41 / 233
第二話 偽りの玉座
弐章:四 世の掟Ⅲ 2
しおりを挟む
翡翠が身じろぐほど驚いていると、黙って会話を聞いていた雪が口を開いた。
「その噂は、私も聞きました。翡翠様は地界を彷徨っていたから、耳に入らなかったのですね」
「僕は天界の情報は雪から聞いているから」
彼女は袖で口元を覆って、小さく笑った。
「そう言えば、そうでした」
「だけど、見たってどういうこと? いったい誰がどこで見たの? そもそも、黄帝が認めていないなら、ただの間違いじゃないの?」
「私もそう思います。黄帝が自覚もなく相称の翼を持つなんて、どう考えても有り得ません」
雪は力を込めて断定する。翡翠も同じ意見だった。
相称の翼。
それは黄帝の寵愛を受けて、心を通わせる者の称号。
この世でただ一人、黄帝と真名を捧げあう黄后となる者を示す。
天界においては、男が愛し真名を捧げた相手を翼扶、女が愛し、真名を捧げた相手を比翼と呼ぶ。翡翠は既に雪という翼扶を得る幸運を得た。雪にとっても、翡翠はこの世でただ一人の比翼なのだ。
自身の経験を振り返っても、無自覚に翼扶を得ることは不可能である。
相称の翼が既に存在するのなら、黄帝には真名を捧げた心当たりがあるだろう。想いを通わせて、誰よりも愛した者が在る筈なのだ。
そして相称の翼は、天帝の御世を明らかにする。
黄帝よりもこの世に輝きを齎す存在――天帝。
黄帝と黄后を一つの存在として捉えた、最上の帝位。
麒麟を守護とする黄帝に対し、鳳凰を守護とする黄后、あるいは相称の翼。
黄帝と契りを交わし、真名を捧げあうことにより、その姿は金を纏う者へ変貌を遂げると言われている。黄帝と並び立つに相応しい眩い容姿。輝く金の髪と、煌めくような黄金色の眼差しを与えられる。
金域に黄帝と相称の翼が揃えば、圧倒的な礼によって、余るほどの神が発揮されるに違いない。
「それに本当に相称の翼が在るとすれば、それはこの世にとってとても喜ばしいことです。黄帝が知っていながら秘めているのは、不自然だわ」
雪は相称の翼の目撃証言を根も葉もない噂だと考えているようだ。白虹の皇子は「そうだね」と穏やかに答えた。
「私達が考える以上に、現状を案じている者が多いのかもしれない。人々の不安は、どんな些細な希望にでも縋ろうとするだろう。相称の翼が、一番わかりやすい希望の形なのかもしれない」
「僕もそう思います。だけど、火のない処に煙は立たないとも言いますよね。相称の翼は、誰が見ても一目で分かる姿をしている。金髪に金眼はとても目立ちます。天界では、どんな手段をとっても髪色や瞳を金に染めることはできません。なのに、誰かが見たというのなら、もしかすると相称の翼は存在しているのかもしれない」
「でも、翡翠様。それならどうして黄帝は公表しないのかしら。相称の翼があれば、天帝の御世が始まる。誰が聞いても、喜ばしいことなのに」
翡翠は「うーん」と首を捻る。
「そうだな。例えば、――黄帝に秘めておかなければならない理由があるとか」
「秘めておかなければならない理由?」
雪も長い袖で口元を覆って、考え込んでいる。翡翠は思いついたことを述べてみた。
「もし相称の翼があると仮定すると、世界が枯れたままなのはおかしいよね」
白虹の皇子がゆっくりと翡翠に顔を向けた。
「たしかに、それはそうです」
「大兄、だったら、やっぱり目撃証言はただの噂なのではないかしら」
「私もそう考えるのが普通だとは思う。でも……」
皇子は最後まで語らず、翡翠の意見を促す。
「雪。もしかすると、相称の翼が力を発揮できない理由があったら? 例えば、金域にいないとか、――呪をかけられたとか」
深く考えずに語っていたことなのに、翡翠は口にしながらひやりと嫌な予感に襲われる。
この世を滅ぼす禍――闇呪の主。
天帝に滅ぼされる宿命を負っているのなら、彼だけが相称の翼を歓迎しない。
黄帝と相称の翼をさして天帝とするのなら、闇呪の主は黄帝ではなく、相称の翼によって滅ぼされるとも考えられる。
この世の禍として生まれ、もし闇呪の主のような立場にあれば、間違いなく誰もが相称の翼を恐れ、何らかの策をめぐらせるに違いない。
どっぷりと嫌な想像に浸ってしまい、翡翠はうな垂れてしまう。そんな翡翠の憂慮に気付いたのか、白虹の皇子が手を差し伸べるように口を開いた。
「闇呪の主が関与していると考えるのも一つ推論としてはあるのかもしれません。しかし、それは現実的ではありませんね。相称の翼は、姿に金を纏うと同時に守護を持つのです。たとえ闇呪の主が黒麒麟を携えていても、鳳凰を討ち破ることは簡単ではありません」
「あっ、そっか。そうですね。良かった」
思わず胸を撫で下ろすと、雪と皇子が声をたてて笑う。
「鳳凰か。じゃあ、やっぱり見間違いか、単なる噂に過ぎないんだろうな」
翡翠が呟くと、皓月は長い尾でぴしりぴしりと翡翠の肩を打った。静かに羽を休めていた黒鳥も、何か物言いたげに翼を忙しなく広げる。
白虹の皇子が、何かの気配を感じたのかすぐに牀子から立ち上がった。
「使いの者が戻ってきたのかもしれません」
「使いの者?」
翡翠には分からなかったが、皇子は既に扉へ向けて歩み出していた。翡翠は再び皓月に襟元を咥えられる。ぐいっと力が入ると同時に、その場に立ち上がっていた。
白虹の皇子がふと歩みを止めて、翡翠を見返る。
「翡翠の王子。――私は噂を信じています」
「え?」
一瞬、何のことを云われているのか分からず、反応が遅れる。
「相称の翼は既に在る。そう信じています。噂は単なる噂であるのかもしれない。それでも、私は相称の翼について、手掛かりを求めているのです」
彼は再び翡翠に背を向けて歩み出した。
「それがこの世の衰退についての手掛かりではないのかと考えています」
「……皇子」
「この件については、後ほど。とりあえず使いの者から話を聞きましょう」
「大兄っ、それは翡翠様の訪問よりも優先すべきことなのですか?」
雪が声をあげると、皇子は背を向けたまま頷いた。翡翠は雪の肩に手を置いて、気にしていないと笑ってみせる。
「僕たちも、行こう」
「……はい」
翡翠が歩き出すと、皓月ものそりと踏み出した。黒鳥も高い位置で羽ばたいている。
翡翠は再び緊張している自分を自覚する。
相称の翼に関する手掛かり。
既に世にありながら、姿を眩ましているのか。
あるいは、黄帝と想いを通わせながらも、相称の翼となり得ない理由があるのか。
黄帝の輝きが失われつつある世界。
この世を脅かす闇。
目を閉じれば、枯れた地界が脳裏をよぎる。
翡翠は荒れた光景を振り払うように、大きく息をついて目を開いた。
「その噂は、私も聞きました。翡翠様は地界を彷徨っていたから、耳に入らなかったのですね」
「僕は天界の情報は雪から聞いているから」
彼女は袖で口元を覆って、小さく笑った。
「そう言えば、そうでした」
「だけど、見たってどういうこと? いったい誰がどこで見たの? そもそも、黄帝が認めていないなら、ただの間違いじゃないの?」
「私もそう思います。黄帝が自覚もなく相称の翼を持つなんて、どう考えても有り得ません」
雪は力を込めて断定する。翡翠も同じ意見だった。
相称の翼。
それは黄帝の寵愛を受けて、心を通わせる者の称号。
この世でただ一人、黄帝と真名を捧げあう黄后となる者を示す。
天界においては、男が愛し真名を捧げた相手を翼扶、女が愛し、真名を捧げた相手を比翼と呼ぶ。翡翠は既に雪という翼扶を得る幸運を得た。雪にとっても、翡翠はこの世でただ一人の比翼なのだ。
自身の経験を振り返っても、無自覚に翼扶を得ることは不可能である。
相称の翼が既に存在するのなら、黄帝には真名を捧げた心当たりがあるだろう。想いを通わせて、誰よりも愛した者が在る筈なのだ。
そして相称の翼は、天帝の御世を明らかにする。
黄帝よりもこの世に輝きを齎す存在――天帝。
黄帝と黄后を一つの存在として捉えた、最上の帝位。
麒麟を守護とする黄帝に対し、鳳凰を守護とする黄后、あるいは相称の翼。
黄帝と契りを交わし、真名を捧げあうことにより、その姿は金を纏う者へ変貌を遂げると言われている。黄帝と並び立つに相応しい眩い容姿。輝く金の髪と、煌めくような黄金色の眼差しを与えられる。
金域に黄帝と相称の翼が揃えば、圧倒的な礼によって、余るほどの神が発揮されるに違いない。
「それに本当に相称の翼が在るとすれば、それはこの世にとってとても喜ばしいことです。黄帝が知っていながら秘めているのは、不自然だわ」
雪は相称の翼の目撃証言を根も葉もない噂だと考えているようだ。白虹の皇子は「そうだね」と穏やかに答えた。
「私達が考える以上に、現状を案じている者が多いのかもしれない。人々の不安は、どんな些細な希望にでも縋ろうとするだろう。相称の翼が、一番わかりやすい希望の形なのかもしれない」
「僕もそう思います。だけど、火のない処に煙は立たないとも言いますよね。相称の翼は、誰が見ても一目で分かる姿をしている。金髪に金眼はとても目立ちます。天界では、どんな手段をとっても髪色や瞳を金に染めることはできません。なのに、誰かが見たというのなら、もしかすると相称の翼は存在しているのかもしれない」
「でも、翡翠様。それならどうして黄帝は公表しないのかしら。相称の翼があれば、天帝の御世が始まる。誰が聞いても、喜ばしいことなのに」
翡翠は「うーん」と首を捻る。
「そうだな。例えば、――黄帝に秘めておかなければならない理由があるとか」
「秘めておかなければならない理由?」
雪も長い袖で口元を覆って、考え込んでいる。翡翠は思いついたことを述べてみた。
「もし相称の翼があると仮定すると、世界が枯れたままなのはおかしいよね」
白虹の皇子がゆっくりと翡翠に顔を向けた。
「たしかに、それはそうです」
「大兄、だったら、やっぱり目撃証言はただの噂なのではないかしら」
「私もそう考えるのが普通だとは思う。でも……」
皇子は最後まで語らず、翡翠の意見を促す。
「雪。もしかすると、相称の翼が力を発揮できない理由があったら? 例えば、金域にいないとか、――呪をかけられたとか」
深く考えずに語っていたことなのに、翡翠は口にしながらひやりと嫌な予感に襲われる。
この世を滅ぼす禍――闇呪の主。
天帝に滅ぼされる宿命を負っているのなら、彼だけが相称の翼を歓迎しない。
黄帝と相称の翼をさして天帝とするのなら、闇呪の主は黄帝ではなく、相称の翼によって滅ぼされるとも考えられる。
この世の禍として生まれ、もし闇呪の主のような立場にあれば、間違いなく誰もが相称の翼を恐れ、何らかの策をめぐらせるに違いない。
どっぷりと嫌な想像に浸ってしまい、翡翠はうな垂れてしまう。そんな翡翠の憂慮に気付いたのか、白虹の皇子が手を差し伸べるように口を開いた。
「闇呪の主が関与していると考えるのも一つ推論としてはあるのかもしれません。しかし、それは現実的ではありませんね。相称の翼は、姿に金を纏うと同時に守護を持つのです。たとえ闇呪の主が黒麒麟を携えていても、鳳凰を討ち破ることは簡単ではありません」
「あっ、そっか。そうですね。良かった」
思わず胸を撫で下ろすと、雪と皇子が声をたてて笑う。
「鳳凰か。じゃあ、やっぱり見間違いか、単なる噂に過ぎないんだろうな」
翡翠が呟くと、皓月は長い尾でぴしりぴしりと翡翠の肩を打った。静かに羽を休めていた黒鳥も、何か物言いたげに翼を忙しなく広げる。
白虹の皇子が、何かの気配を感じたのかすぐに牀子から立ち上がった。
「使いの者が戻ってきたのかもしれません」
「使いの者?」
翡翠には分からなかったが、皇子は既に扉へ向けて歩み出していた。翡翠は再び皓月に襟元を咥えられる。ぐいっと力が入ると同時に、その場に立ち上がっていた。
白虹の皇子がふと歩みを止めて、翡翠を見返る。
「翡翠の王子。――私は噂を信じています」
「え?」
一瞬、何のことを云われているのか分からず、反応が遅れる。
「相称の翼は既に在る。そう信じています。噂は単なる噂であるのかもしれない。それでも、私は相称の翼について、手掛かりを求めているのです」
彼は再び翡翠に背を向けて歩み出した。
「それがこの世の衰退についての手掛かりではないのかと考えています」
「……皇子」
「この件については、後ほど。とりあえず使いの者から話を聞きましょう」
「大兄っ、それは翡翠様の訪問よりも優先すべきことなのですか?」
雪が声をあげると、皇子は背を向けたまま頷いた。翡翠は雪の肩に手を置いて、気にしていないと笑ってみせる。
「僕たちも、行こう」
「……はい」
翡翠が歩き出すと、皓月ものそりと踏み出した。黒鳥も高い位置で羽ばたいている。
翡翠は再び緊張している自分を自覚する。
相称の翼に関する手掛かり。
既に世にありながら、姿を眩ましているのか。
あるいは、黄帝と想いを通わせながらも、相称の翼となり得ない理由があるのか。
黄帝の輝きが失われつつある世界。
この世を脅かす闇。
目を閉じれば、枯れた地界が脳裏をよぎる。
翡翠は荒れた光景を振り払うように、大きく息をついて目を開いた。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる