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第十二章:カバさんの嘔吐
58:一郎さんの選択
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世界の終わりが迫っている。
「海でのピクニック」から要塞のリビングに戻ってくると、一郎さんはジュゼットからピンクのカバのぬいぐるみを取り上げた。
窓の外は一面が白い。景色は失われ、ノイズのような線がチリチリと横切っている。
この部屋だけが、最後の砦として残されているようだった。
わたしはリビングの大きなソファセットに、次郎君と並んで座る。反対側にはジュゼットがいて、小さな肩をそっと抱き寄せた。
一郎さんはソファに座ることもなく、私たちの前で立ち尽くしている。隣には瞳子さんが寄り添うように立っていた。
前にカバさんが導いた夏の海で見たように、一郎さんと瞳子さんには信頼に満ちた雰囲気が漂っている。
全てが明らかになり、決別を前にして、ようやく相思相愛だった頃の二人に戻れたのだ。
皮肉としか言いようがないけれど、戻れないまま終わるよりは良かったはずだ。
世界が終わるのか、復元が始まるのか。
カウントダウンは続いている。
どちらにしても、わたしにも緊張が走る。不安がないとは言えない。
「11D」
一郎さんが手元のぬいぐるみに話しかけると、ピンクのカバはもぞもぞと手足を動かした。
「なんや、イチロー」
「おまえとも、これで最後だな」
「――そやな。どっちに転んでも、もう会うことはないわ」
カバさんが再びもぞもぞと手足を動かした。ニタニタとした表情が伴っている。
「ほんで? どうするつもりや?」
一郎さんが浅く笑った。
「残念ながら、おまえは瞳子との賭けに負ける」
ああ、一郎さんは決断した。
世界の終わりではなく、瞳子さんのいない未来を生きていくことを選択したのだ。
はっきりと示されると、にわかにわたしの胸がドキドキし始める。
これまでの時間が偽りと化して、復元がはじまるのだ。
わたしは、もう一度こんなふうに次郎君のそばにいられる世界を歩めるだろうか。
緊張で肩に力が入る。
「あやめ、大丈夫だから」
次郎君がわたしの不安に気づいて、そっと手を握ってくれた。彼の温もりを感じると、不安でドキドキしていた鼓動が緩やかさを取り戻す。
「俺は絶対にまたあやめと出会って、付き合って欲しいって言うから」
次郎君の言葉が力強い。
「はい」
そうだ。きっと記憶が失われても、形を失っても、きっと思いだけは残っている。
胸の奥に。
だから、怖がることはない。わたしはわたしの気持ちを信じていよう。
一郎さんが目の高さまでカバさんを持ち上げた。
「おまえには世界を吐き出してもらう」
「ほんまにええねんな。もう二度と彼女には会われへんねんで?」
世界が終わらなくても、一郎さんの世界がループすることはない。
瞳子さんを追いかけ続けた、一郎さんの長い夢は終わるのだ。
「もうやり直しはなしやで」
繰り返さない代わりに、二度と会えなくなる。
二人がこんなふうに寄り添える日は、もうこない。
何も言えない一郎さんに変わって、瞳子さんがカバさんに手を伸ばした。
「二度と会えないと決まったわけじゃないわ」
「なんでやねん」
「だって、世界は夢を介してあらゆる別世界とつながっているのよ。一郎は別世界を旅するように、長い夢を見ていたようなものでしょ」
瞳子さんがカバさんを胸に抱えて、一郎さんを見た。
「だとしたら、私がいるのは、きっと夢の果てよ」
「――瞳子」
「だから、私と一郎はいつか夢の果てでもう一度会えるの。一郎が今度こそ、自分の夢を最後まで完うしたら、私たちは、きっともう一度会えるわ」
「そんなアホな」
「あら? でも、そう考えた方が素敵でしょ?」
カバさんは呆れた声を出したけれど、瞳子さんは無邪気だった。
夢の果てで、もう一度会える。
瞳子さんらしいと思った。
それは、一郎さんが踏み出すための新たな希望だ。
でも。
歯を食いしばってこらえていたけれど駄目だった。涙がボロボロと溢れて止まらなくなる。
もうこんなふうに瞳子さんと一緒に時を過ごすことはできないのだ。
彼女の作る美味しいご飯や、ロイヤルミルクティーを飲むことはできない。
世界が復元して元に戻っても、その夢には瞳子さんはいないのだ。
「トーコ!」
ジュゼットがわたしの隣から飛び出して、彼女にすがりついた。
「わたくし、頑張りますわ! 公爵家に戻ったら、トーコみたいな素敵な女性になれるように! 殿下に釣り合うような立派な淑女になれるように!」
泣き出したジュゼットと同じ目線になるように身を屈めて、瞳子さんがジュゼットの小さな肩を抱いた。
「ジュゼットなら大丈夫。きっと素敵な女性になって、幸せになれるわ」
「はい……、はい。トーコに教えてもらったこと、絶対に忘れません」
「頑張ってね」
瞳子さんが、ジュゼットの背中に腕を回して、ぎゅっと強く抱きしめる。
「大丈夫。ここでのことを忘れてしまっても、ジュゼットの中にその気持ちは残ってる」
「……トーコ」
ジュゼットの嗚咽を聞きながら、わたしも完全に涙腺が崩壊してしまう。伝えたいことがいっぱいあるのに、しゃくりあげるだけで精一杯だった。
新たにやり直す世界で、わたしは瞳子さんの不在を思い知るのだろうか。
信じたい。忘れてしまっても、気持ちだけは残っていると。
「あやめちゃん」
瞳子さんがジュゼットの小さな肩越しにこちらを見ている。わたしはゴシゴシと涙を拭ったけれど、呼吸がひくひくと震えて返事もできない。
「そんなに泣かないで。……これからも次郎君のこと、お願いね」
「う……」
言葉にならず、何度も深く頷いた。
約束。必ず次郎君にふさわしい女性になれるように励む。そう誓う。
「次郎君も、あやめちゃんのこと大切にしてあげてね」
でも、嫌だ。やっぱり嫌だ。
元の世界に戻っても、瞳子さんと一緒にご飯を食べたりおしゃべりしたりしたい。
たくさん恋バナをして、相談したい。
「あやめ」
次郎君が泣きじゃくるわたしの肩を抱いてくれた。
瞳子さんがジュゼットから手を離す。改めてカバのぬいぐるみを両手で抱えた。
「一郎」
向かい合うように立って、瞳子さんが微笑んだ。
「ありがとう」
一郎さんが、違うと言いたげに首を横に振る。
「俺はおまえを苦しめただけだ」
「どうして? 一郎が望んでくれたから、私はこの時を過ごせた。一郎にこんなに想ってもらえて、とても幸せね」
「……強がりだな」
頬を伝う一郎さんの涙に、瞳子さんがそっと触れた。
「本当のことよ。……海での約束、ちゃんと覚えてる?」
「――ああ」
「今度は一郎が幸せになる番だから。約束よ」
やりきれない結末。
一郎さんが強く彼女を引き寄せて抱きしめる。瞳子さんの目で、涙が光った。
「泣かないで、一郎。男前が台無し」
「おまえだって」
二人が顔を見合わせて小さく笑った。キラキラと涙が光る。
重なる想い。美しい結晶のように、とめどなくこぼれて落ちて弾ける。
崩れゆく世界の足元で、涙が小さな虹を描いた。
「幸せになってね、一郎」
「……わかってる」
穏やかな声で、一郎さんが頷く。
それが合図だったかのように、カバさんの声がした。
「ほんだら吐くで!」
感動的な場面が台無しだった。
――ウグッ、オエェェェェェ!
気持ちの悪い嘔吐の声。
世界の欠片を吐き出す雄叫びが、失われかけていた世界に響いた。
――AD(全次元)、カウントダウン。
――……。
――11D、消息確認、所在確認。
――D(次元)一部消失、復元。
――AD(全次元)、質量確認。
――AD(全次元)、復元開始。
「海でのピクニック」から要塞のリビングに戻ってくると、一郎さんはジュゼットからピンクのカバのぬいぐるみを取り上げた。
窓の外は一面が白い。景色は失われ、ノイズのような線がチリチリと横切っている。
この部屋だけが、最後の砦として残されているようだった。
わたしはリビングの大きなソファセットに、次郎君と並んで座る。反対側にはジュゼットがいて、小さな肩をそっと抱き寄せた。
一郎さんはソファに座ることもなく、私たちの前で立ち尽くしている。隣には瞳子さんが寄り添うように立っていた。
前にカバさんが導いた夏の海で見たように、一郎さんと瞳子さんには信頼に満ちた雰囲気が漂っている。
全てが明らかになり、決別を前にして、ようやく相思相愛だった頃の二人に戻れたのだ。
皮肉としか言いようがないけれど、戻れないまま終わるよりは良かったはずだ。
世界が終わるのか、復元が始まるのか。
カウントダウンは続いている。
どちらにしても、わたしにも緊張が走る。不安がないとは言えない。
「11D」
一郎さんが手元のぬいぐるみに話しかけると、ピンクのカバはもぞもぞと手足を動かした。
「なんや、イチロー」
「おまえとも、これで最後だな」
「――そやな。どっちに転んでも、もう会うことはないわ」
カバさんが再びもぞもぞと手足を動かした。ニタニタとした表情が伴っている。
「ほんで? どうするつもりや?」
一郎さんが浅く笑った。
「残念ながら、おまえは瞳子との賭けに負ける」
ああ、一郎さんは決断した。
世界の終わりではなく、瞳子さんのいない未来を生きていくことを選択したのだ。
はっきりと示されると、にわかにわたしの胸がドキドキし始める。
これまでの時間が偽りと化して、復元がはじまるのだ。
わたしは、もう一度こんなふうに次郎君のそばにいられる世界を歩めるだろうか。
緊張で肩に力が入る。
「あやめ、大丈夫だから」
次郎君がわたしの不安に気づいて、そっと手を握ってくれた。彼の温もりを感じると、不安でドキドキしていた鼓動が緩やかさを取り戻す。
「俺は絶対にまたあやめと出会って、付き合って欲しいって言うから」
次郎君の言葉が力強い。
「はい」
そうだ。きっと記憶が失われても、形を失っても、きっと思いだけは残っている。
胸の奥に。
だから、怖がることはない。わたしはわたしの気持ちを信じていよう。
一郎さんが目の高さまでカバさんを持ち上げた。
「おまえには世界を吐き出してもらう」
「ほんまにええねんな。もう二度と彼女には会われへんねんで?」
世界が終わらなくても、一郎さんの世界がループすることはない。
瞳子さんを追いかけ続けた、一郎さんの長い夢は終わるのだ。
「もうやり直しはなしやで」
繰り返さない代わりに、二度と会えなくなる。
二人がこんなふうに寄り添える日は、もうこない。
何も言えない一郎さんに変わって、瞳子さんがカバさんに手を伸ばした。
「二度と会えないと決まったわけじゃないわ」
「なんでやねん」
「だって、世界は夢を介してあらゆる別世界とつながっているのよ。一郎は別世界を旅するように、長い夢を見ていたようなものでしょ」
瞳子さんがカバさんを胸に抱えて、一郎さんを見た。
「だとしたら、私がいるのは、きっと夢の果てよ」
「――瞳子」
「だから、私と一郎はいつか夢の果てでもう一度会えるの。一郎が今度こそ、自分の夢を最後まで完うしたら、私たちは、きっともう一度会えるわ」
「そんなアホな」
「あら? でも、そう考えた方が素敵でしょ?」
カバさんは呆れた声を出したけれど、瞳子さんは無邪気だった。
夢の果てで、もう一度会える。
瞳子さんらしいと思った。
それは、一郎さんが踏み出すための新たな希望だ。
でも。
歯を食いしばってこらえていたけれど駄目だった。涙がボロボロと溢れて止まらなくなる。
もうこんなふうに瞳子さんと一緒に時を過ごすことはできないのだ。
彼女の作る美味しいご飯や、ロイヤルミルクティーを飲むことはできない。
世界が復元して元に戻っても、その夢には瞳子さんはいないのだ。
「トーコ!」
ジュゼットがわたしの隣から飛び出して、彼女にすがりついた。
「わたくし、頑張りますわ! 公爵家に戻ったら、トーコみたいな素敵な女性になれるように! 殿下に釣り合うような立派な淑女になれるように!」
泣き出したジュゼットと同じ目線になるように身を屈めて、瞳子さんがジュゼットの小さな肩を抱いた。
「ジュゼットなら大丈夫。きっと素敵な女性になって、幸せになれるわ」
「はい……、はい。トーコに教えてもらったこと、絶対に忘れません」
「頑張ってね」
瞳子さんが、ジュゼットの背中に腕を回して、ぎゅっと強く抱きしめる。
「大丈夫。ここでのことを忘れてしまっても、ジュゼットの中にその気持ちは残ってる」
「……トーコ」
ジュゼットの嗚咽を聞きながら、わたしも完全に涙腺が崩壊してしまう。伝えたいことがいっぱいあるのに、しゃくりあげるだけで精一杯だった。
新たにやり直す世界で、わたしは瞳子さんの不在を思い知るのだろうか。
信じたい。忘れてしまっても、気持ちだけは残っていると。
「あやめちゃん」
瞳子さんがジュゼットの小さな肩越しにこちらを見ている。わたしはゴシゴシと涙を拭ったけれど、呼吸がひくひくと震えて返事もできない。
「そんなに泣かないで。……これからも次郎君のこと、お願いね」
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「次郎君も、あやめちゃんのこと大切にしてあげてね」
でも、嫌だ。やっぱり嫌だ。
元の世界に戻っても、瞳子さんと一緒にご飯を食べたりおしゃべりしたりしたい。
たくさん恋バナをして、相談したい。
「あやめ」
次郎君が泣きじゃくるわたしの肩を抱いてくれた。
瞳子さんがジュゼットから手を離す。改めてカバのぬいぐるみを両手で抱えた。
「一郎」
向かい合うように立って、瞳子さんが微笑んだ。
「ありがとう」
一郎さんが、違うと言いたげに首を横に振る。
「俺はおまえを苦しめただけだ」
「どうして? 一郎が望んでくれたから、私はこの時を過ごせた。一郎にこんなに想ってもらえて、とても幸せね」
「……強がりだな」
頬を伝う一郎さんの涙に、瞳子さんがそっと触れた。
「本当のことよ。……海での約束、ちゃんと覚えてる?」
「――ああ」
「今度は一郎が幸せになる番だから。約束よ」
やりきれない結末。
一郎さんが強く彼女を引き寄せて抱きしめる。瞳子さんの目で、涙が光った。
「泣かないで、一郎。男前が台無し」
「おまえだって」
二人が顔を見合わせて小さく笑った。キラキラと涙が光る。
重なる想い。美しい結晶のように、とめどなくこぼれて落ちて弾ける。
崩れゆく世界の足元で、涙が小さな虹を描いた。
「幸せになってね、一郎」
「……わかってる」
穏やかな声で、一郎さんが頷く。
それが合図だったかのように、カバさんの声がした。
「ほんだら吐くで!」
感動的な場面が台無しだった。
――ウグッ、オエェェェェェ!
気持ちの悪い嘔吐の声。
世界の欠片を吐き出す雄叫びが、失われかけていた世界に響いた。
――AD(全次元)、カウントダウン。
――……。
――11D、消息確認、所在確認。
――D(次元)一部消失、復元。
――AD(全次元)、質量確認。
――AD(全次元)、復元開始。
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