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今度こそしっかりとスキルが効いたことを確認し、息を吐く。
まさか、スキルをレジストされるとは思いもしなかった。これまでに一度もなかったことだから。
モンスター相手ならまだしも、人間、しかも年下。
納得いかない。
その所為であのクソスキルまで使わせられたんだ、きっちりと情報を吐かせないと。
「注意、すべきは……え、と。31階層から39階層は草原型、で、ボスまで、休める場所がほぼない、です。ポーション類は多めに必要、です」
たどたどしく言葉を発する。
こっちの命令と教えたくない本心が争っている結果だろう。
スキルの効きが甘い。
…………精神系の耐性スキル持ち、か。
「それから?」
「っ……、出現するのは、ゴブリンと、コボルトと、スライム、です。前者2種は団体で行動し、仲間を呼びま、す。数は、31階層から34階層までは、かなり多く、て、でもバカ、です」
「バカって?もっとちゃんと、詳しく説明して」
もう一度目を合わせる。
今度は強めに、念入りにスキルをかける。
「戦略もなく、突っ込んでくるだけです。ただ数がとにかく多くて、殲滅力が必要です。あるならまあ、いけます。保険として爆弾か攻撃系のマジックアイテムあたりがあると安全です」
ん、有用。
その手があったか。いくらかあるな。
「35階層からはホブゴブリン、コボルト、スライムが出ます。37階層まで顔ぶれは同じです。コボルトは変わりませんが、ホブゴブリンは悪知恵を働かせてきます。乏しいですが、戦略のようなものも使います。コボルトが多くホブゴブリンが少ないですが、強さは逆です。ゴブリンだと甞めてかかると普通に死にます。罠は使ってきません」
「うん、それで?」
「38階層はホブゴブリン、ゴブリン、スライムが出ます。全体的に31階層から37階層までのものとは別物と考えるべきです。戦略を立て、罠も使います。魔法を使ってくるモノもいます。幸い威力はありませんが数が居るので厄介ですし、状態異常系の魔法もあるので油断すると死ぬか捕らえられます。ここのゴブリン達は人間を見つけると性別問わず性的に襲い掛かってきます。手記の筆者は悪夢を見たそうで、隠密で走り抜けることを推奨していました」
「うわ……、分かった。それから?」
「39階層は一転、スライムだけになります。足の踏み場が有るか無いかのレベルで敷き詰められています。基本、自分からは襲ってきませんが少しでも攻撃すると一斉に襲ってきます。死体も何も残りませんのでここも一気に走り抜けることが推奨されています。撒餌や囮を使うと多少楽です」
「…………確かにソロでは厳しいね。40階層のボスは?」
「はい。ボスは巨大なスライムです。フィールドは森型、初手で入り口の真上から降ってきますので入ってすぐに相当距離を移動しなければ死にます。スライムなので核を破壊すれば倒せますが、巨大な分粘液が多いので貫通力が必須です。下手な攻撃は全て吸収されるので。自分ごと」
目を伏せたまま、淡々と話す。
その様子に自我は感じられず、使った2つのスキルがおかしな作用の仕方をしているのが分かった。
だってどちらのスキルを使った場合とも違う反応だし。
催眠系のスキルを使った時に近いかな。目の前で手をひらひらさせても反応がない。
命令すれば動くんだろうけど……、出てくる敵がここまで酷いとなれば40階層より下は多分碌な情報がないだろうし、もう充分だから解除するか。
「顔上げて」
命令する。
スキルのトリガーが目を合わせることだから、いちいちそうしないといけない。
面倒だけどちゃんと後処理をしておかないとね。
「もういいよ」
この子はもう用済みだ。
まさか、スキルをレジストされるとは思いもしなかった。これまでに一度もなかったことだから。
モンスター相手ならまだしも、人間、しかも年下。
納得いかない。
その所為であのクソスキルまで使わせられたんだ、きっちりと情報を吐かせないと。
「注意、すべきは……え、と。31階層から39階層は草原型、で、ボスまで、休める場所がほぼない、です。ポーション類は多めに必要、です」
たどたどしく言葉を発する。
こっちの命令と教えたくない本心が争っている結果だろう。
スキルの効きが甘い。
…………精神系の耐性スキル持ち、か。
「それから?」
「っ……、出現するのは、ゴブリンと、コボルトと、スライム、です。前者2種は団体で行動し、仲間を呼びま、す。数は、31階層から34階層までは、かなり多く、て、でもバカ、です」
「バカって?もっとちゃんと、詳しく説明して」
もう一度目を合わせる。
今度は強めに、念入りにスキルをかける。
「戦略もなく、突っ込んでくるだけです。ただ数がとにかく多くて、殲滅力が必要です。あるならまあ、いけます。保険として爆弾か攻撃系のマジックアイテムあたりがあると安全です」
ん、有用。
その手があったか。いくらかあるな。
「35階層からはホブゴブリン、コボルト、スライムが出ます。37階層まで顔ぶれは同じです。コボルトは変わりませんが、ホブゴブリンは悪知恵を働かせてきます。乏しいですが、戦略のようなものも使います。コボルトが多くホブゴブリンが少ないですが、強さは逆です。ゴブリンだと甞めてかかると普通に死にます。罠は使ってきません」
「うん、それで?」
「38階層はホブゴブリン、ゴブリン、スライムが出ます。全体的に31階層から37階層までのものとは別物と考えるべきです。戦略を立て、罠も使います。魔法を使ってくるモノもいます。幸い威力はありませんが数が居るので厄介ですし、状態異常系の魔法もあるので油断すると死ぬか捕らえられます。ここのゴブリン達は人間を見つけると性別問わず性的に襲い掛かってきます。手記の筆者は悪夢を見たそうで、隠密で走り抜けることを推奨していました」
「うわ……、分かった。それから?」
「39階層は一転、スライムだけになります。足の踏み場が有るか無いかのレベルで敷き詰められています。基本、自分からは襲ってきませんが少しでも攻撃すると一斉に襲ってきます。死体も何も残りませんのでここも一気に走り抜けることが推奨されています。撒餌や囮を使うと多少楽です」
「…………確かにソロでは厳しいね。40階層のボスは?」
「はい。ボスは巨大なスライムです。フィールドは森型、初手で入り口の真上から降ってきますので入ってすぐに相当距離を移動しなければ死にます。スライムなので核を破壊すれば倒せますが、巨大な分粘液が多いので貫通力が必須です。下手な攻撃は全て吸収されるので。自分ごと」
目を伏せたまま、淡々と話す。
その様子に自我は感じられず、使った2つのスキルがおかしな作用の仕方をしているのが分かった。
だってどちらのスキルを使った場合とも違う反応だし。
催眠系のスキルを使った時に近いかな。目の前で手をひらひらさせても反応がない。
命令すれば動くんだろうけど……、出てくる敵がここまで酷いとなれば40階層より下は多分碌な情報がないだろうし、もう充分だから解除するか。
「顔上げて」
命令する。
スキルのトリガーが目を合わせることだから、いちいちそうしないといけない。
面倒だけどちゃんと後処理をしておかないとね。
「もういいよ」
この子はもう用済みだ。
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