魔王と囚われた王妃 ~断末魔の声が、わたしの心を狂わせる~

絶世の美貌を謳われた王妃レイアの記憶に残っているのは、愛しい王の最期の声だけ。
凄惨な過去の衝撃から、ほとんどの記憶を失ったまま、レイアは魔界の城に囚われている。

人界を滅ぼした魔王ディオン。
逃亡を試みたレイアの前で、ディオンは共にあった侍女のノルンをためらいもなく切り捨てる。

「――おまえが、私を恐れるのか? ルシア」

恐れるレイアを、魔王はなぜかルシアと呼んだ。
彼と共に過ごすうちに、彼女はわからなくなる。
自分はルシアなのか。一体誰を愛し夢を語っていたのか。

失われ、蝕まれていく想い。
やがてルシアは、魔王ディオンの真実に辿り着く。
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