、民を幸せへと導くために得た力…権力というものは魅力的なもの。だから自制心を持っていなければならない。淀みない清い心でいないと、国は…荒れる。
ここ何十年かのローラン国は、まさしく王の淀んだ心が国を荒らした。
でも叔父様とロザリーなら、ローラン王家の淀んだ流れを清い流れへと変えてくれる。きっと変えてくれる。だから…まずは一歩。暗雲が立ち込めていようと、踏み出さないと、何も変わらない。」
ミランダは両手に力を入れ、扉の外にいる者に言った。
「私の侍女達をここに呼んで、結婚式の準備を急ぎましょう。」
そして、ミランダはルシアンとロザリーに
「ロザリー、ごめんね。でも今は、はっきりとしたことがわからないから言えないの。ただ信じて私を、そして叔父様を…」
そう、今は言えない。
どんな動作や言葉がスイッチなのかわからない以上、今は言えない。信じてとしか言えない。
ごめんね、ロザリー。こんな言い方しかできなくて。
私の説得力のない言葉に、でもロザリーは言ってくれた。
「信じています。」
「ロザリー…。」
ロザリーは透き通るような水色の瞳を揺らし
「なにがあっても、私はおふたりを信じてついて行きます。」
そう言ってロザリーは綺麗な微笑を浮かべた。
でも私の目は見てしまった。
ロザリーを抱きしめる叔父様の心の色が、ヒューゴへの怒りとロザリーを思うことで激しく色が変わるのを…。
そして、ロザリーの心の色が記憶がない事への不安と、何かを隠す叔父様と私に悲しくて、涙色に染まったのを…。
私は思わず両手で目を隠し、初めて自分の力を恨んだ。
そう口にし、ミランダはルシアンに抱かれるロザリーから、そっと視線を外した。
何度も暗示をかけられた為、記憶があいまいになり、相当体にも負担がきている。あれでは、スイッチになる言葉が、例え今、わかったとしても、暗示を解くことは難しい。もし無理にやれば、ロザリーの心が…壊れるかもしれない。
ミランダは下を向き、「しっかりしろ。」と口にし、自身を鼓舞すると思考を巡らせた。
どのような暗示をかけたのか、知るためには、まずどこでヒューゴは暗示を覚えたのかを知る事。
だけど、まったく見当がつかないわ。
暗示は一朝一夕にできるものではない。先生に教えを請いながら、日々努力を積み重ね…いやそれでもなかなかできるものではない。私やお爺様のような力があるものでも、かなり難しい。
どこかからこの秘技の情報は漏れ、誰がヒューゴに教えたのか…。
王になる者しか伝授されないという、ブラチフォード王家の教えがあるから、お爺様やお父様に信用されていた叔父様さえ、暗示を習う事はできなかった。
だから暗示を使える者はお爺様とお父様、王家に使えるマクドナルド医師親子、そして私の5人の限られた者しかできない秘技だと、私もつい最近までそう思っていた。
でもそれは違っていた。
悪魔に魅入られた私の曾祖母の皇太后、祖母の王妃は…叔父様を殺す為に、暗示を私に掛けた事実があったからだ。
王になる者しか伝授されないという、ブラチフォード王家の教えが守られていたら、皇太后、王妃は暗示が使えるはずはないのに、おふたりは使えた。そして私を暗示に掛けるほどの腕を持っていらした。
それは…どういうことなんだろう。
暗示のことを知っている者は王家の血を引く者と、王家に使える医師の家系の者まで入れるとかなりいる。
ヒューゴに暗示を教授した者は一体誰?
それは私の曾祖母の皇太后、祖母の王妃に暗示を教授した者と同一人物?
もしそうなら、今回はバウマン公爵の反乱だけでは片付けられない。
ブラチフォード王家への恨み、それとも叔父様への恨みがあるのかもしれない。
そこまで、考えてミランダは暗い笑みを浮かべた。
「イロに溺れた王や、悪魔に魂を売った王がいたローラン王家に呆れていたけど…。わがブラチフォードも変わらないくらいの醜態が今回でてくるかも…。」
ミランダはそっとルシアンとロザリーへ視線をむけ
「王とは…民を幸せへと導く者、その為に得た力は己の為に使うべからず。幼い頃から王家で生まれた者はそう教えられ、心に刻み込まれる。でも、民を幸せへと導くために得た力…権力というものは魅力的なもの。だから自制心を持っていなければならない。淀みない清い心でいないと、国は…荒れる。
ここ何十年かのローラン国は、まさしく王の淀んだ心が国を荒らした。
でも叔父様とロザリーなら、ローラン王家の淀んだ流れを清い流れへと変えてくれる。きっと変えてくれる。だから…まずは一歩。暗雲が立ち込めていようと、踏み出さないと、何も変わらない。」
ミランダは両手に力を入れ、扉の外にいる者に言った。
「私の侍女達をここに呼んで、結婚式の準備を急ぎましょう。」
そして、ミランダはルシアンとロザリーに
「ロザリー、ごめんね。でも今は、はっきりとしたことがわからないから言えないの。ただ信じて私を、そして叔父様を…」
そう、今は言えない。
どんな動作や言葉がスイッチなのかわからない以上、今は言えない。信じてとしか言えない。
ごめんね、ロザリー。こんな言い方しかできなくて。
私の説得力のない言葉に、でもロザリーは言ってくれた。
「信じています。」
「ロザリー…。」
ロザリーは透き通るような水色の瞳を揺らし
「なにがあっても、私はおふたりを信じてついて行きます。」
そう言ってロザリーは綺麗な微笑を浮かべた。
でも私の目は見てしまった。
ロザリーを抱きしめる叔父様の心の色が、ヒューゴへの怒りとロザリーを思うことで激しく色が変わるのを…。
そして、ロザリーの心の色が記憶がない事への不安と、何かを隠す叔父様と私に悲しくて、涙色に染まったのを…。
私は思わず両手で目を隠し、初めて自分の力を恨んだ。
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