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14 やっぱ面倒
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15人全員の武器適性が調べ終わった。
誰一人として特殊なものが出ることはなく、全員が複数適性持ち――――しかもよくある――――期待される一点特化はいなかった。
平凡の一言に尽きる。とは神門先生の言葉。
わざとらしい溜め息とかどうなんだこの教師。
「打撃、盾か……盾って武器なのか?」
判明した武器適性に困惑している柊夜。
ちょっと予想外の所きたもんな。
しかし盾、盾ね。
「鈍器には出来る。打撃ならまあ。でも教科書での分類は防具だけど」
「武器じゃないじゃないか」
まあ防具だよな。普通に考えて。
でも割と出てくる適性らしい。大抵選ばれないらしいけど。
まあ、武器じゃなくて防具だしなぁ。
さて現在。教室内に神門先生は居ない。見本の武器を取りに行っているからだ。
その間クラス内で交流でもしておけ、とか言ってたね。
とはいえ、最初は誰も動かなくてシンとしてた。そうは言われても大体初めまして同士、すぐには動けない。
けど、隣の席の奴とか前後の席の奴で話し出して今は結構ざわついてる。
でもって、今までの流れで俺に話し掛けようとしてくる奴はもちろん居た。
ソッコー柊夜に追い払われたけど。二の句を継ぐことなく。
…………睨んでるだけなのに逃げてくのなんなの?
なんか、魔力で威嚇してるっぽい?なんでそういうことできんのコイツ?さっき水晶玉染めるのに苦労してなかったっけ?
無意識でやってるんだったらあまりにも怖いんだが??
ちなみに俺の前、柊夜の周囲は逃げている。行動が早い。
後ろの奴?寝てる。
そんな状況だから近寄ってくる奴は居ない。
「嫉妬深い男は重すぎて嫌われるわよ」
「環境が最悪だから当然の対応だ」
こいつ以外。
多分打算。佐々の今後は多分、荒れるから。
属性の勘違いが解消されて今後そこは問題なくなるだろうから、だからこそ問題が起きそう。内部生だし。
今までがどんな状況だったかは知らないけどCクラスにいる以上碌なもんじゃなかっただろうし、多少なりと信じられる相手なんていないんだろう。
んで、そんな状況で、俺達は外部生で番いで、担任のお気に入り。
自分を守る意味でも都合が良いんだろうな。
柊夜も多分そこに気付いてるから強く拒絶しないんじゃね?他はソッコー追い払ってたもん。
…………或いはあれかな、佐々に今後起こるだろう不都合は俺が原因だから。
俺としては内部生側の情報が欲しいから都合がいい。
ここらへん、後で話し合っておいた方がいいよな。
「佐々って適性と武器何?」
「私?中距離・刺突でボウガンよ」
「ふーん。どんな感じ?」
「全然駄目。命中率は悪いし動いてる敵なら掠りもしない」
うっわ最悪。
それ、絶対こいつとことん合ってない。
「それ、誰かに勧められたとか?」
「そうね……、属性が風で、遠距離武器。家系よ」
あー。あー……。
一番最悪のパターンじゃん。
血筋重視っぽいもんな―この世界。属性や適性が血筋に依存してるならそういうパターン化してる部分ってあるだろうなー。
で、こいつはそれと悉く噛み合わなかったんだ。
更に運が悪かったのは、そう取れる色と適性だったことだろう。
「適性って変わったり」
「しないわよ。属性も。常識よ、常識」
「ならお前ボウガン捨てろ。槍か刺突剣にしとけ」
「え」
そう、佐々が呆気にとられたような声を上げたのとほぼ同じく。
教室の扉が開いて、神門先生が戻ってきた。
何故か、瀬戸先輩も一緒に。
何故。
「なんでいんの瀬戸先輩」
「あ゙?…………あー。そういやァここか」
「暇そうにしていたから手伝わせただけだ。中身を出せ」
「チッ。めんどくせえェ……」
サボってて捕まった感じ?
にしても、なんか嫌ってそうな話し方だったのに手伝ってるんだ。単に苦手か関わりたくないだけとか?
内情がさっぱり分からないから判断できねー。
「…………明らかにあのケースには収まらないサイズの物が次々に出てきてるんだが」
「は?ん?んー……、ああ、本当だ」
柊夜の言葉に考えるのを中断し、前で作業をする二人を見る。
言われてみれば確かに、ケースよりもでかい武器が次々と出てきてるな。
もしかしなくてもアレの類。
ファンタジー物の定番、何でも入る魔法の鞄ってやつだ。
「アレは収納のアイテムよ。制限はあるけれどそれさえクリアしていれば便利な道具」
「ふぅん」
やっぱりそうだよな。
大元がファンタジー世界って話だし。でも数はなさそう。
アイテムとしていいなとは思うけど、普通には手に入らない類の物じゃないかなアレ。
技術が失伝してるとか、元から宝箱からしか出ないとかよくあるよなー。
「反応が薄いのね。外部生は大抵驚いて騒ぐのに」
「だってそういうのって貴重品だろ?自分の手元に来ない物で騒ぐのは無駄」
「…………貴方、本当に外部生?それか年齢誤魔化してない?」
「外部生だし15ですぅ」
中身18歳だけどな!
肉体的には15歳だから誤魔化してはいない。
屁理屈?
事実だし。
まあ、ちょっとドキッとしたけど。
誰一人として特殊なものが出ることはなく、全員が複数適性持ち――――しかもよくある――――期待される一点特化はいなかった。
平凡の一言に尽きる。とは神門先生の言葉。
わざとらしい溜め息とかどうなんだこの教師。
「打撃、盾か……盾って武器なのか?」
判明した武器適性に困惑している柊夜。
ちょっと予想外の所きたもんな。
しかし盾、盾ね。
「鈍器には出来る。打撃ならまあ。でも教科書での分類は防具だけど」
「武器じゃないじゃないか」
まあ防具だよな。普通に考えて。
でも割と出てくる適性らしい。大抵選ばれないらしいけど。
まあ、武器じゃなくて防具だしなぁ。
さて現在。教室内に神門先生は居ない。見本の武器を取りに行っているからだ。
その間クラス内で交流でもしておけ、とか言ってたね。
とはいえ、最初は誰も動かなくてシンとしてた。そうは言われても大体初めまして同士、すぐには動けない。
けど、隣の席の奴とか前後の席の奴で話し出して今は結構ざわついてる。
でもって、今までの流れで俺に話し掛けようとしてくる奴はもちろん居た。
ソッコー柊夜に追い払われたけど。二の句を継ぐことなく。
…………睨んでるだけなのに逃げてくのなんなの?
なんか、魔力で威嚇してるっぽい?なんでそういうことできんのコイツ?さっき水晶玉染めるのに苦労してなかったっけ?
無意識でやってるんだったらあまりにも怖いんだが??
ちなみに俺の前、柊夜の周囲は逃げている。行動が早い。
後ろの奴?寝てる。
そんな状況だから近寄ってくる奴は居ない。
「嫉妬深い男は重すぎて嫌われるわよ」
「環境が最悪だから当然の対応だ」
こいつ以外。
多分打算。佐々の今後は多分、荒れるから。
属性の勘違いが解消されて今後そこは問題なくなるだろうから、だからこそ問題が起きそう。内部生だし。
今までがどんな状況だったかは知らないけどCクラスにいる以上碌なもんじゃなかっただろうし、多少なりと信じられる相手なんていないんだろう。
んで、そんな状況で、俺達は外部生で番いで、担任のお気に入り。
自分を守る意味でも都合が良いんだろうな。
柊夜も多分そこに気付いてるから強く拒絶しないんじゃね?他はソッコー追い払ってたもん。
…………或いはあれかな、佐々に今後起こるだろう不都合は俺が原因だから。
俺としては内部生側の情報が欲しいから都合がいい。
ここらへん、後で話し合っておいた方がいいよな。
「佐々って適性と武器何?」
「私?中距離・刺突でボウガンよ」
「ふーん。どんな感じ?」
「全然駄目。命中率は悪いし動いてる敵なら掠りもしない」
うっわ最悪。
それ、絶対こいつとことん合ってない。
「それ、誰かに勧められたとか?」
「そうね……、属性が風で、遠距離武器。家系よ」
あー。あー……。
一番最悪のパターンじゃん。
血筋重視っぽいもんな―この世界。属性や適性が血筋に依存してるならそういうパターン化してる部分ってあるだろうなー。
で、こいつはそれと悉く噛み合わなかったんだ。
更に運が悪かったのは、そう取れる色と適性だったことだろう。
「適性って変わったり」
「しないわよ。属性も。常識よ、常識」
「ならお前ボウガン捨てろ。槍か刺突剣にしとけ」
「え」
そう、佐々が呆気にとられたような声を上げたのとほぼ同じく。
教室の扉が開いて、神門先生が戻ってきた。
何故か、瀬戸先輩も一緒に。
何故。
「なんでいんの瀬戸先輩」
「あ゙?…………あー。そういやァここか」
「暇そうにしていたから手伝わせただけだ。中身を出せ」
「チッ。めんどくせえェ……」
サボってて捕まった感じ?
にしても、なんか嫌ってそうな話し方だったのに手伝ってるんだ。単に苦手か関わりたくないだけとか?
内情がさっぱり分からないから判断できねー。
「…………明らかにあのケースには収まらないサイズの物が次々に出てきてるんだが」
「は?ん?んー……、ああ、本当だ」
柊夜の言葉に考えるのを中断し、前で作業をする二人を見る。
言われてみれば確かに、ケースよりもでかい武器が次々と出てきてるな。
もしかしなくてもアレの類。
ファンタジー物の定番、何でも入る魔法の鞄ってやつだ。
「アレは収納のアイテムよ。制限はあるけれどそれさえクリアしていれば便利な道具」
「ふぅん」
やっぱりそうだよな。
大元がファンタジー世界って話だし。でも数はなさそう。
アイテムとしていいなとは思うけど、普通には手に入らない類の物じゃないかなアレ。
技術が失伝してるとか、元から宝箱からしか出ないとかよくあるよなー。
「反応が薄いのね。外部生は大抵驚いて騒ぐのに」
「だってそういうのって貴重品だろ?自分の手元に来ない物で騒ぐのは無駄」
「…………貴方、本当に外部生?それか年齢誤魔化してない?」
「外部生だし15ですぅ」
中身18歳だけどな!
肉体的には15歳だから誤魔化してはいない。
屁理屈?
事実だし。
まあ、ちょっとドキッとしたけど。
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