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13 危機感と武器適性
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「番い、という関係については、教科書に載っている。各自内容を確認するように。さてそれが何故Cクラスで重要かというと、番い関係の者達には手を出してはならないという不文律が存在するからだ」
「と言う割に教科書には『基本的に』と記載されていますが」
「しでかした場合、身分関係なく役目行きになる。要は、罠だ」
「…………察しはしましたが、気に入りません」
「そこは互いでフォローし合え。他の者達もそうしてきた」
ぐちゃぐちゃになった思考を払うように頭を振っている間にも、内容を理解している神門先生と柊夜が話を進めている。
教科書にはちょっかい出されそうなこと書かれてたけど、実際はそうなってたわけね。
しかも、不文律ときた。思った以上に番いって関係は強いらしい。
となるとやっぱりちょっと偽装について考えた方がいいな。
そこまで影響力があるなら、偽装に関して絶対なんかある。
そこまで考えて、柊夜に隠れながら、視線だけ教室内を見回す。
この話を聞いてどういう反応をしているのか気になったからだ。
他のクラスメイト達はと言うと、ほとんどが真剣に教科書を捲り、一部はどうでも良さげにしている。
外部生と内部生分かりやすいな。
「全員内容は理解したとして話を進める。つまりそういった方面の面倒事に巻き込まれる前に番いになっておけば回避できる可能性が上がる、ということだ。ただまあ、この方法も万能ではないと覚えておけ」
だよね。
多分、知れば考えることはみんな同じだってことだ。
番いになってそれを周知しておけば、そういう絡まれ方が減るかもしれない、ってね。
昨日の神門先生の説明を正しく理解してりゃ分かる。
「…………だって」
「どんなことにも絶対はないだろ。僕達はいつも通りいればいい」
それはそうだけど。
堂々としてれば、バレる確率は下がる。
それでも万能じゃないって神門先生が言うくらいだから、やっぱりさぁ。偽装しててもなんらかの方法でバレる、ってことじゃないの?
番いの前提条件は『性交渉をしている』ことだ。
その真偽をハッキリさせる方法があるとしたら?
最悪の事態は考えておかないと駄目だ。
…………。
回避するには、真実にする。しかないんだよ、な。はは。
流石に。あっちでのアレは、カウントされないだろうし。されても困る。マジでどう説明すんの。
俺は中身が別世界の人間で、その世界のお前にヤられたことがあります、ってか?
死にたくなるわ。
ああでも、この身体はこの世界の俺のもの、だし。
それはないよな。うん。きっと。絶対。
「この情報を活用するかどうかは各自決めろ。では次、武器適性について調べる。調べるアイテムは属性を調べる水晶玉とは違い貴重品なため一人ずつ前に出てきてこれに触れてもらう」
そう教卓の下から出してきたのは台座付きの直径20センチくらいの水晶玉。
よく出てくんな水晶玉。
まさか重要アイテム、全部水晶玉で統一してるとかないよな?
いやどうでもいいけど。
「これに関しては他者も結果が見えるようになっている。よって虚偽申告は不可能だ。内部生については見る必要はないが好きにしろ。では出席番号順に前に出てこい」
その神門先生の言葉に、一番前の席の奴が慌てた様子で立ち上がり、教卓の方へ向かっていく。
そんな急ぐことか?
てか、武器特性ってそもそも何?
「あ、こら」
「いーじゃん別に。自分の出すのめんどい」
「なら取らないで一緒に見ればいいだろ?」
「あっ」
奪った教科書を奪い返される。
で、パラパラと教科書を捲って目的のページを見つけ、そこを開いて机に広げた。
ちゃんと、武器適性に関するページ。
考えが似てるのか、俺が読まれやすいのか。
いやでも状況的に考えが被る確率は高いよな。俺らは外部生で知らないことの方が多いんだから。
うん。
とりあえず読もう。
武器適性とは。
血筋や魔力属性、魔力量に依存する、最も扱いやすい武器に対する適性のこと。
ストレートに武器の名前が表示される場合と、斬撃・打撃・刺突・射撃や刃・長柄・暗器・鈍器などの武器を特定しない広範囲を示すものが表示される場合があるらしい。
ちなみに最も求められてるのは前者。後者よりも成長率がいいから、だと。
そりゃ一点特化は強いだろうよ。それだけ伸ばせばいいんだし。
逆に言えばそれ以外に適性がないってことでもあるけど。
あっちのゲーム的に言えば、装備はできても成長しないって感じかな?
流石に扱うことすらできないってことはないだろ。ゲームじゃないんだし。
「瑞月、次」
「ん?ああ、行ってくる」
大体読み終えたところで俺の番が来た。
出席番号順なら早いのは当然。
こっちは変なの出ないといいんだけど。
「刃、長柄か。まあよくある適性だな。扱いやすい方を選べ」
「複数の時って自分で選ぶんだ」
「そうだ。これも一度申請すると取り消しができない」
「ええ、扱った事も無いのに決めるとか無理じゃん。申請っていつまでやんの?」
「Cクラスは今日だ。ふむ、それも一理あるとして特殊武器以外は持ってきてやろう」
「マジ?ありがとセンセー♪」
用意してくれるらしい。
よっし、言ってみるもんだな。
でも普通に考えてそうだろ?触ったこともないもんを勘と勢いで選べるかよ。
これ魔力属性と同じで、絶対間違ってる奴いる。
刃を例にして言えば、刃の付いた武器がどんだけある?って話だ。言っちゃえばハサミだって刃だし。
武器じゃない?ハサミも種類によっちゃ簡単に人殺せるぞ。
「瑞月?」
「あった方が助かるだろ?」
「そうだけど、…………はぁ」
でっけー溜め息だなオイ。
言いたいことは、分かるけどね。これ以上目立つ真似はしないでほしい、って。
でも今回のは神門先生がこっち寄り、ってのをはっきりと見せるためでもあった。
我儘をあっさり聞いてもらえる程度のお気に入りとでも誤解してくれりゃ楽。特に内部生。
神門先生ってそれなりの地位っぽいし?
ま、それを理由にしかけてくるのもいそうだから、多用はできないけどね。
使えるものは使っておかないと。
こっちも確実に、利用されるだろうし。
「と言う割に教科書には『基本的に』と記載されていますが」
「しでかした場合、身分関係なく役目行きになる。要は、罠だ」
「…………察しはしましたが、気に入りません」
「そこは互いでフォローし合え。他の者達もそうしてきた」
ぐちゃぐちゃになった思考を払うように頭を振っている間にも、内容を理解している神門先生と柊夜が話を進めている。
教科書にはちょっかい出されそうなこと書かれてたけど、実際はそうなってたわけね。
しかも、不文律ときた。思った以上に番いって関係は強いらしい。
となるとやっぱりちょっと偽装について考えた方がいいな。
そこまで影響力があるなら、偽装に関して絶対なんかある。
そこまで考えて、柊夜に隠れながら、視線だけ教室内を見回す。
この話を聞いてどういう反応をしているのか気になったからだ。
他のクラスメイト達はと言うと、ほとんどが真剣に教科書を捲り、一部はどうでも良さげにしている。
外部生と内部生分かりやすいな。
「全員内容は理解したとして話を進める。つまりそういった方面の面倒事に巻き込まれる前に番いになっておけば回避できる可能性が上がる、ということだ。ただまあ、この方法も万能ではないと覚えておけ」
だよね。
多分、知れば考えることはみんな同じだってことだ。
番いになってそれを周知しておけば、そういう絡まれ方が減るかもしれない、ってね。
昨日の神門先生の説明を正しく理解してりゃ分かる。
「…………だって」
「どんなことにも絶対はないだろ。僕達はいつも通りいればいい」
それはそうだけど。
堂々としてれば、バレる確率は下がる。
それでも万能じゃないって神門先生が言うくらいだから、やっぱりさぁ。偽装しててもなんらかの方法でバレる、ってことじゃないの?
番いの前提条件は『性交渉をしている』ことだ。
その真偽をハッキリさせる方法があるとしたら?
最悪の事態は考えておかないと駄目だ。
…………。
回避するには、真実にする。しかないんだよ、な。はは。
流石に。あっちでのアレは、カウントされないだろうし。されても困る。マジでどう説明すんの。
俺は中身が別世界の人間で、その世界のお前にヤられたことがあります、ってか?
死にたくなるわ。
ああでも、この身体はこの世界の俺のもの、だし。
それはないよな。うん。きっと。絶対。
「この情報を活用するかどうかは各自決めろ。では次、武器適性について調べる。調べるアイテムは属性を調べる水晶玉とは違い貴重品なため一人ずつ前に出てきてこれに触れてもらう」
そう教卓の下から出してきたのは台座付きの直径20センチくらいの水晶玉。
よく出てくんな水晶玉。
まさか重要アイテム、全部水晶玉で統一してるとかないよな?
いやどうでもいいけど。
「これに関しては他者も結果が見えるようになっている。よって虚偽申告は不可能だ。内部生については見る必要はないが好きにしろ。では出席番号順に前に出てこい」
その神門先生の言葉に、一番前の席の奴が慌てた様子で立ち上がり、教卓の方へ向かっていく。
そんな急ぐことか?
てか、武器特性ってそもそも何?
「あ、こら」
「いーじゃん別に。自分の出すのめんどい」
「なら取らないで一緒に見ればいいだろ?」
「あっ」
奪った教科書を奪い返される。
で、パラパラと教科書を捲って目的のページを見つけ、そこを開いて机に広げた。
ちゃんと、武器適性に関するページ。
考えが似てるのか、俺が読まれやすいのか。
いやでも状況的に考えが被る確率は高いよな。俺らは外部生で知らないことの方が多いんだから。
うん。
とりあえず読もう。
武器適性とは。
血筋や魔力属性、魔力量に依存する、最も扱いやすい武器に対する適性のこと。
ストレートに武器の名前が表示される場合と、斬撃・打撃・刺突・射撃や刃・長柄・暗器・鈍器などの武器を特定しない広範囲を示すものが表示される場合があるらしい。
ちなみに最も求められてるのは前者。後者よりも成長率がいいから、だと。
そりゃ一点特化は強いだろうよ。それだけ伸ばせばいいんだし。
逆に言えばそれ以外に適性がないってことでもあるけど。
あっちのゲーム的に言えば、装備はできても成長しないって感じかな?
流石に扱うことすらできないってことはないだろ。ゲームじゃないんだし。
「瑞月、次」
「ん?ああ、行ってくる」
大体読み終えたところで俺の番が来た。
出席番号順なら早いのは当然。
こっちは変なの出ないといいんだけど。
「刃、長柄か。まあよくある適性だな。扱いやすい方を選べ」
「複数の時って自分で選ぶんだ」
「そうだ。これも一度申請すると取り消しができない」
「ええ、扱った事も無いのに決めるとか無理じゃん。申請っていつまでやんの?」
「Cクラスは今日だ。ふむ、それも一理あるとして特殊武器以外は持ってきてやろう」
「マジ?ありがとセンセー♪」
用意してくれるらしい。
よっし、言ってみるもんだな。
でも普通に考えてそうだろ?触ったこともないもんを勘と勢いで選べるかよ。
これ魔力属性と同じで、絶対間違ってる奴いる。
刃を例にして言えば、刃の付いた武器がどんだけある?って話だ。言っちゃえばハサミだって刃だし。
武器じゃない?ハサミも種類によっちゃ簡単に人殺せるぞ。
「瑞月?」
「あった方が助かるだろ?」
「そうだけど、…………はぁ」
でっけー溜め息だなオイ。
言いたいことは、分かるけどね。これ以上目立つ真似はしないでほしい、って。
でも今回のは神門先生がこっち寄り、ってのをはっきりと見せるためでもあった。
我儘をあっさり聞いてもらえる程度のお気に入りとでも誤解してくれりゃ楽。特に内部生。
神門先生ってそれなりの地位っぽいし?
ま、それを理由にしかけてくるのもいそうだから、多用はできないけどね。
使えるものは使っておかないと。
こっちも確実に、利用されるだろうし。
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