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第十七章:古代王朝サイオンと天女
97:天女の設計(デザイン)
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「ルカ、大丈夫か」
まるで落下するような浮遊感を覚え、長椅子にかけたまま前かがみになったルカの耳に、ユリウスの気遣うような声が触れる。
穏やかな声音に救いあげられるように、ルカはゆっくりと顔をあげた。気持ちを整えるためにふうっと胸の底から呼吸をする。
サイオンの王女について末路を知った時も同じようにうろたえ、さらに嘔吐したことを思いだす。
とうに覚悟を決めていたはずなのに、心はいまだ脆弱なようだ。
気持ちを奮いたたせるように姿勢をただし、ルカはユリウスにうなずいて見せた。
見つめるべきなのは、先への道のりである。
「申し訳ありません、陛下。大丈夫です。サイオン王朝について私にすべてをお話いただけますか?」
「天女の複製であっても、おまえはスー王女を愛せるのか」
ユリウスは直截だった。もうルカにすべてを話すことに迷いがないのだ。
ルカには即答できない。天女の複製がたどる道筋がまったく思い描けない。
クラウディアがサイオンの全てを放棄しても、王女が自由を得ることはできないのだろうか。
第七都での石造のような彼女の様子が、ルカの胸底で重い鉛となっていた。
「正直に申し上げて、わかりません」
彼女と出会ってから育まれた想い。スーとの想い出は、ルカにとっては日向のようにまばゆい。自分の中で芽生えてしまった愛しさは、簡単に手放せるものではないだろう。
それでも、もし遠くない将来にスーの内面が失われるのであれば、残されたまばゆい記憶だけにすがって想いを貫く自信もない。
「彼女が古の女帝――天女の複製だったとして、私には彼女の身に何が起きるのか想像ができません。だからーー」
「そうだな。まだおまえには何も話していない。今のは尚早な質問だ」
あっさりと非を認め、ユリウスは浅く笑う。
「陛下にはスー王女に何が起きるのか想像ができるのですか?」
「先のことはわからないが、天女ーーサイオン王朝の女帝の話はできる。古の記録は失われたのではなく、ずっとサイオンに秘匿され守り続けられている」
「クラウディアがサイオンを恒久に庇護するのも、そのためですか」
ユリウスは答えず、ワイングラスに手を伸ばす。
「天女の神話は抽象的に形骸化しているが、すべてを物語っている」
「神話が?」
「サイオンの超科学力は、武力や動力よりも、人体に向けてもっとも早く技術を発揮した」
「人体に向けて?」
「神話によると、「天女は数多の人々を破滅へ導き、いつしか人々に恐れられる存在となった」と描かれている」
「はい」
「女帝は数多の民を利用した。いわゆる人体実験みたいなものだろう。膨大な民を犠牲にして情報をあつめ、技術を追い求めた。そして、それは見事に成った。だが神話の旅人ーー我々クラウディアの先祖であり女帝が執着した人間、ということになるがーー、旅人は天女をのやり方を受け入れなかった。その辺りの話が恋愛譚の傾向が強い寓話に変化している。神話の枝葉は広がり様々に語られているが、最終的に天女は旅人の拒絶により「その身にすべての叡智をあつめ、永遠に世界を統治した」ということになる」
「陛下はその結末が、具体的にどのような意味なのか知っておられるのですか」
「サイオン王朝は膨大な数の人体実験によって脳や無意識を解き明かし、その領域を自在に利用することができた。さらに解き明かした無意識下に情報を流し込み、叡智の結晶ともいえる神のような人間を作り出すことに成功していた。その技術の先に、あの解明が不可能な遺跡や動力源となるイグノが誕生する」
犠牲の上に作り出された神のような人間。そこから築かれた超科学文明。いかに優れていようとも、人命を糧に辿り着いた結果である。嫌悪が募るだけで賞賛にはほど遠い。
「では、サイオンはいまだに神のような人間を生む力を持っているのでしょうか?」
「いや。人が神となるには犠牲が不可欠となる。無意識を解放され利用するということは、一つの装置になることに等しい。それがどういうことかは、サイオンの王女の末路が物語っている」
ざわりとした悪寒がはしる。ルカは第零都での光景を思い出した。おぞましく悲しい天女の姿。
「だが、人は人であることをやめられない。サイオン王朝がどれほど強大な力や技術をたずさえても、女帝も一人の人間にすぎなかった。旅人と語り継がれる我々クラウディアの祖と出会い、執着した。旅人は犠牲のない世界を説いて、女帝はその誓いに準じた。以降、女帝は二度と民を犠牲にはしなかった。サイオン王朝は女帝の死をもって終幕し、旅人はのちにクラウディアを建国する王となる」
「それがクラウディアとサイオンのはじまりなのですね」
「そういうことになる。女帝ーーここからはあえて天女と言うが、天女は民を犠牲にはしなかったが、自身を犠牲にすべてを成し遂げた。旅人への執着は止まず、自らにこれまでの全ての叡智をあつめ神となり、永遠に世界を統治する設計を作り出していた」
世界を統治する設計。
「それが第零都の天女に繋がるのですか」
「サイオンの人間は天女に役割を設計されている。以前にそう伝えたことがあるが」
「はい」
「サイオンはクラウディアの礎となるためだけに天女が残した遺物のようなものだ。サイオンの王家は天女の設計で構成された血族であり、今も天女の執着に縛られている。クラウディアの礎となり王を助ける。その道から外れることを許されていない」
「何らかの普遍的な制約があるということでしょうか?」
「天女の血族には思想抑制が仕込まれている。それによって、天女の設計に外れる行いが抑制されることになる」
「思想抑制? 何代にもわたってそんなことが可能なのですか」
「それがサイオンの真の恐ろしさでもある。天女の寿命は約三百年と長大だが、いかに神に近づこうともさすがに不死ではない。だから彼らは天女の寿命に連動して、全てを継承した天女の複製を生み出し送りだす。そして送り出した天女が無事に遺跡の一部として機能するまで、常に寄り添い監視する」
「監視する者が、あの守護者ですか?」
「守護者だけに限らない。王家に近づくほど抑制は強くなるらしいが、サイオンの人間は天女によって普遍的にそう設計されている」
まるで奴隷のようだとルカは思う。古の女帝は民への犠牲を悔い改めたのではない。天女となっても心根は変わらず、サイオンを支配し続けているのだ。
ルカは心の奥で警鐘が鳴り始めていることに気づいた。
「抑制に抗うと、どうなるのですか?」
ユリウスが視線を伏せる。自分に似た青い瞳に影が差すのを感じた。
「――最悪の場合は死に至るらしい」
気丈に立て直したルカの気持ちが、沼に沈むようにゆっくりと絶望へとかしいでいく。
「ルカ。サイオンの思想抑制はスー王女にも働く」
「……はい」
はじめから王女の末路は決められている。たとえクラウディアが自立しようとも、王女は天女の設計にそって、帝国の礎となる宿命を拒否できないのだ。
礎となるか、死か。呪縛はとけない。解く術がない。
「クラウディアが自立するためにはサイオンを見捨てる必要がある。それでもおまえは、スー王女を愛せるのか」
ユリウスがはじめと同じ質問を投げかけてくる。同じ言葉なのに、意味がひどく変質していた。
「私は……」
声が震えた。いま感じている例えようのない絶望が答えだった。
愛しているから心が苛まれる。
「彼女が彼女であるかぎり、この想いを見捨てることはできません」
自分が誰を愛したのかは明らかなのだ。
スーが天女の複製であることなど、女帝の話を聞いた今となっては瑣末なことだった。
たとえ彼女のいじらしい振る舞いのすべてが天女の設計であっても、自分はそんな彼女に心を寄せた。
それは女帝でも天女でもない。
出会ってから今までの彼女だけが、ルカにとっての真実だった。
「陛下、私はスーを愛しています」
いま、この瞬間の気持ちに嘘はつけない。
ごまかしようがないからこそ心が乱れる。深淵にのまれるように絶望するのだ。
まるで落下するような浮遊感を覚え、長椅子にかけたまま前かがみになったルカの耳に、ユリウスの気遣うような声が触れる。
穏やかな声音に救いあげられるように、ルカはゆっくりと顔をあげた。気持ちを整えるためにふうっと胸の底から呼吸をする。
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とうに覚悟を決めていたはずなのに、心はいまだ脆弱なようだ。
気持ちを奮いたたせるように姿勢をただし、ルカはユリウスにうなずいて見せた。
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「申し訳ありません、陛下。大丈夫です。サイオン王朝について私にすべてをお話いただけますか?」
「天女の複製であっても、おまえはスー王女を愛せるのか」
ユリウスは直截だった。もうルカにすべてを話すことに迷いがないのだ。
ルカには即答できない。天女の複製がたどる道筋がまったく思い描けない。
クラウディアがサイオンの全てを放棄しても、王女が自由を得ることはできないのだろうか。
第七都での石造のような彼女の様子が、ルカの胸底で重い鉛となっていた。
「正直に申し上げて、わかりません」
彼女と出会ってから育まれた想い。スーとの想い出は、ルカにとっては日向のようにまばゆい。自分の中で芽生えてしまった愛しさは、簡単に手放せるものではないだろう。
それでも、もし遠くない将来にスーの内面が失われるのであれば、残されたまばゆい記憶だけにすがって想いを貫く自信もない。
「彼女が古の女帝――天女の複製だったとして、私には彼女の身に何が起きるのか想像ができません。だからーー」
「そうだな。まだおまえには何も話していない。今のは尚早な質問だ」
あっさりと非を認め、ユリウスは浅く笑う。
「陛下にはスー王女に何が起きるのか想像ができるのですか?」
「先のことはわからないが、天女ーーサイオン王朝の女帝の話はできる。古の記録は失われたのではなく、ずっとサイオンに秘匿され守り続けられている」
「クラウディアがサイオンを恒久に庇護するのも、そのためですか」
ユリウスは答えず、ワイングラスに手を伸ばす。
「天女の神話は抽象的に形骸化しているが、すべてを物語っている」
「神話が?」
「サイオンの超科学力は、武力や動力よりも、人体に向けてもっとも早く技術を発揮した」
「人体に向けて?」
「神話によると、「天女は数多の人々を破滅へ導き、いつしか人々に恐れられる存在となった」と描かれている」
「はい」
「女帝は数多の民を利用した。いわゆる人体実験みたいなものだろう。膨大な民を犠牲にして情報をあつめ、技術を追い求めた。そして、それは見事に成った。だが神話の旅人ーー我々クラウディアの先祖であり女帝が執着した人間、ということになるがーー、旅人は天女をのやり方を受け入れなかった。その辺りの話が恋愛譚の傾向が強い寓話に変化している。神話の枝葉は広がり様々に語られているが、最終的に天女は旅人の拒絶により「その身にすべての叡智をあつめ、永遠に世界を統治した」ということになる」
「陛下はその結末が、具体的にどのような意味なのか知っておられるのですか」
「サイオン王朝は膨大な数の人体実験によって脳や無意識を解き明かし、その領域を自在に利用することができた。さらに解き明かした無意識下に情報を流し込み、叡智の結晶ともいえる神のような人間を作り出すことに成功していた。その技術の先に、あの解明が不可能な遺跡や動力源となるイグノが誕生する」
犠牲の上に作り出された神のような人間。そこから築かれた超科学文明。いかに優れていようとも、人命を糧に辿り着いた結果である。嫌悪が募るだけで賞賛にはほど遠い。
「では、サイオンはいまだに神のような人間を生む力を持っているのでしょうか?」
「いや。人が神となるには犠牲が不可欠となる。無意識を解放され利用するということは、一つの装置になることに等しい。それがどういうことかは、サイオンの王女の末路が物語っている」
ざわりとした悪寒がはしる。ルカは第零都での光景を思い出した。おぞましく悲しい天女の姿。
「だが、人は人であることをやめられない。サイオン王朝がどれほど強大な力や技術をたずさえても、女帝も一人の人間にすぎなかった。旅人と語り継がれる我々クラウディアの祖と出会い、執着した。旅人は犠牲のない世界を説いて、女帝はその誓いに準じた。以降、女帝は二度と民を犠牲にはしなかった。サイオン王朝は女帝の死をもって終幕し、旅人はのちにクラウディアを建国する王となる」
「それがクラウディアとサイオンのはじまりなのですね」
「そういうことになる。女帝ーーここからはあえて天女と言うが、天女は民を犠牲にはしなかったが、自身を犠牲にすべてを成し遂げた。旅人への執着は止まず、自らにこれまでの全ての叡智をあつめ神となり、永遠に世界を統治する設計を作り出していた」
世界を統治する設計。
「それが第零都の天女に繋がるのですか」
「サイオンの人間は天女に役割を設計されている。以前にそう伝えたことがあるが」
「はい」
「サイオンはクラウディアの礎となるためだけに天女が残した遺物のようなものだ。サイオンの王家は天女の設計で構成された血族であり、今も天女の執着に縛られている。クラウディアの礎となり王を助ける。その道から外れることを許されていない」
「何らかの普遍的な制約があるということでしょうか?」
「天女の血族には思想抑制が仕込まれている。それによって、天女の設計に外れる行いが抑制されることになる」
「思想抑制? 何代にもわたってそんなことが可能なのですか」
「それがサイオンの真の恐ろしさでもある。天女の寿命は約三百年と長大だが、いかに神に近づこうともさすがに不死ではない。だから彼らは天女の寿命に連動して、全てを継承した天女の複製を生み出し送りだす。そして送り出した天女が無事に遺跡の一部として機能するまで、常に寄り添い監視する」
「監視する者が、あの守護者ですか?」
「守護者だけに限らない。王家に近づくほど抑制は強くなるらしいが、サイオンの人間は天女によって普遍的にそう設計されている」
まるで奴隷のようだとルカは思う。古の女帝は民への犠牲を悔い改めたのではない。天女となっても心根は変わらず、サイオンを支配し続けているのだ。
ルカは心の奥で警鐘が鳴り始めていることに気づいた。
「抑制に抗うと、どうなるのですか?」
ユリウスが視線を伏せる。自分に似た青い瞳に影が差すのを感じた。
「――最悪の場合は死に至るらしい」
気丈に立て直したルカの気持ちが、沼に沈むようにゆっくりと絶望へとかしいでいく。
「ルカ。サイオンの思想抑制はスー王女にも働く」
「……はい」
はじめから王女の末路は決められている。たとえクラウディアが自立しようとも、王女は天女の設計にそって、帝国の礎となる宿命を拒否できないのだ。
礎となるか、死か。呪縛はとけない。解く術がない。
「クラウディアが自立するためにはサイオンを見捨てる必要がある。それでもおまえは、スー王女を愛せるのか」
ユリウスがはじめと同じ質問を投げかけてくる。同じ言葉なのに、意味がひどく変質していた。
「私は……」
声が震えた。いま感じている例えようのない絶望が答えだった。
愛しているから心が苛まれる。
「彼女が彼女であるかぎり、この想いを見捨てることはできません」
自分が誰を愛したのかは明らかなのだ。
スーが天女の複製であることなど、女帝の話を聞いた今となっては瑣末なことだった。
たとえ彼女のいじらしい振る舞いのすべてが天女の設計であっても、自分はそんな彼女に心を寄せた。
それは女帝でも天女でもない。
出会ってから今までの彼女だけが、ルカにとっての真実だった。
「陛下、私はスーを愛しています」
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