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23 増えた
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大野雅之と渡部芹佳。
同じ中学校の出身で、片やサッカー部、片や文芸部で魔力の発現までは何の関わりもなかったそうだ。
2人共、数代遡っても魔力持ちはおらず、中学2年の健康診断で発覚したという。
「そこからはなんていうかこう、腫物扱い?みたいな。サッカー部も辞めさせられたし、友達もなんか親とかに言われたっぽくて離れてった。俺の家族もギクシャクしてるし」
「学校はまあ、同じ。遠巻きにされてる感じ。あと大野君、それ絶対両親どっちかが魔力持ちの家系だと思う。前から言ってるけど……ぼくの家族はすっご~いって感じだもの」
「だからそれはないって。むしろお前ん家が軽過ぎるんだよ」
「それは本当にそう。多分ただの思考停止だけど」
口々に言う二人。
仲良いな。
同じ時期に同じ学校で出た同い年の魔力持ちだからか?
ああでも、聞いた感じ他の生徒からは距離を置かれてたみたいだし、お互いがマトモに話せる唯一の相手だっただけかも。
「同じ学校に他に魔力持ちは居なかったのか?」
「居たは居たけど一般家庭じゃなくてそういう家の奴だったっぽい。しかもめちゃくちゃ態度悪いし嫌な目で見てくるから避けてた」
「アレは見下すというか、人として見てない目。関わったら終わりだと思ったよ」
柊夜の問いに2人が答える。
態度が悪い、嫌な目、見下す、人として見てない。
全面的にクソだわ。
そんなやつがこのクラスに居るってことだよな?
「どいつ?」
「津川ってやつ」
「見た目はいいよ。見た目だけはね」
「見た目はなー。俺らが避けられてた状況でもあいつの周りには人がいてさ。なんか、庇われてた?感じで。大半は男だったぜ」
「そうだね、分かりやすいくらいでれっでれな男共に囲まれてたよ。というかぼく的にはぼく達が腫物扱いされて遠巻きにされていたのは彼女の所為だと思うんだよね絶対あることないこと吹き込んでたよ彼女。大野君も引き込もうとしていたもの」
「してたかぁ?」
「してたよ」
むすっとした様子で、渡部。
聞けば聞くほどやばい女だな。極力関わんない方が良さそう。
…………津川って名字、そもそも嫌な印象しかないし。
なんせ、葛西に冤罪を仕掛けた女と同じ苗字なんで。
まさか、はないと思いたい。
世界は違うとはいえ同じ人間とか……な?
流石に違うだろ?
「で……、どうだろ、俺達」
「正直に言うと津川さんが誘惑できないだろう人達を味方にしたくて。2人は番いで2人は内部生だからグループに入れてもらえるととっても助かるだけど」
「お前な……」
不安そうな大野と、ぶっちゃけた渡部。
俺としては良い情報を得られたし、今のところ害がなさそうだから別に構わないけど。
どうする?の意を込めて3人に目配せする。
「僕は瑞月と僕の害にならないならひとまずは構わない」
「見極める時間は欲しいけど、いいんじゃないかしら」
「みんながいいならいいよぉ。背後関係は調べるけど」
とのこと。
つまりは現状反対する気はないってことか。
じゃあ、いいかな。恩を売る意味でも。
グループに入れるからと言って深く関わるかは別だし?
「おっけ、じゃあ2人も加えるってことで。俺は甘竹瑞月。よろしくー」
「葛西柊夜だ」
「そうなるわよね。佐々叶依よ」
「メリットがないわけじゃないもんねぇ。伊坂・A・陽太だよ。よろ」
「おう!よろしく!」
「よろしく……」
というわけで、人数が6人になった。
元々15人しかいないクラスで6人も固まれば周りへの牽制になるはず。
しかもこの全員が今日中に魔力の具象化が出来れば。
他の9人が出来なければ尚。
残りの時間でやるのはこの2人への指導だな。
と、なると。
まず確認すべきは、
「2人とも水晶玉見せて。色見るから」
「お、マジで?多分大丈夫だと思うけど頼む!」
「ぼくも間違いはないと思うけど、お願いします」
水晶玉を出してもらい、属性の確認。
おお、これは……すっげぇ分かりやすい。
「大野は赤。火だな。近い色は唐紅?渡部は緑。風だ。これが分かりやすく風!って色なんだな。近い色は鮮緑」
「だよなー」
「甘竹君って和色詳しいんだね。あと分かりにくいよね色。そもそも青+黄で緑なのにそこ3色が属性の判定職ってやばいよ絶対間違ってる人いるっていうかいたしどうにかしようと思わないのかな」
「完全に同意」
「俺みたいな特殊例もあったしねぇ」
本当それ。
どうにかしようと思わないのか、どうにもできなくて放置なのか諦めたのかとかは分からないけど。
「なあ、いい加減に食べてしまわないか?時間、なくなるぞ?」
あっ。
うん、時間、結構経ってるわ。そこまで不味くはないんだけど。
後の話は昼休み終わってから。ってことで、昼食となった。
同じ中学校の出身で、片やサッカー部、片や文芸部で魔力の発現までは何の関わりもなかったそうだ。
2人共、数代遡っても魔力持ちはおらず、中学2年の健康診断で発覚したという。
「そこからはなんていうかこう、腫物扱い?みたいな。サッカー部も辞めさせられたし、友達もなんか親とかに言われたっぽくて離れてった。俺の家族もギクシャクしてるし」
「学校はまあ、同じ。遠巻きにされてる感じ。あと大野君、それ絶対両親どっちかが魔力持ちの家系だと思う。前から言ってるけど……ぼくの家族はすっご~いって感じだもの」
「だからそれはないって。むしろお前ん家が軽過ぎるんだよ」
「それは本当にそう。多分ただの思考停止だけど」
口々に言う二人。
仲良いな。
同じ時期に同じ学校で出た同い年の魔力持ちだからか?
ああでも、聞いた感じ他の生徒からは距離を置かれてたみたいだし、お互いがマトモに話せる唯一の相手だっただけかも。
「同じ学校に他に魔力持ちは居なかったのか?」
「居たは居たけど一般家庭じゃなくてそういう家の奴だったっぽい。しかもめちゃくちゃ態度悪いし嫌な目で見てくるから避けてた」
「アレは見下すというか、人として見てない目。関わったら終わりだと思ったよ」
柊夜の問いに2人が答える。
態度が悪い、嫌な目、見下す、人として見てない。
全面的にクソだわ。
そんなやつがこのクラスに居るってことだよな?
「どいつ?」
「津川ってやつ」
「見た目はいいよ。見た目だけはね」
「見た目はなー。俺らが避けられてた状況でもあいつの周りには人がいてさ。なんか、庇われてた?感じで。大半は男だったぜ」
「そうだね、分かりやすいくらいでれっでれな男共に囲まれてたよ。というかぼく的にはぼく達が腫物扱いされて遠巻きにされていたのは彼女の所為だと思うんだよね絶対あることないこと吹き込んでたよ彼女。大野君も引き込もうとしていたもの」
「してたかぁ?」
「してたよ」
むすっとした様子で、渡部。
聞けば聞くほどやばい女だな。極力関わんない方が良さそう。
…………津川って名字、そもそも嫌な印象しかないし。
なんせ、葛西に冤罪を仕掛けた女と同じ苗字なんで。
まさか、はないと思いたい。
世界は違うとはいえ同じ人間とか……な?
流石に違うだろ?
「で……、どうだろ、俺達」
「正直に言うと津川さんが誘惑できないだろう人達を味方にしたくて。2人は番いで2人は内部生だからグループに入れてもらえるととっても助かるだけど」
「お前な……」
不安そうな大野と、ぶっちゃけた渡部。
俺としては良い情報を得られたし、今のところ害がなさそうだから別に構わないけど。
どうする?の意を込めて3人に目配せする。
「僕は瑞月と僕の害にならないならひとまずは構わない」
「見極める時間は欲しいけど、いいんじゃないかしら」
「みんながいいならいいよぉ。背後関係は調べるけど」
とのこと。
つまりは現状反対する気はないってことか。
じゃあ、いいかな。恩を売る意味でも。
グループに入れるからと言って深く関わるかは別だし?
「おっけ、じゃあ2人も加えるってことで。俺は甘竹瑞月。よろしくー」
「葛西柊夜だ」
「そうなるわよね。佐々叶依よ」
「メリットがないわけじゃないもんねぇ。伊坂・A・陽太だよ。よろ」
「おう!よろしく!」
「よろしく……」
というわけで、人数が6人になった。
元々15人しかいないクラスで6人も固まれば周りへの牽制になるはず。
しかもこの全員が今日中に魔力の具象化が出来れば。
他の9人が出来なければ尚。
残りの時間でやるのはこの2人への指導だな。
と、なると。
まず確認すべきは、
「2人とも水晶玉見せて。色見るから」
「お、マジで?多分大丈夫だと思うけど頼む!」
「ぼくも間違いはないと思うけど、お願いします」
水晶玉を出してもらい、属性の確認。
おお、これは……すっげぇ分かりやすい。
「大野は赤。火だな。近い色は唐紅?渡部は緑。風だ。これが分かりやすく風!って色なんだな。近い色は鮮緑」
「だよなー」
「甘竹君って和色詳しいんだね。あと分かりにくいよね色。そもそも青+黄で緑なのにそこ3色が属性の判定職ってやばいよ絶対間違ってる人いるっていうかいたしどうにかしようと思わないのかな」
「完全に同意」
「俺みたいな特殊例もあったしねぇ」
本当それ。
どうにかしようと思わないのか、どうにもできなくて放置なのか諦めたのかとかは分からないけど。
「なあ、いい加減に食べてしまわないか?時間、なくなるぞ?」
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うん、時間、結構経ってるわ。そこまで不味くはないんだけど。
後の話は昼休み終わってから。ってことで、昼食となった。
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