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目が覚めた。
瞬間、状況を理解して飛び起きようとして、…………失敗。
「い゙っ……づぅ……っ」
下半身を中心に身体中が痛い。動いたらヤバいって感じがするレベル。というか声も酷い。
いや、まあ、遠慮の欠片も無かったものね、多少の気遣いはあっても。そりゃこうもなる。
というか、今何時……?
なんとか身体を動かして辺りを見回して、気付く。
ここ、大輝さんの部屋じゃない。前にも借りた部屋だ。
えっと。
終わった後、どうしたんだっけ。
疲れ切っていて記憶は飛び飛びだけど……シャワールームまで連れて行かれてから、記憶がないな……??
つまりそこで落ちちゃったのね。多分その後こっちに移動させたんだろう。
服は……下着類は身に着けていない。大輝さんのものだろうシャツが一枚だけ。その上から大きめのバスタオルを掛けてあった。
どれぐらい眠っていたんだろう。時計があったはずの場所にないから現在の時刻も分からないし。
照明は付いているしドアが開いているから、待っていれば来るだろうか?
「目が覚めましたか?」
噂をすればなんとやらというか。
恐らく声と物音で気付いたんだろう、大輝さんが部屋に入ってきた。
…………まあ、彼の家の部屋だし。入るのに許可も何もないか(前は声を掛けてきてからだったけど)。
「お腹空いてませんか?もう8時も近いですけど用意はしたんですが」
「………………空きました」
8時近いのかぁ……。
ここに来たのは昼過ぎで、それからどういう流れで今に至ってるのかな、なんて……思いはしても多分知らない方が精神的に良さそうだから、聞かないでおこう。
とりあえず、空腹っぽい感じはあるから素直に答える。
「分かりました。身体辛そうなので、運びますね」
「えっ、きゃ!?」
バスタオルで包むように抱え上げられ、そのまま運ばれる。
ま、待った、今の恰好!
「あの、私の服っ」
「今は乾燥機ですね。もう少しで終わりますよ」
洗われてた……。
いや、そうかもとは思ったんだけども。
なんていうか、こう。逃げ道をどこまでも塞がれてる感だ。
逃げる気はないんだけどなぁ……。
「うどん?」
「遅い時間だと消化に良いものの方がいいかと思いまして。手抜きみたいですけど」
「ううん。普段から自炊とかするの?」
「一応、一人暮らしをするとなった時に一通り覚えさせられましたね。まあ、簡単なものだけです」
「…………食べないで待ってたの?」
「その内起きるかと思って……、えっと、冷めちゃいますし食べましょう?」
視線を合わせないで苦笑い。
一体どれを誤魔化そうとしてるのやら。いくつか思い付くけど。
ひとまず今は藪蛇は突かず、遅い夕食にしよう。
――――――それから、食べ終わる少し前に乾燥機が終わって、後片付けは自分がするからと大輝さんが言ってくれたから、有り難くその間に着替えをすることに。
色々痛くて苦労した……。
この後は……色々と話、することになるよね?
聞きたいことは沢山あるし、話したいこともある。
大分疲れてるし身体も痛いけど、流石になあなあにはしておけない。
ひとつ深呼吸をして、リビングの中に入る。
「あ、えっと、こっちの方で」
「え?うん」
キッチン側のテーブルに呼ばれそっちに向かう。そして夕食を頂いた時と同じように対面で向かい合う感じで座ることに。
距離があるのはとても助かる……。
…………ちょっとだけ。ソファを避けたのかな、って思う。さっきの今みたいなものだし。
「積もる話は山ほどあると思いますが。先にちょっと左手を借りても?」
「左手?えっと、はい」
突然の要求に首を傾げつつも、言われた通りに左手を出す。
その手を大輝さんが掴んで、って、え、ちょっ?!!
自分の手と大輝さんを交互に見る。
大輝さんはどこか含みのある笑みを浮かべているし、左手の薬指に填まった物は何度見てもあるし。
銀色の、小さな宝石らしきものが付いた指輪。
それが何を意味するのかは、いくらなんでも分かっている。
「これっ!」
「天音さんが休んでいる間に走ってきました。ひとまずの虫除けと牽制に。ちゃんとした物は今度一緒に見に行きましょうね」
「えっ。あ、いや、言ってることは分かるけど、そうじゃなくて!」
知りたいのは経緯とかその先?じゃなくて!
どういうつもりでこれを私に付けたのか、であって!
「正直に言ってしまうと、愛だの恋だの女が憧れるようなものはあまり理解できません。俺の基準は『欲しい』か『要らない』か『どうでもいい』です。それで人間関係が致命的に崩れることも無かったので」
「っ」
「俺が知っている女って生き物は俺を自分のアクセサリか財布扱いする屑が9割だったもので。まともな女性は売約済みばかり。期待を持てるようなものじゃなかったんですよ」
そ、れは。
それは――――――大分、極端、では??
え、そういうもの?そういうものなの?怖すぎない???
ツッコミどころがあり過ぎて困惑が勝るよ?!
「俺の環境は多分普通よりクソだったと思いますよ?………まあそんなのだったもので。俺の人間関係は身内以外どうでもいいだけだったんです。2年前、いやもう3年ですね。貴方に会うまでは。詳細はまあ語らないとして、それだけ長い間執着したのは貴方が初めてです。どんな手を使ってでも手に入れたいと思ったのも……死人に嫉妬して孕ませようとするとか相当でしょう?」
「あ、……っ」
つまり。
昂臥さんの――――墓参りのことを話したのが、原因になったのね。
嫉妬……してたんだ。
それで真っ先にレイプってなるのはどうかと思うけども、
「あー……、っと。こういう補足、はまたいつかで。その、だからつまり」
視線を彷徨わせたかと思うと、真っすぐに見つめられる。
何か、覚悟を決めたような目。
なんとも言えない心許無さを感じる。…………でも、ちゃんと聞かなきゃ。
彼の答えが知りたい。
「――――――――有栖川天音さん。俺と結婚してください」
「………………え、」
待って。
いや、分からない訳じゃない。ちょっと理解が追いつかないだけで。
いや、だって、ねえ。
え?
どう言えばいいのか分からないけど一足飛びというか、色々すっ飛ばし過ぎてない……!!?
瞬間、状況を理解して飛び起きようとして、…………失敗。
「い゙っ……づぅ……っ」
下半身を中心に身体中が痛い。動いたらヤバいって感じがするレベル。というか声も酷い。
いや、まあ、遠慮の欠片も無かったものね、多少の気遣いはあっても。そりゃこうもなる。
というか、今何時……?
なんとか身体を動かして辺りを見回して、気付く。
ここ、大輝さんの部屋じゃない。前にも借りた部屋だ。
えっと。
終わった後、どうしたんだっけ。
疲れ切っていて記憶は飛び飛びだけど……シャワールームまで連れて行かれてから、記憶がないな……??
つまりそこで落ちちゃったのね。多分その後こっちに移動させたんだろう。
服は……下着類は身に着けていない。大輝さんのものだろうシャツが一枚だけ。その上から大きめのバスタオルを掛けてあった。
どれぐらい眠っていたんだろう。時計があったはずの場所にないから現在の時刻も分からないし。
照明は付いているしドアが開いているから、待っていれば来るだろうか?
「目が覚めましたか?」
噂をすればなんとやらというか。
恐らく声と物音で気付いたんだろう、大輝さんが部屋に入ってきた。
…………まあ、彼の家の部屋だし。入るのに許可も何もないか(前は声を掛けてきてからだったけど)。
「お腹空いてませんか?もう8時も近いですけど用意はしたんですが」
「………………空きました」
8時近いのかぁ……。
ここに来たのは昼過ぎで、それからどういう流れで今に至ってるのかな、なんて……思いはしても多分知らない方が精神的に良さそうだから、聞かないでおこう。
とりあえず、空腹っぽい感じはあるから素直に答える。
「分かりました。身体辛そうなので、運びますね」
「えっ、きゃ!?」
バスタオルで包むように抱え上げられ、そのまま運ばれる。
ま、待った、今の恰好!
「あの、私の服っ」
「今は乾燥機ですね。もう少しで終わりますよ」
洗われてた……。
いや、そうかもとは思ったんだけども。
なんていうか、こう。逃げ道をどこまでも塞がれてる感だ。
逃げる気はないんだけどなぁ……。
「うどん?」
「遅い時間だと消化に良いものの方がいいかと思いまして。手抜きみたいですけど」
「ううん。普段から自炊とかするの?」
「一応、一人暮らしをするとなった時に一通り覚えさせられましたね。まあ、簡単なものだけです」
「…………食べないで待ってたの?」
「その内起きるかと思って……、えっと、冷めちゃいますし食べましょう?」
視線を合わせないで苦笑い。
一体どれを誤魔化そうとしてるのやら。いくつか思い付くけど。
ひとまず今は藪蛇は突かず、遅い夕食にしよう。
――――――それから、食べ終わる少し前に乾燥機が終わって、後片付けは自分がするからと大輝さんが言ってくれたから、有り難くその間に着替えをすることに。
色々痛くて苦労した……。
この後は……色々と話、することになるよね?
聞きたいことは沢山あるし、話したいこともある。
大分疲れてるし身体も痛いけど、流石になあなあにはしておけない。
ひとつ深呼吸をして、リビングの中に入る。
「あ、えっと、こっちの方で」
「え?うん」
キッチン側のテーブルに呼ばれそっちに向かう。そして夕食を頂いた時と同じように対面で向かい合う感じで座ることに。
距離があるのはとても助かる……。
…………ちょっとだけ。ソファを避けたのかな、って思う。さっきの今みたいなものだし。
「積もる話は山ほどあると思いますが。先にちょっと左手を借りても?」
「左手?えっと、はい」
突然の要求に首を傾げつつも、言われた通りに左手を出す。
その手を大輝さんが掴んで、って、え、ちょっ?!!
自分の手と大輝さんを交互に見る。
大輝さんはどこか含みのある笑みを浮かべているし、左手の薬指に填まった物は何度見てもあるし。
銀色の、小さな宝石らしきものが付いた指輪。
それが何を意味するのかは、いくらなんでも分かっている。
「これっ!」
「天音さんが休んでいる間に走ってきました。ひとまずの虫除けと牽制に。ちゃんとした物は今度一緒に見に行きましょうね」
「えっ。あ、いや、言ってることは分かるけど、そうじゃなくて!」
知りたいのは経緯とかその先?じゃなくて!
どういうつもりでこれを私に付けたのか、であって!
「正直に言ってしまうと、愛だの恋だの女が憧れるようなものはあまり理解できません。俺の基準は『欲しい』か『要らない』か『どうでもいい』です。それで人間関係が致命的に崩れることも無かったので」
「っ」
「俺が知っている女って生き物は俺を自分のアクセサリか財布扱いする屑が9割だったもので。まともな女性は売約済みばかり。期待を持てるようなものじゃなかったんですよ」
そ、れは。
それは――――――大分、極端、では??
え、そういうもの?そういうものなの?怖すぎない???
ツッコミどころがあり過ぎて困惑が勝るよ?!
「俺の環境は多分普通よりクソだったと思いますよ?………まあそんなのだったもので。俺の人間関係は身内以外どうでもいいだけだったんです。2年前、いやもう3年ですね。貴方に会うまでは。詳細はまあ語らないとして、それだけ長い間執着したのは貴方が初めてです。どんな手を使ってでも手に入れたいと思ったのも……死人に嫉妬して孕ませようとするとか相当でしょう?」
「あ、……っ」
つまり。
昂臥さんの――――墓参りのことを話したのが、原因になったのね。
嫉妬……してたんだ。
それで真っ先にレイプってなるのはどうかと思うけども、
「あー……、っと。こういう補足、はまたいつかで。その、だからつまり」
視線を彷徨わせたかと思うと、真っすぐに見つめられる。
何か、覚悟を決めたような目。
なんとも言えない心許無さを感じる。…………でも、ちゃんと聞かなきゃ。
彼の答えが知りたい。
「――――――――有栖川天音さん。俺と結婚してください」
「………………え、」
待って。
いや、分からない訳じゃない。ちょっと理解が追いつかないだけで。
いや、だって、ねえ。
え?
どう言えばいいのか分からないけど一足飛びというか、色々すっ飛ばし過ぎてない……!!?
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