執着から始まる

一色ほのか

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 いつも、最初はキスから。
 
「ン、ぅ、」
 
 息が苦しくなるくらい舌を絡ませられ、しつこく口内を舐められる。
 キスはあんまり好きじゃないって言ってたのに。
 苦しくて顔を反らして逃れようとすると、頬に手を添えられて無理に戻されてしまう。
 そうやってちょっとした攻防をしている隙に、脚を開かされて下半身を密着させられた。
 
「っ」
 
 擦り付けられた零のペニスは、既に硬さを帯びていた。
 そして相変わらず凶悪な見てくれをしている。
 毎度のことだけどこれ・・がよく入るなぁ、なんて。
 逃避気味に考えていたら、胸を揉まれた。

「ひぁッ?!」
 
 あ、れ。
 なんか、へん、?
 
「こっちに集中しろ」
「え、あ、んぅッッ」
 
 指で胸の先端を捏ねられる。
 その感触が、なんか、いつもと違う。
 なんていうかやけに生々しい・・・・・・・というか、本当にされてるみたい・・・・・・・・・・、な。
 
 ――――――ゲームの感覚と、リアルの感覚は違う。

 いくらそういうことが可能なゲームとはいえ、一人一人の感じ方は違うから当然のこと。
 脳内で補完してしまうことはあっても、それは実際の体験に基づく。
 だから……、現実でセックスなんて年単位でしてないから、感覚はそこまではっきりしてないはず、なのに。
 
「んっ、や、あんんっ」
「随分イイ声で啼くな。少し感度が上がったか?」
「知ら、な……っ、あっ、んぅぁッ!」
 
 どこかいつもより楽しそうに、胸を弄る零。
 小さい胸なんて触ったって面白くもないだろうに、なんでかいつもよりしつこく虐めてくる。
 両手で全体を解すみたいに揉まれて、指で先端をぐりぐりと捏ね回されて。
 胸、触られるの、あんまり好きじゃないのに。

 ………………私は世間一般的に言う巨乳というやつで。昔から不躾な厭らしい目で見られて、胸を触られる程度の痴漢なんてしょっちゅうだし、彼氏が居た時も大体胸ばっかり触られて……それが凄く嫌で。
 胸の成長なんて自分でどうにかできることじゃなくて、だから、ゲームではせめてって。もちろん男装することも理由だったけど。

 零は、胸、小さい方が好きなのかな。
 
「っ……ぅ、や、それ、やだぁ……ッ」
 
 しつこく胸の先端を弄る手を押し退けようとする。
 けど、その手を取られて、ベッドに押し付けられた。
 
「指が嫌ならこっちにするか?」
 
 そう言って胸から手を離した、と思ったら。
 零の顔が、胸に近付いてきて。
 
「! 待っ、やぁッ!」
 
 胸の先端をやわやわと甘噛みされ、舌先で転がされる。
 指とは違う湿った柔らかな感触。
 指が嫌なんじゃなくて胸を弄られるのが嫌で、指じゃなければいいってことじゃないんだけど!
 むしろ、こんな、指よりずっと恥ずかしいやつじゃ……!

「だめ、ン、ぜろ……っ!」
 
 止めてほしくて目の前の角を掴んでみても、引っ張ってみても、びくともしない。止めてくれない。
 口で、舌で、指で、胸を弄られ嬲られる。

 ずっと、胸ばっかり。
 なのに。
 一切触られてないのに、ペニスを、押し当てられてるだけなのに。
 ソコが、酷く疼く。
 それがとても恥ずかしくて、だけど同じくらいに、触ってほしくて。
 でもそれを自分から言うのは気が引けてしまう。
 どうしようと熱に鈍った頭で考えて、思いつく。
 正直に言って物凄く恥ずかしいけど……、

「っ……ふ、ぅ、ぜろ、ぜろ……っ」
「…………ん?どうし、っ!」
 
 零が、息を呑んだのが分かった。
 間違いようもなく、私から下半身を寄せたからだろう。
 で、でも本当に、僅かっていうか、ちょっと触れる程度というかそれだけで下手すれば気付かないんじゃないかなって思って!
 言い訳がましく考えながら顔を反らす。
 恥ずかしくて零の顔を見れそうにないし、怖い。

 そもそもレイプから始まった関係なのに、こんな、はしたない――――、
 
「はぁー…………」
 
 しばらくの沈黙の後、零が深い溜め息を吐いた。
 そして。 

「遠慮は要らないってことだな」
「え、っぁきゃあああぁッ!!?」
 
 何かひっくい声で言われたと思ったら太腿を掴まれて、一度も触れられていないソコにペニスを突き挿れられた。
 解しもしていないのに、一気に奥まで。
 現実でやったら批難どころじゃない。
 なのにこれはゲームだから、痛いとかはなくて、むしろ、
 
「やっ、あああっ!んっ待っ、激し、っあぁああんッ!」
「ッ、煩い、強請ったのはお前、だろうがッ!」
「だって、むね、ばっか、あッあんッ!んあ、あぁあああっ!」
 
 容赦なく揺さぶられ、ナカに注がれる。
 ずっと我慢していたからかそれが堪らなく気持ちよくて。
 久しぶりのセックスだからか全然感覚が違くて、それも気持ちよさに拍車をかける。
 だけど、何か。何か少し、物足りなくも、感じる。

 なんか、今日、変だ。
 この感覚は、一体なんなの?
 分からなくて、なんだか怖くて、目の前の身体に手を伸ばして寄り縋った。
 
 …………なんかすっごく分かりやすく『びくっ』てされた。
 そしてそのまま動かなく……?
 
 なんでかなって熱に浮かされた頭で考えたけど、よく分からなかった。
 ただ。
 
「お前、ここがゲームだってことに、感謝しろよ」
「ふぁ、っ?ン、きゃ、あぁああぅっ!」
「限界まで抱き潰す」
 
 とりあえずまた墓穴を掘ったっぽいことは、分かった。
 
 その後は宣言通りにログイン限界ギリギリまで抱かれ(5分前のアラームまで鳴った)、へとへとの状態でログアウトする羽目に。
 現実でも精神的な疲労が酷くて、処理もそこそこに意識を飛ばすように眠りについたのだった。



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