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第1章 幼少期(7歳)

21 ★レイオス視点

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「すぐにイグニアス家の内情を調べてくれ。中身は後回しで。とにかく厳重に何かを隠している・・・・・・・・・・・という事実があればいい」
「了解しました。……流石に話を通して家の手を借りようと思うのですが」
「分かってる。こうなるともう俺一人の手には負えない。父上に直接会ってくるよ」

 深く椅子に座り込み、溜め息を吐く。

 彼女――アーシャを保護してから既に4日経つのに、いまだに父上からの反応はない。
 無視しているのか無視せざるを得ないだけか。
 本当に、忙しいことは分かっているんだ。父上にしかできないことがあまりにも多すぎるから。
 だけどどちらにしろ、もう放っておくわけにはいかない。
 これ以上7大貴族の者達に好き勝手をさせたままにはできない。
 父上が致命的ではないから放っておけというシュベーフェル家とオードスルス家の仲違いも、イグニアス家も。
 特にイグニアス家の増長を許してはならない。忌々しい炎を使う人間を。

 炎は駄目だ。
 炎は、簡単に大切なものを奪うから。


「では殿下、私は国王陛下へ先触れを出しに――――、殿下?」
「っ、すまない。少しぼうっとしていたみたいだ」
「最近多いですよ。やはりお疲れなのでは」
「一気に色々起きたからね……でも、今手を抜くわけにはいかないから」

 そうだ、せっかく色々と掃除ができそうなんだから。
 時間を無駄にはできない。
 こちらに知られたと気付かれれば、証拠を隠滅されたりなかったことにされる可能性は高いのだから。そうなる前にはっきりとした証拠を集めなくては。

「分かりました。ですが合間を見て休んでください。私達も居るんですから」
「ああ」
「……本当に分かってますか?国王陛下にあれだけ人を使えという当人がこれでは、人のことを言えませんよ。二人もいつ、自分達に婚約者を紹介してくれるのかと言っていますが」
「ぐっ……、分かった、分かったから。二人には仕事しろって言っておいて」
「はい。では、ちゃんと休んでくださいよ」

 言うだけ言って、部屋を出ていく。

 まったく、主人に対する態度ではない。
 まああいつはそれでいいんだけど。
 兄弟のように育った、兄に等しい男だ。過ごしてきた時間も含め、実の弟よりよほど兄弟と言える。

 ……父上には、そんな相手は居なかったんだろうか。

 なんでもかんでも、一人でやろうとする父上。
 だからすぐに手に負えなくなって時間ばかりかかってしまう。
 既に王となった今、心から頼れる相手なんて現れないし作れないだろう。母上もあまり当てにはならないし。
 俺はそんなに、頼りないだろうか?
 成り行きとはいえ父の状況も事情も知っているのに。父上は俺を頼ろうとはしない。
 ただ守られるだけの存在では居たくない。俺も王族なのだから。
 でも、子供なのは二重の意味で事実でしかなく。
 いつまでも、最適な解決方法は見つからないまま。

「仕方ないのは理解しているのに、勝手に失望する俺の方が面倒なんだろうな……」

 今回の件で、少しは何かが変わればいいんだけど。
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