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結婚までの7日間 Lucian & Rosalie
7日目⑥ 罠
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ナダルはベットから起き上がり、両手で頭を抱え込んだ。
「…酒が残っていやがる。」
そう口にし、二日酔いの頭に気合を入れるかのように、両頬を叩くと立ち上がったが、その瞬間に口の中に酸っぱい味が広がり、思わず口を覆ったナダルは、顔を歪めるとその気分の悪さを足元に転がる数本の酒瓶の一本へとあたり、酒瓶は壁にあたると粉々になった。
だが、胸の中のムカつきは治らず、ナダルは込み上げてくるムカつきに、口だけではなく顔を覆うと
「このところずっとじゃないか。なにもかも酒で誤魔化して…何してんだよ、俺は…。飲んでもなんにも解決なんかできやしないのに…。」
わかっている、このムカつきは酒だけのせいじゃない事は、だが…それは、昨夜の話のせいなのか…あるいは昨夜の呑んだ相手せいなのか…
また口の中に広がってきた酸っぱい味に、顔を歪めたナダルは足元に残っている酒瓶数本をまた次々と蹴り
「…何やってんだ。」と繰り返し呪文のように唱えながら、昨夜の出来事を思い出していた。
*****
ルシアンから聞いているだろうが、おまえは、先々代のローラン王の子ではない。
おまえは、私バウマン公爵と没落した子爵令嬢との…いや娼婦に身を落とした女との間にできた子だ。
私を恨んでいるか?だが私はおまえに真実が言えなかった。
娼婦に身を落としたとはいえ、愛していたおまえの母を、そしておまえも、公爵家には入れる事ができず、先々代の王との子として、あの里に入れて現実から逃げていたのだから…言えなかったのだ。
だがルシアンがおまえを利用しようとしていると知って、このままではおまえがルシアンに殺されるのではないかと、居ても立っても居られず、こうして危険を顧みずおまえと連絡を取ろうと思ったのだ。
おまえは王家の血を引くジャスミンやロイとは違うのだから、簡単に処分できる存在だ。
いや、私の息子ということで、寧ろルシアンは殺したいと思う存在。
わかっているか?このままだとおまえに未来はないのだぞ。
どうだ、こちらにこないか?
いや、こちらへ来い。
このままだと、おまえは殺される。一緒に戦おう。
私が王となれば、おまえを王太子として手元に置き、未来をやることができる。
そう、ローラン王となる未来をな。
それどころか、おまえの望みも叶えることもできるかもしれないぞ。
あの…ロザリーと言う女が気になるのだろう。
ルシアンを死ねば、その女は寂しくて、悲しくて誰かに縋ろうとするだろうな。
その時、おまえが手を差し伸べれば…どうだろう。おまえに傾くと思わないか?
今宵、私の手の者がおまえに繋ぎをつける。
良い返事を待っている。
******
その手紙の内容は、今宵も俺が浴びるほど酒を飲む理由のひとつとなった。
どうせ…どこにいても、バウマン公爵からの繋ぎはくるだろう。
なら…酒でも飲まないといられない。
ふらふらと城外に出た俺は、酒と女を提供する店に転がり込むように入り、今宵も酒に溺れて、何も考えたくはなかった。
だが、心がそれを許してはくれず、
母親が娼婦だったとか…父親がバウマン公爵とか…そしてこの胸の中で微かに疼く思いがなんなのか…答えを出せと言う。
うるせぇ…。
呟くようにそう口にして、カウンターに顔を突っ伏した時だ。
「…いいのかい?悪いね。」と言ってクスクスと女が笑う声が聞こえ
「あんた、良いお友達がいるじゃん。」と言って小走りにその場から離れて行く女の気配を感じたその瞬間、新たな気配が…俺の肩を叩いた。
背中に冷たい物が走り、慌てて叩かれた肩の方向へと振り返ると、そこには…ヒューゴが薄笑いを浮かべていた。。
「…どうして…ここに」
ヒューゴはバウマン公爵と俺との繋ぎ役だったが、俺はこの男とは反りが合わなかった。だからまさかバウマン公爵からの繋ぎがこいつだとは思いもよらず、思わず出た言葉がこれだった。
ヒューゴはクスリと笑い、俺の横に座りながら
「もう少し、女に優しくできないのか?」
「…うるさい。」
「まぁ、おまえはお堅いからな。好きな女以外には甘い言葉の一つも言えない男だよな。」
「…」
「そう睨むなよ。先々代のイロボケがあったから、おまえは女と言うか、恋愛に対して一途なんだろうなと感心しているんだぜ。」
そう言って、クスリと笑うと
「だから、あのロザリーと言う女に惹かれているのに、その心に蓋をしたんだろう。」
心臓が大きな音を立てた気がした。
ヒューゴに惑わされるな。
俺の事より、今は…そう今、考えるべきことは、ジャスミンとロイの幸せはルシアンの治世の中だけということだ。
バウマン公爵は俺達を殺そうとした、そんな輩を信じることなどできるはずはない。
ヒューゴに惑わされるな…。ロザリーの話に顔色を読まれるな。
俺は卑しい笑みを浮かべヒューゴを見た。
「おいおい、あいつがロザリーと言う名の女と知ったのはつい最近だぜ。なのに蓋をしなきゃいけない思いってなんだよ。笑えるぜ。」
ホントに笑えるぜ。
この男にもそして俺自身にも。
アストンの言う通り、あの二人の間に誰も入る事は出来ない。
例え…俺自身があいつに惹かれているとしても、どうにもならない。
ルシアンを思うあの一途な思いを見た俺には、ロザリーの幸せはあのルシアンの腕の中だけだと思うから…。
それがあいつの幸せなら俺は…。
ヒューゴは俺のグラスを指で弾き、俺の視線を自分へと向けさせ
「なぁ、ナダル。一途な思いは時には誰かを傷つけると思わないか?」
「えっ?」
一瞬、俺は自分の考えていた事を読まれたのかと思った。
「ルシアンは婚約者がいた事を知っているか?」
「…ルシアンに婚約者がいたのか?!」
「あぁ、それも政略的なものじゃない。」
「…政略的じゃ…ない…って?どういう意味だ?!」
「おまえはあの話が出た頃は、まだ山の中の教会にいた頃だったから知らないだろうが、ルシアンは一目ぼれしたローラン国のアデリーナ嬢と添い遂げたくて、前ローラン王にブラチフォード国を捨てて、ローラン国に行きたいと願ったそうだ。」
「…アデリーナって、まさか…」
確か…前ローラン王と一緒に、悪魔に魅入られた者たちに殺された女性だ。
ヒューゴは頷きながら
「その名は知っているんだな。可哀そうだったよな。化け物に殺されるとはな。」
…でも、その話は…つい最近の話だ。
「しかし、その悲劇を喜んだブラチフォード国王の方が…悪魔に魅入られた者達より怖いよな。
どうしてだと思う?何故、ブラチフォード国王が喜んだと思う?
それはローラン国に大きな影響力を及ぼすことができるチャンスだからだ。
前ローラン王には子どもがおらず、前ローラン王の兄弟も、王としての器のない方ばかり、そんな状況の中、他国ではあるがローラン国の国民に慕われていたスミラ様の血を引く王子、その王子は大陸にその名を響かせるほどの剣の腕と頭の良さ。ましてや、ローラン国の貴族令嬢と結婚したいと願い、ローラン国の人間になろうとしていた矢先の出来事。
ブラチフォード国王はほくそ笑み、そしてその先を読んでいたんだ。
ローラン国の多くの貴族らは、国を纏めるためには、ローラン王家の血を引く者に現れるあの赤い瞳が必要だとな。
そして一団となって国を守れなければならないこの時期に、ローラン国の貴族達の中から、王妃になる女性を選ぶのは、ローラン国にとっては得策ではないだろうということもだ。
だからブラチフォード国王は、ルシアンの次の王にも、影響力を残すためにウィンスレット侯爵の娘ロザリー嬢に白羽の矢を立てた。ローラン国の貴族達は悔しかっただろうが、まずは国の安定のために了承したと言う話だ。」
頭の中で今の話を整理しようとしているが、上手く頭が回らない俺を、ヒューゴは畳みかけるように…
「ロザリー嬢は、体が弱くて領地にずっと引っ込み、デビュタント・ボールと呼ばれる社交界へのデビューもなかったらしいじゃないか?そんな箱入り娘があの色男の王子様に結婚を申し込まれたら、一目で恋に落ちるだろうな。」
「…ヒューゴ…」
「なぁ、俺にはよくわからんが、国を捨ててでもいいと思うほどの女が、死んだからと言って早々に忘れて、他の女に心が移るものかなぁ?」
「ロザリーが利用されているとでも…言っているのか?それは恋心を利用されていると言っているのか…!」
上手く回らない頭の中で、ルシアンを追って、滝へと身を投げたロザリーの姿が、弄ばれ捨てられた母親の姿と重なった…。
「…酒が残っていやがる。」
そう口にし、二日酔いの頭に気合を入れるかのように、両頬を叩くと立ち上がったが、その瞬間に口の中に酸っぱい味が広がり、思わず口を覆ったナダルは、顔を歪めるとその気分の悪さを足元に転がる数本の酒瓶の一本へとあたり、酒瓶は壁にあたると粉々になった。
だが、胸の中のムカつきは治らず、ナダルは込み上げてくるムカつきに、口だけではなく顔を覆うと
「このところずっとじゃないか。なにもかも酒で誤魔化して…何してんだよ、俺は…。飲んでもなんにも解決なんかできやしないのに…。」
わかっている、このムカつきは酒だけのせいじゃない事は、だが…それは、昨夜の話のせいなのか…あるいは昨夜の呑んだ相手せいなのか…
また口の中に広がってきた酸っぱい味に、顔を歪めたナダルは足元に残っている酒瓶数本をまた次々と蹴り
「…何やってんだ。」と繰り返し呪文のように唱えながら、昨夜の出来事を思い出していた。
*****
ルシアンから聞いているだろうが、おまえは、先々代のローラン王の子ではない。
おまえは、私バウマン公爵と没落した子爵令嬢との…いや娼婦に身を落とした女との間にできた子だ。
私を恨んでいるか?だが私はおまえに真実が言えなかった。
娼婦に身を落としたとはいえ、愛していたおまえの母を、そしておまえも、公爵家には入れる事ができず、先々代の王との子として、あの里に入れて現実から逃げていたのだから…言えなかったのだ。
だがルシアンがおまえを利用しようとしていると知って、このままではおまえがルシアンに殺されるのではないかと、居ても立っても居られず、こうして危険を顧みずおまえと連絡を取ろうと思ったのだ。
おまえは王家の血を引くジャスミンやロイとは違うのだから、簡単に処分できる存在だ。
いや、私の息子ということで、寧ろルシアンは殺したいと思う存在。
わかっているか?このままだとおまえに未来はないのだぞ。
どうだ、こちらにこないか?
いや、こちらへ来い。
このままだと、おまえは殺される。一緒に戦おう。
私が王となれば、おまえを王太子として手元に置き、未来をやることができる。
そう、ローラン王となる未来をな。
それどころか、おまえの望みも叶えることもできるかもしれないぞ。
あの…ロザリーと言う女が気になるのだろう。
ルシアンを死ねば、その女は寂しくて、悲しくて誰かに縋ろうとするだろうな。
その時、おまえが手を差し伸べれば…どうだろう。おまえに傾くと思わないか?
今宵、私の手の者がおまえに繋ぎをつける。
良い返事を待っている。
******
その手紙の内容は、今宵も俺が浴びるほど酒を飲む理由のひとつとなった。
どうせ…どこにいても、バウマン公爵からの繋ぎはくるだろう。
なら…酒でも飲まないといられない。
ふらふらと城外に出た俺は、酒と女を提供する店に転がり込むように入り、今宵も酒に溺れて、何も考えたくはなかった。
だが、心がそれを許してはくれず、
母親が娼婦だったとか…父親がバウマン公爵とか…そしてこの胸の中で微かに疼く思いがなんなのか…答えを出せと言う。
うるせぇ…。
呟くようにそう口にして、カウンターに顔を突っ伏した時だ。
「…いいのかい?悪いね。」と言ってクスクスと女が笑う声が聞こえ
「あんた、良いお友達がいるじゃん。」と言って小走りにその場から離れて行く女の気配を感じたその瞬間、新たな気配が…俺の肩を叩いた。
背中に冷たい物が走り、慌てて叩かれた肩の方向へと振り返ると、そこには…ヒューゴが薄笑いを浮かべていた。。
「…どうして…ここに」
ヒューゴはバウマン公爵と俺との繋ぎ役だったが、俺はこの男とは反りが合わなかった。だからまさかバウマン公爵からの繋ぎがこいつだとは思いもよらず、思わず出た言葉がこれだった。
ヒューゴはクスリと笑い、俺の横に座りながら
「もう少し、女に優しくできないのか?」
「…うるさい。」
「まぁ、おまえはお堅いからな。好きな女以外には甘い言葉の一つも言えない男だよな。」
「…」
「そう睨むなよ。先々代のイロボケがあったから、おまえは女と言うか、恋愛に対して一途なんだろうなと感心しているんだぜ。」
そう言って、クスリと笑うと
「だから、あのロザリーと言う女に惹かれているのに、その心に蓋をしたんだろう。」
心臓が大きな音を立てた気がした。
ヒューゴに惑わされるな。
俺の事より、今は…そう今、考えるべきことは、ジャスミンとロイの幸せはルシアンの治世の中だけということだ。
バウマン公爵は俺達を殺そうとした、そんな輩を信じることなどできるはずはない。
ヒューゴに惑わされるな…。ロザリーの話に顔色を読まれるな。
俺は卑しい笑みを浮かべヒューゴを見た。
「おいおい、あいつがロザリーと言う名の女と知ったのはつい最近だぜ。なのに蓋をしなきゃいけない思いってなんだよ。笑えるぜ。」
ホントに笑えるぜ。
この男にもそして俺自身にも。
アストンの言う通り、あの二人の間に誰も入る事は出来ない。
例え…俺自身があいつに惹かれているとしても、どうにもならない。
ルシアンを思うあの一途な思いを見た俺には、ロザリーの幸せはあのルシアンの腕の中だけだと思うから…。
それがあいつの幸せなら俺は…。
ヒューゴは俺のグラスを指で弾き、俺の視線を自分へと向けさせ
「なぁ、ナダル。一途な思いは時には誰かを傷つけると思わないか?」
「えっ?」
一瞬、俺は自分の考えていた事を読まれたのかと思った。
「ルシアンは婚約者がいた事を知っているか?」
「…ルシアンに婚約者がいたのか?!」
「あぁ、それも政略的なものじゃない。」
「…政略的じゃ…ない…って?どういう意味だ?!」
「おまえはあの話が出た頃は、まだ山の中の教会にいた頃だったから知らないだろうが、ルシアンは一目ぼれしたローラン国のアデリーナ嬢と添い遂げたくて、前ローラン王にブラチフォード国を捨てて、ローラン国に行きたいと願ったそうだ。」
「…アデリーナって、まさか…」
確か…前ローラン王と一緒に、悪魔に魅入られた者たちに殺された女性だ。
ヒューゴは頷きながら
「その名は知っているんだな。可哀そうだったよな。化け物に殺されるとはな。」
…でも、その話は…つい最近の話だ。
「しかし、その悲劇を喜んだブラチフォード国王の方が…悪魔に魅入られた者達より怖いよな。
どうしてだと思う?何故、ブラチフォード国王が喜んだと思う?
それはローラン国に大きな影響力を及ぼすことができるチャンスだからだ。
前ローラン王には子どもがおらず、前ローラン王の兄弟も、王としての器のない方ばかり、そんな状況の中、他国ではあるがローラン国の国民に慕われていたスミラ様の血を引く王子、その王子は大陸にその名を響かせるほどの剣の腕と頭の良さ。ましてや、ローラン国の貴族令嬢と結婚したいと願い、ローラン国の人間になろうとしていた矢先の出来事。
ブラチフォード国王はほくそ笑み、そしてその先を読んでいたんだ。
ローラン国の多くの貴族らは、国を纏めるためには、ローラン王家の血を引く者に現れるあの赤い瞳が必要だとな。
そして一団となって国を守れなければならないこの時期に、ローラン国の貴族達の中から、王妃になる女性を選ぶのは、ローラン国にとっては得策ではないだろうということもだ。
だからブラチフォード国王は、ルシアンの次の王にも、影響力を残すためにウィンスレット侯爵の娘ロザリー嬢に白羽の矢を立てた。ローラン国の貴族達は悔しかっただろうが、まずは国の安定のために了承したと言う話だ。」
頭の中で今の話を整理しようとしているが、上手く頭が回らない俺を、ヒューゴは畳みかけるように…
「ロザリー嬢は、体が弱くて領地にずっと引っ込み、デビュタント・ボールと呼ばれる社交界へのデビューもなかったらしいじゃないか?そんな箱入り娘があの色男の王子様に結婚を申し込まれたら、一目で恋に落ちるだろうな。」
「…ヒューゴ…」
「なぁ、俺にはよくわからんが、国を捨ててでもいいと思うほどの女が、死んだからと言って早々に忘れて、他の女に心が移るものかなぁ?」
「ロザリーが利用されているとでも…言っているのか?それは恋心を利用されていると言っているのか…!」
上手く回らない頭の中で、ルシアンを追って、滝へと身を投げたロザリーの姿が、弄ばれ捨てられた母親の姿と重なった…。
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