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第1章 幼少期(7歳)
35 ★レイオス視点
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「あの、物凄く主張しているリボンは、なんですか」
テッドが何か言いたそうにしているから、さっさと言えと言って返ってきたのが、これ。
言い辛そうにしているから何かと思えば、そんなことか。
「情報が広がってきてアーシャのことも周知されてきただろ。どこから見ているかも分からないし、分かりやすい物は必要だと思ってね」
「ああ……、でも、貴方の色のドレスで十分では」
「ただの緑ならアエラスもセルヴァも使うじゃないか。でも白に緑なら確実に俺だと分かる」
王家の白に緑だからな。
父上は基本的に白単体か母上の碧、弟は赤。
今、白と緑の組み合わせを使える王族は俺だけだ。
「つまり周知が目的、という?」
「それ以外に何が?」
「いえ……、はい。ならいいです。しかし、よく都合良くありましたね、あんなの」
「いや?作らせた」
「つくらせた」
「当然だろ?白は王家の色なんだから」
白を主軸に使った物なんて一般には出回らない。
だから、俺の色を入れた物となると作らせるしかないわけで。
雛形はあるとはいえオーダーメイドに近いから、ちょっと時間がかかったんだよね。
まあ今後はそういうことはなくなるだろうけど。婚約者に贈る物は今後全てこの組み合わせで作らせるって言ってあるし。
「……………………白だけ、なら?」
「王家直属の工房に手を入れる前の物ならあったけど。何が言いたいの」
「あー……、すみません、私の中でもまだ纏まっていないので……纏まったら話します」
「? そう」
一体何なんだ?
別に婚約者に自分を主張するプレゼントを贈るのはおかしくないだろう?
俺の物と周知しておけば賢い者も愚かな者も反応する。
囮のように使うのは少し心苦しいけど、最初から想定していた扱いだ。それはテッドも分かっている。
本当に、何を言いたいのやら。今更利用するのが嫌になった、というわけではないだろうけど。
そもそもアーシャに対してどうこうというより、俺に対してみたいだし。
それがまた意味が分からないんだけど。
「とりあえず……あまりやり過ぎないようにしましょうね」
「分かってる。自分の物を無駄に傷付ける趣味はないし」
「お前本当に無自覚か?」
「何が」
「嘘だろ面倒くさい」
だから、何がだ。
テッドが何か言いたそうにしているから、さっさと言えと言って返ってきたのが、これ。
言い辛そうにしているから何かと思えば、そんなことか。
「情報が広がってきてアーシャのことも周知されてきただろ。どこから見ているかも分からないし、分かりやすい物は必要だと思ってね」
「ああ……、でも、貴方の色のドレスで十分では」
「ただの緑ならアエラスもセルヴァも使うじゃないか。でも白に緑なら確実に俺だと分かる」
王家の白に緑だからな。
父上は基本的に白単体か母上の碧、弟は赤。
今、白と緑の組み合わせを使える王族は俺だけだ。
「つまり周知が目的、という?」
「それ以外に何が?」
「いえ……、はい。ならいいです。しかし、よく都合良くありましたね、あんなの」
「いや?作らせた」
「つくらせた」
「当然だろ?白は王家の色なんだから」
白を主軸に使った物なんて一般には出回らない。
だから、俺の色を入れた物となると作らせるしかないわけで。
雛形はあるとはいえオーダーメイドに近いから、ちょっと時間がかかったんだよね。
まあ今後はそういうことはなくなるだろうけど。婚約者に贈る物は今後全てこの組み合わせで作らせるって言ってあるし。
「……………………白だけ、なら?」
「王家直属の工房に手を入れる前の物ならあったけど。何が言いたいの」
「あー……、すみません、私の中でもまだ纏まっていないので……纏まったら話します」
「? そう」
一体何なんだ?
別に婚約者に自分を主張するプレゼントを贈るのはおかしくないだろう?
俺の物と周知しておけば賢い者も愚かな者も反応する。
囮のように使うのは少し心苦しいけど、最初から想定していた扱いだ。それはテッドも分かっている。
本当に、何を言いたいのやら。今更利用するのが嫌になった、というわけではないだろうけど。
そもそもアーシャに対してどうこうというより、俺に対してみたいだし。
それがまた意味が分からないんだけど。
「とりあえず……あまりやり過ぎないようにしましょうね」
「分かってる。自分の物を無駄に傷付ける趣味はないし」
「お前本当に無自覚か?」
「何が」
「嘘だろ面倒くさい」
だから、何がだ。
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