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序章
1 巻き込まれて召喚?
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私の名前は小城春奈。どこにでも居る平凡な女子高生だ。
頭脳をとっても容姿をとっても普通。誰がどう見ても平凡そのもの。
もし何か普通と違う所があるのか?と問われれば、とりあえずオタクですと答えよう。そっち系の知識は無駄に広くただし浅くあると思う。
そんな私が、どう考えても巻き込まれる形で異世界に来てしまったようだ。
――――――――不意に気が付くと、そこは石造りの広間だった。
薄暗く、仄かに灯るのは蝋燭の光。存在する人影はみなフード付きのマントで姿を覆い隠している。
怪しい。
怪しいことこの上ない。
そうは思うのだけど、動けない。
何故なら人影全てがこちらを、どう見ても【魔法陣】の上にいる私と見知らぬ二人を見ていたからだ。もの凄い圧を感じる。
どうしたらいいんだ一体。
しばしの沈黙の後、人影の一人が動いた。
カツカツと石の床を鳴らしながら私達の前にやってきた人影は、さっとフードを取り払い、言った。
「お前達は我が国の【勇者】として召喚された」
美形だった。
……その口から出てきたセリフはこの際置いておくとしよう。とにかく美形だった。
身長はすらりと高く、さらさらの銀色の髪に翡翠の瞳。尖った耳。端麗な顔立ち。
うん、まあ、文句なしの美形。声まで恰好良い。
まるで、ゲームなんかでよくいるエルフそのもの。
だからだろうか?どことなくどこかで見たことがあるように感じる。
え?現実逃避?
そりゃあそうだろうね。
逃げていいですか?
「勇者……って、どういう意味ですか」
少し離れた所に居た見知らぬ青年が恐る恐る、という風に言う。
今初めて全体を視界に入れたが、彼もまた美形だ。
いや、目の前の美形と区別するためにイケメンと呼ぼう。そうしよう。
「そのままの意味だ」
美形はイケメンを見、感情の分からない声音で答える。……あの、会話終わらせてどうするの。話が進まないじゃん。いつまでこの薄暗い召喚場?にいるつもりなんだこの美形。
ああだけど、現実逃避に阿呆なことを考えていた所為か多少冷静に考える余裕が出来た。
いつまでも現実逃避してる場合じゃない、ってね。
【勇者】として召喚ってことは、この国、或いはこの世界は今危険だってことでしょ?
「そのままの意味、じゃ訳が分からないわ。何が、どうなって、この行為に及んだのか。順を追って説明してちょうだい」
「お、おい千秋っ」
イケメンの隣にいたもう一人、彼の知り合いらしい少女が言う。
横顔でも分かる、整った顔立ち。
何これ超不公平。美形にイケメンに美少女。平凡な私。
私ってば空気じゃね??
空気といえば、美少女が口を開いた直後から辺りの空気が変わった気がする。
妙にピリピリしてて、なんだろう、怒ってるのかな?
ふむ、この美形は地位ある人物なんだろうか。セオリー通りならば優秀な魔術師か、地位のある神官か、王族あたり?
美形は美少女を見、目を細める。
不機嫌、ってより面白いものを見つけた、って感じで。
なんで分かるのか?そりゃあ友人殿がよくそんな顔をするからさ。
これがまた、この美形みたいにその表情が様になる美形でね。まあ、そりゃ当然なんだけど。
だってゲームでの話だし。
「アルヴァ、説明してやれ」
「はっ、……殿下、お下がり下さい。」
はいセオリー通り王族でしたー。
王子様ですか。まあ納得、美形だし。偉そうだし。
頭脳をとっても容姿をとっても普通。誰がどう見ても平凡そのもの。
もし何か普通と違う所があるのか?と問われれば、とりあえずオタクですと答えよう。そっち系の知識は無駄に広くただし浅くあると思う。
そんな私が、どう考えても巻き込まれる形で異世界に来てしまったようだ。
――――――――不意に気が付くと、そこは石造りの広間だった。
薄暗く、仄かに灯るのは蝋燭の光。存在する人影はみなフード付きのマントで姿を覆い隠している。
怪しい。
怪しいことこの上ない。
そうは思うのだけど、動けない。
何故なら人影全てがこちらを、どう見ても【魔法陣】の上にいる私と見知らぬ二人を見ていたからだ。もの凄い圧を感じる。
どうしたらいいんだ一体。
しばしの沈黙の後、人影の一人が動いた。
カツカツと石の床を鳴らしながら私達の前にやってきた人影は、さっとフードを取り払い、言った。
「お前達は我が国の【勇者】として召喚された」
美形だった。
……その口から出てきたセリフはこの際置いておくとしよう。とにかく美形だった。
身長はすらりと高く、さらさらの銀色の髪に翡翠の瞳。尖った耳。端麗な顔立ち。
うん、まあ、文句なしの美形。声まで恰好良い。
まるで、ゲームなんかでよくいるエルフそのもの。
だからだろうか?どことなくどこかで見たことがあるように感じる。
え?現実逃避?
そりゃあそうだろうね。
逃げていいですか?
「勇者……って、どういう意味ですか」
少し離れた所に居た見知らぬ青年が恐る恐る、という風に言う。
今初めて全体を視界に入れたが、彼もまた美形だ。
いや、目の前の美形と区別するためにイケメンと呼ぼう。そうしよう。
「そのままの意味だ」
美形はイケメンを見、感情の分からない声音で答える。……あの、会話終わらせてどうするの。話が進まないじゃん。いつまでこの薄暗い召喚場?にいるつもりなんだこの美形。
ああだけど、現実逃避に阿呆なことを考えていた所為か多少冷静に考える余裕が出来た。
いつまでも現実逃避してる場合じゃない、ってね。
【勇者】として召喚ってことは、この国、或いはこの世界は今危険だってことでしょ?
「そのままの意味、じゃ訳が分からないわ。何が、どうなって、この行為に及んだのか。順を追って説明してちょうだい」
「お、おい千秋っ」
イケメンの隣にいたもう一人、彼の知り合いらしい少女が言う。
横顔でも分かる、整った顔立ち。
何これ超不公平。美形にイケメンに美少女。平凡な私。
私ってば空気じゃね??
空気といえば、美少女が口を開いた直後から辺りの空気が変わった気がする。
妙にピリピリしてて、なんだろう、怒ってるのかな?
ふむ、この美形は地位ある人物なんだろうか。セオリー通りならば優秀な魔術師か、地位のある神官か、王族あたり?
美形は美少女を見、目を細める。
不機嫌、ってより面白いものを見つけた、って感じで。
なんで分かるのか?そりゃあ友人殿がよくそんな顔をするからさ。
これがまた、この美形みたいにその表情が様になる美形でね。まあ、そりゃ当然なんだけど。
だってゲームでの話だし。
「アルヴァ、説明してやれ」
「はっ、……殿下、お下がり下さい。」
はいセオリー通り王族でしたー。
王子様ですか。まあ納得、美形だし。偉そうだし。
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