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15 釣られたらしい
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「で?これはどういう事態だァ?」
武器を取り出すのを終えて。
さっさと出ていくかと思いきや、瀬戸先輩は何故かこっちに来て声をかけてきた。
どういう事態、ねぇ。
「今日1日使って属性とか適性を調べるのと、最低限の基礎を詰め込むんだと。今は武器適性を調べ終わって合う武器探し」
「はァ?」
理解できない、みたいな顔をする瀬戸先輩。
そのまま教室内をぐるりと見回したけど誰からも反応が無く、最後に神門先生を見る。
「どういう風の吹き回しだァ?あんた、外部生が嫌いなんだろうが」
「外部生が嫌いなのではなく、つまらん役立たずが存在することが気に食わんだけだ」
おっっ、と、問題発言飛んだ。二人して。
先輩の発言として担任の教師が生徒を嫌ってるとか問題でしかないし、担任は担任で要は実力主義で認められる力量以下は存在を認めないって明言じゃんか。
あー、でも、そうか。だから昨日の発言になるわけね。足並みを揃えるってやつも。
恐いのは明日からだなこりゃ。
「時間は有限だ。今後の全てが掛かってくることを頭にいれて自分に合う武器を探せ。お前もさっさと自分のクラスに戻るといい」
「あァそうかよ。あんたの都合で振り回されるこっちの身にもなりやがれ」
「気が向けばな」
「クソが」
仲が悪いんだか良いんだか分からないやりとりをして、瀬戸先輩が教室を出て行った。
教室内は、静まり返っている。
昨日からこんなんばっかだ。仕方ないけど。
最初から嫌な予感しかしてなかった俺にはこんなもんだろうな、って感じはあるんだけどさ。
他のクラスメイト達は、内部生以外はこんなことになるなんて考えてもいなかったんじゃないだろうか。
いや佐々もちょっと青い顔してるし……内部生は内部生でなんか思う所があるのかな?
…………柊夜はどうなんだろう?見た感じ涼しい顔してるけど。
「瑞月も佐々も、とりあえず行ってみるか?」
「あ、うん……」
「行く、けどちょい待って。後ろの奴起こすわ」
柊夜に言われて椅子から立ち上がり、そのまま行こうと思ったけど、ふと思い出して振り返ったら後ろの奴は眠ったままだった。
正直どうでもいいんだけど流石にこのまま放置は不味いだろ。
てか、この状況で寝っぱなしってこいつ俺らよりやばくないか。
「おい、起きろ。ええと、伊坂?」
「んぁ……?」
どう起こしたものか一瞬悩んだけど、とりあえず名字を呼んでみて、ついでに触るのはなんとなく止めといた方がいいと思ったから机を揺らしてみる。
よし、起きたな。後は放置でいいだろ。
そう考えて前を向き直そうとした、ら。
「ちょっとまって」
「え」
机に触れていた手を取られて止められた。
突然のことに驚いている俺の目の前に突き出されたのは、あの水晶玉。
て、またこのパターンかよ!?
「ねえこれ、何色に見える?」
「…………青緑」
「だよなぁ……」
はあぁ、と深く溜め息を吐いてから、水晶玉を引っ込めた。
これ、もしかしなくても俺、釣られたってやつか?
仏心を出すべきじゃなかったやつか。
割とガチめに後ろ振り返るのが怖いんだけど!
「瑞月、行こう」
「あっ、ああ」
後ろからぐいっと肩を引っ張られて、身体を反転させられる。
不機嫌そうではあるけど、そこまで怒ってる感じではない?
「心配しなくても番い持ちに手は出さないよ。種馬になんてなりたくないし」
「どうだか」
「外部生は知らないからそう言えるんだよ。あれ、先生は役目とか言ってたっけ?酷いなんてものじゃないんだよ?」
「ちょっと伊坂、変な絡み方しないでよ」
「んー?余裕そうだねぇ、出来損ないサン。俺も仲間に入れてよ」
「なッ?!出来損ないはアンタもでしょ!?」
こいつ内部生か。
でもって釣られた確定。
仲間に入れてよって、俺らに絡むつもりで反応待ちしてたってことだもんな。
その割には、めちゃめちゃ喧嘩売って来てるけど。
「佐々は出来損ないじゃないだろ。血筋との相性が絶望的に合わなかっただけで、正しい属性に合う武器が見つかればすぐ問題解消されると思う」
「そこまで行くと本当に血が繋がってるのかって問題も出てこないか?」
「隔世遺伝とか先祖返りってのがあってだな。ぶっちゃけそれも一理ある」
「……………………残念ながら血の繋がりは証明されているわ」
「ならいいじゃん。あとはお前次第」
とりあえず佐々の方を味方しとこ。
佐々だって関わって一日二日しか経ってないから分からないことの方が多いけど、俺が視たことで面倒事になりそうだから様子見と情報収集も込みでこのまま繋がりを作っていこうと思う。柊夜も今のところ見逃してるし。
伊坂の方は……どうしたもんか。
「出来損ないサンにはアドバイスしてあげてるんだ。ずるいなぁ、俺にもちょうだいよ」
「っアンタねぇ!」
「ごめんね?俺君に興味なくてさぁ、名前覚えてない」
「昨日の今日で忘れるなんて随分な鳥頭ね!佐々叶依よ!」
「カナエちゃんね。俺は伊坂・A・陽太ね。ヨータでいいよ」
「誰が呼ぶか!!」
…………。
放っておいていいか。
というか武器……
「…………出遅れたせいで混んでるから、少し待とうか」
「え?ああ、マジだ。そうするか」
柊夜に言われて前を見れば確かに、クラスメイト達で混雑していた。
と言っても、ここに4人いて、残りは11人だけど。
そう多くもないんだし待つか。
武器を取り出すのを終えて。
さっさと出ていくかと思いきや、瀬戸先輩は何故かこっちに来て声をかけてきた。
どういう事態、ねぇ。
「今日1日使って属性とか適性を調べるのと、最低限の基礎を詰め込むんだと。今は武器適性を調べ終わって合う武器探し」
「はァ?」
理解できない、みたいな顔をする瀬戸先輩。
そのまま教室内をぐるりと見回したけど誰からも反応が無く、最後に神門先生を見る。
「どういう風の吹き回しだァ?あんた、外部生が嫌いなんだろうが」
「外部生が嫌いなのではなく、つまらん役立たずが存在することが気に食わんだけだ」
おっっ、と、問題発言飛んだ。二人して。
先輩の発言として担任の教師が生徒を嫌ってるとか問題でしかないし、担任は担任で要は実力主義で認められる力量以下は存在を認めないって明言じゃんか。
あー、でも、そうか。だから昨日の発言になるわけね。足並みを揃えるってやつも。
恐いのは明日からだなこりゃ。
「時間は有限だ。今後の全てが掛かってくることを頭にいれて自分に合う武器を探せ。お前もさっさと自分のクラスに戻るといい」
「あァそうかよ。あんたの都合で振り回されるこっちの身にもなりやがれ」
「気が向けばな」
「クソが」
仲が悪いんだか良いんだか分からないやりとりをして、瀬戸先輩が教室を出て行った。
教室内は、静まり返っている。
昨日からこんなんばっかだ。仕方ないけど。
最初から嫌な予感しかしてなかった俺にはこんなもんだろうな、って感じはあるんだけどさ。
他のクラスメイト達は、内部生以外はこんなことになるなんて考えてもいなかったんじゃないだろうか。
いや佐々もちょっと青い顔してるし……内部生は内部生でなんか思う所があるのかな?
…………柊夜はどうなんだろう?見た感じ涼しい顔してるけど。
「瑞月も佐々も、とりあえず行ってみるか?」
「あ、うん……」
「行く、けどちょい待って。後ろの奴起こすわ」
柊夜に言われて椅子から立ち上がり、そのまま行こうと思ったけど、ふと思い出して振り返ったら後ろの奴は眠ったままだった。
正直どうでもいいんだけど流石にこのまま放置は不味いだろ。
てか、この状況で寝っぱなしってこいつ俺らよりやばくないか。
「おい、起きろ。ええと、伊坂?」
「んぁ……?」
どう起こしたものか一瞬悩んだけど、とりあえず名字を呼んでみて、ついでに触るのはなんとなく止めといた方がいいと思ったから机を揺らしてみる。
よし、起きたな。後は放置でいいだろ。
そう考えて前を向き直そうとした、ら。
「ちょっとまって」
「え」
机に触れていた手を取られて止められた。
突然のことに驚いている俺の目の前に突き出されたのは、あの水晶玉。
て、またこのパターンかよ!?
「ねえこれ、何色に見える?」
「…………青緑」
「だよなぁ……」
はあぁ、と深く溜め息を吐いてから、水晶玉を引っ込めた。
これ、もしかしなくても俺、釣られたってやつか?
仏心を出すべきじゃなかったやつか。
割とガチめに後ろ振り返るのが怖いんだけど!
「瑞月、行こう」
「あっ、ああ」
後ろからぐいっと肩を引っ張られて、身体を反転させられる。
不機嫌そうではあるけど、そこまで怒ってる感じではない?
「心配しなくても番い持ちに手は出さないよ。種馬になんてなりたくないし」
「どうだか」
「外部生は知らないからそう言えるんだよ。あれ、先生は役目とか言ってたっけ?酷いなんてものじゃないんだよ?」
「ちょっと伊坂、変な絡み方しないでよ」
「んー?余裕そうだねぇ、出来損ないサン。俺も仲間に入れてよ」
「なッ?!出来損ないはアンタもでしょ!?」
こいつ内部生か。
でもって釣られた確定。
仲間に入れてよって、俺らに絡むつもりで反応待ちしてたってことだもんな。
その割には、めちゃめちゃ喧嘩売って来てるけど。
「佐々は出来損ないじゃないだろ。血筋との相性が絶望的に合わなかっただけで、正しい属性に合う武器が見つかればすぐ問題解消されると思う」
「そこまで行くと本当に血が繋がってるのかって問題も出てこないか?」
「隔世遺伝とか先祖返りってのがあってだな。ぶっちゃけそれも一理ある」
「……………………残念ながら血の繋がりは証明されているわ」
「ならいいじゃん。あとはお前次第」
とりあえず佐々の方を味方しとこ。
佐々だって関わって一日二日しか経ってないから分からないことの方が多いけど、俺が視たことで面倒事になりそうだから様子見と情報収集も込みでこのまま繋がりを作っていこうと思う。柊夜も今のところ見逃してるし。
伊坂の方は……どうしたもんか。
「出来損ないサンにはアドバイスしてあげてるんだ。ずるいなぁ、俺にもちょうだいよ」
「っアンタねぇ!」
「ごめんね?俺君に興味なくてさぁ、名前覚えてない」
「昨日の今日で忘れるなんて随分な鳥頭ね!佐々叶依よ!」
「カナエちゃんね。俺は伊坂・A・陽太ね。ヨータでいいよ」
「誰が呼ぶか!!」
…………。
放っておいていいか。
というか武器……
「…………出遅れたせいで混んでるから、少し待とうか」
「え?ああ、マジだ。そうするか」
柊夜に言われて前を見れば確かに、クラスメイト達で混雑していた。
と言っても、ここに4人いて、残りは11人だけど。
そう多くもないんだし待つか。
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