執着から始まる

一色ほのか

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「…………………………え?」
 
 気が付いたら、マスタールームの中だった。
 室内には、零も居る。
 というか抱き上げられたまま。
 
「簡単な思考誘導スキルだ。プレイヤーも確率で引っかかるから今後俺以外には気を付けた方がいい」
 
 なんてことないように、そう言って。
 そのまま運ばれて、ベッドの端に座った零の膝の上に座らされた。
 
 ?、????
 
 何これ。
 どういう状況……なんのつもり?
 
 分からないけど嫌な予感しかしないしさっきの今で怖いから離れようとしたけど、腹に回された腕に抑え込まれて動けない。
 足が完全に浮いちゃってるから、力も上手く込められないし。
 ログアウトは――――でき、ない?

 待って、これ、
 
「先に謝っておく」
「え、」
「バイタル異常を失念していた。ログインしてきたあたり問題はなさそうだが、大丈夫なのか」
 
 その発言に、思わず振り返って零を見上げる。
 いやだって、あれだけやっておいてこんな簡単に謝るって。一体どんな神経してんの?
 顔見ても表情なんて分からないし、何考えてるのかさっぱり分からないけど。
 
「い、異常については、問題ない……」
「警告は?」
「今は出てない、けど」
「ならよかった」
 
 安堵したような声。
 何、なんなの。
 自分でやらかしておいて、本当に心配してた、っていうの?
 あれだけやっておいて……?
 嘘でしょ、と思いながらまじまじと見ていると、
 
「じゃあ続けるぞ」
「は、?」
 
 『ジャアツヅケルゾ』?
 
 え、待って、頭が正しく理解するのを拒んで、あれ?
 今、何――――え?
 
「なんだ、抵抗しないのか?」
「え、あ、っ?!」
 
 突然の処理異常に狼狽えている間に、零の手が服の中に入り込んできて、素肌を撫でていく。
 それだけでさっき散々犯されたことを思い出し、身体が硬直する。
 
 待って。待って、これつまり、さっきログアウトできなかったことも含めて、最初からそのつもりだったの!?
 あれも心配じゃなくて、システム的にレイプを続けても問題が起きないかの確認だったんだ!
 
「どうせ戻るんだから全部破くぞ」
「待、きゃっ?!」
 
 素肌を撫でていた手が服を掴み、引き裂いていく。サラシも。
 ズボンと、下着も。
 抵抗する間もなく一糸纏わぬ姿にされてしまった。
 
「最初からやり直しだ」

 後ろから抱き締められ、胸を揉みしだかれる。
 先端も指で刺激され、下半身に熱が集まっていく。
 さっき、散々手酷く犯されたのに。身体は反応してしまう。
 ゲームだから。と言ってしまえば、身も蓋もないけれど。
 
「やだ、お願い、やめて……ッ!」
「さっきよりは手加減してやる。何度もバイタル異常を出させるわけにはいかないからな。中途半端に止めさせられるのもキツい」
「そんなの知らな、っひ、んッッ」
 
 胸を弄っていた手の片方が、太腿の内側に触れる。
 ソコ、には触れないで、際どいところとかを滑るように撫でていく。
 ぞわぞわ、する。
 
「脚。開いてきてるぞ」
「っや、だ、いわないで、やぁっ!」
 
 その言葉に慌てて脚を閉じようとしたけれど、それよりも早く指がソコに触れた。
 くちくちと、浅いところを指で弄られる。
 
「これはゲームだぞ、マスター。レイプされようが現実に影響はない。欲求不満にはなるかもしれないけどな。楽しんだ方がいい」
「んぅ……ッ!そ、な、むりぃっ、っひあぁ!?」
 
 指を突き入れられ、掻き回される。
 性急だからかさっきより感覚的に圧迫感があってキツい。のに、気持ちいいとこ、しつこく攻められて。
 も、イキそ、いやだ、
 
「おっと」
 
 なんとか逃げようって前のめりになって、バランスを崩しかけたところを腰に腕を回されて持ち上げられる。
 その拍子に指は抜けたらしく、辛うじてイカされずに済んだ。
 でもそれはそれで、辛い。
 ゲームなのに。レイプなのに。

 零の言う通り、ゲームだって割り切って、現実には影響ないんだからって流されちゃえば楽だ。
 だけど一方的なレイプから始まって、その当人からそう言われても。
 せめて最初から抱かせろとか言われたなら、少しは考えた、のに。
 どうせ、ゲームだから。
 零はどうだか知らないけど、私は、零のこと自体は嫌いじゃなかった。
 むしろ見た目と声は好き。原龍人格好良いんだもの。…………あと、私自身が異性と接するのが苦手だったから、人外アバターだと絡みやすかったん、だよね。
 そんなこと考えたところで、全部今更なのに。

 どうしてこうなっちゃったんだろう。
 零が考えてることが全然分からない。
 
「これだと逃げられるのか、なら」
「ぇ……? きゃあっ」
 
 唐突に零が立ち上がる。
 そしてぐるりと身体の向きを変えたと思ったら、ベッドに俯せに放られた。
 さっき散々犯されたベッド。
 
「なに、っ?!」
 
 腰を掴まれて無理矢理四つん這いにさせられ、脚を左右に広げさせられる。
 部屋の中が明るいから、この体勢では陰部が丸見えだ。
 恥ずかしくて、でも逃げようにも多分、手?で背中を押さえられていて動けない。
 せめてと腰を落とそうとしても邪魔をされる。
 
「いい光景だなぁ、マスター。ひくひくしてるぞ?」
「ひっ!やだっ見ないでぇっ!」
「ん?じゃあ進めるか」
 
 愉しそうに哂う声。
 覆うように、圧し掛かってくる大きな身体。そして。
 陰部に添うように密着させられた、熱くて硬い――――零のペニス。
 
「動くぞ」
「ゃっあぁんッ!」
 
 ペニスが陰部を滑る。
 緩急を付けながら動いて、ぐちゅぐちゅって、お互いの体液が混ざり合って音を立てる。
 気持ちいいとこ、擦られて、でも、もどかしい。
 もっと強い快感を知っているから。
 
「ふぁっ?!ぁ、きゃっ……!」
 
 零のペニスが、不意にソコに宛がわれる。
 その先端が、押し込まれたわけでもないのにナカに沈み込んで、
 
「ぁんっっ」
 
 引き抜かれて、また宛がわれる。
 それだけ。
 物凄くあからさまに焦らされている。
 
「なぁマスター。欲しかったら……分かるよな?」
 
 まるでキスするようにぬぷぬぷと先端でソコに触れる。
 
「や、らぁ……ッ!」

 零が言いたいことは、嫌だけど分かる。
 私から強請ねだれ、ってことでしょ。
 この行為をレイプではなく、合意の上ということにしたいんだろう。

「嫌?ここはこんなに欲しがってるのにか」
「あっ、ひっ!」
「ほら、言えよ」
 
 意地悪くそう言い、自分からは挿れようとしない。
 どうしても私に言わせたいらしい。
 そんなこと、できるわけ、
 
「お前から強請らないならさっきと同じようにヤる」
「っ!」
「休ませながらやれば、バイタル異常は出ない。ログイン限界まで好きにヤらせてもらおうか――――お前も俺も一度ログアウトしているんだから、現実時間では明日の早朝だな。日曜だから特に問題もないだろ?」
「ッいや、やだ、やだぁっ!」
「なら言え。犯してくれでも、挿れてくれでも。ああ、欲しいでもいいな」
 
 くつくつと笑いながら言う。
 なんで、どうしてそんな酷いことを言えるの?なんで?
 さっきレイプされていた時間を考えれば、冗談で言っているようには聞こえない。むしろ、本当にやるだろう。

 酷い。
 こっちは逃げられないのに。
 また限界までレイプされるか、無理矢理同意ってことにされて抱かれるかしかないのに。
 酷い。酷い。酷い!
 
「さっさとしろ」
「やッ!あッ、あぁあんッ!!」
「いつまでもだんまりしてるなよ」

 指を限界まで突き入れられる。
 そのまま激しく掻き回され、イッてしまった。

「こっちにも限界ってものがあるんだが?俺は時間が許す限りでも全く構わないんだぞ」

 耳元で。追い詰めるように。

 そんな、の。
 そんなの、無理に決まってる。
 いくらゲームだからってそんな長時間レイプされたらおかしくなっちゃう。
 それに、それに――――、

「いぁ、あっ!ン、れーぷ、やだっ、おねが、も、抱いてい、からぁっっ」

 さっきのようにレイプされるのは嫌だという一心で、なんとか振り絞るように、そう言った。

 レイプよりは、抱かれる方が自分の中でマシだと思ったんだ。




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