22 / 35
21 青が示す属性
しおりを挟む
喚くだけ喚いた後、伊坂は机に突っ伏して黙り込んでしまった。
突っ伏す前にハッとしたような顔してたし、取り乱したことが恥ずかしいんだろう。
属性が家系と違うせいで肩身が狭い思いをしてきた、って言ってるけど……
「血筋とか家系で属性ってそんなに大事?」
「大抵は。婚姻に関しても魔力持ち同士なら誰でも、って感じではあるけれど、属性を強化するために同一属性を選ぶ家は多いわ」
「それって強化になってんの?」
「同じ属性が生まれやすい、と言う意味ではなっていると言えるんでしょうね」
うへぇ。
やっぱりそういうの、あるんだ。
となるとやっぱり属性って血筋優先遺伝なのかねぇ?
―――――――― クスクス。
………………………………違うかもしんね。
また声聞こえたんだけど、今のめっちゃ馬鹿にしたよーな笑い声だったんだけど???
なんか訳知りみたいだしマジでこの声なんなんだ。
イライラするんだが???
「瑞月?どうかしたのか?」
「ん、いや、なんもない……」
様子の変化に気付かれたようで柊夜に声をかけられたが、やっぱりどう答えていいか分からず。誤魔化すように、なんとなく手の中の水晶玉を蛍光灯の光に翳してみる。
例えばこれがカラーチェンジストーンと言われるアレキサンドライトとかガーネットとかと同じような性質をしていれば、こうすると色が変わったりするんだけど。
…………うん、そんなことはないな。青緑のまま。
神門先生の説明ではどう足掻いても青は水属性。緑は風属性。
可能性があるとしたら、緑が青と黄を足した色だった場合。つまり黄=地属性。
でも。
さっきちらっと、子供の頃は絶対に火属性だと言われてたって言ってたな。
「伊坂お前さ、なんで小さい頃に絶対火属性って言われてたか分かる?」
「………………同一属性同士って、一緒に居ると威力を上乗せできるんだよ。俺が小さい頃、すっごく懐いてた人が居るんだけど、俺と一緒に居ると普通より火属性の威力が上がってるって、そう……言ってたんだ……」
伊坂が言う。
最後の方なんてもう、掠れて聞こえないような声で。
その人が今、伊坂の傍に居ないだろうことが、察せた。
伊坂の様子から相当懐いてたんだろうな、その人に。
傍に居られなくなったのは……属性のせいなんだろうか。
俺には知る由もないことだけども。
…………とりあえず、そういう理由があって伊坂は火属性だって言われてたんだな。
つまり、だ。
威力が上がってる、っていうのがどの程度が分からないからその人の勘違いだったって可能性も十分にあると思うけど……、だとしても、そう勘違いする程度に、何か思う所があったんじゃないか?
だとしたら、伊坂の正しい属性って……火、じゃね?
青なら、可能性はゼロじゃない。
となると次に聞くべきなのはこれか。
「お前、どの属性を具象化しようとしてた?」
「風……だってうち、火と風の家系だもん。せめてそっちを使えるようにしなきゃ」
「ほうほう。ならやっぱり……お前、ちょっと火で具象化を試してみろよ」
「はぁ?俺の色見たじゃん。青緑。火の属性なんてないんだよ俺。さっきだって地属性かもって言ったじゃん」
「まあ、そうなんだけど。今まで聞いたことでもしかしたらって思うことがあってさぁ。火はさ、めちゃくちゃ高温になると青くなるんだ」
「えっ」
がばっと顔を上げて、心底驚いた顔で俺を見る伊坂。
どうやら知らなかったらしい。
これくらい普通に知ってることじゃないの?理科でガスバーナーとか使ったことない感じ?
ここ、一体どういう教育してるんだ?高等部の教科書、普通に高等部で使うようなのだったと思うんだけど。
「火って酸素を取り込んで燃えるはずだから……とりあえず赤い火が手の平にあるイメージをして、そこに風で空気を送り込むイメージかな。見せれれば一番いいけどないから想像しろ」
「え、え、火があって?風で空気を送り込む?青い、火? わっ!!」
「ぅえっ!?」
「ッ!」
「は!?」
視界が青い、熱い。
やば、と思った時には、腕を掴まれて横側に引っ張られていた。
椅子と机がガタンと大きく音を立てる。
「何事だ!ッ、な……!」
怒鳴り声と共に神門先生が駆け付けてきて、それを見て、呆然としている。
あんぐりと大口を開けている伊坂。
と、その、目の前の机。
黒く円状に焼け焦げている。
俺はと言えば柊夜の腕の中で、机に穴開かなくて良かったなぁ、とちょっとズレたことを考えていた。
現実逃避である。
突っ伏す前にハッとしたような顔してたし、取り乱したことが恥ずかしいんだろう。
属性が家系と違うせいで肩身が狭い思いをしてきた、って言ってるけど……
「血筋とか家系で属性ってそんなに大事?」
「大抵は。婚姻に関しても魔力持ち同士なら誰でも、って感じではあるけれど、属性を強化するために同一属性を選ぶ家は多いわ」
「それって強化になってんの?」
「同じ属性が生まれやすい、と言う意味ではなっていると言えるんでしょうね」
うへぇ。
やっぱりそういうの、あるんだ。
となるとやっぱり属性って血筋優先遺伝なのかねぇ?
―――――――― クスクス。
………………………………違うかもしんね。
また声聞こえたんだけど、今のめっちゃ馬鹿にしたよーな笑い声だったんだけど???
なんか訳知りみたいだしマジでこの声なんなんだ。
イライラするんだが???
「瑞月?どうかしたのか?」
「ん、いや、なんもない……」
様子の変化に気付かれたようで柊夜に声をかけられたが、やっぱりどう答えていいか分からず。誤魔化すように、なんとなく手の中の水晶玉を蛍光灯の光に翳してみる。
例えばこれがカラーチェンジストーンと言われるアレキサンドライトとかガーネットとかと同じような性質をしていれば、こうすると色が変わったりするんだけど。
…………うん、そんなことはないな。青緑のまま。
神門先生の説明ではどう足掻いても青は水属性。緑は風属性。
可能性があるとしたら、緑が青と黄を足した色だった場合。つまり黄=地属性。
でも。
さっきちらっと、子供の頃は絶対に火属性だと言われてたって言ってたな。
「伊坂お前さ、なんで小さい頃に絶対火属性って言われてたか分かる?」
「………………同一属性同士って、一緒に居ると威力を上乗せできるんだよ。俺が小さい頃、すっごく懐いてた人が居るんだけど、俺と一緒に居ると普通より火属性の威力が上がってるって、そう……言ってたんだ……」
伊坂が言う。
最後の方なんてもう、掠れて聞こえないような声で。
その人が今、伊坂の傍に居ないだろうことが、察せた。
伊坂の様子から相当懐いてたんだろうな、その人に。
傍に居られなくなったのは……属性のせいなんだろうか。
俺には知る由もないことだけども。
…………とりあえず、そういう理由があって伊坂は火属性だって言われてたんだな。
つまり、だ。
威力が上がってる、っていうのがどの程度が分からないからその人の勘違いだったって可能性も十分にあると思うけど……、だとしても、そう勘違いする程度に、何か思う所があったんじゃないか?
だとしたら、伊坂の正しい属性って……火、じゃね?
青なら、可能性はゼロじゃない。
となると次に聞くべきなのはこれか。
「お前、どの属性を具象化しようとしてた?」
「風……だってうち、火と風の家系だもん。せめてそっちを使えるようにしなきゃ」
「ほうほう。ならやっぱり……お前、ちょっと火で具象化を試してみろよ」
「はぁ?俺の色見たじゃん。青緑。火の属性なんてないんだよ俺。さっきだって地属性かもって言ったじゃん」
「まあ、そうなんだけど。今まで聞いたことでもしかしたらって思うことがあってさぁ。火はさ、めちゃくちゃ高温になると青くなるんだ」
「えっ」
がばっと顔を上げて、心底驚いた顔で俺を見る伊坂。
どうやら知らなかったらしい。
これくらい普通に知ってることじゃないの?理科でガスバーナーとか使ったことない感じ?
ここ、一体どういう教育してるんだ?高等部の教科書、普通に高等部で使うようなのだったと思うんだけど。
「火って酸素を取り込んで燃えるはずだから……とりあえず赤い火が手の平にあるイメージをして、そこに風で空気を送り込むイメージかな。見せれれば一番いいけどないから想像しろ」
「え、え、火があって?風で空気を送り込む?青い、火? わっ!!」
「ぅえっ!?」
「ッ!」
「は!?」
視界が青い、熱い。
やば、と思った時には、腕を掴まれて横側に引っ張られていた。
椅子と机がガタンと大きく音を立てる。
「何事だ!ッ、な……!」
怒鳴り声と共に神門先生が駆け付けてきて、それを見て、呆然としている。
あんぐりと大口を開けている伊坂。
と、その、目の前の机。
黒く円状に焼け焦げている。
俺はと言えば柊夜の腕の中で、机に穴開かなくて良かったなぁ、とちょっとズレたことを考えていた。
現実逃避である。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
胸に宿るは蜘蛛の糸
itti(イッチ)
BL
小学生の頃、ふと目にした父と叔父との表情が、晴樹の頭の片隅にはずっと残っていた。が、それは記憶の片隅に追いやられて、歳を重ねるごとに忘れていってしまう。高校生になって、同性の友人から告白されて、昔の記憶は少しづつ剥がされていく。
しかし、剥がれる度に自分の気持ちが溢れ出し、それは全てを壊してしまう程のものとなり、ひとりでは抱えきれなくなった。晴樹に救いの手を差し伸べてくれるのは..........
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる