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結婚までの7日間 Lucian & Rosalie
7日目⑮
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その頃、マクドナルド医師はミランダとルシアンに、ロザリーやキャロルの容態を聞かれていた。
「ねぇ、医者から見て、ロザリーやキャロルが暗示にかかっていると思う?」
ズバリと聞いたミランダに、マクドナルド医師は驚いたようにミランダを見て
「…暗示って、あの…王家の」
「そう、“思い込ませる技術”を使って、相手の身体や脳に変化を与える事。あるいは相手を一点に集中させることで無意識の部分に情報を入れる事とも言われる…ブラチフォード王家の秘技……その暗示よ。」
マクドナルドはルシアンを見て、ミランダを困ったように見た。
ミランダは眉をあげ
「暗示は王になる者にしか、その技術を伝えられないものだから、叔父様がいると言いにくいのはわかるけど、緊急事態なの。」
「…私は…」
「時間が無いの!代々王家に使える医師だから知っているでしょう!ううん、寧ろ、暗示を王家に教える先生と言ったほうがいいかしら?」
マクドナルド医師はため息をつくと
「ルシアン殿下がこの場にいらっしゃるから言えないというわけでもないのです。私も、まだまだ老父に教えを乞う身なので…。」
そう言って、またため息をつくと
「正直、ロザリー様やキャロル殿が暗示にかかっているのかはわかりません。」
「…そう、マクドナルドでもわからないのね。
ならマクドナルド…教えて。私が知る限り、本来、殺人や自殺など倫理観や本能的な嫌悪感にかかわる行為は催眠暗示の影響を受けにくく、実行することは不可能だと聞いているわ…それは間違いない?」
「基本的にはそのとおりです。」
マクドナルドの答えに、ルシアンの眉が上がった。
「基本的に…とはどういうことだ。」
「……条件さえ満たせば暗示で人殺しをさせることできます。」
「条件とは?」
マクドナルドは唾を呑みこみ
「暗示をかけるときに限定条件を付加してやるのです。具体的には「殺せ、殺せ」と暗示をかけるのではなく、「殺せ、殺せ。あいつはお前を殺そうとしているぞ。先に殺らなければお前が殺されるぞ。」と自分に死の恐怖が迫っていると急き立てるのです。すると殺人をさせやすくなります。ミランダ姫の仰る通り、殺人や自殺など倫理観や本能的な嫌悪感にかかわる行為は暗示による影響を受けにくいのですが。しかし、自分の命に危険が迫っていれば別です。要するに正当防衛という形にするのです。」
ミランダはルシアンを見た。
「マクドナルドの言う通りなら…ロザリーが叔父様に命を狙われているいう暗示にかかっているはずはないわね。そんな情報をロザリーの頭に入れることなんてできるとは思えないもの。でもさっきのあの様子を見たら…しっくりこないのよね。」
ルシアンはミランダの考えに同意するように頷いたが…ふと、アストンが言っていたあの噂を思い出した。
「マクドナルド。今…民の間では俺がアデリーナとの悲恋の話が流行っていると聞いた、それを利用してロザリーの記憶を操作することは可能か?」
「叔父様?!」
「…ただ、ロザリー様のご性格を考えれば、例え催眠暗示を使っても、嫉妬というそのような理由でルシアン様を殺すことはできないでしょう。」
「…そうか」
「…ねぇ…」
ミランダが険しい顔で口を開いた。
「数回にわたってロザリーが暗示をかけられたのは、人を殺す腕を持ちながらも、躊躇う心がロザリーにはあるからと思っていたけど、ひょっとしたらもう少し複雑かも…」
「複雑?」
「えぇ、アデリーナの話で思ったの。
ロザリーの記憶はもしかして、あの時に戻されたんじゃないかしら。前ローラン王とアデリーナが画策し、ブラチフォード国を混乱にしたあの時に。」
マクドナルドが真っ青になった。ミランダの次に出てくる言葉がわかったからだった。
ミランダはマクドナルドのその顔に、確信を持ったように言った。
「戴冠式はまだだけど、現在のローラン王は叔父様。」
そう言って、ミランダはルシアンを見た。ルシアンは声を絞り出すように
「俺が…悪魔に魂を売り、ブラチフォードに攻め入った前ローラン王だと、ロザリーの記憶が操作されたということか…。」
ミランダはルシアンの悲し気な顔を見ることが辛くて、目を瞑り
「ローラン王を殺さないとブラチフォード国が…大切な人達が死ぬ。そう思い込ませたら、ロザリーは剣を抜くわ。」
そう言って、ミランダは唇を震わせ
「許せない!」
ミランダが大きな声でそう叫んだ時だった。
扉を叩く音と同時に、外から兵士が
「大変でございます!!!キャロル殿が襲われ負傷!今ロザリー様が犯人を追っているとのこと!」
「ねぇ、医者から見て、ロザリーやキャロルが暗示にかかっていると思う?」
ズバリと聞いたミランダに、マクドナルド医師は驚いたようにミランダを見て
「…暗示って、あの…王家の」
「そう、“思い込ませる技術”を使って、相手の身体や脳に変化を与える事。あるいは相手を一点に集中させることで無意識の部分に情報を入れる事とも言われる…ブラチフォード王家の秘技……その暗示よ。」
マクドナルドはルシアンを見て、ミランダを困ったように見た。
ミランダは眉をあげ
「暗示は王になる者にしか、その技術を伝えられないものだから、叔父様がいると言いにくいのはわかるけど、緊急事態なの。」
「…私は…」
「時間が無いの!代々王家に使える医師だから知っているでしょう!ううん、寧ろ、暗示を王家に教える先生と言ったほうがいいかしら?」
マクドナルド医師はため息をつくと
「ルシアン殿下がこの場にいらっしゃるから言えないというわけでもないのです。私も、まだまだ老父に教えを乞う身なので…。」
そう言って、またため息をつくと
「正直、ロザリー様やキャロル殿が暗示にかかっているのかはわかりません。」
「…そう、マクドナルドでもわからないのね。
ならマクドナルド…教えて。私が知る限り、本来、殺人や自殺など倫理観や本能的な嫌悪感にかかわる行為は催眠暗示の影響を受けにくく、実行することは不可能だと聞いているわ…それは間違いない?」
「基本的にはそのとおりです。」
マクドナルドの答えに、ルシアンの眉が上がった。
「基本的に…とはどういうことだ。」
「……条件さえ満たせば暗示で人殺しをさせることできます。」
「条件とは?」
マクドナルドは唾を呑みこみ
「暗示をかけるときに限定条件を付加してやるのです。具体的には「殺せ、殺せ」と暗示をかけるのではなく、「殺せ、殺せ。あいつはお前を殺そうとしているぞ。先に殺らなければお前が殺されるぞ。」と自分に死の恐怖が迫っていると急き立てるのです。すると殺人をさせやすくなります。ミランダ姫の仰る通り、殺人や自殺など倫理観や本能的な嫌悪感にかかわる行為は暗示による影響を受けにくいのですが。しかし、自分の命に危険が迫っていれば別です。要するに正当防衛という形にするのです。」
ミランダはルシアンを見た。
「マクドナルドの言う通りなら…ロザリーが叔父様に命を狙われているいう暗示にかかっているはずはないわね。そんな情報をロザリーの頭に入れることなんてできるとは思えないもの。でもさっきのあの様子を見たら…しっくりこないのよね。」
ルシアンはミランダの考えに同意するように頷いたが…ふと、アストンが言っていたあの噂を思い出した。
「マクドナルド。今…民の間では俺がアデリーナとの悲恋の話が流行っていると聞いた、それを利用してロザリーの記憶を操作することは可能か?」
「叔父様?!」
「…ただ、ロザリー様のご性格を考えれば、例え催眠暗示を使っても、嫉妬というそのような理由でルシアン様を殺すことはできないでしょう。」
「…そうか」
「…ねぇ…」
ミランダが険しい顔で口を開いた。
「数回にわたってロザリーが暗示をかけられたのは、人を殺す腕を持ちながらも、躊躇う心がロザリーにはあるからと思っていたけど、ひょっとしたらもう少し複雑かも…」
「複雑?」
「えぇ、アデリーナの話で思ったの。
ロザリーの記憶はもしかして、あの時に戻されたんじゃないかしら。前ローラン王とアデリーナが画策し、ブラチフォード国を混乱にしたあの時に。」
マクドナルドが真っ青になった。ミランダの次に出てくる言葉がわかったからだった。
ミランダはマクドナルドのその顔に、確信を持ったように言った。
「戴冠式はまだだけど、現在のローラン王は叔父様。」
そう言って、ミランダはルシアンを見た。ルシアンは声を絞り出すように
「俺が…悪魔に魂を売り、ブラチフォードに攻め入った前ローラン王だと、ロザリーの記憶が操作されたということか…。」
ミランダはルシアンの悲し気な顔を見ることが辛くて、目を瞑り
「ローラン王を殺さないとブラチフォード国が…大切な人達が死ぬ。そう思い込ませたら、ロザリーは剣を抜くわ。」
そう言って、ミランダは唇を震わせ
「許せない!」
ミランダが大きな声でそう叫んだ時だった。
扉を叩く音と同時に、外から兵士が
「大変でございます!!!キャロル殿が襲われ負傷!今ロザリー様が犯人を追っているとのこと!」
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