執着から始まる

一色ほのか

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 夕方になり、食事を終えてからゲームにログインした。
 午前は帰ってから色々している間に時間が無くなり、午後からは買い物や家事をしていたら時間が中途半端になってしまっていて、今日はこれが初ログインになる。

 …………いつもなら隙間時間でちょこちょこログインとかしてたけど。
 なんとなく気まずいというか、顔を合わせづらいというか。
 や、居るとは限らないんだけど……。むしろ居ない可能性の方が高いんだけど……。

 暇さえあればログインしてる私と違って、零は基本的に夜しかいない。それはこう・・なってからも同じ。
 分かってるんだけど、うん。
 実際今、居ないし。
 いつも通りなら、零がログインしてくるまでもう少し時間がある。

 ………………気まずい……。
 
 夢は、夢だ。
 現実ではないし、ゲームここでもない。
 だけど夢は願望の表れだという。 
 それはつまり、頭のどこかでゲームのアバターLOFの私ではなく現実の私を零に抱かれたいと思っているということで……。
 これが最初のレイプの焼き直しならまだ恐怖とかのせいだと思えたけれど、流石にあれはそうじゃないと思う。
 というか本当になんであんな、現実でもされたことのないようなことを夢に見たんだろう。
 …………相手が零じゃなくて、誰かも分からない相手ならここまで気にすることもなかったのに。ただの欲求不満、って。夢の中に知らない相手が出てくるなんて誰だろうとよくあることだろう。
 実はあれは零じゃなくてそうだった、なんて……、いや、でも。やっぱりあれは零だと思う。
 不明瞭な夢とはいえ、あのは、零だ。
 声しか判断基準ないけど。
 
 そんな風に悶々としている間にも時間は流れ。
 零が、ログインしてきた。
 
『 マスタールームか? 』
 
 個別チャットが入って、肯定したらものの数分もしないうちにドアがノックされる。
 今ログインしているのは私と零だけだから、間違いなく零。
 多分、ギルドホーム内にいたんだろう。
 
 覚悟を決めてドアを開ける。
 
「……ん」
「ああ」
 
 零はいつも通りだ。
 そりゃあ気まずいのはあんな夢を見た私だけだし当然だけど。
 
「アップデート情報は確認したか」
「え?まだだけど……ログインしたのもさっきだし」
「またか。まあいい、後で自分でも確認するだろうが、ギルドホーム内でのスキル使用に制限が掛かった」
「ギルドホームでスキルに制限?…………あ、まさか」
「プレイヤーの行動に干渉できるスキル全般がギルドホーム内では使用禁止になったな」
 
 例の誘導スキルとかそれに類するスキルのことかぁ。
 むしろ、遅いくらいでは。
 まあ、良かった。かな?あれがあるかないかだけで危険度が大きく変わるし。
 
「今は8時前、か。明日の予定は?」
「特にはないけど……て、ン、」
 
 キスをされる。
 今日はこのままするんだ。まあ、誰もいないし……ちょっと早く寝ることになるけど。
 また変な夢、見ないと良いんだけどな……。
 
「はっ……んう……ッ」

 いつも通りのしつこいキス。
 立ったままこれはちょっと辛い。
 抗議の意味で背中をぺしぺし叩いてみるものの、やめる様子はない。
 どころか。
 
「っ!」
 
 やわやわとお尻を揉まれる。
 その感覚に、ぞわりとした。
 
「ン、やだ、零っ」
 
 キスからは解放された。
 でも、身体を抱き込まれて、痴漢みたいに触られるのは続いている。
 ズボン越しにお尻を揉まれ、太腿を擦るように触られる。
 相手が零だと分かっているからまだいいけど、よく痴漢に遭う身からするといい気分ではない。
 
「零、ねぇ、やだってば!もう、ッ?!」
 
 なんとか逃げようと藻掻いたけど、無駄で。
 手が、布越しとはいえソコに触れた。
 すりすりと指がソコを撫で擦る。
 
「電車で出歩くならよくあることだろ」
「な、ないよこんなの!触られたらすぐ逃げるしッ」
 
 大体の痴漢は目立つ胸を触ってくるから、下は今に至るまで前の彼氏以外に触られたことはない。実は。とても運の良いことに。
 普段はなるべく女性専用車両に乗るようにして、どうしてもって時は座席側に居て即逃げられるようにしてる。その辺は薫君や前の彼氏が教えてくれた。
 …………取り返しのつかないことになる前にもっとちゃんと自衛しろって散々怒鳴られたっけ。
 
「こういう状態で逃げられるのか?」
「痴漢はこんな風にがっちり拘束とかしてこないでしょ!知らない人に触られたって気持ち悪いだけだし逃げるくらいできるっ!」
「へえ……なら俺はどうなんだ?」
「は、ッぁんん?!」
 
 伸ばされた手が、指が、陰部に押し当てられる。
 そのままぐりぐりと強弱をつけてしつこく弄られて、布越しなのに、どうしよう、嫌なのに、逃げたいのに、きもち、い――――、
 
 かち、と金属が擦れる音がして、ぱさりと布が落ちる音がした。
 体温の上がってきた素肌に外気が触れる。

 ズボンを脱がされた、と理解したのは、零の手が下着の中に入ってきてから。

 そして、両手で直接嬲られる。
 陰核を擦られ、ソコの浅いところを指が出入りする。
 
「ッやぁ!やめ、やだぁ!」 
「気持ち悪くはなさそうだなぁ」
 
 くく、と嗤う声。
 愉しそうに、虐めてくる。
 
 …………やっぱり夢は夢だ。
 だって零は止めてって言って素直に止めてくれるような奴じゃない。
 夢の中の零は、止めてって言ったら止めてくれたのに。
 
「現実でこっちに手を出されてないのはただ運が良いだけだ」
「ん、ぁ、そっ、なの、分かって……ッ」
「慣れ過ぎてるのも問題だな。『いつも大丈夫だから大丈夫』なんてことはありえないんだぞ」
「や、あぅっ!?」
「手を出してくる奴はみんなこうしたいと思ってるだろうからなぁ」
「ひっぁああッ!」
 
 指が一気に複数本根元まで突き入れられる。
 荒っぽくナカを掻き乱され、そのままイかされてしまった。
 そうして立っていられなくなり崩れ落ちかけた私を零は片手で抱きかかえて、ベッドの上に押し倒す。
 服を中途半端に脱がされ――――肘の辺りで引っかかって腕を上手く動かせない状態――――、サラシを解かれて。
 これって拘束じゃ……って考える間に下着も脱がされた。

 この間、無言。


「ぜろ……?」

 
 なんか、零……、機嫌、悪い?




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