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一章
18 竜人
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[ そろそろグライドを捕獲したフィールドに着くよ。ちょっと気をつけてね、今あそこ、巣になってるから ]
「は、巣?巣って、竜の?」
[ 竜は竜でも、竜人だけどね。1200年の間に生まれた竜とヒトの混血種だよ ]
「……竜人って当時獣人族系の激レア種類だった気がするんだけど」
[ 今は普通にそこらで巣、もとい集落作って生活してるよ。属性ごとに ]
確率0.3%の貴重さはどこにいったんだろうか。
というのもECOの獣人族はキャラクターメイクの際種類を選べない、完全ランダムなのだ。選択した種族の国――ここでいうミーアノーム――について初めて種類が分かる。
それもこれも、種類のバランスを取るため、らしいんだけど。
強い種類ばかりに偏られると種族vs種族の戦争の際に問題が出るだろうから打倒だったと思う。
そういえばギルドメンバーの一人、狩人が竜人種だったな。
この場合の竜人種は、現在の世界と違い明確な属性はない。職業によっては全属性だって扱えたわけだし。
狩人はライバルが光+水の騎士だったから相反属性の闇と雷を主に鍛えてたっけ。サブ職に狩人職とステータス相性のいい魔術師を設定してたよなぁ。
竜人種の特性で耐久力と体力の上昇率が大きいのに、なんで重騎士じゃないのとか言われてたっけ。
……色々あったもののまだこの世界に来て一週間にもならないっていうのに、やけに懐かしい。なんだかもう遠い昔みたいだ。この世界じゃ実際に遠い昔のことだけど。
…………その事実が、なんとなく痛い。
気を取り直して。
サブ職と言えば私のはどうなんだろう。吟遊詩人なんだけど。
前に試したのは魔導師のスキルだけだったからな、しかも下~中級。上級以上は色んな意味で怖かったから使ってない。
ECOには独自システムが多い。従魔しかり、ギルドホームしかり。このサブ職もそうだ。
ECOではメインの職業の他に複数のジョブをサブで持つことができる。但し相性問題とかがあるから、大抵のプレイヤーは2つから4つくらい。生産職オンリープレイヤーだったら4つから6つくらいと聞く。
まあ大抵は、上級職に就くための前提職で留めるんだけど。熟練度育てるの大変だし。
私の場合はメインである魔導師とその前提である魔術師、吟遊詩人、あと生産系の細工師の4つだ。友人殿が回復・能力上昇系の聖職者だったからサポート系を押し付けられたんだよね……はは。
一応、所謂相方同士だったわけだけど。友人殿はどうしてるんだろう?
私がいなくなったことを少しは心配してくれたかな。
[ ここから先は彼らの索敵範囲内になる。どうする?突っ切る? ]
そんな感じに思考に耽っていると、アンスールが走る速度を少しずつ緩め、小川の一歩手前で停止し、言った。
「突っ切ったらどうなる?」
[ 当然ながら敵認識されるよね ]
「じゃあ言うなし。ちょっと高いところから、様子見てみよう」
そう言うとアンスールは頷き、来た道を戻りだした。
竜人の集落、か。
どんなんだろう。
「は、巣?巣って、竜の?」
[ 竜は竜でも、竜人だけどね。1200年の間に生まれた竜とヒトの混血種だよ ]
「……竜人って当時獣人族系の激レア種類だった気がするんだけど」
[ 今は普通にそこらで巣、もとい集落作って生活してるよ。属性ごとに ]
確率0.3%の貴重さはどこにいったんだろうか。
というのもECOの獣人族はキャラクターメイクの際種類を選べない、完全ランダムなのだ。選択した種族の国――ここでいうミーアノーム――について初めて種類が分かる。
それもこれも、種類のバランスを取るため、らしいんだけど。
強い種類ばかりに偏られると種族vs種族の戦争の際に問題が出るだろうから打倒だったと思う。
そういえばギルドメンバーの一人、狩人が竜人種だったな。
この場合の竜人種は、現在の世界と違い明確な属性はない。職業によっては全属性だって扱えたわけだし。
狩人はライバルが光+水の騎士だったから相反属性の闇と雷を主に鍛えてたっけ。サブ職に狩人職とステータス相性のいい魔術師を設定してたよなぁ。
竜人種の特性で耐久力と体力の上昇率が大きいのに、なんで重騎士じゃないのとか言われてたっけ。
……色々あったもののまだこの世界に来て一週間にもならないっていうのに、やけに懐かしい。なんだかもう遠い昔みたいだ。この世界じゃ実際に遠い昔のことだけど。
…………その事実が、なんとなく痛い。
気を取り直して。
サブ職と言えば私のはどうなんだろう。吟遊詩人なんだけど。
前に試したのは魔導師のスキルだけだったからな、しかも下~中級。上級以上は色んな意味で怖かったから使ってない。
ECOには独自システムが多い。従魔しかり、ギルドホームしかり。このサブ職もそうだ。
ECOではメインの職業の他に複数のジョブをサブで持つことができる。但し相性問題とかがあるから、大抵のプレイヤーは2つから4つくらい。生産職オンリープレイヤーだったら4つから6つくらいと聞く。
まあ大抵は、上級職に就くための前提職で留めるんだけど。熟練度育てるの大変だし。
私の場合はメインである魔導師とその前提である魔術師、吟遊詩人、あと生産系の細工師の4つだ。友人殿が回復・能力上昇系の聖職者だったからサポート系を押し付けられたんだよね……はは。
一応、所謂相方同士だったわけだけど。友人殿はどうしてるんだろう?
私がいなくなったことを少しは心配してくれたかな。
[ ここから先は彼らの索敵範囲内になる。どうする?突っ切る? ]
そんな感じに思考に耽っていると、アンスールが走る速度を少しずつ緩め、小川の一歩手前で停止し、言った。
「突っ切ったらどうなる?」
[ 当然ながら敵認識されるよね ]
「じゃあ言うなし。ちょっと高いところから、様子見てみよう」
そう言うとアンスールは頷き、来た道を戻りだした。
竜人の集落、か。
どんなんだろう。
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