よくある異世界転移モノ、と思いきや?

一色ほのか

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一章

17 世界樹の正体

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『 この世界は終わる。僕の我が儘で君を造っておいて、置いていってしまう。本当にごめん、ライラ。僕は……二度も大事な妹を失ってしまうんだな…… 』
 
 これは、メンバーのメカニックが最後にライラに言った言葉らしい。
 これから分かる通りメカニックにとってはECOは終わるものであった。
 
 やっぱり、おかしいのは私だ。


 
[ 大丈夫? ]
「大丈夫に見えるの?」
[ まあ見えないけど。キミ、ボクの背中に乗ってるんだし ]
 
 そりゃそうだ。
 
 ――――――現在私は、ギルドホームを離れナイトメアホースのアンスールと共にとある上級フィールドに向かっている。
 そこは、闇属性の竜を捕獲した場所だ。

 色々と考えなきゃいけないことが増えたわけだけれど、正直キャパシティオーバーだった。
 だからそれらは全部まるっと先送りにして、当初の目的通り従魔達と出会った場所を巡ることにした。も手に入ったし。
 私自身のことも世界のこともアンスールのことも謎まみれだけど、深みに嵌ったら浮かんでこられそうにないし。気を紛らわしながら少しずつ探っていくしかない。
 とりあえず、自分のことは思い出せない以上どうしようもないから後回しにしよう。

 ちなみに喋り方については、普通でいいよと言われたためバレバレか!とつっこんだあと二人?きりの時は素で話すことにした。
 ぶっちゃけあの喋り方、疲れるし。
 
「そういえば貴方、自分を【世界樹の夢】って言ったよね」
[ 言ったね。正確なところじゃないけど分かりやすくいえば、その通りボクは世界樹が見ている夢・・・・・・・・・なんだ。動けない世界樹に変わって沢山のモノを見聞き経験するための存在だよ ]
「つまり、根っこが同一ってことね。ただ貴方は貴方の自我を持っているから決してイコールじゃない。って感じ?」
[ そんな感じかな。ハイエルフの第一皇子のところでもそうだったけど、理解が早いね ]
「覗きが居るんだけどここに」
 
 そういやあそこは世界樹のお膝元だもんね。
 ずーっと見られてたってわけ?プライバシーどこいった。

 …………ん?ちょっと待て。
 
「ねえ、貴方は私たちがイコールであることを、はじめから知っていた?」
[ もちろん。キミ達の情報を、世界樹は全部持っているからね。キミが登録した個人情報とか知ってるけど?設定用の秘密の質問とか ]
「今私の中で世界樹イコール運営管理サーバーってなった。なんでそこだけ現実仕様なの」
[ まあ元々世界樹ってそういう立ち位置の存在だったから。メインコンピュータっていうの?あと、人工知能かな。明確ではなくても自我もある ]
 
 大本がオンラインゲームだったとはいえ、ファンタジーの世界で、なんていうかすごく違和感のある話だなぁ。
 そしてなんとなく引っかかりを憶えたんだけど、明確な形を掴めずに結局おいとくことにした。
 分かったことは世界樹には意志があること。アンスールは本来従魔として捕獲出来るような存在ではないんだろうこと。やっぱりこの世界はECOであること。
 得た情報から、何かを仮定できそうなんだけどどうしてもはっきりとした形にならない。
 なんか、言いようのない気持ち悪さがある。
 漠然とした不安も。
 なんか……、落ち着かない。
 
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