執着から始まる

一色ほのか

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 ――――――――――どうして。
 
 真っ先に頭に浮かんだのは、その言葉。

 それがどれ・・に対してなのか――――状況か、思い至りそうだった何か・・・・・・・・・・・なのか。
 分からない。
 今確かに、何か・・を掴みかけていた。
 でもそれを深く考えている暇はない。

 目の前にいる人瀬能さんを、なんとか撥除はねのけなければ――――!

 
「ッいや!離し、んぅッ!?」
 
 拒絶を口にしようと開いた唇に、舌を捻じ込まれる。
 失敗した。
 そう思ったところでどうにもできない。
 覆い被さる身体に、押さえ付ける力の強さに身動き一つできず、一方的に口内を蹂躙される。
 抵抗しなきゃ、逃げなきゃ――――拒まなきゃ。
 分かってるから、必死に藻掻くけれどやっぱり無駄で。

「っ! んっ、んんんっ!」
 
 不意に胸元が緩んだと思ったら、プチプチとシャツのボタンを外されていた。

 出掛ける相手が薫君で移動に公共交通機関を使わない予定だったから選んだ服だけど、別の服にしておけば……っでもこんなことになるなんて分かるわけないし……!

 妨害しようと手を伸ばすけど、止めさせようとするたびに払われたり、舌を深く絡められたりして結局何もできず。シャツを脱がされ肌着をブラごと押し上げられて、直接胸を触られてしまう。
 ゆっくり揉み解すように、両手で胸を揉まれる。
 
「んやっ!ん、んーっ!!」
 
 抵抗しようにもシャツが腕に引っかかって、上手く動かせない。
 足も、痛めているせいで踏ん張れないし。ずっとキスされてて苦しいし。
 どうしよう、どうしたらいい?
 
「――――――胸、大きいですよね。それに柔らかくて気持ちいい」
「ッや、?!」
 
 キスから解放されたと思ったら、耳元で吹き込むようにそんなことを言われた。
 同時に胸の先端を弄られる。
 
「やぁあ……ッ!だ、め、やめっ、ひぁっんんッッ!」
 
 ぐりぐりって、捏ねられたり、擦られたり、抓まれたり。
 無理矢理、なのに、駄目なのに、身体が反応してしまう。
 
「…………はは。もっと俺の・・手で啼いてみせて?」
「ひっ!?ぁ、んぅッ」
 
 首筋に吸い付かれ、舐められる。
 微かな痛みに、キスマークを付けられたのだと分かった。
 それを何度も、場所を移動しながら、胸にも、舌が這っていく。

 れろ、と舌が胸の先端を舐めた。
 
「ッんやぁあ!」
 
 舌で、唇で胸を、先端を嬲られる。
 もう片方も手指で同じように弄られ、揉まれて。
 抵抗したいのに手段が無くて、それでも逃れようと藻掻けば強く弄られて。どうしようもなく、与えられる刺激に耐えるしかできない。
 
 なんで?どうして?
 なんで瀬能さんが、私を?
 だって瀬能さん、気になる人がいるって。意識してもらいたいって言ってたのに。
 他に好きな人が居るはず・・・・・・・・・・・なのに、どうして――――?
 
「これ、脱がしますね」
「ぇ……、ッ待って!だめぇ!!」
 
 何を言われたのか、を一拍遅れて理解して。止めようとはしたものの、あっさりとスカートをずり下げられ脱がされてしまった。
 更に片膝を掴まれて無理矢理立てさせられて、そのまま足を開かされる。
 そして、止める間もなく、
 
「やッ――――あぁあッッ!」
 
 瀬能さんの手が、躊躇なくソコに触れた。
 下着越しなのにくちゅくちゅといやらしい音が耳に届く。
 無理矢理の行為なのに感じてしまっていることを、嫌でも突き付けられる。
 
「分かります?ほら、こんなに濡れてる」
「やあッ……ッ!ぃ、や、さわっ、な、やぁあっ!」
「触るな、ね……、無理に決まってるだろ」
 
 ぐいと顔を近付けてきて、そう、目を細めてわらう瀬能さん。
 その目に隠すつもりもないんだろう欲が見て取れて、思わず息を呑んだ。

 だって、今のではっきりと分かってしまった。
 この人が、本当の本気で私をレイプするつもりなんだって。
 
「ずぅっとこうしたかったんですよ、俺」
「んッ!あ、あっあぁッ」
「酔い潰れた貴方を連れ込んだ時もここで飲んだ時も、我慢したんですよ?本当は、ココに、俺のをブチ込んで思いっきり犯してやりたかったのに」
「そ、な、んっ!やだ、ッ!あッも、おねが、やめ、てぇ……ッ!」

 ぐいぐいと下着ごと指をソコに押し込まれる。一緒に、陰核も弄られて。
 ぐちゅ、ぐぷ、っていやらしい水音が、震えるほどの快感が、思考を鈍らせていく。
 嫌なのに、嫌って思うのに、駄目なのに、拒まなきゃいけないのに。
 何かが、ちらつく。頭がぐるぐるする。
 おかしい、何か――――頭が回るようなこの感覚、どこかで、そんな昔じゃなく、最近に……?
 
「ここまでやって逃がすわけない。というか……半端にやって逃がすくらいなら、孕ませる・・・・
「は……、いッ、ゃ――――あぁあああっっ!!」
 
 するりと下着の中に入り込んだ指が、ぐぷりとソコに突き入れられた。
 それだけで、イッてしまった。
 
「可愛い……ここ、気持ちいいですか?こっちは?」
「やっあっあぁッ!っ、あ、も、抜い、て、んやあぁッ!」
「駄目ですよ?ちゃんと解さないと入らない・・・・・・・・・・・・・ですから」
「――――っっ!」
 
 それは、つまり、そういうこと・・・・・・で。
 だけどそれだけは――――逃げられないからってここまでされることを許しておいて、それでも――――嫌。

 だって、零じゃない。
 好きな人以外にされたくない。

 でも、無理で、どうしようもなかった。
 抵抗も拒むこともできず。ナカを嬲る指を増やされて、身体も好き勝手に触られて。
 薫君にも、昂臥さんにも、零にも、気を付けろって、考えて行動しろって言われていたのに。
 
 嫌だ。
 嫌だよ、助けて、だれか――――――、
 
「やだぁ……っ!零……っ!」
 
 こんなことになるなら、逃げなければよかった。
 セフレでもなんでもいいから、せめて……





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