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「今日1日やってみて、だけどさ。とりあえず佐々と神門センセの反応的に周りは俺らを番いだって認識したと思う?」
「した、と思う。むしろしない方がおかしい、ってくらいにやったつもりなんだが」
おっと?
「俺が魔力の色が視えるのが分かってからの神門センセとの言い合いは」
「わざとだ。あそこまでやっておけば信憑性もでるだろ?」
「それは……うん。多分あれがあったから佐々も言い出したんだろうし」
「ああ」
はっきりと頷く柊夜。
えーっと。つまり。
あれやそれは全部、偽装のための演技ってこと。だよな?
「ちょっと過剰だなー、って思ってたけど。パフォーマンスとして、ってこと?」
「そのつもりだった。ちょっと過剰、って程度なら今後もこれで大丈夫だよな?」
「あ~……、うー、ん。学校では」
基準と言える基準が無いから分からないけど、今日の行動で周りが俺らを番いとして見ているなら。
隙を作らないためにも、同等の状態は続けるべきだ。
と、なると。問題なのは柊夜の方じゃなくて。
「俺の方がどうにかしないと駄目か。正直何も考えないでいたしその場凌ぎの部分が多かった、よな」
「そうか?ちゃんとしているように見えたけど」
「そうかぁ?」
自分としちゃほぼいつも通りだったんだけど。
周りからどう見えてたかは流石に分からない。
「なら、瑞月は不自然にならないことを第一に考えればいいと思う。対応に温度差があるなんてよくあることだし僕が合わせる」
「えっ、いやでもそれって柊夜の負担が大きいだろ」
「言い出したのは僕の方だしそこはやるよ。でも、そうだな。瑞月がどうしても気になるなら、少しでも意識してくれるとありがたいかな」
周りへのそういう対応を?
…………俺の場合、意識してやるとなると逆にぎくしゃくしそう。
今は新しいことに気を取られる方が多いから紛れてるけど、慣れてきたら柊夜への対応がぎこちなくなりそうな予感がする。ていうか確実になる。むしろ今なってないのが不可解。
都合が良いから気にしないようにしてるけど……。
「…………不自然にならないタイミングで、やれるだけやってみる」
とりあえず、こっち。
片方だけの負担が大きいのはナシ、だな。
あんまり借りを作り過ぎるのも良くない。
「分かった。じゃあ、そういう風にやっていこう。まずは現状を理解して慣れていくこと、だな」
「おう」
結論としては、今日を目安に続けていく、って感じか。
プラス、俺がもう少し頑張る、と。
こういうことやるの自体初めてなんだから手探りになるのは仕方ない。よくよく考えなくてもこの世界に来てから一週間と経っていないのだ。
その割に今に至るまでめちゃくちゃ濃いな……。
…………で、肝心なの聞けてねぇ。
なんか、そんな感じの事を言ってきたら覚悟を決めて聞こうと思ってたんだけど。真面目な話になったから。
そして話がフツーに終わったから逆に聞きづらい。
「そうだ、瑞月に聞きたいことがあったんだ」
「へ?なに?」
どうしようかと悩んでいたら、思い出したように柊夜が言ってきた。
聞きたいこと?
「瑞月が魔力を発現させたのは中学の卒業式の後って言ってたけど、本当なのか?」
「そうだけど……、それがなんかした?」
「いや、そんなギリギリでこの学園に入れるのか、と思って」
「…………言われてみれば。俺めちゃくちゃギリギリなのによく入れたよな?」
「瑞月の家族は何も言ってなかったのか?」
「んー、特に何も。ただ、母親が俺が後天発現して相当喜んでたっぽいからなんかあるとしたらそこだと思う。けど、情勢が情勢だし魔力持ちはギリギリまで集めてるんじゃね?」
とか言ってるけど俺はそこら辺の事情ガチで知らないんだけどな!
起きた時にはもう異常事態だったし。
母さんの話でなんとなくこんなだったんだろうなーって程度の認識。
自分の家族の内情さえ知らないとか問題でしかねぇ。
話を聞けるとしたら姉ちゃんだけど……落ち着いたら連絡とってみよう。
「ああ、そういうのもあったっけ。まあ、入れてるんだから問題はないだろうから気にしなくてもいいか」
「いいと思う。んー、他になんか今日中に話しといた方がいいことってある?」
「話しておいた方がいいことか……。ぱっと思いつくことと言えば僕達の属性のこと、瑞月の色が視えること、武器のこと、クラスメイトとどう関わっていくか、神門先生への対応かな」
「めちゃくちゃあるじゃん」
でも確かにどれも話しておいた方がいいことだわ。
「特殊属性について一切説明なかったし、自分で調べた方がいいよな。色が視えることは多分調べても出てこないだろうけど。検証とかした方がいいか?」
「殆ど情報がないらしいから自分達で検証した方が早いかもしれない。でも一応、見ておくか?」
そう、教科書と資料集を持ってくる。
一緒に見るつもりだからか隣に座ってきたのはいい、けど、狭いんだけど。近いんだけど。
「属性一覧に闇属性は一応載ってるけど、無属性はないな」
「センセの反応的に予想はついてたけどな。こっちに無属性について載ってる。えーっと、『基本的に属性を持たない物や人工物』……ってなんの説明にもなってねーじゃん!」
「属性がないこと=無属性、は確定でいいんじゃないか?まあそれ以上は分からなかったけど」
「自分で検証確定、だな。闇属性の方は……、闇属性による攻撃、防御、妨害、って、これだけ?」
「実際にどういう属性かは書かれていないな。どういうものか判明していないか、情報を出し渋っているのかもしれない」
「ありえる」
説明が説明になってないんだよ。マジで。
教科書や資料にこの程度しか載ってないってガチで隠匿してるんじゃ。
闇属性持ちが学園内に居たら、絡んできそう。
明日になれば多分分かるだろうけど、大事に発展しないといいんだけど。
「した、と思う。むしろしない方がおかしい、ってくらいにやったつもりなんだが」
おっと?
「俺が魔力の色が視えるのが分かってからの神門センセとの言い合いは」
「わざとだ。あそこまでやっておけば信憑性もでるだろ?」
「それは……うん。多分あれがあったから佐々も言い出したんだろうし」
「ああ」
はっきりと頷く柊夜。
えーっと。つまり。
あれやそれは全部、偽装のための演技ってこと。だよな?
「ちょっと過剰だなー、って思ってたけど。パフォーマンスとして、ってこと?」
「そのつもりだった。ちょっと過剰、って程度なら今後もこれで大丈夫だよな?」
「あ~……、うー、ん。学校では」
基準と言える基準が無いから分からないけど、今日の行動で周りが俺らを番いとして見ているなら。
隙を作らないためにも、同等の状態は続けるべきだ。
と、なると。問題なのは柊夜の方じゃなくて。
「俺の方がどうにかしないと駄目か。正直何も考えないでいたしその場凌ぎの部分が多かった、よな」
「そうか?ちゃんとしているように見えたけど」
「そうかぁ?」
自分としちゃほぼいつも通りだったんだけど。
周りからどう見えてたかは流石に分からない。
「なら、瑞月は不自然にならないことを第一に考えればいいと思う。対応に温度差があるなんてよくあることだし僕が合わせる」
「えっ、いやでもそれって柊夜の負担が大きいだろ」
「言い出したのは僕の方だしそこはやるよ。でも、そうだな。瑞月がどうしても気になるなら、少しでも意識してくれるとありがたいかな」
周りへのそういう対応を?
…………俺の場合、意識してやるとなると逆にぎくしゃくしそう。
今は新しいことに気を取られる方が多いから紛れてるけど、慣れてきたら柊夜への対応がぎこちなくなりそうな予感がする。ていうか確実になる。むしろ今なってないのが不可解。
都合が良いから気にしないようにしてるけど……。
「…………不自然にならないタイミングで、やれるだけやってみる」
とりあえず、こっち。
片方だけの負担が大きいのはナシ、だな。
あんまり借りを作り過ぎるのも良くない。
「分かった。じゃあ、そういう風にやっていこう。まずは現状を理解して慣れていくこと、だな」
「おう」
結論としては、今日を目安に続けていく、って感じか。
プラス、俺がもう少し頑張る、と。
こういうことやるの自体初めてなんだから手探りになるのは仕方ない。よくよく考えなくてもこの世界に来てから一週間と経っていないのだ。
その割に今に至るまでめちゃくちゃ濃いな……。
…………で、肝心なの聞けてねぇ。
なんか、そんな感じの事を言ってきたら覚悟を決めて聞こうと思ってたんだけど。真面目な話になったから。
そして話がフツーに終わったから逆に聞きづらい。
「そうだ、瑞月に聞きたいことがあったんだ」
「へ?なに?」
どうしようかと悩んでいたら、思い出したように柊夜が言ってきた。
聞きたいこと?
「瑞月が魔力を発現させたのは中学の卒業式の後って言ってたけど、本当なのか?」
「そうだけど……、それがなんかした?」
「いや、そんなギリギリでこの学園に入れるのか、と思って」
「…………言われてみれば。俺めちゃくちゃギリギリなのによく入れたよな?」
「瑞月の家族は何も言ってなかったのか?」
「んー、特に何も。ただ、母親が俺が後天発現して相当喜んでたっぽいからなんかあるとしたらそこだと思う。けど、情勢が情勢だし魔力持ちはギリギリまで集めてるんじゃね?」
とか言ってるけど俺はそこら辺の事情ガチで知らないんだけどな!
起きた時にはもう異常事態だったし。
母さんの話でなんとなくこんなだったんだろうなーって程度の認識。
自分の家族の内情さえ知らないとか問題でしかねぇ。
話を聞けるとしたら姉ちゃんだけど……落ち着いたら連絡とってみよう。
「ああ、そういうのもあったっけ。まあ、入れてるんだから問題はないだろうから気にしなくてもいいか」
「いいと思う。んー、他になんか今日中に話しといた方がいいことってある?」
「話しておいた方がいいことか……。ぱっと思いつくことと言えば僕達の属性のこと、瑞月の色が視えること、武器のこと、クラスメイトとどう関わっていくか、神門先生への対応かな」
「めちゃくちゃあるじゃん」
でも確かにどれも話しておいた方がいいことだわ。
「特殊属性について一切説明なかったし、自分で調べた方がいいよな。色が視えることは多分調べても出てこないだろうけど。検証とかした方がいいか?」
「殆ど情報がないらしいから自分達で検証した方が早いかもしれない。でも一応、見ておくか?」
そう、教科書と資料集を持ってくる。
一緒に見るつもりだからか隣に座ってきたのはいい、けど、狭いんだけど。近いんだけど。
「属性一覧に闇属性は一応載ってるけど、無属性はないな」
「センセの反応的に予想はついてたけどな。こっちに無属性について載ってる。えーっと、『基本的に属性を持たない物や人工物』……ってなんの説明にもなってねーじゃん!」
「属性がないこと=無属性、は確定でいいんじゃないか?まあそれ以上は分からなかったけど」
「自分で検証確定、だな。闇属性の方は……、闇属性による攻撃、防御、妨害、って、これだけ?」
「実際にどういう属性かは書かれていないな。どういうものか判明していないか、情報を出し渋っているのかもしれない」
「ありえる」
説明が説明になってないんだよ。マジで。
教科書や資料にこの程度しか載ってないってガチで隠匿してるんじゃ。
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