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「必要なのはどの階層ですか?手記には一応、30階層まで記されています」
「30……ふうん。とりあえず階層は限定しない。主に状態異常に効くものを優先して知りたい」
「そうなると……1階層からありますね。効能の高いものからになると11階層以降です」
「じゃあ11階層から」
「分かりました。では、すぐ見つかる物から説明します」
自分で書き写したノートも出し、基本的なものから高額取引される貴重なものについて写生したものと図鑑でよく似た外見のものを見せつつ、出来る限り分かりやすいように丁寧に説明していく。
自分の得た知識をこうして他人に説明するのは初めてだから、ちゃんと上手く出来ているかは分からない。
聞き返してきたり分からないような様子もないから、メモを取る様子を見ながら説明を続ける。
ちなみに。
ダンジョン内で採取できる薬草・毒草の類は、階層によって種類や品質が変わる。
1~15階層まではあまり珍しくない、安値で取引されるものばかり。稀に貴重なものが低品質で1種。
16~20階層までは1~10階層の高品質と貴重なものが2種。
21~30階層からは1~20階層の貴重とされるものの高品質と使用用途がまだはっきりしていないものが数種。
31階層以降は不明となっている。手記では。
だから説明できるのはここまでだ。
実際のところ、僕自身は42階層まで降りることができる。
とはいえ、29階層までとは違いじっくりと探索したわけではないから、どんな物があるのかははっきりと分かっていない。
何故かというと、31階層以降はソロで行く場所じゃないから。特に31~39階層。
はっきり言って何度も死を覚悟した。
とにかくモンスターの数が多いし、下級とはいえ魔法をバンバン使ってくるし、状態異常はものによっては一人で回復できないからもう死ぬしかない。運よくそんな目には合っていないけど。
突破できたのは本当に奇跡に近いと思う。もう行きたくない。本気で。
というか無理だ。あの時は回数制限がある代わりに強力な魔法を発動できるマジックアイテムを複数持ち込んでたからなぁ……。
同じものが手に入るかと言われたら、完全に運だ。あれ以降、手に入ったのは一つだけ。これだけであそこに向かうのは無茶が過ぎる。
だから、40階層のボス部屋に1階層と行き来できるワープポイントが設置されてなかったら、今も25~29階層を狩場にしていただろう。いや、基本的に平日はそこで狩りをしてるんだけどね。安全性を考えて。
40階層より下に行く時は、休日か稼ぎが足りない時。稼ぎだけはいいんだよな……。
貴重な移動手段が埃を被っている気がするけど、命あっての物種だ。
ちなみにそのワープポイントは40階層のボス部屋を一度でも通過していないと認識できないらしい。
この情報だけど、伊坂さんも含めて周囲には話していない。
学園側が公開している情報が30階層で止まっている時点で、それより下は秘匿されているということだからだ。
つまりそれより下に降りられる実力があるということは、あまり大っぴらにするべきではない。
僕がその、下の階層のドロップ品を売却していることはバレてはいるだろうけど。
禁帯出図書の閲覧許可以外に何もアクションを起こしてこないから、こちらも知らんぷりでいる。
「30階層までの分布と詳しい効能、形容の説明はここまでで終わりです。何か質問はありますか?」
最後の説明を書き終えたのを確認し、問う。
ここまで止められることなくノンストップで説明したから、どこかに聞き漏らしやおかしなところがあったかもしれないから。
「いつも昼食べないの?」
「えっ」
返ってきたのは、全く関係のない、予想もしなかった問いだった。
そこで、はたと気付いて腕時計を見る。
2時だ。
昼食、食べていない。この人も。
さあ、と顔から血の気が引いていくのが分かった。
「30……ふうん。とりあえず階層は限定しない。主に状態異常に効くものを優先して知りたい」
「そうなると……1階層からありますね。効能の高いものからになると11階層以降です」
「じゃあ11階層から」
「分かりました。では、すぐ見つかる物から説明します」
自分で書き写したノートも出し、基本的なものから高額取引される貴重なものについて写生したものと図鑑でよく似た外見のものを見せつつ、出来る限り分かりやすいように丁寧に説明していく。
自分の得た知識をこうして他人に説明するのは初めてだから、ちゃんと上手く出来ているかは分からない。
聞き返してきたり分からないような様子もないから、メモを取る様子を見ながら説明を続ける。
ちなみに。
ダンジョン内で採取できる薬草・毒草の類は、階層によって種類や品質が変わる。
1~15階層まではあまり珍しくない、安値で取引されるものばかり。稀に貴重なものが低品質で1種。
16~20階層までは1~10階層の高品質と貴重なものが2種。
21~30階層からは1~20階層の貴重とされるものの高品質と使用用途がまだはっきりしていないものが数種。
31階層以降は不明となっている。手記では。
だから説明できるのはここまでだ。
実際のところ、僕自身は42階層まで降りることができる。
とはいえ、29階層までとは違いじっくりと探索したわけではないから、どんな物があるのかははっきりと分かっていない。
何故かというと、31階層以降はソロで行く場所じゃないから。特に31~39階層。
はっきり言って何度も死を覚悟した。
とにかくモンスターの数が多いし、下級とはいえ魔法をバンバン使ってくるし、状態異常はものによっては一人で回復できないからもう死ぬしかない。運よくそんな目には合っていないけど。
突破できたのは本当に奇跡に近いと思う。もう行きたくない。本気で。
というか無理だ。あの時は回数制限がある代わりに強力な魔法を発動できるマジックアイテムを複数持ち込んでたからなぁ……。
同じものが手に入るかと言われたら、完全に運だ。あれ以降、手に入ったのは一つだけ。これだけであそこに向かうのは無茶が過ぎる。
だから、40階層のボス部屋に1階層と行き来できるワープポイントが設置されてなかったら、今も25~29階層を狩場にしていただろう。いや、基本的に平日はそこで狩りをしてるんだけどね。安全性を考えて。
40階層より下に行く時は、休日か稼ぎが足りない時。稼ぎだけはいいんだよな……。
貴重な移動手段が埃を被っている気がするけど、命あっての物種だ。
ちなみにそのワープポイントは40階層のボス部屋を一度でも通過していないと認識できないらしい。
この情報だけど、伊坂さんも含めて周囲には話していない。
学園側が公開している情報が30階層で止まっている時点で、それより下は秘匿されているということだからだ。
つまりそれより下に降りられる実力があるということは、あまり大っぴらにするべきではない。
僕がその、下の階層のドロップ品を売却していることはバレてはいるだろうけど。
禁帯出図書の閲覧許可以外に何もアクションを起こしてこないから、こちらも知らんぷりでいる。
「30階層までの分布と詳しい効能、形容の説明はここまでで終わりです。何か質問はありますか?」
最後の説明を書き終えたのを確認し、問う。
ここまで止められることなくノンストップで説明したから、どこかに聞き漏らしやおかしなところがあったかもしれないから。
「いつも昼食べないの?」
「えっ」
返ってきたのは、全く関係のない、予想もしなかった問いだった。
そこで、はたと気付いて腕時計を見る。
2時だ。
昼食、食べていない。この人も。
さあ、と顔から血の気が引いていくのが分かった。
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