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一章
19 当たって砕けろ
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皆様ちょっと質問があります。ちょっと高いところと言えば、どんなところを想像しますか。
私はアニメやマンガでもよくある崖の上とか、そんなのを想像してました。
「ひぃぃ……っ!」
[ んー、ちょっと高すぎた? ]
現在地、かなり背の高い樹の最上。地表が遠すぎて竜人の集落らしきものはむしろ点。
目ぇ良くても見えないよ遠すぎるよ!?つーかでかすぎるよこの樹!世界樹レベル!
[ ああ、この樹も世界樹の末端子でね、ボクのキョウダイみたいなモノなんだよ。根っこが繋がってるのさ ]
「まーたこの世界にそぐわない単語が……ってこの樹、針葉樹じゃん。世界樹は広葉樹でしょ?だけど同じなの?」
[ そうだよ。基本的に広葉樹だけど、周りの木に紛れるように姿を変えてるんだ。ここらは針葉樹しかないでしょ? ]
「あー。確かに」
きょろりと辺りを見回す。何処を見ても生えているのは杉に似た針葉樹だ。背の高さはまちまちだけど、その中でもこの樹は群を抜いている。目立つなこれ。
[ ねぇ、捕獲した大体の位置くらいは分かる? ]
「大体なら。……あー、駄目だ。完璧集落の近くだ。あの岩山が移動してたりしなければ」
現在地の森を抜けた先にある草原にて点にしか見えない集落の傍にある、ここからでも分かる黒々とした岩山。あそこが闇属性の竜―グライドの住処だった。そう、奴は定点にて時間沸きする上級ボスなのだ。
ええもちろん、捕獲出来るとは思ってませんでしたよ。実を言うと風の精霊(こいつは中級ボス)も。
お陰様で周りから『魔獣使い』とか呼ばれてた。あと『高微妙LUK』。
「なんとかあの岩山まで行きたいけど、あの距離じゃ間違いなく戦闘突入だよねぇ」
[ レスタが本気だせば問題なく殲滅できると思うけど ]
「対人やってたからね……でもあの頃と今は違うでしょ。あれは仮想戦闘だったけど、今は正真正銘の、殺し合いだもん」
[ あの頃みたいに復活地点でHP1状態で復活なんてないもんね ]
「その通りなんだけどやっぱり違和感MAXだ」
メタ的な違和感もアレだけど、『復活地点で復活』をきっぱり否定したよこいつ。
アンスールが断言してるんだからそれはもう確定なんだろう、が。
私は一度、そんな感じに復活しているわけなんだけど。
『蘇生』と『送還』の違い?
どちらにしろ、それを確認する術はない。
また死ぬつもりはないしスキルを扱える賢者もいないだろうし。
[ ……あれ?何か、様子がおかしくない? ]
「見えないよ。ていうか、分からないの?」
[ 大雑把には分かるけど詳しくは分からないよ、だって全部分かってたら ボク である必要がないだろ? ]
「んー?……それもそっか。で、何がおかしいの?」
[ 大きな事象じゃないからそこまでは分からないんだけど。多分、内輪もめ? ]
内輪もめって。
岩山と比較するとよく分かるあの点にしか見えない小さい集落で、内輪もめ?まずくない?範囲が狭い故に関係も近いから、そういうのってあとあとしこりを残すんだよね。
え?なんでそんなの知ってるかって?
予想はつくと思うけど、私の住んでた所はド田舎の小さな町だったからだ。町の人の何割かは親戚だったり、代々近所付き合いが続いてたり。
なんていうか、狭いんだよね。何かあるとすぐ伝わっちゃうんだよねー。いざって時にはたよりになるけど、ちょっと鬱陶しいところもあったりなんだり。
「とりあえず今近付くのは、危険だよね」
[ だろうねぇ。どうする?もうここでよくない? ]
「いやそれはちょっと」
だって謝りに来たんだしだなぁ。折角ここまで来たってのもあるし、竜人にもちょっと興味がある。……でも、近づけないんだよね。
グライドの住処の近くに住む竜人たち。まさかとは思うけど……子孫、なんていうオチじゃないよなぁ。属性が闇なら7割方そうな気がする。
うん、グライド自身ではないんだし、確かめる意味なんて多分ないんだけど。
「行くだけ、行ってみるか。いざとなったら逃走ね」
[ このまま上から行く? ]
「下からの方がまだいいでしょ。上からって奇襲かい」
[ 奇襲ねぇ。ああいうの? ]
「…………は?」
なんだそりゃ、と思いながら、アンスールが顔を向けている方へ視線を流す。
そして、固まった。
草原を突っ切るようにそれなりのスピードで動く黒い塊。
進行方向は竜人の集落。
ここからじゃよく分からないけれど既に集落は近いだろうにスピードは落ちていないように見える。
「あ……あれは奇襲っていうより襲撃っていうんだよ!もう、急ぐよ!」
[ 我が儘だねぇ、うん。まあとにかくしっかり掴まっててね ]
言うなり、アンスールは枝から中空へと飛んだ。
心臓止まるかと思った。
私はアニメやマンガでもよくある崖の上とか、そんなのを想像してました。
「ひぃぃ……っ!」
[ んー、ちょっと高すぎた? ]
現在地、かなり背の高い樹の最上。地表が遠すぎて竜人の集落らしきものはむしろ点。
目ぇ良くても見えないよ遠すぎるよ!?つーかでかすぎるよこの樹!世界樹レベル!
[ ああ、この樹も世界樹の末端子でね、ボクのキョウダイみたいなモノなんだよ。根っこが繋がってるのさ ]
「まーたこの世界にそぐわない単語が……ってこの樹、針葉樹じゃん。世界樹は広葉樹でしょ?だけど同じなの?」
[ そうだよ。基本的に広葉樹だけど、周りの木に紛れるように姿を変えてるんだ。ここらは針葉樹しかないでしょ? ]
「あー。確かに」
きょろりと辺りを見回す。何処を見ても生えているのは杉に似た針葉樹だ。背の高さはまちまちだけど、その中でもこの樹は群を抜いている。目立つなこれ。
[ ねぇ、捕獲した大体の位置くらいは分かる? ]
「大体なら。……あー、駄目だ。完璧集落の近くだ。あの岩山が移動してたりしなければ」
現在地の森を抜けた先にある草原にて点にしか見えない集落の傍にある、ここからでも分かる黒々とした岩山。あそこが闇属性の竜―グライドの住処だった。そう、奴は定点にて時間沸きする上級ボスなのだ。
ええもちろん、捕獲出来るとは思ってませんでしたよ。実を言うと風の精霊(こいつは中級ボス)も。
お陰様で周りから『魔獣使い』とか呼ばれてた。あと『高微妙LUK』。
「なんとかあの岩山まで行きたいけど、あの距離じゃ間違いなく戦闘突入だよねぇ」
[ レスタが本気だせば問題なく殲滅できると思うけど ]
「対人やってたからね……でもあの頃と今は違うでしょ。あれは仮想戦闘だったけど、今は正真正銘の、殺し合いだもん」
[ あの頃みたいに復活地点でHP1状態で復活なんてないもんね ]
「その通りなんだけどやっぱり違和感MAXだ」
メタ的な違和感もアレだけど、『復活地点で復活』をきっぱり否定したよこいつ。
アンスールが断言してるんだからそれはもう確定なんだろう、が。
私は一度、そんな感じに復活しているわけなんだけど。
『蘇生』と『送還』の違い?
どちらにしろ、それを確認する術はない。
また死ぬつもりはないしスキルを扱える賢者もいないだろうし。
[ ……あれ?何か、様子がおかしくない? ]
「見えないよ。ていうか、分からないの?」
[ 大雑把には分かるけど詳しくは分からないよ、だって全部分かってたら ボク である必要がないだろ? ]
「んー?……それもそっか。で、何がおかしいの?」
[ 大きな事象じゃないからそこまでは分からないんだけど。多分、内輪もめ? ]
内輪もめって。
岩山と比較するとよく分かるあの点にしか見えない小さい集落で、内輪もめ?まずくない?範囲が狭い故に関係も近いから、そういうのってあとあとしこりを残すんだよね。
え?なんでそんなの知ってるかって?
予想はつくと思うけど、私の住んでた所はド田舎の小さな町だったからだ。町の人の何割かは親戚だったり、代々近所付き合いが続いてたり。
なんていうか、狭いんだよね。何かあるとすぐ伝わっちゃうんだよねー。いざって時にはたよりになるけど、ちょっと鬱陶しいところもあったりなんだり。
「とりあえず今近付くのは、危険だよね」
[ だろうねぇ。どうする?もうここでよくない? ]
「いやそれはちょっと」
だって謝りに来たんだしだなぁ。折角ここまで来たってのもあるし、竜人にもちょっと興味がある。……でも、近づけないんだよね。
グライドの住処の近くに住む竜人たち。まさかとは思うけど……子孫、なんていうオチじゃないよなぁ。属性が闇なら7割方そうな気がする。
うん、グライド自身ではないんだし、確かめる意味なんて多分ないんだけど。
「行くだけ、行ってみるか。いざとなったら逃走ね」
[ このまま上から行く? ]
「下からの方がまだいいでしょ。上からって奇襲かい」
[ 奇襲ねぇ。ああいうの? ]
「…………は?」
なんだそりゃ、と思いながら、アンスールが顔を向けている方へ視線を流す。
そして、固まった。
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進行方向は竜人の集落。
ここからじゃよく分からないけれど既に集落は近いだろうにスピードは落ちていないように見える。
「あ……あれは奇襲っていうより襲撃っていうんだよ!もう、急ぐよ!」
[ 我が儘だねぇ、うん。まあとにかくしっかり掴まっててね ]
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心臓止まるかと思った。
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