星屑の砂時計

一色ほのか

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「ん、ん……ッ!ァ、んぅぅ……ッ!」
 
 ぐちゅ、ぐちゅと湿った音がやけに大きく聞こえる。
 1本だけだった指は2本、3本と増え、後孔を犯している。
 感じる所はすっかり把握されてしまっていて、そこばっかり刺激されて。
 もう、何度目の絶頂だろう。
 つかれ、た。
 
「っは、良さそうだな、瑞月。レイプされてるのに」
「ぃ、あ、ちが、やら、」
「違わない。…………ここももう良さそうだぞ」
 
 ぐりっ。とナカを掻き混ぜるように指を動かされる。
 
「やッああぁッ!」
「な?」
 
 意地悪げに顔を覗き込み、言う。
 その紺藤の目に浮かんでいるのは隠しきれない欲情の色。
 思わずきつく目を瞑る。
 その目が、覚えている最後の葛西の目と全く同じだったから。
 違うのに。違うのに。
 今目の前に居るのは、俺をレイプしているのは柊夜で、葛西じゃないのに。
 
「ひっ……!」
 
 にちゃりと指が引き抜かれたかと思えば、腰を持ち上げられて、指よりずっと大きくて硬くて熱いモノが恥部に押し当てられた。
 それが何か、なんて考えるまでもなく――――、
 
「これだけやれば簡単に入りそうだな」
 
 ぬるぬると柊夜の雄が後孔を撫でる。
 その、先端が、後孔に触れた。
 
「や、だ。やだ、ほんとにやめてくれよ、頼むから……ッ!」
「ここまで来て止められると思うのか?」
 
 ぐぐ、と柊夜の雄を押し付けられる。
 散々弄られ解されたソコは、本当に簡単にソレを飲み込んでしまいそうで。
 
「ひっ、あ、いや、やだ、や、たすけて、やだぁっ!」
「っ、誰が、助けるって言うんだ。ここにはとお前しかいないのにッ」
「ヤッ、あぁあああっ!!」
 
 痛みと恐怖で萎えてしまっていた俺の性器を思い切り擦り上げられ、直接的な刺激に身体が跳ねる。
 嫌なのに。感じたくなんてないのに。
 触れる手も。一人称が俺に変わるのも。語調が荒っぽくなるのも。
 全部が重なっていく。上書きされてしまう。

 やだ。
 いやだ、やだよ。
 痛みでも、もう届かなくても、その記憶を消されたくないのに。
 


「かさぃ……ッ!」


 
 ――――――そう、縋るように名前を口にした、瞬間。


 ぴたりと、柊夜の動きが止まった。
 俺の性器を弄る手も、脅すように先端だけ押し当てる動きをしていた柊夜の雄も。

 な、に……?どうしていきなり?
 どうしよう、こわい。

 この状況で口にする名前なんて、一人しかいない。
 まさかそれが別世界の自分なんて思うわけないし普通に同姓としか思わないはず。
 柊夜からしたらきっと聞きたくない名前だ。余計に怒りを煽る名前。
 
 今この状況で今以上に怒らせたら、どうなるかなんて……っ!

 そう思って目を瞑って、衝撃に備え、てたけど。
 一向に、柊夜の反応が無い。
 なんで……?
 本当に意味が分からなくて、恐る恐る柊夜を窺い見る。と、がっつりと目が合った。
 訝しげな表情。
 自分の名字が出たから、にしては何か考え込んでいる、ような。

 さっきは目に見えて怒ってたのに、一体何を、
 

「お前、まさか――――甘竹・・なのか」


「――――え、」


 その問い掛けに、目を見開く。

 まさか、って。
 その言い方じゃ、元々知っていたみたいな。
 それに名前じゃなくて名字で呼ぶって、まるで、
 
「ちっ、そういうことか。あの性悪ッ」
「ひっ」
「違う、お前じゃなくて……ああ、くそっ!」
 
 手が俺に向かって伸ばされる。
 それに怯えて身を固くするも、柊夜の取った行動は俺の手の拘束を外す、だった。
 そして腕を掴まれて引っ張り起こされ、抱き締められる。
 
「お前は卒業式の後に図書準備室で俺がレイプした甘竹なんだな?」
 
 それ、は。
 どうして、それを、柊夜が知ってるんだ。
 それをやったのは葛西で、柊夜が知るはずがないのに。
 なのにそれを知ってるということは、つまり。
 
「お、……俺をレイプした葛西、なのか?」
「ああ」
 
 葛西と柊夜が、同一人物ということ。


 
 は???
 
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