執着から始まる

一色ほのか

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 名前を呼ぶ声に返ってくる言葉は、なかった。
 
「ン……っや、まって、ぜろ、ねぇ……っ!」
 
 無言のまま身体に触れてくる。

 いつもなら零も服を脱ぐのに、そうする様子は見られない。
 なんだか、怖い。
 
 そう思いながらもなんとか中途半端に腕に引っかかったままの服をどうにかしようと藻掻いていると、服の部分を手でベッドに押さえ付けられた。
 次いで、何かスキルを使われた気配。
 腕は、動かせない。だけど服を押さえていた手はまた胸に戻ってきていて……つまり対象を固定するスキル?
 拙そうなスキルは制限されたんじゃ?
 
「大人しくしてろ」
「っ!」
 
 耳に吹き込むように言われる。
 夢と、同じ言葉。
 
「ゃ、ぅ……っ」

 胸を、その先端を手指で弄られ、唇で食まれ、舐められる。
 いつもよりゆっくりというか、ねっとりというか。
 腕が拘束されていて動かせないという状況も相まって、じわじわと追い込まれているような感覚がする。

「あ、んっ……、も、むね、やだぁっ」
「…………お前はいつもそれだな」
「だ、ってぇ、や、なの、ッあんん!」
「なら、こっちか」
 
 足を開かされる。

 …………そこまでは、予想通り。だったけど。
 
「っ!?だめ、待って!ひっ、あぁッ!」
 
 足の間に顔を埋められて、柔らかでぬるりとしたものが陰部を撫でる。
 反射的に足を閉じようとしたけど、やっぱり・・・・無理で。

 なんで?

 まるで夢をなぞるみたいに――――――、
 
「開いてろ」
 
 両手で脚を押さえ付けらえて開いたままにされる。
 なんとか逃れようと藻掻くけど、駄目で。
 一切抵抗ができない状態で、舌が、陰部を舐め上げ執拗に嬲ってくる。
 やなのに。恥ずかしいのに。
 与えられる強い刺激に、ただ翻弄される。
 
ここ・・も欲しいよな?」
「っん、ぇ……、ぁ、?」
 
 唐突に、声を掛けられて。
 ぐずぐずになった思考はすぐには状況を理解できなく。
 ソコを指で広げられて、舌がナカに入り込んできた。
 
「や!?あッあぁあああッ!」
 
 長い舌が奥へ奥へと押し込まれる。
 これ、指で届かないとこまで、届いて、

「ひ、ぃん!やぁっ、ああああんっ!」
 
 ナカを舌で嬲られ、指で陰核を弄られて。
 何度もイカされて、もう、意味のない喘ぎ声しか出ないくらいまで。
 涙で視界もはっきりしない中、舌を引き抜かれた。

 熱くて硬いモノ零のペニスが、ぐずぐずになったソコに宛がわれる。

 今挿れられたらマズイのは分かっている、けれど、抵抗するという思考も気力もなく。
 
「っ~~~~~~!」
 
 入ってきただけでイッてしまった。……零も。
 散々イカされて敏感になっていたからか、出されたのが、はっきりと分かって。
 なん、だけど。
 
「ぅ、ああっ!?まっ、休ませ、やぁああんっ!」
 
 そんなことなかったかのように激しく揺さぶられる。
 それこそ、最初のレイプを彷彿とさせるような。

 なん、か。
 機嫌が悪い、というより……
 
「なんっれ、そん、あぁっ、ン!よゆ、な、あぁああっ!」
 
 だよ、ね?
 どうしてか分からないけど、これ余裕がないが正しい気がする。
 
「…………、まあ、強いて言うなら、待ってた時間っ、と、現実リアルの事情、だ」
「っやぁあ!」
 
 引き抜かれ、奥に押し込まれ、出される。
 余裕が無いから荒っぽいのかもしれない、けど……こういうこと・・・・・・で余裕がないってことはつまり欲求不満っていうことで、その理由に現実の事情があるってことは、私とは関係ないこと、で。

 じくりと胸が痛む。

 どれだけこっちゲームで抱かれようと、それはゲームの中でのことでしかない――――――それは、私の望みではあるけれど。

「ならっそっちでどうにかしたらいいっじゃないっ!」
 
 衝動のまま、声を張り上げる。
 おかしなことを言っているということは、分かっている。
 だって、私達はそんな関係じゃないんだから。
 ゲームだからこそ、こんな状態になっているのに。
 
「は?…………これはお前の所為だが?」
 
 少しの間の後。
 動きを止め、呆れたような声で零が言う。

 …………私の、せい?
 
「実際にセックスしているわけじゃない以上、現実で欲求不満になるのは当然だ。前にも言ったはずだぞ」
 
 そんな、こと、言ったっけ?
 いや、聞いたような……気がする……?
 いつだっけ……?
 
「今俺がセックスをするような関係の女はどちらにしろ・・・・・・お前しかいないんだが?お陰で溜まる一方だ」
「そっ、なの、ン、あッ」
現実で満足にできない・・・・・・・・・・以上こっちゲームで激しくなるのは仕方ないだろ」
「あ、やッ!だ、だった、ら、現実でどーにか、やッあんっっ」
 
 色んな意味で辛いのはこっちも同じなんだけど!?
 というか合間合間に動いで刺激してくるの止めてほしい!
 
「現実で、か。つまりお前以外の女を抱いてこい、と?」
「っ! ち、ちが、」
「違う?なら、」
 
 言葉を止めて、ぐいと顔を近付けてくる。
 その目はどこか愉しそうで、何か、とても嫌な予感が――――その言葉の先を聞いちゃいけない気がした。
 だけど逃げる術もなく、零が口を開く。
 
「現実でもお前が相手をすればいい」





 
「え、」
 


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