異世界転移(国)の40年後~この生き辛い世界で生きていく~

一色ほのか

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プロローグ

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 ――――――違和感は、ずっとあった。

 慣れ親しんだ家。家族。
 だけど祖父が既に亡くなっていたり苗字が違っていたりと、『記憶』と違う。
 幼心に気付いた違いといえばそれぐらいのものだったけれど、それ以外にも、どこかが決定的に違う気がして。
 それの正体を探そうとしたけれど、肉体年齢に引き摺られているのか見つけることはできず。
 結局、自分自身の特殊性の所為だろうと結論付けた。
 家族ではなく、自分が原因だと。
 自分が持つ『記憶』がおかしなものだということは、幼いながらに気付いていたから。

 …………だけどそうじゃないと気付き始めたのは、5歳の半ば。
 『学園に入学する際このままでは寮に入ることになるだろう』と、『この半年間が最後の期限だ』と、険しい表情の父に言われた時。

 正直に言って、その時は何のことかさっぱり分からなかった。
 期限という言葉が何を指すのかも。
 重要な、自分の今後に関わる何かだということは分かったけれど。
 そして分からないまま、何も変わらないままに半年が経ち、入学式の前日になり。
 母に手を引かれ、学園の寮に連れて行かれた。

 『 この手が離れた瞬間から貴方は日出ひいで家の人間ではありません。もう二度と、家に戻って来てはいけませんよ 』 

 泣きながら、母が、そう言って。
 それに呆気に取られている間に手は離れ、母は小走りに去って行った。

 呆然と立ち尽くしていた僕はその後通り掛かった生徒に発見され、寮の管理人の元へ連れて行かれた。そして大体の事情を知っているらしい管理人に部屋に案内されて、淡々と説明を受けた。
 何が起きたのか。これからどうすればいいのか。
 あまりにも突然すぎて混乱していて、その時は全てを飲み込み切れなかったけれど。
 一つだけは、しっかりと理解した。

 僕は、捨てられたのだと。


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