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第二話 偽りの玉座
陸章:四 裏鬼門
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異界へ旅立つのは、翡翠にとって難しいことではない。既に裏鬼門を抜けることには慣れている。問題となるのは、自分の内にある気掛かりだけだ。
(――長い不在になるかもしれないな)
これまでのように、単なる好奇心で世界を眺めるだけではない。
確かな目的を持って、異界へ旅立つのだ。
(先のことを考えても、後ろ向きになるだけだ。やめよう)
翡翠は強引に思考を切り替えて、そっと身を起こした。寝台を出ようとすると、夜着の裾が何かに引っ掛かっているのか、つんと引っ張られた。
振り返ると、翡翠に身を寄せるようにして眠っていた雪の手が、しっかりと握り締めている。
(――雪)
異界へ発つと打ち明ければ、彼女は泣いて止めるだろう。例え説き伏せても、翡翠を案じて心を削るのは目に見えている。
だから、何も語らずに姿を消すと決めた。
今までと同じように。
気ままに放浪して、飽きたら戻ってくる。
これまでの繰り返しと何も変わらないのだと、そう思っていて欲しい。
聡明な雪が翡翠の決意に気付かないはずはないだろう。
気休めにもならない我儘な願い。
「ごめんね、雪」
声にならない呟きで、彼女に詫びる。翡翠は自分を繋ぎとめている雪の手を外して、そのまま両手で優しく握り締めた。
「でも、会いたくなったら、すぐに戻ってくるからさ。今までみたいに」
何も変わらないのだと、まるで自分に言い聞かせるように呟く。
かけがえのない翼扶。
彼女と出会えたこの世の運命に、誰よりも感謝している。心から雪を愛しているから、彼女と出会えたこの世界を失いたくはないのだ。
この世が続いて行くのだと信じていたい。
翡翠は握り締めていた雪の手に唇を押し当ててから、するりと寝台を出た。
旅支度はいつもどおり簡素である。
迷いを振り切るように臥所を出て、内殿を後にした。
軒廊を渡って早足に翡翠宮を出ると、慣れた足取りで衛兵の死角を突き進む。難なく宮城の巨大な玄武門を越えると、翡翠はふと歩みを止めた。
目の前に広がるのは、既に見慣れてしまった昼夜の区別がつかなくなった世界。
深夜の蒼い闇を見ることは叶わず、どんよりと濁った膜で空が覆われている。異界の雷雲に似ているのかもしれない。
見渡す果てまでが、濁りの中に在る暗い世界。
(――この空を見て驚かなくなった自分が哀しい)
はあっと溜息をついて再び歩き始めると、翡翠の目の前を巨大な影が過ぎった。
「うわっ」
直後、押しつぶされそうな圧迫感に襲われて、翡翠はどっとその場に倒れた。何が起きたのか確かめようとして腕を伸ばすと、心地のよい質感に触れる。
どこかで触れたことのある毛並み。
「こ、皓月っ?」
翡翠がなんとか上体を起こすと、のしかかっている幻獣は応えるように、べろりと顔を舐めた。幻獣がこんな所に姿を現すとは、予想外も良い所である。
翡翠は巨体の下でただ呆然と皓月を仰ぐことしかできない。皓月はゆるゆると長い尾を振りながら、翡翠の襟元を咥えると、ぐいと立ち上がらせた。
その時。
「翡翠様っ」
聞きなれた声が辺りの静寂を破る。振り返ると、視界の端に白い袖が舞うのが見えた。
「翡翠様は、ひどいっ」
どんっと自分に飛びついてくる人影を、翡翠は咄嗟に抱き止めた。
「何も言わずに行こうとするなんて。私があなたの決意に気がつかないとでも?」
「――雪」
「私はいつでも翡翠様を見送って差し上げます。そして、何があっても、戻ってくるのを待っています」
「うん。ごめんね」
泣きながらも、雪は気丈に訴える。皓月の長い尾が、妻を哀しませるなと言いたげに翡翠の背中をつんと突いた。
「翡翠様は私の比翼です。その誓いで、私に何が出来るのか忘れないで下さい。万が一、翡翠様が魂魄を失うようなことがあれば、私は自身の真名を捧げ、この魂魄を代償として、翡翠様の反魂を行います」
「雪、それは」
「いいえ。私は翡翠様が先に逝かれることは絶対に許しません」
「だけど、僕だって雪を失うのは嫌だよ」
「だからっ、――だから、絶対に帰ってきてください」
翡翠は雪の想いを痛いくらいに、その胸に刻んだ。
反魂の法。
失われた魂魄を、真名と魂魄によってこの世に繋ぎ止める術。真名を捧げあった者にだけ交わすことが可能だが、それは禁術の一つでもある。
なぜなら魂魄は生前のまま蘇ることはなく、著しく狂っていることが多いからだ。これまでにも、反魂の法によって起きた悲劇は数え切れないほど語り継がれている。
その禁術を語ってでも、雪が訴えたいこと。
「絶対に、戻ってきてくださいね。――待っていますから」
彼女は決して行くなとは言わない。
誰よりも、翡翠の決意を支えてくれる。
それならば、翡翠は彼女の願いを破ることは出来ない。
「うん。会いたくなったら、すぐに戻ってくるよ。僕だって雪に会えない日々はつまらないんだから」
思わず本音を零すと、雪は濡れた瞳で笑った。
「約束ですよ」
「うん、約束だよ」
翡翠はごく自然に、雪と唇を重ねた。別れを惜しむように口付けていると、再びつんつんと背中を突かれる。はっとして振り返ると、皓月がわざとらしく欠伸をしながら、退屈だと言わんばかりにがりがりと前足で地面を掻いていた。
雪が翡翠の腕の中から皓月の様子を眺めて、小さく笑う。
「きっと、翡翠様を裏鬼門まで送ってくれるのね」
翡翠から身を離して、雪は皓月の前まで歩み寄る。今まで雪に懐くことのなかったという幻獣は、珍しく長い尾で雪の頬を撫でた。翡翠には、まるで残された妻を慰めているようにも見える。
雪はくすぐったいと笑いながら、翡翠を振り返る。
「霊獣は天意の示すままに行動すると言います。だから、皓月が翡翠様を迎えに来たことには、意味があると思います。きっと翡翠様の決意は間違っていないのだわ」
「――うん。僕もそう思う」
頷くと、皓月はのそっと翡翠に歩み寄り、再びその襟元を咥えた。翡翠が声を上げるまもなく強い力で引っ張られ、くるりと体が宙に投げ出される。気がつくと、皓月の背中に見事に着地していた。
幻獣の背中に乗った翡翠を見上げて、雪は夜着の白い袖を振った。
「翡翠様、いってらっしゃい」
「いってきます、雪」
すぐに戻ってくるからねと言い終わらない内に、ざっと皓月が駆け出した。翡翠は慌てて皓月の体にしがみつく。
まるで天馬のごとく、世界を駆ける趨牙の俊足。
翡翠の言葉は風に紛れ、雪の姿も碧の宮城も一瞬にして彼方に遠ざかる。
裏鬼門までの長い道程が、嘘のように短い。
誰も立ち入らない、全く手入れのされていない荒れた地。鬼門と同様に恐れられている場所であるのが、一目で判る。
透国と緋国の境界に位置する天界に据えられた裏鬼門。
翡翠は皓月の背から降り立ち、既に見慣れた廃墟を眺めた。見送る皓月に礼を述べて、翡翠は迷わず足を踏み入れる。
耳の痛くなるようなしんとした静寂の中に、回廊を進む翡翠の足音だけが響いている。廃墟の奥まで進むと、古びた柱の向こう側に隠された扉があった。その扉にたどり着くまで、翡翠はどれほどこの廃墟の中を行き来しただろうか。
ゆっくりと扉を押し開くと、再び巨大な二本の柱が聳えている。
翡翠は迷わずその奥へと足を踏み入れた。薄暗い廃墟の中で、ひときわ濃密な闇が迫ってくる。
虚無が渦巻くかのような暗黒の扉。
裏鬼門。
(ここから、全てが始まる)
翡翠は真実を探し求めて、その暗黒の扉に身を投じた。
(――長い不在になるかもしれないな)
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確かな目的を持って、異界へ旅立つのだ。
(先のことを考えても、後ろ向きになるだけだ。やめよう)
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振り返ると、翡翠に身を寄せるようにして眠っていた雪の手が、しっかりと握り締めている。
(――雪)
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だから、何も語らずに姿を消すと決めた。
今までと同じように。
気ままに放浪して、飽きたら戻ってくる。
これまでの繰り返しと何も変わらないのだと、そう思っていて欲しい。
聡明な雪が翡翠の決意に気付かないはずはないだろう。
気休めにもならない我儘な願い。
「ごめんね、雪」
声にならない呟きで、彼女に詫びる。翡翠は自分を繋ぎとめている雪の手を外して、そのまま両手で優しく握り締めた。
「でも、会いたくなったら、すぐに戻ってくるからさ。今までみたいに」
何も変わらないのだと、まるで自分に言い聞かせるように呟く。
かけがえのない翼扶。
彼女と出会えたこの世の運命に、誰よりも感謝している。心から雪を愛しているから、彼女と出会えたこの世界を失いたくはないのだ。
この世が続いて行くのだと信じていたい。
翡翠は握り締めていた雪の手に唇を押し当ててから、するりと寝台を出た。
旅支度はいつもどおり簡素である。
迷いを振り切るように臥所を出て、内殿を後にした。
軒廊を渡って早足に翡翠宮を出ると、慣れた足取りで衛兵の死角を突き進む。難なく宮城の巨大な玄武門を越えると、翡翠はふと歩みを止めた。
目の前に広がるのは、既に見慣れてしまった昼夜の区別がつかなくなった世界。
深夜の蒼い闇を見ることは叶わず、どんよりと濁った膜で空が覆われている。異界の雷雲に似ているのかもしれない。
見渡す果てまでが、濁りの中に在る暗い世界。
(――この空を見て驚かなくなった自分が哀しい)
はあっと溜息をついて再び歩き始めると、翡翠の目の前を巨大な影が過ぎった。
「うわっ」
直後、押しつぶされそうな圧迫感に襲われて、翡翠はどっとその場に倒れた。何が起きたのか確かめようとして腕を伸ばすと、心地のよい質感に触れる。
どこかで触れたことのある毛並み。
「こ、皓月っ?」
翡翠がなんとか上体を起こすと、のしかかっている幻獣は応えるように、べろりと顔を舐めた。幻獣がこんな所に姿を現すとは、予想外も良い所である。
翡翠は巨体の下でただ呆然と皓月を仰ぐことしかできない。皓月はゆるゆると長い尾を振りながら、翡翠の襟元を咥えると、ぐいと立ち上がらせた。
その時。
「翡翠様っ」
聞きなれた声が辺りの静寂を破る。振り返ると、視界の端に白い袖が舞うのが見えた。
「翡翠様は、ひどいっ」
どんっと自分に飛びついてくる人影を、翡翠は咄嗟に抱き止めた。
「何も言わずに行こうとするなんて。私があなたの決意に気がつかないとでも?」
「――雪」
「私はいつでも翡翠様を見送って差し上げます。そして、何があっても、戻ってくるのを待っています」
「うん。ごめんね」
泣きながらも、雪は気丈に訴える。皓月の長い尾が、妻を哀しませるなと言いたげに翡翠の背中をつんと突いた。
「翡翠様は私の比翼です。その誓いで、私に何が出来るのか忘れないで下さい。万が一、翡翠様が魂魄を失うようなことがあれば、私は自身の真名を捧げ、この魂魄を代償として、翡翠様の反魂を行います」
「雪、それは」
「いいえ。私は翡翠様が先に逝かれることは絶対に許しません」
「だけど、僕だって雪を失うのは嫌だよ」
「だからっ、――だから、絶対に帰ってきてください」
翡翠は雪の想いを痛いくらいに、その胸に刻んだ。
反魂の法。
失われた魂魄を、真名と魂魄によってこの世に繋ぎ止める術。真名を捧げあった者にだけ交わすことが可能だが、それは禁術の一つでもある。
なぜなら魂魄は生前のまま蘇ることはなく、著しく狂っていることが多いからだ。これまでにも、反魂の法によって起きた悲劇は数え切れないほど語り継がれている。
その禁術を語ってでも、雪が訴えたいこと。
「絶対に、戻ってきてくださいね。――待っていますから」
彼女は決して行くなとは言わない。
誰よりも、翡翠の決意を支えてくれる。
それならば、翡翠は彼女の願いを破ることは出来ない。
「うん。会いたくなったら、すぐに戻ってくるよ。僕だって雪に会えない日々はつまらないんだから」
思わず本音を零すと、雪は濡れた瞳で笑った。
「約束ですよ」
「うん、約束だよ」
翡翠はごく自然に、雪と唇を重ねた。別れを惜しむように口付けていると、再びつんつんと背中を突かれる。はっとして振り返ると、皓月がわざとらしく欠伸をしながら、退屈だと言わんばかりにがりがりと前足で地面を掻いていた。
雪が翡翠の腕の中から皓月の様子を眺めて、小さく笑う。
「きっと、翡翠様を裏鬼門まで送ってくれるのね」
翡翠から身を離して、雪は皓月の前まで歩み寄る。今まで雪に懐くことのなかったという幻獣は、珍しく長い尾で雪の頬を撫でた。翡翠には、まるで残された妻を慰めているようにも見える。
雪はくすぐったいと笑いながら、翡翠を振り返る。
「霊獣は天意の示すままに行動すると言います。だから、皓月が翡翠様を迎えに来たことには、意味があると思います。きっと翡翠様の決意は間違っていないのだわ」
「――うん。僕もそう思う」
頷くと、皓月はのそっと翡翠に歩み寄り、再びその襟元を咥えた。翡翠が声を上げるまもなく強い力で引っ張られ、くるりと体が宙に投げ出される。気がつくと、皓月の背中に見事に着地していた。
幻獣の背中に乗った翡翠を見上げて、雪は夜着の白い袖を振った。
「翡翠様、いってらっしゃい」
「いってきます、雪」
すぐに戻ってくるからねと言い終わらない内に、ざっと皓月が駆け出した。翡翠は慌てて皓月の体にしがみつく。
まるで天馬のごとく、世界を駆ける趨牙の俊足。
翡翠の言葉は風に紛れ、雪の姿も碧の宮城も一瞬にして彼方に遠ざかる。
裏鬼門までの長い道程が、嘘のように短い。
誰も立ち入らない、全く手入れのされていない荒れた地。鬼門と同様に恐れられている場所であるのが、一目で判る。
透国と緋国の境界に位置する天界に据えられた裏鬼門。
翡翠は皓月の背から降り立ち、既に見慣れた廃墟を眺めた。見送る皓月に礼を述べて、翡翠は迷わず足を踏み入れる。
耳の痛くなるようなしんとした静寂の中に、回廊を進む翡翠の足音だけが響いている。廃墟の奥まで進むと、古びた柱の向こう側に隠された扉があった。その扉にたどり着くまで、翡翠はどれほどこの廃墟の中を行き来しただろうか。
ゆっくりと扉を押し開くと、再び巨大な二本の柱が聳えている。
翡翠は迷わずその奥へと足を踏み入れた。薄暗い廃墟の中で、ひときわ濃密な闇が迫ってくる。
虚無が渦巻くかのような暗黒の扉。
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