7 / 35
6 二人の先輩
しおりを挟む
二人で寮まで戻ってくると、玄関前に二人、人が立っていた。
制服姿なあたり学園の生徒。体格的に、上級生っぽい。
うん。
なんかめっちゃ見られてるな??
ちら、と隣の柊夜を見ると、目が合った。
小さく頷く。
さっき神門先生に言われたばっかだもんな。
「――――ホームルームの終了から十分以上経っている。帰りが遅くなった理由は」
「担任の教師に色々と話を聞いていました」
柊夜が答える。
それ自体はいいけどさり気なく前に出て庇うみたいな状態なのなんなの??そういうのは女にやれ??
「担任の名は」
「神門帝人」
今度は俺が答える。
それに、上級生二人は嫌そうな顔をした。
「神門ならやる」
「アイツは学生側の都合なんざ気にしねぇからな」
口々に言う二人。
あの顔は俺じゃなくて神門先生に対する不満だったらしい。
まあそれはそれとして。
学生側の都合ってなんだ?
予定表に入学式の後なんかあるなんて表記はなかったし何も聞いてないぞ?
「入学式の後は特に何もないはずですが」
柊夜もそこを疑問に思ったようで、そう二人に声をかけた。
すると二人は顔を見合わせ、
「入学式の後に寮での生活に関して説明会を行うと通達したはずだ」
「表記漏れになってたから寮の管理人が入寮時に話したはずだぜ」
と、言った。
今度は、俺と柊夜が顔を見合わせる。
「僕は初日の午前中に来たけど何も言われていない」
「俺は最終日の午前中。って知ってるよな。嫌味言われた記憶はあってもそれは聞いた記憶はない」
「…………へえ」
「管理人がコレは終わってるよなー」
声ひっく。
いやうん、こんなんじゃあ管理人を敵認定するよな。分かる。そりゃそう。
唯一のプライベート空間を管理してる奴が信用できないって問題でしかない。
ま、多分だけど外部生に対してみんなそうだったんだろうな。他の連中はさっさと戻ったから問題なかったってだけで。
「意味はないかもしれないけど神門先生に話しておこう」
「寮は関係ないんじゃね?」
「言うだけならタダだぞ?」
そりゃそうだけど。
でもあれ校内でなんかあったら、って意味だと思うけどなぁ。いいのか寮のことって。
まあ、いいか。別に。駄目なら駄目って言うだろ。
「…………通達が伝わっていなかったのなら不問にする」
「お前が決めたならそれでいい。で、どうする?説明会はもう始まってるぜ」
「俺達で話すしかないだろう」
何やら話が勝手に進んでいく。
伝達ミスを認めて不問にするってのはいいけど。
寮の説明ってのも必要なことだとは思うけど。
この二人、大丈夫な部類?信じていいやつ?
「説明会は食堂で行われている。中の連中に見つかると面倒なことになるから自習室の方に行く」
「どっちも面倒くせぇ……が、仕方ねぇ。ついてこい」
俺達に背を向け、二人は歩き出す。
マジでどうするよ。
迷って柊夜を見ると、柊夜は真っすぐに二人の背を見ている。
そして、
「貴方達は真面な人間ですか」
と、言い放った。
「おぉいっ?!」
いや俺も思ってるけど!
ドストレートに聞くかよ普通!!
その柊夜の問いに、前を行く二人は足を止め、片方――臙脂の髪の方が振り返って、
「神門の手付きに手ェ出すほどイカレちゃいねぇ」
吐き捨てるようにそう言い、また歩き出す。
これ以上突っつくのはやばそう。
つうか神門先生の手付きってなんだ。
目ぇ付けられたのは事実だしなんか渡されてるけどそれのこと言ってんの?それとも別の意味含んでたりする??
とりあえずクソめんどくせー!!
「……行こうか」
「行くしかないよなー……」
俺と柊夜はもう一度顔を見合わせてからどちらともなく頷き合い、二人の後を追った。
制服姿なあたり学園の生徒。体格的に、上級生っぽい。
うん。
なんかめっちゃ見られてるな??
ちら、と隣の柊夜を見ると、目が合った。
小さく頷く。
さっき神門先生に言われたばっかだもんな。
「――――ホームルームの終了から十分以上経っている。帰りが遅くなった理由は」
「担任の教師に色々と話を聞いていました」
柊夜が答える。
それ自体はいいけどさり気なく前に出て庇うみたいな状態なのなんなの??そういうのは女にやれ??
「担任の名は」
「神門帝人」
今度は俺が答える。
それに、上級生二人は嫌そうな顔をした。
「神門ならやる」
「アイツは学生側の都合なんざ気にしねぇからな」
口々に言う二人。
あの顔は俺じゃなくて神門先生に対する不満だったらしい。
まあそれはそれとして。
学生側の都合ってなんだ?
予定表に入学式の後なんかあるなんて表記はなかったし何も聞いてないぞ?
「入学式の後は特に何もないはずですが」
柊夜もそこを疑問に思ったようで、そう二人に声をかけた。
すると二人は顔を見合わせ、
「入学式の後に寮での生活に関して説明会を行うと通達したはずだ」
「表記漏れになってたから寮の管理人が入寮時に話したはずだぜ」
と、言った。
今度は、俺と柊夜が顔を見合わせる。
「僕は初日の午前中に来たけど何も言われていない」
「俺は最終日の午前中。って知ってるよな。嫌味言われた記憶はあってもそれは聞いた記憶はない」
「…………へえ」
「管理人がコレは終わってるよなー」
声ひっく。
いやうん、こんなんじゃあ管理人を敵認定するよな。分かる。そりゃそう。
唯一のプライベート空間を管理してる奴が信用できないって問題でしかない。
ま、多分だけど外部生に対してみんなそうだったんだろうな。他の連中はさっさと戻ったから問題なかったってだけで。
「意味はないかもしれないけど神門先生に話しておこう」
「寮は関係ないんじゃね?」
「言うだけならタダだぞ?」
そりゃそうだけど。
でもあれ校内でなんかあったら、って意味だと思うけどなぁ。いいのか寮のことって。
まあ、いいか。別に。駄目なら駄目って言うだろ。
「…………通達が伝わっていなかったのなら不問にする」
「お前が決めたならそれでいい。で、どうする?説明会はもう始まってるぜ」
「俺達で話すしかないだろう」
何やら話が勝手に進んでいく。
伝達ミスを認めて不問にするってのはいいけど。
寮の説明ってのも必要なことだとは思うけど。
この二人、大丈夫な部類?信じていいやつ?
「説明会は食堂で行われている。中の連中に見つかると面倒なことになるから自習室の方に行く」
「どっちも面倒くせぇ……が、仕方ねぇ。ついてこい」
俺達に背を向け、二人は歩き出す。
マジでどうするよ。
迷って柊夜を見ると、柊夜は真っすぐに二人の背を見ている。
そして、
「貴方達は真面な人間ですか」
と、言い放った。
「おぉいっ?!」
いや俺も思ってるけど!
ドストレートに聞くかよ普通!!
その柊夜の問いに、前を行く二人は足を止め、片方――臙脂の髪の方が振り返って、
「神門の手付きに手ェ出すほどイカレちゃいねぇ」
吐き捨てるようにそう言い、また歩き出す。
これ以上突っつくのはやばそう。
つうか神門先生の手付きってなんだ。
目ぇ付けられたのは事実だしなんか渡されてるけどそれのこと言ってんの?それとも別の意味含んでたりする??
とりあえずクソめんどくせー!!
「……行こうか」
「行くしかないよなー……」
俺と柊夜はもう一度顔を見合わせてからどちらともなく頷き合い、二人の後を追った。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
真面目な部下に開発されました
佐久間たけのこ
BL
社会人BL、年下攻め。甘め。完結までは毎日更新。
※お仕事の描写など、厳密には正しくない箇所もございます。フィクションとしてお楽しみいただける方のみ読まれることをお勧めします。
救急隊で働く高槻隼人は、真面目だが人と打ち解けない部下、長尾旭を気にかけていた。
日頃の努力の甲斐あって、隼人には心を開きかけている様子の長尾。
ある日の飲み会帰り、隼人を部屋まで送った長尾は、いきなり隼人に「好きです」と告白してくる。


飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は未定
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
・本格的に嫌われ始めるのは2章から
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる